以前から


って話を書いている当ブログ。そういえば逆に座り続けるデメリットを書いていなかったな~と思いまして…。
人は座ると電気信号がストップし、足に力をいれなくて良くなります。この状態は楽なんですが、大腿筋(太ももの筋肉)などの大きな筋肉がほとんど使われないってことです。つまり、カロリーが全然消費されないし、脂肪も燃えないし、燃やす効果のある酵素の量も少なくなるしで実は結構デメリットが多かったりします。
そこで今回は座り続けるデメリットをご紹介します。皆さんも立ったり歩いたりしながら勉強や仕事をしたくなるはず(笑)



普段から座りがちな人は肥満になる可能性が非常に高い…!

2008年のアイオワ州立大学の研究によると、タバコを吸わない健康的な女性20人を集めたそうです。因みに20人のうち10人はスリムな女性で、残りの10人は肥満な女性だったそうな。この20名を対象に普段の生活とエネルギー消費について14日間の観察研究を行ったとのこと。その後、代謝率や脂肪量を調べたり、DXA(二重X線吸収法)を使って体組成なんかを調べたみたい。
そこで分かったことは、肥満な女性はスリムな女性に比べ、

  • 1日に座っている時間が2.5時間も多かった…!
  • 1日に立っている時間が2時間も少なかった…!
  • 半分の時間しか活動していなかった…!

そうです。
つまり、普段から座りがちな人は肥満になる可能性が非常に高いってことですね。
デスクワークの方は注意していきたいですね~。



食欲が暴走する…!

じゃあ、なんで座りがちな人は太ることが多いのかですが、そこで参考にしたいのが2003年のリーズ大学の研究。この研究によると、身体活動で適切な満腹感を感じられるようになっており、また、食欲を制御する力がアップするって話なんですよね。

また2012年のマサチューセッツ大学の研究によると男女14名に協力をお願いし、3つの条件で24時間過ごしてもらったそうです。その際、1日の座っている状況やグレリン(食欲促進ホルモン:食欲をコントロールするホルモン)、レプチン、空腹感、満腹感なんかを調べたとのこと。
結果、座りがちな人は

  • グレリンが減少した
  • レプチンの反応が弱まった
  • 空腹感が増した
  • 満腹感が減った

とのこと。更に、長時間座っていると余分なエネルギー摂取が促進され(間食や食べ過ぎなど起きてしまうため)、男女とも両方で体重が増加したそうな。

つまり、これらから言えることは、座りがちだと食欲が暴走してしまう…!ってこと。


そして、2009年のCIMの研究によると、運動不足や内臓脂肪量の両方が、様々な病気発生と関連しているそうです。例えば、2型糖尿病や心血管疾患、結腸がん、乳がん、認知症、うつ病などは運動不足が原因の一つとのこと。
運動不足は、内臓脂肪を蓄積させますが、これは全身に慢性炎症が起きている証拠なんで、是非、気を付けていきたいですね。
因みに定期的な運動は抗炎症効果があるので対策におすすめとのこと。

というと、よく誤解するのが、身体活動や定期的な運動=HIITのような激しい運動を想像するんですが、大事なのはNEATを増やすということ。つまり、座る時間を減らし、歩く時間や階段を使うのが重要ってことですね。



座りがちだと、糖尿病や心血管疾患などの発症や死亡リスクが上がってしまう…!

2012年のレスター大学メタ分析・系統的レビューによると、座りがちだと、糖尿病や心血管疾患などの発症や死亡リスクが上がってしまうそうです。特に糖尿病はまっしぐらだよ…!って話らしく、なかなか怖い話です。
この研究は、16の前向きコホート研究と2つの横断研究の計18の研究をピックアップしたそうで、サンプル数は794,577人とのこと。因みに18の研究のうちの15件は中~高品質の研究だったそうです。サンプル数、質とかなり信頼度高めで良さげですね。
んで、早速結果をまとめて紹介していくと、
普段座りがちな人はそうでない人に比べて、

  • 糖尿病の発症が112%アップ…!
  • 心血管疾患の発症が147%アップ…!
  • 心血管疾患による死亡リスクが90%アップ…!
  • 上記全ての死亡リスクが49%増加…!

