7月から開始したシリーズ企画「障がい者支援について考える」ですが、令和2年8月7日の社内研修が終わりましたのでまとめておきます。詳しい経緯については「障がい者支援について考える その1」をご覧ください。



障がい者支援について考える その2

今回の研修内容をはじめにざっくり書いておくと、当事業所の採用面接の際に話している事の復習と更に詳しい内容について掘り下げました。


障害福祉サービスについて

まずは障害福祉サービスってどんなのがあるの…?ってところからご紹介します。ここで参考になるのが平成29年の厚生労働省の「障害福祉サービス等について」という資料になります。この資料の4,5ページ目の「障害福祉サービス等の体系1」「障害福祉サービス等の体系2」が分かりやすくまとまっているんですよね(下記画像参照)福祉の研修などで見かけたことがある方も多いのではないかと。

障害福祉サービス等の体系1(下記をクリック・タップすると拡大されます)


障害福祉サービス等の体系2(下記をクリック・タップすると拡大されます)


この資料のいいところは、

  • どのようなサービスがあるのか一覧で分かりやすい事
  • 各サービスが端的な文章でまとまっている事
  • 「障がい者」が使えるサービスなのか「障がい児童」が使えるサービスなのか両方の方が使えるサービスなのかパッと見で分かりやすい事
  • 少し古い資料ですが、大体の利用者数や施設・事業所数が分かる事

となります。因みに「障がい者」は18歳以上の方「障がい児童」は17歳以下の方となります。そのため、当事業所が行っている「就労移行支援」や「就労継続支援(B型)」は18歳以上の方が対象のサービスとなります(就労アセスメントなど例外を除く)
因みに平成30年度から新サービスが追加されまして、それらが載っていないのがこの資料の弱点
そこで、補足資料として役立つのが令和元年の厚生労働省の「難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ 障害福祉サービス等について」いう資料又は厚生労働省のホームページの「障害福祉サービスについて」になります。

障害福祉サービス等の体系(介護給付・訓練等給付)(下記をクリック・タップすると拡大されます)


こちらには先程掲載されていなかった新サービス「自立生活援助」と「就労定着支援」が追加されております。ですが、利用者数や施設・事業所数は載っておりません。この当たりは紹介した資料を組み合わせてご覧いただければよろしいかと思います。


んで、上記が一つにまとまった最新版が登場していたことに最近(令和4年1月末頃)気づきましたので、追記として下記に載せておきます。

障害福祉サービス等の体系(介護給付・訓練等給付)(下記をクリック・タップすると拡大されます)


障害福祉サービス等の体系(障害児支援、相談支援に係る給付)(下記をクリック・タップすると拡大されます)


PDFでダウンロードを希望の方は下記からできますので、よければどうぞ。



次に当事業所が行っているサービスを詳しく見てみたいと思います。まず大枠として「訓練系・就労系」サービスに属します。サービスの説明をみてみると、

  • 就労移行支援→一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う
  • 就労継続支援(B型)→一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う

と言った感じです。もうちょい分かりやすく言うと、

  • 就労移行支援→一般企業への就職を目指す方が使うサービス。原則2年間で就職活動や一般企業に通じる体調安定法、作業スキルを身に付けるサービス。
  • 就労継続支援(B型)→まだ一般企業への就職が早いな~と言う人が使うサービス。決まった時間に出勤・仕事を行い、生活リズムや仕事の楽しさ、やりがい、作業スキル、コミュニケーションスキルなどを身に付けるサービス。

って感じになります。


就労移行支援や就労継続支援B型を利用するまでと後の全体の流れ

では障害福祉サービスにはどのようなものがあるか分かった所で次にざっくり利用するまでと後の全体の流れについてまとめておきたいと思います。
利用の方は、

  • 高校(養護学校・支援学校)の卒業後
  • 普通高校の卒業後(本人や親の意思で普通高校に行った方や在学中に障がい発症、初めて障がいだと知った場合など多岐にわたる)
  • 通信の高校の卒業後(上記に同じ)
  • 専門学校・短大・大学・大学院(上記に同じ。就職のときに困って発達障がいだと分かるケースなんか多い)
  • 上記学校の休学→退学・中退後(上記全ての補足説明のようなケースがあり多岐にわたる)
  • 社会人(現在働いているが精神障がいを発症又は重症化したケース、それに伴う退職後に困っているケースなど多岐にわかる)
  • 精神科などの通院中・精神科などの退院後(状態が良くなり社会復帰の為の利用が多い)
  • デイケア利用中(上記に同じ)
  • ニート
  • ひきこもり
  • 少年院からの復帰後
  • 刑務所からの出所後
  • その他

