【まとめ】超効率重視で心肺機能を上げる「HIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)」入門
とうとうこのブログも開始してから100日目です…!
ところで皆さんは普段運動をしていますか…?
運動はダイエット目的でやっている方が多いですが、メンタル安定はもちろん頭がよくなったりもする効果があります。
今回は個人的に激しくオススメしたい運動法であり、且つ、時間がない人にもオススメな超効率的運動法「HIIT」についてご紹介します。
今回は個人的に激しくオススメしたい運動法であり、且つ、時間がない人にもオススメな超効率的運動法「HIIT」についてご紹介します。
HIITってなに…?
2013年のアスパイア・アカデミーのレビュー論文によると、HIITの内容について見直ししてみたそうです。
まずHIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング=高強度インターバルトレーニング=スプリントトレーニング)とは超ハードな運動と休憩を細かく交互に行う運動法のことを言います。
つまり、かなり高強度の運動(激しい運動)と低強度の回復期間を交互に行う短時間の運動でして、主なメリットは、
- 心肺機能(VO2max)の向上=体力アップ
- 代謝機能の改善=健康・ダイエット効果
- 全体的な身体能力の強化=スポーツパフォーマンスの向上
となっており、上記メリットを得るのに最も効果的な手段の1つとされているんですよね。
んで、HIITにはいくつか種類がございまして、
といった感じ。
こんな感じで様々な時間や強度、回数を組み合わせて行います。因みに大体ですが、1回のHIITの時間は合計で5~40分ぐらいです。但し、時間は本人の運動レベルや強度で大きく変わりますので悪しからず。
最後にHIITで最も大事な最適な強度についてですが、これについては、セットごとに少なくとも数分間「超ヤバい…!」と思う状態になることが一つの指標となります。
では次に具体的なHIITのやり方の説明に入っていきます。
基本的な説明を書いておきますと、
- 数十秒間だけ限界ギリギリまで自分を追い込む(最大心拍数の80%~100%)
- 数十秒間だけ休む
- 数十秒間だけ限界ギリギリまで自分を追い込む(最大心拍数の80%~100%)
- 数十秒間だけ休む
これを数回くり返すって感じです。
HIITの運動効果は数々の研究により証明されていまして、他のトレーニングよりHIITは
- 心肺機能のアップ率が高い(他トレーニングより6倍も効率的!)
- 健康への効果も高い(他トレーニングより6倍も効率的!)
- 時間が短い
- 道具がいらない
- 運動後も脂肪が燃え続ける
- ランニング・ジョギングとちがって筋肉が減らない
- 疲れにくくなる
- 体力がつきやすい(週4回のHIIT=いつものトレーニング5日分)
- 新陳代謝が超上がる(1日4分のHIIT=一般的な有酸素運動の代謝×5)
などなど…。
6倍の効果ってのはでかいですよね~。例えば、HIITを10分行えば、60分マラソンしたのと同じ効果が得られるんですから。これはすばらしい…!
後、時間が短く道具もいらないのでお金がかからないのも魅力ですね。
HIITの方法
では、更に具体的なやり方を見ていきましょう。
HIITと言えば、まずは、タバタ式トレーニングでしょう…!
言わずと知れたHIITの方法であるタバタ式トレーニングは、田畑泉博士が70年代に考案したアスリートを対象としたトレーニング法です。強度の運動を20秒間行い10秒間お休み。これを8回続けます(全部でたった4分間!)
具体的な方法は、
2~3を8回繰り返す。
HIITと言えば、まずは、タバタ式トレーニングでしょう…!
言わずと知れたHIITの方法であるタバタ式トレーニングは、田畑泉博士が70年代に考案したアスリートを対象としたトレーニング法です。強度の運動を20秒間行い10秒間お休み。これを8回続けます(全部でたった4分間!)
具体的な方法は、
- 3分ほど軽く走ってウォームアップする。その後、
- 20秒ほど猛ダッシュ
- 10秒休憩
2~3を8回繰り返す。
これだけです。因みに猛ダッシュはその場でも100メートル走でもなんでもいいです。
もっというと猛ダッシュにこだわる必要すらなく、高強度な運動(自分を限界まで追い込める運動)であれば、なんでもOKです。
例えば、
- エアロバイク(エルゴメーター)で全漕ぎ
- 高速腕立て伏せ
- 高速スクワット
- バーピージャンプ
と、方法は様々です。
まぁ、トレッドミルでのランニングとエアロバイク(エルゴメーター)での有酸素運動が一般的ですが、自分のお好きな方法で追い込んでください(笑)
HIIT系について日本では立命館大学の田畑泉教授が有名…!海外ではマクマスター大学のマーティン・ギバラ博士が有名…!
HIIT系(HIITやSIT)について、日本では立命館大学の田畑泉教授のタバタ式トレーニングが有名でしょう。そういえば最近田畑教授が新しいタバタ式の本「1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」」を出していましたね(この記事を書いている時点でAmazonでは一時在庫切れでしたが)
リンク
話変わって…。では、海外のHIIT系で有名な研究者は誰かと申しますとマクマスター大学のマーティン・ギバラ博士でしょう。当ブログでご紹介しているHIIT系、特にSITの研究で出てくるマクマスター大学の研究というのはほぼすべてギバラ博士の研究になります。
マクマスター大学のマーティン・ギバラ博士から学ぶHIIT系の概要とメリット
2008年のマクマスター大学の研究によると、HIITってそもそもどういった運動で、どのようなメリットがあるの…?ってことをまとめてみたそうです。要はこれを読めばHIIT系の運動の概要とメリットが分かる…!みたいになっております。
ということでまずは最初にHIITやSITと言われる高強度インターバルトレーニング(スプリントトレーニング)ってなんなのかの説明から入っています。ギバラ博士によればHIIT系の運動にこれだ…!といったまとまった定義はないそうなんですが、共通しているポイントは以下のようになるとのこと。
- 短時間で運動と休憩を繰り返すもの。
- 高強度=全力を出す事。具体的にはpeak VO2(=VO2max)の90%以上を出す事。
- 1回の運動は数秒から最大で数分間。
- インターバルは最大数分間の休憩又は低強度の運動。
- 複数回行う運動であること。
そしてHIIT系の残念ポイントとしては、筋トレと違い有酸素運動になるため、筋肥大は起こらない運動となっております。
んで、ギバラ博士の標準的なHIIT系のメニューは以下な感じだそうな。
- 運動種目はエアロバイク。
- 高い負荷で30秒間、全力で漕ぐ。
- 4分間の休憩を挟む。
- 上記を4~6回繰り返す。つまり合計2~3分しか激しい運動はしていない。
- 週3回行う。
- 2~6週間続ける。
ってことで、ちょい古い研究なんで、運動時間と休憩時間の比率が今と違っていますが、概要は掴めるんではないかと…。
次にギバラ博士はこのHIIT系のメリットをずらずら~と並べておりました。
まず最初に挙げていたのがパフォーマンスアップです。実際に運動している時間は超短いのに運動パフォーマンスが劇的にアップするんですよ。例えばHIIT系を行った参加者は心肺機能が約2倍アップしたそうな。peak VO2の80%で自転車を漕いだら、始めは約26分しか漕げなかったのに、最後は51分も漕げるようになったそうなんですよね。
続いて時短効果も上げておりました。
HIITと普通の有酸素運動(peak VO2の65%で90~120分、自転車を漕ぐ)を2週間行い比較した研究では、
- HIITの合計時間=約2.5時間
- 普通の有酸素運動の合計時間=10.5時間
といった感じで、総運動量はHIITグループの方が約90%も少なかったんですよ。
にも関わらず、同じぐらいパフォーマンスアップしていたみたいです。
更にギバラ博士はミトコンドリアの活性化もメリットとして挙げておられます。
なんでもHIITを少なくとも6週間行うとpeak VO2だけでなくミトコンドリアの活性化もしたらしい。というのも、元々長時間の有酸素運動で代謝機能はアップすると考えられていたんですが、HIITを使うことによって短時間でも同様の効果が得られると分かったんですよね。
つまり、疲れづらくなり脂肪燃焼も進む…!ってことでこれは嬉しい話かと…。
HIIT系(HIIT・SIT)の有酸素運動のメリットを出来るだけ挙げてみる…!
HIITやSITと呼ばれるHIIT系の有酸素運動は効果が高い…!と呼ばれますが、果たしてどれぐらいなのか、比較研究を見ていきましょう…!
HIITとランニング、筋トレの効果を比べてみた…!