らしい…。
まさに塵も積もれば~って感じで、毎日の座り過ぎのダメージが蓄積すると非常にヤバいですね…。発症率が2倍以上、死亡率が1.5倍ってのは恐ろしい…。
廊下じゃなくても立っています…!というか立たないと(笑)



遺伝子に影響が出る…!

2013年のベイカーハートアンドディアベテスインスティテュートRCT、クロスオーバー試験によると、座りがちな生活で遺伝子発現が起きたそうです。つまり、遺伝子に異変が起きたということ。
座りがちな状態は、細胞の発達や成長、増殖、代謝に関連していたそうです。また、心血管疾患にも関連していたそうで、座りがちの悪影響は遺伝子レベルで起こっているみたいですね~。



メンタルが悪化する…!

2015年のディーキン大学の研究によると、普段座りがちな人と不安との関連を調べた9つの先行研究をピックアップして、関係性があるか調べてみたそうです。
この研究の座っている時間は、

  • テレビの視聴時間
  • パソコンの使用時間
  • 座って運転している時間
  • デスクワークの時間

などの合計を出して不安と比べてみたらしい。
結果、9つの研究のうちの5つの研究で、

  • 座り時間が増えると不安のリスクも増えるということが分かった…!

そうです。
つまり、座り続けることによってメンタルが悪化する…!ってことですね。具体的には座り続けることでやる気がなくなり、不安感を感じやすくなるんだとか。確かにやる気がないなどメンタルが悪化している人は座っているイメージが多いですね…。



座り過ぎでメンタルが悪化する…!しかも運動してもリカバリー出来なかった…。

2013年のタスマニア大学の研究によると、2010年にオーストラリアのタスマニアの政府職員の男女3,367人(平均年齢46.2歳)を対象に、仕事中に座っている時間、運動量、メンタルについて調査してみたそうです。その際、年齢や結婚状況、給料や休日の運動量などは調整したとのこと。
結果、何が分かったかというと、

  • 仕事中座っている時間の平均は、男性4.8時間、女性4.2時間だった
  • 1日6時間以上座っている男性は、1日3時間未満しか座っていない男性と比較して、中程度のメンタル悪化が確認された
  • 1日6時間以上座っている女性は、中~高程度のメンタル悪化が確認された
  • 上記は、休日に運動をしていようがいまいが関係なかった

とのこと。うあー。
仕事中の座り時間が1日6時間以上を超えると結構メンタルが悪化するんですね~。しかも嫌なのが、休日に運動してもリカバリーにならないってことでしょうか…。これは対策し辛いな…。
研究者も、仕事中の座り時間はメンタルヘルスの悪化と関係があるのは間違いないから、デスクワーク中心の人は出来るだけ座り時間を減らすと良さそうだよ…!と申されております。
また上記研究によると、1日3時間未満であればメンタルに影響しないみたいなんで、座り過ぎかどうかの基準は1日3時間が一つ目安になるのかもしれませんね~。


…って、研究を紹介している本人が普通にほぼデスクワークで3時間以上座っているんでヤバいな~と思いました。仕事帰りや休日にジムに行ってHIITや筋トレしたりしてもダメか~。まぁ、自宅ではスタンディングデスクを導入しているので問題ないんですが、職場はどうしようもないんですよね…。
対策としては、なるべく座りっぱなしにならないよう、1時間おきに立って行う仕事をするようにするしかないのかしら…。
とりあえず、上記の結果やテロメアへの影響も含め、やっぱ、出来る限りNEATは意識していった方が良さそうですね~。



寿命が縮む…!

2009年のペニントン生物医学研究センターの研究によると、座り続けることで寿命が縮まるそうです。確かに座り続ければNEAT(ニート:日常生活で消費するカロリーのこと)が減りますんで、結果、運動不足による様々な体の不調(心疾患など)をきたしますよね~。これは怖い。
逆に座っている時間が短い人程、テロメアが長くなっていた…!って研究もありますんで、やはり立つことは非常に大事なご様子。



運動のメリットと座り過ぎダメージの割合ってどうなの…?

2014年のテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの研究によると、心肺機能と座りがちな行動との関係を調べてみたそうです。この研究では心肺機能テストと2003年~2004年に行われたアメリカ国民健康栄養調査のデータの両方がある、心疾患がない2223人(年齢は12歳~49歳、男性1170人(53%)、女性1053人(47%))を対象としたとのこと。因みにデータは性別で区分けしつつ、年齢やBMIなどは調整済みということです。
では、早速結果を見てみましょう…!

