HIITや中強度の有酸素運動といった、有酸素運動全般が心血管疾患に良い…!ってのは周知の事実。
ではどっちが優れているのか…?について調べた質の高い研究をご紹介しておきます。



冠動脈疾患の患者さんを対象にHIITと中強度の有酸素運動の効果をRCTの系統的レビュー・メタ分析してみた…!

2021年の山東大学の研究によると、冠動脈疾患(CAD:心筋梗塞)の患者さんを対象にHIITと中強度の有酸素運動(普通の有酸素運動)の効果をRCTの系統的レビュー・メタ分析してみたそうです。
まず研究者たちは、2020年12月までに発表されている先行研究をPubMedやWeb of Science、SPORTDiscus、Cochrane Library、CNKIで検索してみたそうな。すると1,550件もの研究がヒットしたそうです。続いて、重複しているものや基準を満たしていない研究、質の低い研究を除外していったそうで、最終的には25件の研究が選ばれたとのこと。
この25件の研究の総サンプル数は1,272人でして、このうちHIITを行っていた方が621人、普通の有酸素運動を行っていた方が651人だったらしい。因みにリタイア率については、HIITが0%~38%で、普通の有酸素運動は0%~28%だったそうです。やっぱりきつい分HIITの方がリタイア率が高いみたいですな。
んで、ほとんどの研究は男性と女性の両方の患者さんを対象にしておりまして、内訳は男性が1002人、女性が201人、性別不明が69人ということでした。
運動期間の範囲は4週間から16週間でして、ほとんどの研究では週2~3日の頻度で行っていたそうです。因みに種目はトレッドミルによるランニングとエアロバイクによるサイクリングってことで、HIITおなじみの方法ですな。
では結果をバーッと見てみましょう…!

  • 冠動脈疾患の患者さんがHIITを行うと大幅に(4.52mL/kg/min)VO2maxがアップしていた…!
  • 冠動脈疾患の患者さんが中強度の有酸素運動を行うと大幅に(2.36mL/kg/min)VO2maxがアップしていた…!
  • つまり、HIITの方が中強度の有酸素運動よりもVO2maxがより大幅に(1.92mL/kg/min)アップしていた…!
  • HIITの運動時間と休憩時間が1分より多いと、VO2maxが大幅に(2.30mL/kg/min)アップしていた…!
  • HIITの運動時間と休憩時間が1分以下だと、中強度の有酸素運動と同じぐらい(0.84mL/kg/min)VO2maxがアップしていた…!
  • つまり、HIITの運動時間と休憩時間は1分より多い方がより効果が高かった…!
  • カロリーを変えたグループは、カロリーをそろえたグループと比較して、中強度の有酸素運動よりもHIIT後の方がVO2maxがアップ(2.36mL/kg/min)していた…!
  • 冠動脈疾患の患者さんがHIITを行うと、無酸素性代謝閾値(AT:有酸素運動から無酸素運動に切り替わる時の運動強度のレベルのこと)が明らかにアップ(2.63mL/kg/min)していた…!
  • 冠動脈疾患の患者さんが中強度の有酸素運動を行うと、無酸素性代謝閾値が明らかにアップ(1.68mL/kg/min)していた…!
  • つまり、HIITの方が中強度の有酸素運動よりも、より大幅に無酸素性代謝閾値がアップ(0.59mL/kg/min)していた…!
  • 冠動脈疾患の患者さんがHIITを行うと、最大パワーが大幅にアップ(21.89ワット)していた…!
  • 冠動脈疾患の患者さんが中強度の有酸素運動を行うと、最大パワーが大幅にアップ(11.30ワット)していた…!
  • つまり、HIITの方が中強度の有酸素運動よりも、より大幅に最大パワーがアップ(10.86ワット)していた…!
  • HIIT、中強度の有酸素運動ともに血圧は有意な変化は見られなかった。但し、HIITと中強度の有酸素運動を比較してみると、収縮期血圧(-3.61mmHg)、拡張期血圧(-2.37mmHg)ともにHIITよりも中強度の有酸素運動の方が有意に低下していた…!
  • 安静時心拍数、最大心拍数、左室駆出率、QOL(生活の質)などはHIIT、中強度の有酸素運動ともに有意な改善を示したが、グループ間に有意差はなかった。

ということで、HIITも中強度の有酸素運動もプラスの効果はあったけど、比べたらHIITの圧勝だった…!ってことですね。やっぱHIITは素晴らしいですな…!



個人的考察

因みにHIITでもちょい長めの運動時間・休憩時間の方が効果が高そうな感じ。この辺もポイントとして併せて覚えておきたいですねー。



参考文献