2010年のコペンハーゲン大学の研究によると、HIITとランニング、筋トレの効果について調べてみたそうです。実験は少なくとも2年間、定期的な運動を行っていない男性36人(平均年齢31歳)を対象にしたそうで、以下の4グループに分けて行ったとのこと。結果は以下の通りだったそうです。
- HIITグループはVO2maxが14%アップした…!
- 筋トレグループとランニンググループはVO2maxが7%アップした…!
- 75gのブドウ糖を摂取してから2時間後の血糖値はHIITグループもランニンググループも同じぐらい低下していた…!
- HIITグループは体脂肪率は0.5%減った…!
- ランニンググループは体脂肪率は1.7%減った…!
普通に考えれば、HIITグループが480分でランニンググループが1,800分なので、3.75倍の差が出れば同じ時間で同じ効果となるんですが、結果は差に非ず、体脂肪率の減少は3倍ちょいしか差がなく、VO2maxに至っては逆にHIITグループが2倍もアップしているって感じ。更に時短効果は3.75倍とくれば、HIITがかなり効率的な運動と言えるでしょう。
HIIT系の運動の時短効果はかなり期待して良さそう…!
2011年のウェスタンオンタリオ大学の研究によると、HIIT又はランニングを行ってもらい、体組成やVO2max、Qmax(最大心拍出量:心臓から全身に送る血液の量)なんかに違いが出るか調べてみたそうです。実験は男女20名(平均年齢24歳)を対象にしたそうで、以下の2グループ(1グループ10名)にランダムに振り分けたとのこと。
- HIIT(SIT)グループ:トレッドミルで30秒間の全力疾走→4分間の休憩を4〜6セット行う。これを週3回、6週間実施する(36~54分)
- ランニンググループ:VO2maxの65%の負荷で30〜60分ランニングする。これを週3回、6週間実施する(540~1080分)
んで、結果が、
そうです。
時間はランニンググループの方が15~20倍も多いのに、パフォーマンスやVO2maxはあまり変わりがなく、体脂肪に至ってはおよそ2倍もHIITグループに有利という結果になりました。ランニンググループが唯一勝っていたものはQmaxのみということで、やはりHIIT系の運動の時短効果はかなり期待して良さそうな感じです。
きつい時間はたった1分…!1日10分間のHIITメニューを週3回続けるだけでこんなにメリットが…!
2014年のマクマスター大学の研究によると、週3分間のHIIT(SIT)で、筋肉量や健康状態がどうアップするのかを調査したそうです。今回実験に参加したのは太りすぎ又は肥満だけど、健康な男性7名と女性7名(平均年齢=29±9歳、BMI=29.8±2.7kg)で、エアロバイクを漕いでもらったみたい。詳しいトレーニングメニューはこんな感じ。
- 2分間のウォームアップを行う
- 20秒全力で漕ぐ
- 2分間の軽く漕ぐ
- 20秒全力で漕ぐ
- 2分間の軽く漕ぐ
- 20秒全力で漕ぐ
- 3分間のクールダウンを行う
合計で10分間、実際にきつい時間はたった1分のメニューですな。
んで、これを毎週、月、水、金曜日の週3回行いつつ、6週間継続したとのこと。
結果、
- 最高酸素摂取量(peak VO2=持久力)が12%もアップした…!
- 安静時の平均動脈圧が7%ダウンした…!(≒血圧状態が良くなった)
- 骨格筋(筋肉量)がアップした…!
- トレーニング後の24時間平均血糖値が低かった…!(但し男性のみ)
- ミトコンドリアが活性化した…!
とのこと。
リターンの良さがすばらしいですね…!
サンプル数は少ないですが、週3回1日10分できついのは1分ってのは魅力的で試す価値は十分あるかと思います。初めてHIITを行いたい方に非常におすすめしたいメニューですねー。
ホルミーシスの発動にぜひいかがでしょうか…?
インスリンの効きが良くなる…!
2009年のヘリオット・ワット大学の研究によると、HIITでインスリン作用が改善するのか…?調べてみたそうです。
この研究は若い男性16人(平均年齢21歳、平均BMI23.7)を対象に行われたそうで、以下の2グループにランダムに分かれて運動してもらったそうな。
- HIITグループ:30秒全力エアロバイク漕ぎ→4分休憩×4~6回を1セット。これを週3回、全部で6セット行った(合計運動時間15分間)
- 普通に有酸素運動:普通に有酸素運動を行う(エアロバイクを漕ぐ)
実験期間は2週間で、トレーニングの前後にインスリン等を測定したらしい。
結果、
- インスリン感受性が改善していた…!
とのこと。
また2010年のコロラド州立大学の研究でも同じようなことを調べておりまして、こちらは男女31人(年齢22~32歳、BMI24.7~29.3)を対象にインスリン感受性を調べてみたそうな。
実験は以下の3グループに分けて行われたそうで内容は大体同じ感じ。
- SITグループ(12名):1セット30秒→4分休憩×4~7回、これを期間中全部で6セット行った。種目はエアロバイクで超高強度で漕ぐ。
- コントロール群(10名):座って待つ。
- 1セットだけSITグループ(9名):1セット30秒→4分休憩×4回のエアロバイクHIITを全部で1セットのみ行った。
因みにインスリン感受性は、運動前+運動72時間後にチェックしたそうです。
2週間後の結果はやっぱり同じで、
- SITグループはコントロール群・1セットだけSITグループと比較して、インスリン感受性が増加していた…!
とのこと。
HIITを糖尿病の方に行ってもらったらHbA1c(血糖値)が改善していた…!
2012年のマクマスター大学の研究によると、有酸素運動は2型糖尿病 (T2D)の改善に効果があるけど、HIITはどうなのか…?について調べてみたそうです。
この研究は2型糖尿病の患者さんにHIITを行ってもらったそうで、実際に行われたHIITは以下だったそうな。
- 60秒間エアロバイク漕ぐ→60秒休憩する
- 上記を10回繰り返す
- 強度は最大心拍数の約90%
上記を行いつつ、普通に食事をとってもらったらしい。
合わせて24時間、血糖値をチェックしてみたそうで、結果は、
- 高血糖が減少していた…!
- 食後の高血糖も低くなっていた…!
とのこと。この結果に研究者曰く、HIITは2型糖尿病の血糖コントロールを改善する可能性がある、としています。
では短期的(1日)でみた場合は良さそうですが、もうちょい長く見た場合はどうなのでしょうか…?
ここで参考にしたいのが2011年のマクマスター大学の研究になります。この研究も上記同様、HIITが2型糖尿病に有効なのかを調べたもので、対象者は2型糖尿病の患者さん8名でした(平均年齢63±8歳、BMI=32±6、HbA1c=6.9±0.7%)
…っとここで、HbA1cについて簡単に説明しておきます。
糖尿病の方にはおなじみの内容でしょうが、HbA1cってのは糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンにブドウ糖がくっついちゃった状態)がどれぐらい存在しているかを表す指標のことを言います。糖化ヘモグロビンがどれぐらい体内にいるかをパーセンテージで表したのがHbA1cってことですね。
つまり、
- HbA1cが低い=血糖値が低い…!
- HbA1cが高い=血糖値が高い…!
って感じで、HbA1c=血糖値の高さと覚えておくとよろしいでしょう。
余談ですが、一旦、糖化ヘモグロビンになると元に戻ることはありません。つまり赤血球の寿命である120日までこのままとなります。
んで、HbA1cの測定値は日本基準(JDS)と国際基準(NGSP)があったんですが、2012年からは日本でも国際基準を使うのがコンセンサスとなっております。因みに日本基準の方が厳しかったんで、これまで糖尿病としていた方も国際基準になると糖尿病っぽい…?に変わるなんてことがあったりします。
日本基準と国際基準のHbA1c判定、つまり、HbA1cのパーセントがどの程度だとヤバいのかと言いますとこんな感じです(クリック又はタップで拡大できます)
国際基準に則れば、6.0%からが糖尿病ってことになります。がっつり糖尿病は6.5%からですね。
話しを戻しまして、今回実験に参加した方のHbA1cは6.9±0.7%だったそうなんで、まぁ、がっつり糖尿病な方だったわけです。この方々にHIITを行ってもらったのが今回の研究になります。
因みにHIITのメニューは上記研究と同じ感じで、
- 60秒間エアロバイク漕ぐ→60秒休憩する
- 上記を10回繰り返す
- 強度は最大心拍数の約90%
だったとのこと。
因みにこちらの実験期間は先程より長く2週間で、週3回の全6セットHIITを行ってもらったみたいです。血糖値のチェックは実験開始前と、最後のHIIT後から約48~72時間後にチェックしたそうな。
結果はやっぱり同じ感じで、
- 1日の平均血糖値が低下していた…!