  • 運動効果は1時間で男性だと0.88METs(代謝当量)だった…!
  • 運動効果は1時間で女性だと1.37METs(代謝当量)だった…!
  • 座りがちのダメージは1時間で男性だと-0.12METs(代謝当量)だった…。
  • 座りがちのダメージは1時間で女性だと-0.24METs(代謝当量)だった…。

とのこと。
つまり、ここから言えることは、

  • 座り過ぎのダメージは運動でカバー出来そう…!
  • 運動のメリットは座り過ぎで減っていく…。
  • 男性だと、1時間の運動メリットは、7時間の座り過ぎダメージでほぼ相殺…。
  • 女性だと、1時間の運動メリットは、5.7時間の座り過ぎダメージでほぼ相殺…。

ということに…。
頑張って毎日1時間運動してもフルタイムデスクワークだとデメリットが上回るのか…。う~ん。悲しい…。
とはいえ、運動をやらないよりはやった方が様々なメリットがあり、座り過ぎのダメージを抑えられるのも間違いないので、やっぱ、普段から体を動かした方が良いでしょう。



座り過ぎの対策

対策はやっぱり立つことや運動になります。NEATを増やすためにもスタンディングデスクトレッドミルデスクは是非導入していきたいところ。
因みに1日3〜4時間立って仕事などをすると、1年間に10回マラソンしたのと同じ活動レベルになるらしいので、なかなかNEATはバカにできない代物。他にも立っていることによって、血糖値のコントロールが上手くなったり、中性脂肪を分解する酵素の分泌量が上がり太りにくくなったりするんでぜひ座り過ぎには注意していきたいですね~。



イングランド公衆衛生サービスがデスクワーク中心の人の為のガイドラインを作成した…!

イングランド公衆衛生サービス(PHE)は名前の通り、イギリスの公衆衛生の政府機関であります。そこがデスクワーク中心の人の為のガイドラインを作成したそうなので見てみましょう…!
2015年のイングランド公衆衛生サービスの研究によると、日ごろ座りがちなデスクワーク中心の人の為のガイドラインを作成したそうです。なんでもこのガイドライン作成に当たって、国際的な専門家グループを召集し、長期的な疫学研究や介入研究を基に作成したそうな。
ということで、ガイドラインの内容はこんな感じでした。

  • デスクベース中心の人は、少なくとも1日2時間は立って仕事をしましょう
  • 仕事時間中に軽い活動(軽いウォーキング)をしましょう
  • 最終的には1日で合計4時間は立っている時間を作りましょう
  • 同じ姿勢で座り続けたり、立ち続けるのは良くないので、定期的に身体を動かしつつ、姿勢をチェックしましょう
  • 上記を達成するために、デスクワークがメインの人は、立ち仕事への切り替え、座っても立っても使えるスタンディングデスクの使用短時間の立って又は歩いての休憩をとることが望ましいでしょう。
  • 企業は、食事や栄養管理、飲酒、喫煙、ストレスなどの健康目標だけではなく、長時間の座っての仕事や休憩ばかりして、心疾患や代謝の疾患による早期死亡リスクの大幅な増加に気を付けるよう目標を掲げる必要があるでしょう。

因みに長期の研究によれば、1日2時間立ち仕事をするだけで、あらゆる死亡リスクが減少1日4時間立ち仕事をすれば、健康リスクを最小限まで抑えることが出来るんだとか。また普段の運動頻度とは関係なく、この傾向はみられるそうです。
更に短期の研究によれば、1日2時間以上の立ち仕事又は運動で、代謝が大幅にアップ、カロリー消費量や糖代謝、筋肉の維持向上にも役立つそうです。
う~ん。素晴らしい…!
まずは1日2時間立って仕事をしてみてはいかがでしょうか…?となれば、やはりスタンディングデスクの導入はしたいところです。スタンディングデスクには他にもメリットがありますしね…!



座りっぱなしは骨密度が減る…!