とまさに色々です。一言でいうなら社会に居場所がない方でその居場所が欲しい方・就労の機会が欲しい方が来ることが多い感じです。このような色々な事情の方が希望や期待をもってくるんですよね~責任重大。
んで、一般的な流れとしては、就労継続支援B型→就労移行支援→一般企業とステップアップしていきます。もちろん、いきなり就労移行支援からスタートする方もいますし、就労継続支援B型から就職する方もいます。就労移行支援→就労継続支援B型→就労移行支援→一般企業なんてパターンも普通にあったりします。
また、平成27年度の報酬改定で就労継続支援A型がかなり厳しい状況の為、就労移行支援→就労継続支援A型→一般企業の道のりはなかなか機能しないのが現状と言ったところになります(もちろん良い就労継続支援A型もいっぱいありますし、一般企業の道のりが確保・充実している事業所もありますけどね)

ということで、養護学校や病院・デイケアから考えると、周りに同様の人(障がいを持った人)が多く、福祉に理解ある人が基本的にほとんどなのは、就労移行支援や就労継続支援B型などの就労支援事業所が最後になります。ここからステップアップして一般企業に行くともうそこは社会なんで、障がい者ばかりではないし、理解者ばかりではありません。障がい特性(特徴)は配慮してもらえても、それにかまけて甘えていると、そりゃあ、健常者同様、怒られるし、クビにもなります。平等です。
そのため、ステップアップ希望者は特にそうですが、社会で通じるように支援していくのが就労支援事業所の支援員の役割と言えますね~。


就労支援事業所の役割とやりがい

上記で「社会で通じるように支援していくのが就労支援事業所の支援員の役割」と書きましたが、次にここを掘り下げていきます。まず結論から言うと人生の4分の1を作る・サポートする場所が就労支援事業所であり、そこに責任感とやりがいがあります。どういうことかというと、

  1. 日本は大体20歳くらいから65歳までの45年間ぐらい働く
  2. 2019年の時点で日本の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳
  3. つまり人生の約半分は働いている
  4. 更に仕事面と生活面(プライベート)の両方が充実していることが望ましい
  5. つまり仕事面は人生の半分の半分、人生の約4分の1となる
  6. 仕事面をサポートし提供するのが就労支援事業所
  7. まとめると、人生の4分の1を作る・サポートする場所が就労支援事業所

って感じです。どうですかね~。そんなに飛躍した話でもないとは思うんですがいかがですか…?

更に、人生ってのは良くするのは難しく、悪くするのは簡単です(悪くしたいなら包丁持って道を歩くだけでいい)自分の人生ですら良い方向に行かせるのは難しいのに他人(利用者)の人生を良い方向に行かせようとするんだから、そりゃ~、難しいし責任重大ですよね。でも、その分、少しは役立てたり、ここにきて良かったって言われると少しぐらいこの人を良い人生に行く手伝いができたんじゃないか~って思えるんですよね(エラそうですが)
特に就職して、

  • 独り暮らしができた…!
  • 新車を買った…!
  • 家族にプレゼントをした…!

とか聞くと嬉しいですね。
いや~このやりがいは味わってみないと分かりづらいかもしれませんね~。
これらを達成するために前回の研修で行った事業所の強みをしっかり踏まえた支援が必要になってきます。


支援の方向性と判断・シンプルルールについて

ここまでサービスの種類から、全体の流れ、責任感・やりがいについて研修しました。
最後は、支援の方向性と判断について困ったときに使うシンプルルールを作って使うと便利だよ~ってことを書いていきます。

といっても、実は、ここ、以前に書いていたり(笑)詳しくはシンプルルールの記事をみてほしいのですが、「その人(その障がい者)にとって良い人生を歩んでいるかどうか」を基準に支援方法や方向性を最終的に決めるとよろしいかと思います。その人にとって良い人生を歩むのに必要であれば、例えそれが指摘や注意をすることになっても行います。この指針があると支援者自身もメタ認知(客観視)して判断しやすくなりますしね。もちろん、本人に納得してもらえるよう話したり、個人の意思の尊重が大事なのは言うまでもありませんが…。