そうです。
どうやらHIITは通常の有酸素運動同様に血糖値を改善する働きがありそうですねー。
糖尿病の方や糖尿病予備軍の方、血糖値に不安がある方も是非HIITはおすすめです。
HIITで心血管機能がアップした…!
2008年のマクマスター大学の研究によると、HIITで心血管機能がアップするのか調べてみたそうです。
この研究はHIITを行ったことがない健康な男女20名(男性10名女性10名、平均年齢23.3±2.8歳)を対象に行われたそうで、以下の2グループにランダムに振り分けて運動してもらったそうな(各グループ男性5名女性5名の計10名)
- SITグループ:30秒間全力でエアロバイクを漕ぐ→4.5分休憩×4~6回を1セットとし、これを週3日で行う。
- 有酸素運動グループ:40~60分間、peak VO2の65%でエアロバイクを漕ぐ。これを週5日で行う。
実験期間は6週間で結果は、
- HIITで心血管機能がアップした…!
とのこと。
どうやらHIITは通常の有酸素運動と同程度、心血管の構造と機能の改善を促すみたいですね。これだけ時間が短いのに同じ効果が出るってのはすごいですねー。
HIITは女性のダイエットに効果的…!
2008年のニューサウスウェールズ大学の研究によると、HIITが女性のダイエットに効果的なのか調べてみたそうです。
この研究は女性45名(平均年齢20.2±2.0歳、平均BMI23.2±2.0)を対象に行われておりまして、参加者を以下の3グループにランダムに振り分けて行ったそうな。
- HIITグループ:15名
- 普通に運動グループ:15名
- コントロールグループ:15名
実験期間は15週間で体脂肪やインスリン抵抗性なんかをチェックしたそうです。
結果、
とのこと。
どのような運動でも効果はあったけど、特にHIITは体脂肪や脚、お腹周りの皮下脂肪といったダイエット効果が高いみたい。また、インスリン抵抗性がかなり改善するみたいなんで、太りづらい体にもなれそうですね。因みにこの研究のHIITも週3日で行ったとのことです。
HIITは男性のダイエットにも効果的…!
HIITは女性のダイエットに効果的でしたが男性の場合はどうなのでしょうか…?
そこで参考にしたいのが2011年のウェスタンオンタリオ大学の研究になります。この研究は平均年齢24±3歳の男女20名を対象にしたもので、HIITと普通の有酸素運動を比較してみたものになります。
具体的には、以下の2グループに10名ずつ分かれて運動してもらったみたい。
- HIITグループ:週3日、30秒全力疾走→4分の休憩を4~6回行う。
- 普通の有酸素運動グループ:VO2max(全力)の65%のパワーで30~60分走ってもらう。
今回の研究ではHIITの実験で良く使われるエアロバイクを避け、手動のトレッドミルを使い走ってもらったそうです。
6週間後の結果は、
- どちらのグループも体組成、2000mダッシュのパフォーマンス、VO2maxがアップしていた…!
- 脂肪量は、HIITグループが12.4%、普通の有酸素運動グループが5.8%減少していた…!
- どちらのグループも除脂肪体重(≒筋肉量)が1%増えていた…!
- 2000mダッシュのパフォーマンスは、HIITグループが4.6%、普通の有酸素運動グループが5.9%アップしていた…!
- VO2maxは、HIITグループが11.5%、普通の有酸素運動グループが12.5%アップしていた…!
って感じです。
どうやらHIITは、女性だけでなく男性のダイエットにも効果がありそうですね。
SITは普通の有酸素運動よりも運動時間が超短いのに同じ効果があった…!
2006年のマクマスター大学の研究によると、SITと普通の有酸素運動を比べたら、筋力や運動パフォーマンスアップに違いが出るのか調べてみたそうです。この研究は、マクマスター大学の健康な男子学生16人(平均年齢21±1歳)を対象にしたもので、参加者全員が週2~3回ジョギングやサイクリングなんかをしている人たちだったらしい。この参加者たちを以下の2グループにランダムに振り分けたそうです(1グループ8人)
- SITグループ
- 普通の有酸素運動グループ
実験期間は2週間(14日間)で、月、水、金曜日の週3日、全6回のトレーニングを行ってもらったとのこと。
それぞれのグループの詳しいトレーニングについてはこのようになっておりました。
SITグループ
SITのメニューは、
- 30秒間エアロバイクを約250%のパワー(=全力)で漕ぐ
- 4分間休憩又は30Wの軽いパワーでエアロバイクを漕ぐ
- 上記1,2を繰り返す
と言った感じです。
因みに繰り返す回数ですが、
- 1,2回目のトレーニングの時は4回繰り返す
- 3,4回目のトレーニングの時は5回繰り返す
- 5,6回目のトレーニングの時は6回繰り返す
といった感じで徐々に負荷を上げていったみたい。
普通の有酸素運動グループ
普通の有酸素運動グループのメニューは、
- 約65%のパワーでエアロバイクを漕ぐ
というもの。
シンプルですね~。
但しこちらも、
- 1,2回目のトレーニングの時は90分漕いだ
- 3,4回目のトレーニングの時は105分漕いだ
- 5,6回目のトレーニングの時は120分漕いだ
って感じで、徐々に負荷を上げていったみたい。
2週間のトレーニングでSITグループは約2.5時間の運動、普通の有酸素運動グループは約10.5時間の運動を行ったということで、総トレーニング時間はSITグループの方が普通の有酸素運動グループよりも、約90%少なかったみたい。
トレーニング前後にデータを収集し、最後に統計処理した結果がこちらとなります。
- SITグループも普通の有酸素運動グループも同じぐらい筋力アップしていた…!
- スタミナテストを完了するまでに必要な時間は、SITグループ10.1%減少、普通の有酸素運動グループ7.5%減少していた(グループ間の差はなし)
- SITグループのスタート時の平均パワーは212±17Wだったが、2週間後234±16Wにアップしていた…!
- 有酸素運動グループのスタート時の平均パワーは199±13Wだったが、2週間後212±12Wにアップしていた…!
- どちらのグループも筋肉の酸化ストレスに強くなっていた(グループ間の差はなし)
- 筋肉の緩衝能力(=疲労状態でもパワーを持続させられる能力)は、SITグループが7.6%、普通の有酸素運動グループが4.2%アップしていた(グループ間の差はなし)
- 筋肉の成長は、SITグループが28%、普通の有酸素運動グループが17%アップしていた(グループ間の差はなし)
つまり、SITは普通の有酸素運動よりも運動時間が超短いのに同じ効果があったってことですね。
この結果に研究者曰く、
- SITは、若いアクティブな男性にとって、普通の有酸素運動と同じぐらい筋力や運動パフォーマンスがアップする時間効率の良い戦略であると言える
としています。
SITの効果をレビューしてみた…!
2013年のオーフス大学の研究によると、普段座りがちで健康な成人や遊び程度しか体を動かす事がない人がSITを行った場合、どうなるのか既存の研究をレビューしてみたそうです。まず研究者たちはPubMedやSPORTDiscus、Embaseなどを使って、SITにおけるVO2max(最大酸素摂取量:心肺機能の指標)への影響を調べた研究を検索してみたそうな。次にピックアップした研究からSITを行ったときの評価をしてみたとのこと。
んで、レビューの結果をまとめるとこんな感じ。
SITでも有酸素運動で良く聞くメリットは受けられそうですね~。
うーん、良い感じ…!
運動・運動強度とBDNF・認知機能の関係を調べてみた…!
2007年のテキサス工科大学の研究によると、運動を行うことによってBDNFの分泌量や認知機能の向上が見られるのか、運動強度によって違いが出るのか調べてみたそうです。
元々1996年の動物実験で、ラットを使い運動によってBDNFが増加することが分かっていたんですが、ヒトを対象とした研究が進んでいなかったんでこの度やってみよう…!となったのが今回の研究になります。
実験は、部活やサークルなどでスポーツを行っていない健康な男女15人(男性11人女性4人、平均年齢25.4±1.0歳、平均身長174.7±1.9cm、平均体重71.0±3.1 kg、平均BMI23.1±0.6)を対象に行ったそうで、まずは全員のVO2max(最大酸素摂取量:心肺機能の指標になる)をエアロバイクで調べてみたそうな。
続いて別日に、以下のどちらかの運動をランダムに行ってもらったとのこと。
- 低強度で運動:最初に調べた自分の運動強度からマイナス20%の低強度で30分間エアロバイクを漕いでもらう。
- 高強度で運動:最初に調べた自分の運動強度からプラス10%の高強度で30分間エアロバイクを漕いでもらう。
つまり、強度だけ変えてエアロバイクを漕いでもらったってことですね。因みに2回の運動をしてもらったそうで、実験ごとのウォッシュアウト期間は48時間だったそうな。合わせて実験の前後に、採血やストループテストを行ったらしい。
最後にデータを統計処理したそうで結果はこんな感じ。
- 高強度で運動するとBDNFがアップしていた…!