1998年のテキサス大学の研究によると、安静時における骨密度の変化について調べてみたそうです。
この研究は健康な11人(男性9人、女性2人)が参加したもので、年齢は20歳から53歳(平均年齢34±11歳)となっております。実験の流れはいたって簡単で、参加者全員に12週間、安静に過ごしてもらったと言うもの。つまり座って過ごしてもらったってことですな。併せて骨密度やカルシウムなんかを調べてみたらしい。
最後に集まったデータを統計処理した結果、

  • 腰椎の骨密度が2.9%も下がっていた…!
  • 大腿骨頸部の骨密度が1.1%も下がっていた…!
  • 転子の骨密度が3.8%も下がっていた…!

とのこと。
3ヶ月ほど座ってばっかってだけで、足腰の骨密度がガクンと減っちゃったみたいですね。



テレビの視聴時間と死亡リスクの関係について調べてみた…!

2010年のモナシュ大学の研究によると、テレビの視聴時間と死亡リスクの関係について調べてみたそうです。
そもそも座りがちになる原因の一つとしてテレビを見続けているって可能性があります(まぁ今ならスマホかもしれませんが)。それなら長時間のテレビの視聴時間と死亡リスクには関連性があるんじゃないか…?と研究者は考えたみたいですね。
この研究は、オーストラリア糖尿病・肥満・ライフスタイル研究(AusDiab)っていうデータセットを使ったもので期間は1999年から2000年となっております。んでこのデータセットから該当しているサンプルを選んでいったそうで、最終的にオーストラリアに住む25歳以上の方8,800人(男性3,846人、女性4,954人)が対象となったんだとか。
そしてテレビの視聴時間については過去7日間にテレビやビデオを見た時間を合計して報告してもらったみたい。因みにそれらを以下の3つのカテゴリーに分けたそうな。

  1. テレビの視聴時間が1日2時間未満
  2. テレビの視聴時間が1日2時間以上4時間未満
  3. テレビの視聴時間が1日4時間以上

併せて、期間中に亡くなった方もチェックしつつ、最後にデータを統計処理したみたい。
では結果を見てみましょう。
まずテレビの視聴時間が長い人の特徴として、

  • 健康状態が悪い
  • 12年以上の教育を受けている(≒高卒以上)可能性が低い

なんかがあったみたい。
続いて、亡くなった方の情報です。

  • 6.6年(中央値)の追跡期間中に284人が亡くなっていた。
  • 284人中87人(31%)は心血管疾患で亡くなっていた。
  • 284人中125人(44%)はがんで亡くなっていた。
  • 284人中72人(25%)は心血管疾患やがん以外で亡くなっていた。

では、本題であるテレビの視聴時間と死亡リスクの関係について見ていきましょう。
年齢や性別、ウエスト、運動量といった変数を調整後、テレビの視聴時間が1日1時間増えるごとに、

  • 全死亡リスクが11%(HR1.11)も増えていた…!
  • 心血管疾患による死亡リスクが18%(HR1.18)も増えていた…!
  • がんによる死亡リスクが9%(HR1.09)も増えていた…!

とのこと。
また、テレビの視聴時間が1日2時間未満の人と比べて、

  • テレビの視聴時間が1日2時間以上4時間未満の人の全死亡リスクは13%(HR1.13)も高かった…!
  • テレビの視聴時間が1日4時間以上の人の全死亡リスクは46%(HR1.46)も高かった…!
  • テレビの視聴時間が1日2時間以上4時間未満の人の心血管疾患による死亡リスクは19%(HR1.19)も高かった…!
  • テレビの視聴時間が1日4時間以上の人の心血管疾患による死亡リスクは80%(HR1.80)も高かった…!
  • がんによる死亡リスクと心血管疾患やがん以外による死亡リスクは有意差はなかった

とのこと。
ということでテレビの視聴時間が長い、つまり座っている時間が長ければ長い程、全死亡リスクと心血管疾患による死亡リスクは上がるみたいです。



個人的考察

因みに2013年のBBC NEWSの記事によればスタンディングデスクで働いていた有名人は結構いるみたい。例えば、ウィンストン・チャーチルアーネスト・ヘミングウェイベンジャミン・フランクリンなどがそうだったらしいです。記事にも書かれていますが、立って作業をするのは昔からある方法なんですね~。
ということで、普段の生活からNEATを意識していきたいですね。そのためには、やっぱり、スタンディングデスクトレッドミルデスクの導入を考えると良さそうですね。



参考文献