- 低強度で運動してもBDNFに変化がなかった…!
- BDNFの変化とVO2maxは関係していなかった…!
- BDNFの変化と乳酸の変化は関係していた…!
- 認知機能は全ての運動でアップしていた…!但し、BDNFの変化とは関係なかった…!
この結果に研究者曰く、
- ヒトのBDNFレベルは運動によって明らかにアップし、アップ度は運動強度に依存する
としています。
どうやら運動強度が高い程、BDNFの分泌量もアップするみたいですねー。
HIITと普通の有酸素運動を比較してBDNFレベルに違いが出るのか調べてみた…!
2015年のルーヴェン・カトリック大学の研究によると、HIITと普通の有酸素運動を比較してBDNFレベルに違いが出るのか2つの実験を行い調べてみたそうです。まず一つ目の実験に参加したのは8人の男性(平均年齢28歳±5歳、後に一人脱落し最終的には7名)でして、以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- HIITグループ:VO2maxの90%の負荷で1分間エアロバイクを漕ぐ→1分間の休憩(60Wで漕ぐ)、これを合計20分間(10回)行う。
- 普通の有酸素運動グループ:VO2maxの70%の負荷で20分間エアロバイクを漕ぎ続ける。
因みに今回の実験はクロスオーバーデザインでウォッシュアウト期間は4日間だったとのこと。
二つ目の実験には21人の男性(平均年齢27歳±4歳、後に2人脱落し最終的には19名)+一つ目の実験の参加者7名の計26人が参加したそうです。26人の年齢は22~35歳(平均年齢28±1歳)で、平均BMIは22.5±1だったとのこと。つまり同年代の平均よりも運動レベルが高い人たちってことですね。
この方たちに一つ目の実験と同じようにクロスオーバーデザインでHIITグループ、普通の有酸素運動グループに分かれて運動してもらったそうな。因みにこちらのウォッシュアウト期間は3日間だったそうです。
二つの実験を行った結果、
- HIITグループも普通の有酸素運動グループもBDNFレベルがアップしていた…!
- トレーニングの最後の方になればなるほどBDNFレベルが高くなっていた…!
- HIITグループの方が普通の有酸素運動グループよりもBDNFレベルが高くなっていた…!
とのこと。
どうやらHIITでも有酸素運動でもBDNFはアップするみたいですが、HIITの方が効果が高そうですね。更に面白いのが参加者からの聞き取りで73%の人たち(26人中19人)がHIITの方を好んだそうなんですよ。
それと今回の研究ではHIITを20分間行うとBDNFが37.7%も増加したそうなんですよね。因みに2010年のブリュッセル自由大学の系統的レビューによれば、運動後のBDNF濃度は11.7%~410%まで変化するそうなんで、そのふり幅はかなり大きそうです。
ということで普通の有酸素運動よりもHIITの方が効果が高そうですし、長時間の有酸素運動になるとデメリットもありますんで、やはりHIITがおすすめですねー。
SITと各有酸素運動のBDNFレベルを比べてみた…!
2020年のブロック大学の研究によると、SIT(スプリント・インターバル・トレーニング)と各有酸素運動のBDNFレベルを比べてみたそうです。
今回実験に参加したのは、健康な若い男性8人(平均年齢23.1±3.0歳、身長178.2±2.7cm、体重78.7±8.1kg、BMI24.8±2.3)とのことで、以下の4つの運動のうちの1つを行ってもらったそうな(トレッドミルを使用)
- VO2maxの65%で30分間ランニング
- VO2maxの85%で30分間ランニング
- SITでランニング(30秒間全力で走る→4分間休憩を4回繰り返す=合計18分間)
- 運動なし(コントロール群)
合わせて血液を採取したそうでタイミングは、運動前、運動後5分間のクールダウンが終わって30秒以内、30分後、90分後だったそうです。
結果、
- VO2maxの65%でもVO2maxの85%でもSITでもBDNFレベルがアップしていた…!
- SITは他の2つの運動、運動なしよりも明らかにBDNFレベルがアップしていた…!
- VO2maxの65%とVO2maxの85%にあんま違いはなかった…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、
- これらの結果はSITがBDNFを分泌させ、脳の健康を促進する時短効果の高い運動であると言える
としています。
SITもHIIT同様、やはり普通の有酸素運動より効果が高そうですねー。
普段運動していない人でもHIITでBDNFレベルはアップする…!
2022年の山東師範大学などの研究によると、普段運動をしていない人がHIITを行ったらBDNFレベルがアップするのか調べてみたそうです。
具体的には、普段運動をしていない且つスポーツ科を専攻していない健康な若い男子大学生12人(平均年齢23.7±1.8歳、平均身長177±10cm、平均体重72.8±5.8kg、平均BMI23.3±1.1)を対象にRCTのクロスオーバー試験を行ってみたそうな。
実験は全員のベースラインをチェックしつつ、以下の2グループにランダムに分かれてHIITを行ってもらったらしい。
- HIIT1分バージョン:VO2maxの85~90%で1分間エアロバイクを漕ぐ→VO2maxの50~60%で1分間ゆっくり漕ぐ、これを15回、計30分間行う。
- HIIT2分バージョン:VO2maxの85~90%で2分間エアロバイクを漕ぐ→VO2maxの50~60%で1分間ゆっくり漕ぐ、これを10回、計30分間行う。
つまり合計時間が同じになる2パターンのHIITを試してもらったってことですね。因みにウォッシュアウト期間は7日間用意したとのこと。
また、HIIT開始前、HIIT終了直後、30分後にそれぞれ採血し、コルチゾールやBDNF、乳酸なんかをチェックしたらしい。
結果は、
- 両方のHIITバージョンで同じぐらいBDNFレベルが大幅にアップしていた…!
- HIITの終了が近づくに従ってBDNFレベルが最大に達することを示していた…!
- 30分後では、ベースラインとの間にBDNFレベルの違いはなかった…!
- 両方のHIITバージョンで終了後にはベースラインと比べて、コルチゾールと乳酸が明らかに増加していた…!
そうです。
普段運動していない人はHIITの種類に関わらず、どうやらBDNFレベルがアップするみたいですねー。
それと当たり前ですがHIITは激しくコルチゾールを増加させます。そして長時間の有酸素運動はより高いレベルのコルチゾールを引き起こすので、やはりここでもHIITの方をおすすめしたい結果となりました。因みにどうしても長い時間走りたい…!って方は40分までにしておくとよろしいかと思います。
女性を対象とした研究でもHIITでBDNFレベルはアップした…!
2019年のバハカリフォルニア自治大学のRCTによると、女性の方にHIITを行ってもらいBDNFレベルがアップするのか調べてみたそうです。
この研究は、健康な若い女性17人(平均年齢22±1歳、BMI24.2±2.2、体脂肪率25.8±4.7%)が参加したそうで、まず参加者全員のベースラインをチェックしたとのこと。
続いて、以下の2グループにランダムに振り分けたそうです。
- HIITグループ:振り分けられた9人には、HIITを週3日で4週間続けてもらった。HIITの流れは、最大強度の80%で30秒間エアロバイクを漕ぐ→最大強度の40%で4分間エアロバイクを漕ぐ、これを3~5回続けてもらった。
- コントロールグループ:振り分けられた8人には、特に何もしてもらわなかった。
運動終了から48時間後に両グループとも、もう一度心肺機能なんかをチェックしたそうです。また、合わせて血液サンプルも採取していました。
これらのデータから、BDNFの濃度なんかを評価したそうです。
気になる結果は、
- HIITグループ(BDNF濃度21.9±1.3ng/mL)はコントロールグループ(BDNF濃度19.2±2.8ng/mL)よりもBDNFレベルが12%程アップしていた…!
とのこと。
女性がHIITを行った場合もBDNFはアップしたみたいですねー。
また同研究チームは2020年にも似たような研究をしていまして、こちらではHIITとBDNF、乳酸、コルチゾールの関係について調べております。
実験はバハカリフォルニア自治大学スポーツ学部の健康な女子大学生17人(平均年齢20.0±0.9歳、BMI23.0±2.6)を対象に、エアロバイクを使ってHIITを行ってもらったとのこと。また合わせてBDNFやコルチゾール乳酸なんかをベースライン時、運動直後にチェックしたそうな。
結果は、
- HIITを行うとやはりBDNFレベルがアップしていた…!
- 但し、コルチゾールレベルもアップしていた…!
とのこと。
やはりBDNFはアップするみたいですし、コルチゾールもアップしてしまうみたいですねー。ここに男女差はなさそうですね。
たった一度のHIIT又は中強度有酸素運動でもBDNFレベルはアップする…!
2022年のカイバル医科大学の研究によると、若年の成人女性を対象に一度のHIIT又は中強度有酸素運動でBDNFレベルが上がるのか調べてみたそうです。
この研究は、普段座りがちだけど健康な18~25歳の若い成人女性22名(平均年齢20±2歳)を対象に、2つの運動を行ってもらったそうな。因みにBDNFは月経周期で変わるので影響が少ないよう考慮したとのこと。
んで一つ目の運動は中強度有酸素運動で詳しくはこんな感じ。
- 平らなトレッドミルで走ってもらう
- 運動強度は中強度(64~76%)
- 時間は15分間
この72時間後、二つ目の運動として、HIITを行ってもらったそうです。
トレッドミルを使って歩いて走ってを繰り返す感じだったんですが、詳しくはこのようになっておりました。
- 1分間、50~60%(平均速度4km/h)で歩いてもらう。
- 1分間、77~95%(平均速度7km/h)で走ってもらう。
- 上記1,2を繰り返す。
- 全部で歩くのが8分間、走るのが7分間だった(つまり7回繰り返して最後の1回歩くのがクールダウン)
また合わせて採血し、BDNFレベルもチェックしたとのこと。
では結果を見てみましょう…!
- 中強度有酸素運動を行うとBDNFレベルが707±448pg/mlから829±476pg/mlにアップした…!
- HIITを行うとBDNFレベルが785±329pg/mlから1116±379pg/mlにアップした…!
つまり、たった一度のHIIT又は中強度有酸素運動を行うだけでもBDNFレベルはアップするみたいです。また、やはりここでもHIITの方が効果が高く、この研究では約2.7倍もの違いが出たみたいですねー。すごい…。
脳卒中の患者さんでもHIITを行えばBDNFレベルはアップする…!
2018年のシンシナティ大学のRCT・クロスオーバーデザインによると、脳卒中後でもHIITでBDNFレベルがアップするのか調べてみたそうです。
まず研究者たちは、脳卒中を発症してから6か月以上経過している患者さん16人(平均年齢57.4歳、男性9人女性7人、脳卒中後の平均年数6.5年、平均BMI27.6。因みに片麻痺だけど、補助具を使って一人で歩くことができる方たちだった)に協力をお願いし、以下の3つの運動のどれかをランダムな順番で行ってもらったみたい。
- トレッドミルによるHIIT:30秒間超早歩き→60秒休憩を繰り返す。スタートから5分後からは休憩を30秒にして、30秒間超早歩き→30秒休憩を繰り返してもらった。途中、休憩しても息切れしすぎて話すことができなかった場合やスタート時の超早歩きスピードを下回った時は休憩時間を延長した。因みにトレッドミルから落ちないようハーネスを付けて行っている。全部で20分間行った。
- 座ってできるステッパーによるHIIT:30秒間全力で踏む→60秒休憩を繰り返す。スタートから5分後からは休憩を30秒にして、30秒間全力で踏む→30秒休憩を繰り返してもらった。全部で20分間行った。
- トレッドミルによる中強度の有酸素運動:心拍数45±5%で同じペースで歩いてもらった。全部で20分間行った。
採血は、ウォームアップ前、運動開始5分後、10分後、20分後(運動終了直後)、運動終了30分後、60分後にそれぞれ行ったそうです。またウォッシュアウト期間は約1週間を設定したとのこと。
では結果です。
- トレッドミルによるHIITは、トレッドミルによる中強度の有酸素運動と比べて、BDNFレベルが大幅にアップしていた…!
- 座ってできるステッパーによるHIITは、トレッドミルによるHIITと同じぐらいのBDNF反応を見せていた…!しかし2つの低血圧反応により強度を低下させた結果、トレッドミルによる中強度の有酸素運動と有意差がなくなった…!
どうやら脳卒中の患者さんでもHIITを行えばBDNFレベルはアップするみたいですねー。すごい…。但し、強度の低い運動じゃBDNFレベルはアップしなかったみたいでこれについては健康な成人を対象とした研究とほぼ同じ結果でした。
ランダム化比較試験のメタ分析・系統的レビューでHIIT系のBDNFレベルアップ効果を調べてみた…!
2021年のカスティーリャ=ラ・マンチャ大学の研究によると、様々な運動強度でのBDNFレベルの変化について2020年時点での既存の研究をまとめてみたそうです。
具体的には、
- HIITやSITといったHIIT系の運動は普通の有酸素運動や運動しない場合に比べてBDNFレベルがアップするのか…?
- HIIT系の運動時間(30分以上又は30分未満)で違いが出るのか…?
- スタートラインでの心肺機能によって違いが出るのか…?
なんかを健康な若者を対象に調べてみたらしい。
まず研究者たちは、2020年12月までに発表されているHIIT系の運動とBDNFレベルの研究を検索したそうな。因みに今回使ったデータベースはMEDLINE(PubMed経由)、Scopus、Cochrane CENTRAL、SPORTDiscusだったとのこと。
すると全部で747件もヒットしたみたい。次にこの中から質の高い研究をピックアップしていったそうで、55件の研究に絞り込まれたそうな。その後、更に各研究を評価して最終的に22件の研究を用いて系統的レビュー、その22件のうちに含まれていたRCTのうちの10件でメタ分析をかけてみたそうです。
22件の研究の合計サンプル数は552人でして、年齢は20~31歳の範囲、男性が59.1%だったとのこと。また、HIIT系の運動時間については、ウォーミングアップ時間や実際にHIIT系を行った時間、クールダウン時間を足すと7~60分の間だったそうです。
んで、ランダム化比較試験のメタ分析・系統的レビューを行った結果は、
とのこと。
更にこの研究ではサブグループの分析も行っておりまして、こちらで分かったことは、
そうです。
- HIIT系の運動は、対照群(中強度・低強度、運動なし)と比べて、0.78もBDNFレベルがアップしていた…!
- HIIT系の運動は、運動なしに比べて0.55もBDNFレベルがアップしていた…!
- HIIT系を行うとBDNFレベルは4143.38pg/mLから8347.54pg/mLにアップしていた…!
- 対照群(中強度・低強度、運動なし)のBDNFレベルは3084.58pg/mLから-30.34pg/mlダウンしていた…!
とのこと。
更にこの研究ではサブグループの分析も行っておりまして、こちらで分かったことは、
- HIIT系の運動時間(30分以上又は30分未満)でBDNFレベルのアップ効果に違いはなかった…!
- 性別によるBDNFレベルのアップ効果に違いはなかった…!
- スタートラインでの心肺機能によるBDNFレベルのアップ効果に違いはなかった…!
- HIIT系と中強度のトレーニングを比較した場合、有意差はなかった…!
そうです。
つまりまとめると、
- HIIT系の運動でBDNFレベルはすぐに約2倍程アップする…!
- HIIT系の運動時間は30分が境界線…!
- 男女の違いはなく、BDNFレベルはアップする…!
- 普段の運動の有無は関係なく初心者でもBDNFレベルはアップする…!
- HIIT系と中強度トレーニング(いわゆる普通の有酸素運動)のBDNFレベルアップ効果に違いはない…。
- 但しHIIT系には時短効果がある…!
って感じになります。
若者限定の研究とはいえ、ランダム化比較試験のメタ分析・系統的レビューでHIIT系のBDNFレベルアップ効果が証明されたり、行う際のポイントが分かったのは嬉しいですねー。
サブグループの分析でHIIT系と普通の有酸素運動を比べたらBDNFレベルアップ効果に違いはなかったって出ておりますので、HIIT系が苦手な方は普通の有酸素運動でもよろしいかと思います。
まぁ、個人的には他のHIIT系のメリット(特に時短効果)、長時間の有酸素運動のデメリットを考えるとHIIT系がオススメなんですが続けるのが辛くない方を選ぶのが一番大事ということで一つよろしくお願いします。
運動強度の違いが認知機能や幸福感にどう影響を及ぼすのか…?
2022年のエルチェ・ミゲル・エルナンデス大学の研究によると、運動強度の違いが認知機能や幸福感にどう影響を及ぼすのか調べてみたそうです。
今回、実験に参加したのは大学生36名(男性17名、女性19名)でして、平均年齢は21.97±2.56歳、平均BMIは24.39±2.72だったとのこと。
まず参加者は、以下の3グループにランダムに分かれて運動してもらったそうな。
まず参加者は、以下の3グループにランダムに分かれて運動してもらったそうな。
- HIITグループ(高強度)
- 普通の有酸素運動グループ(中強度)
- コントロールグループ(運動しない)
併せて、運動の前後等に以下の3つのテストを行ったらしい。
- ストループテスト:認知機能をチェック。
- Subjective Vitality Scales (SVS)(Subjective Vitality Questionnaire):主観的な活力をチェック。
- Positive and Negative Affect Schedule(PANAS):ポジティブ・ネガティブの感情度をチェック。
テストが終了したら、1週間空けて(つまりウォッシュアウト期間は1週間)、今度はまだ行っていないグループの運動を行い、またテストを繰り替えて行ったそうです。つまり、RCTのクロスオーバーデザインってことですね。
参加者全員が全てのグループの内容を終えたら、実験終了、最後に集まったデータを比較してみたということでした。
気になる結果は、
- HIITグループは、普通の有酸素運動グループやコントロールグループに比べて、認知機能がアップしていた…!
- HIITグループと普通の有酸素運動グループは、活力・ポジティブな感情がアップするなど幸福感が増えていた…!
とのこと。
運動、特にHIITを行うと頭は良くなるし、幸せになるしでウハウハだと…。これはいいですな~。
HIITで心肺機能がアップ…!高強度にも耐えられるように体が変化する…!
2006年の西オーストラリア大学の研究によると、HIITを行うとVO2maxにどのような影響があるのか調べてみたそうです。
この研究は、女性10名が参加したものでして、HIITを行ってもらったそうな。具体的な流れはこのような感じ。
- トレーニング前にVO2maxをチェック。
- トレーニング前にチェックした強度でHIITを行った。
- HIITはエアロバイクを用いて行われ、2分間の全力漕ぎ→1分間の休息で行った。
- HIITは週3日で行われ、8週間続けてもらった。
結果、
- VO2max:2.34±0.37L min-1→2.78±0.30L min-1にアップ…!
- VO2max時のパワー:170±26W→204±25Wにアップ…!
- 6分のサイクルテスト時のパワー:113±17W→136±20Wにアップ…!
- HIIT時の酸欠状態のなりやすさ:43.7±9.8mL O2 eq kg−1→17.2±2.8mL O2 eq kg−1にダウンした…!
- 6分のサイクルテスト時の無酸素性エネルギー代謝:19.4±4.4%→7.2±1.2%にダウンした…!
そうです。
つまり、HIITを行うと心肺機能がアップし、高強度にも耐えられるように体が変化していった…!ってことですね。
2つのパターンのHIITと普通の有酸素運動を比べてみた…!
2006年のイスファハン大学の研究によると、2つのパターンのHIIT又は中強度の有酸素運動(普通の有酸素運動)をしてもらい、パフォーマンスに違いが出るのか調べてみたそうです。この研究は普段から有酸素運動を行っている男性ランナー17人を対象に行ったもので、まずは全員の運動パフォーマンスをテストしてみたそうな。続いて、以下の3グループにランダムに振り分けて運動してもらったらしい。
- HIITグループ1(6人):VO2max(全力)を維持できる時間の60%で走る→走った時間分休む、これを8回繰り返す。以上を毎週2回行いつつ、更にプラスして2回VO2max(全力)の75%のスピードで60分間走ってもらった。
- HIITグループ2(6人):VO2max(全力)の130%のスピードで30秒間走る→4分30秒休む、これを12回繰り返す。以上を毎週2回行いつつ、更にプラスして2回VO2max(全力)の75%のスピードで60分間走ってもらった。
- 普通の有酸素運動グループ(5人):VO2max(全力)の75%のスピードで60分間走る。これを毎週4回行ってもらった。
実験期間は10週間で、最後にもう一度、全員の運動パフォーマンスをテストしてみたとのこと。
VO2max(最大酸素摂取量)や乳酸閾値(血中の乳酸(疲労原因物質)が急上昇する時の運動強度)、3000mランニングのパフォーマンスを見比べてみた結果、以下のようになりました。
まずはHIITグループ1から。
- VO2maxが9.1%アップ…!
- VO2maxのスピードが6.4%アップ…!
- VO2maxのスピードの持続時間が5%アップ…!
- 乳酸閾値が11.7%アップ…!
- 3000mランのタイムが7.3%も縮んだ…!
明らかにパフォーマンスがアップしていますね~。
次にHIITグループ2です。
- VO2maxが6.2%アップ…!
- VO2maxのスピードが7.8%アップ…!
- VO2maxのスピードの持続時間が32%アップ…!
- 乳酸閾値が4.7%アップ…!
- 3000mランのタイムが3.4%も縮んだ…!
基本的にパフォーマンスが有意にアップしていますが、何故か乳酸閾値だけは統計的に有意ではなかったそう。
では最後に普通の有酸素運動グループを見てみましょう。
では最後に普通の有酸素運動グループを見てみましょう。
- HIITグループ1、HIITグループ2に比べ、有意な変化はなかった…。
やはりHIITよりも有意な結果は出なかったみたいですねー。
HIITの運動時間と休憩時間の比率が1:1の方がよりパフォーマンスがアップしていた…!ってのは一つ参考になるのではないでしょうか…?
HIITを行う時に参考にしていきたいですね~。
HIITの効果を調べた研究ってランニングやエアロバイクが多いんで、手漕ぎボートで調べたのは貴重な感じがしますな。
今回、実験に参加したのは男女10名の若者(男性5名女性5名、平均年齢19±2歳)でして、
まず全員の今のVO2maxをチェックしたとのこと。結果、全員の平均VO2maxは4.37±1.08L min-1だったらしい。
続いて、参加者を以下の2グループにランダムに振り分けたそうです。
- HIITを使ってボートを漕ぐ:VO2maxの90%のスピードで2.5分漕ぐ→最大心拍数の70%に戻るまでゆっくり漕ぐ。これを8回繰り返した。
- 普通にボートを漕ぐ:血中乳酸濃度が2,3mmol·L-1の負荷で漕いでもらった。
上記を4週間にわたって合計7回行ってもらいつつ、その後、今度は行っていない方のグループ内容でトレーニングしてもらったみたい。つまりクロスオーバーデザインだったってことですね。
結果、HIITを使ってボートを漕ぐと普通にボートを漕ぐよりも
- 2000メートルの平均タイムが1.9±0.9%短くなった…!
- 2000メートルの平均パワーが5.8±3.0%アップしていた…!
- VO2maxが7.0±6.4%アップしていた…!
とのこと。
たった4週間(7回)の練習メニューをHIITにするだけで、手漕ぎボートのアスリートのパフォーマンスがここまでアップするのはすごいっすねー。
ということでHIITという有酸素運動は競技の種類を問わずおすすめできそうな感じ。
是非、定期的に行っていきたいですね~。
他の手漕ぎボートアスリートのHIIT効果を調べた研究でも結果は同じだった…!
2017年のリムリック大学のRCTによると、手漕ぎボートのアスリートを対象にHIITが効果的なのか調べてみたそうです。
この研究は手漕ぎボートのアスリート19人が参加したものでして、まず最初に以下の3つのテストで今のパフォーマンスをチェックしてみたそうな。
この研究は手漕ぎボートのアスリート19人が参加したものでして、まず最初に以下の3つのテストで今のパフォーマンスをチェックしてみたそうな。
- 2000メートルのタイムトライアル
- VO2max(最大酸素摂取量)、VO2max時のパワー、血中乳酸濃度など
- VO2max時のパワーをチェックするための7ストロークテスト
現在のパフォーマンスが分かったところで、参加者全員を以下の2グループのいずれかにランダムに分けて行ったそうです。
- 長距離低速トレーニング:普通の有酸素運動の状態でボートを漕いだ。これを毎週10回行った。
- HIIT:VO2maxの100%のパワーで、2.5分漕ぐ→心拍数が70%に戻るまで漕ぐを6~8回繰り返した。これをHIIT2回、普通の有酸素運動8回の毎週10回行った。
上記メニューを8週間行ってもらいつつ、最後に最初と同じ3つのテストをしてパフォーマンスを調べたらしい。
結果は、
- HIITの方が長距離低速トレーニングよりも2000メートルのタイムトライアルの結果が大幅に(効果量0.25)良くなっていた…!
- HIITはVO2max(効果量0.95)と乳酸閾値の時のパワー(疲れが急上昇したときのパワー)が大幅にアップ(効果量1.15)していた…!
とのこと。
やはりHIITを使うと、よりタイムが速くなって心肺機能と疲れが出るまでのパワーがアップするみたいですねー。そして注目すべきは、アスリートレベルの方でもパフォーマンスがアップするということでしょう。
ということで、種目に関わらず初心者からアスリートまで幅広く効果のあるHIITはやっぱりオススメですねー。
冠動脈疾患の患者さんを対象にHIITと中強度の有酸素運動の効果をRCTの系統的レビュー・メタ分析してみた…!
2021年の山東大学の研究によると、冠動脈疾患(CAD:心筋梗塞)の患者さんを対象にHIITと中強度の有酸素運動(普通の有酸素運動)の効果をRCTの系統的レビュー・メタ分析してみたそうです。
まず研究者たちは、2020年12月までに発表されている先行研究をPubMedやWeb of Science、SPORTDiscus、Cochrane Library、CNKIで検索してみたそうな。すると1,550件もの研究がヒットしたそうです。続いて、重複しているものや基準を満たしていない研究、質の低い研究を除外していったそうで、最終的には25件の研究が選ばれたとのこと。
この25件の研究の総サンプル数は1,272人でして、このうちHIITを行っていた方が621人、普通の有酸素運動を行っていた方が651人だったらしい。因みにリタイア率については、HIITが0%~38%で、普通の有酸素運動は0%~28%だったそうです。やっぱりきつい分HIITの方がリタイア率が高いみたいですな。
んで、ほとんどの研究は男性と女性の両方の患者さんを対象にしておりまして、内訳は男性が1002人、女性が201人、性別不明が69人ということでした。
運動期間の範囲は4週間から16週間でして、ほとんどの研究では週2~3日の頻度で行っていたそうです。因みに種目はトレッドミルによるランニングとエアロバイクによるサイクリングってことで、HIITおなじみの方法ですな。
では結果をバーッと見てみましょう…!
- 冠動脈疾患の患者さんがHIITを行うと大幅に(4.52mL/kg/min)VO2maxがアップしていた…!
- 冠動脈疾患の患者さんが中強度の有酸素運動を行うと大幅に(2.36mL/kg/min)VO2maxがアップしていた…!
- つまり、HIITの方が中強度の有酸素運動よりもVO2maxがより大幅に(1.92mL/kg/min)アップしていた…!
- HIITの運動時間と休憩時間が1分より多いと、VO2maxが大幅に(2.30mL/kg/min)アップしていた…!
- HIITの運動時間と休憩時間が1分以下だと、中強度の有酸素運動と同じぐらい(0.84mL/kg/min)VO2maxがアップしていた…!
- つまり、HIITの運動時間と休憩時間は1分より多い方がより効果が高かった…!
- カロリーを変えたグループは、カロリーをそろえたグループと比較して、中強度の有酸素運動よりもHIIT後の方がVO2maxがアップ(2.36mL/kg/min)していた…!
- 冠動脈疾患の患者さんがHIITを行うと、無酸素性代謝閾値(AT:有酸素運動から無酸素運動に切り替わる時の運動強度のレベルのこと)が明らかにアップ(2.63mL/kg/min)していた…!
- 冠動脈疾患の患者さんが中強度の有酸素運動を行うと、無酸素性代謝閾値が明らかにアップ(1.68mL/kg/min)していた…!
- つまり、HIITの方が中強度の有酸素運動よりも、より大幅に無酸素性代謝閾値がアップ(0.59mL/kg/min)していた…!
- 冠動脈疾患の患者さんがHIITを行うと、最大パワーが大幅にアップ(21.89ワット)していた…!
- 冠動脈疾患の患者さんが中強度の有酸素運動を行うと、最大パワーが大幅にアップ(11.30ワット)していた…!
- つまり、HIITの方が中強度の有酸素運動よりも、より大幅に最大パワーがアップ(10.86ワット)していた…!
- HIIT、中強度の有酸素運動ともに血圧は有意な変化は見られなかった。但し、HIITと中強度の有酸素運動を比較してみると、収縮期血圧(-3.61mmHg)、拡張期血圧(-2.37mmHg)ともにHIITよりも中強度の有酸素運動の方が有意に低下していた…!
- 安静時心拍数、最大心拍数、左室駆出率、QOL(生活の質)などはHIIT、中強度の有酸素運動ともに有意な改善を示したが、グループ間に有意差はなかった。
ということで、HIITも中強度の有酸素運動もプラスの効果はあったけど、比べたらHIITの圧勝だった…!ってことですね。やっぱHIITは素晴らしいですな…!
因みにHIITでもちょい長めの運動時間・休憩時間の方が効果が高そうな感じ。この辺もポイントとして併せて覚えておきたいですねー。
HIITの休憩時間を半分、繰り返す回数を2倍にしてもほぼ同じ結果が出た…!
2011年のタルビアト・モダレス大学の研究によると、2パターンのHIITの効果を調べてみたそうです。
そもそもHIITは時間効率の良い運動として有名ですが、短時間とはいえ、フルパワーをださにゃ~いかんので、きつくて耐えられん…!みたいな問題があったんですよね。これは実際に行った人なら分かりますな(笑)じゃあ、何とか少しでもこの問題を和らげ、HIIT(運動)を定期的にしてもらうにはどうすれば良いのか…?ってことで、2パターンのHIITを用意し、効果を比べてみたそうです。
この研究は、健康な若い大学院男性24名を対象にして行われたそうで、参加者の平均年齢は25±0.8歳、平均身長は1.72±0.08m、平均体重は70±11kg、平均体脂肪率は18±6%だったそうな。まぁ、標準的な感じですね。また参加者全員は定期的に運動をしていたものの、運動サークルやジム通いなどガチではやっていない人達だったらしい。
んでまず最初に、参加者全員のスタート時の運動パフォーマンスをチェックしたそうな。チェック内容は、VO2max、VO2max時のパワー、VO2max時のパワーでの疲労感が出るまでの時間、ウィンゲートテストだったみたい。
続いて参加者を以下の3グループにランダムに振り分けていったとのこと。
- HIITグループ1(8名):VO2maxの100%のパワーで30秒間エアロバイクを漕ぐ→4分間休憩、これを3~5回繰り返す。
- HIITグループ2(8名):VO2maxの125%のパワーで30秒間エアロバイクを漕ぐ→2分間休憩、これを6~10回繰り返す。
- 対象グループ(8名):トレーニングしない。
HIITはどちらも1日おきに週3回、4週間続けてもらったそうで、最後にもう一度スタート時と同様の方法で運動パフォーマンスを測定したそうです。
集められたデータは統計処理されたとのことで、まずHIITグループ1の結果を見ましょう。
- VO2max:9.6%アップ…!
- VO2max時のパワー:12.8%アップ…!
- VO2max時のパワーでの疲労感が出るまでの時間:48.4%アップ…!
- ウィンゲートテストでのピークパワー:10.3%アップ…!
- ウィンゲートテストでの平均パワー:17.1%アップ…!
次にHIITグループ2の結果です。
- VO2max:9.7%アップ…!
- VO2max時のパワー:16.1%アップ…!
- VO2max時のパワーでの疲労感が出るまでの時間:54.2%アップ…!
- ウィンゲートテストでのピークパワー:7.4%アップ…!
- ウィンゲートテストでの平均パワー:有意差なし…。
更に20日後の血中乳酸値はHIITグループ1、HIITグループ2ともに明らかに減少していたそうです。
つまり上記をまとめると、
- HIITを行うと、やっぱり代謝や心肺機能がアップする…!
- HIITの強度や休憩時間、繰り返す回数を多少変えてもほぼ同じ効果を得ることが出来る…!
- 今回の研究結果では、休憩時間を半分(4分から2分)、繰り返す回数を2倍(3~5回から6~10回)にしてもほぼ同じ結果が出た…!
って感じですかね。
いずれにしてもHIITはやっぱ良いですな~。
冠動脈疾患(CAD)の患者さんの心臓リハビリでHIITや普通の有酸素運動を行うメリット・デメリットをしっかり調べた…!
HIITは特に心臓や血管にプラスの効果をもたらす有酸素運動で、短時間で終わるというメリットがあります。んがしかし、高強度(全力)で行うんで、健康な方はさておき、疾患のある方は負担が強すぎて反って良くないんじゃないか…?って話がございます。
ということで、今回はこの当たりを調べた質の高い研究をチェックしてみましょう。
2018年のボンド大学の研究によると、心不全と診断されていない冠動脈疾患(CAD)の患者さんを対象に、HIITと中強度の有酸素運動(普通の有酸素運動)が心肺機能の向上をもたらすのか…?デメリットはないのか…?をRCTの系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
そもそも冠動脈疾患(CAD)の患者さんがHIITや普通の有酸素運動を行うとどうなるのかを調べた系統的レビューはいくつか存在しておりまして、例えば、
では、HIITや普通の有酸素運動のどちらでもメリットがあったと報告されております。そしてこれら全ての研究で、HIITの方が普通の有酸素運動よりも心肺機能がアップしたんだとか。
しかし、上記の系統的レビューには気になる点がいくつかあったそうで、例えば、それぞれの研究結果のバラバラさが激しかったり、統計方法があんま適していない方法がとられたりしていたらしい。また、実験期間ごとにどの程度のメリットが出るのかを調べたものもなく、ケガなどデメリットに焦点を当てた研究もなかったんだそうな。
そのため今回、RCTのメタ分析をしてみて、3種類の介入期間でHIITと普通の有酸素運動がどの程度効果があるのか、ケガなどのリスクはどの程度あるのかをチェックしたそうです。
まず研究者たちは、2017年7月までに発表された査読済みの該当RCTをデータベースで検索したそうな。因みにデータベースはEmbase、MEDLINE、CINAHL、SPORTDiscus、Web of Scienceを使ったとのこと。
また、冠動脈疾患(CAD)と診断された人は、
- 心筋梗塞(MI):血管が詰まっちゃって冠動脈の血流が止まり、心筋が壊死しちゃう病気
- 経皮的冠動脈形成術(PCI):脚や腕、手首などの血管にカテーテル(チューブ)を入れて、その先のバルーン(風船)を膨らませて、血管を中から広げる手術
- 冠動脈バイパス手術(CABG):詰まった冠動脈の先にバイパスを作る手術
の経験がある方だったとのことで、更にHIITはVO2maxの85%or90%以上、普通の有酸素運動はVO2maxの50~75%or50~80%ぐらいだったそうな。運動期間は少なくとも4週間以上だったそうで、これらに該当した研究が最初の検索で1,581件も見つかったらしい。
次に重複している研究や質の低い研究を除外、最終的に基準を満たす研究を17件に絞り込んだそうです。
この17件の内訳は、
- アメリカの研究2件
- ベルギーの研究1件
- ブラジルの研究4件
- カナダの研究3件
- ドイツの研究1件
- ノルウェーの研究4件
- 韓国の研究1件
- スペインの研究1件
って感じで、残念ながら日本は含まれておりませんでした。
総サンプル数は953人で、そのうちHIITのサンプルが465人、普通の有酸素運動のサンプルが488人だったそうです。男女については報告していない研究もあったそうですが、分かる範囲でまとめてみると、男性661人、女性119人って感じでその差5.5倍だったみたい。
また各診断のサンプル数は、
- 冠動脈疾患(CAD):123人
- 心筋梗塞(MI):633人
- 経皮的冠動脈形成術(PCI):477人
- 冠動脈バイパス手術(CABG):361人
だったそう。
更に参加者の年齢についてですが、範囲は52~76歳で、10件の研究で平均年齢が60歳未満、7件の研究で平均年齢が60歳以上だったらしい。
運動期間は4週間から12か月の範囲だったそうで内訳が、
- 0~6週間:4件
- 7~12週間:11件
- 12週間超え:5件
とのこと。
運動頻度については、16件の研究で書かれており、
- 週3日:9件
- 週2日:4件
- 週5日:2件
- 1日に4セッション:1件
って感じ。
運動方法は基本的に定番の物がチョイスされておりましてトレッドミルが9件、エアロバイクが4件でした。その他は階段ダッシュ&下り、トレッドミルやエアロバイクなんかの組み合わせ、ウォーキングやジョギングとサイクリングの組み合わせなどだったそうです。
ではVO2maxの結果から見ていきましょう…!
- 17件中16件でHIITは普通の有酸素運動よりも有意な結果が出ていた…!
- 残りの1件は普通の有酸素運動を指示していたがメタ分析では有意ではなかった。
- 全体的にみて、HIITは普通の有酸素運動よりも、VO2maxが有意に(SMD=0.34mL/kg/min)アップしていた…!
- 0~6週間の場合、HIITは普通の有酸素運動よりも、VO2maxがアップしていた(SMD=0.19mL/kg/min)。但し、有意ではなかった。
- 7~12週間の場合、HIITは普通の有酸素運動よりも、VO2maxが有意に(SMD=0.43mL/kg/min)アップしていた…!
- 12週間越えの場合、HIITは普通の有酸素運動よりも、VO2maxが有意に(SMD=0.32mL/kg/min)アップしていた…!
やっぱりHIITは普通の有酸素運動よりも心肺機能の向上に優れているみたいですねー。しかも冠動脈疾患(CAD)の患者さんでも効果が出るってのはすごいですな。但し、注意点もあって7週間以上続けないとはっきりとした効果は出ないみたい。
続いて、気になるデメリット(ケガのリスク)について見ていきます。
- どの研究でも、運動で死亡や入院を必要とする心臓病の報告はなかった…!
- 17件中13件の研究で運動介入によるデメリットが書いてあったが、どのようにデメリット情報を収集したのか、ルールの記載がなかった。
- 1件の研究で、普通の有酸素運動中に3件(運動の24時間後、運動後すぐ、運動中)の心臓のデメリットが発生していた。
- 1件の研究で、HIITも普通の有酸素運動も狭心症による脱落者がいたらしいが詳しくは不明だった。
- HIITのデメリットは3件の研究で見つかった。具体的には、足関節の骨折や脚や股関節の痛み、気管支炎、胃腸炎、膵炎、間歇性跛行(かんけつせいはこう:歩くと足に痛みやしびれを感じて歩けなくなる、しばらく休むと治まるが歩くとまたなる)
- 普通の有酸素運動のデメリットは5件の研究で見つかった。具体的には、膝関節の損傷、心嚢液貯留(しんのうえきちょりゅう:心臓と心膜の間に液体が溜まる)、消化管からの出血、気管支炎、膝関節の手術、腰痛・精神疾患、運動とは無関係の筋骨格系の損傷、下肢の痛み。
- 更に2件の研究で追加のデメリットが報告されていたがどっちの運動だったか不明。
- 全体的には、HIITが9件、普通の有酸素運動が14件、どっちか不明が5件デメリットが書かれていた。
まぁ、運動すれば当然ケガのリスクはありますからねー。これらの結果は仕方ないかと。ポイントは心臓に関する死亡と入院がないのと、HIITでも有酸素運動でもケガはあったということですかね。
最後に実験のドロップアウトの人数についてですが、そもそもグループごとに報告をしていたのが17件中6件のみで、HIITが39人、普通の有酸素運動が42人だったそうです。
以上の結果から研究者は、
- HIITは普通の有酸素運動と同じくらい安全な運動だよー
とおっしゃっておりました。
冠動脈疾患(CAD)の患者さんリハビリ用運動ガイドライン
最後に研究者がまとめてくれていた冠動脈疾患(CAD)の患者さんリハビリ用運動ガイドラインを見ておきます。といっても内容は別に健康な方でも十分使える物なんで誰でも実践してみてよろしいかと。では下記に記しておきますねー。
- 運動期間:7~12週間は続ける
- 運動頻度:少なくとも週3日は実践すべし
- ポイント:正確な強度の維持がカギ…!
- HIITの場合の強度:VO2maxの85%以上
- 普通の有酸素運動の場合の強度:VO2maxの50~75%をキープ
個人的考察
私は自転車を漕ぐのが好きなのでHIITはもっぱらエアロバイク(エルゴメーター)ですが、道具がない場所でやるなら高速スクワットかバーピージャンプがオススメです。この二つは太ももの筋肉を使うので燃焼効果も特に高いかな~と…。バーピージャンプは名称の通りジャンプするので、騒音が気になる方は、より静かにやれる高速スクワットがオススメですかね~。
あと、HIIT唯一の難点ですが、とにかく短時間とはいえ辛いということです。簡単に言うと、しゃべられないくらい息が上がるので、吐き気がするくらいの辛さというか地獄の淵が見えます(笑)つまり、続けるのが非常に難しいということです。体はまさに悲鳴と拒否反応の嵐が吹き上げるので、しっかり習慣化の方法を基に行っていただければよろしいかと思います。
あと、HIIT唯一の難点ですが、とにかく短時間とはいえ辛いということです。簡単に言うと、しゃべられないくらい息が上がるので、吐き気がするくらいの辛さというか地獄の淵が見えます(笑)つまり、続けるのが非常に難しいということです。体はまさに悲鳴と拒否反応の嵐が吹き上げるので、しっかり習慣化の方法を基に行っていただければよろしいかと思います。
参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19175906/
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/jphysiol.2010.189886
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/jphysiol.2010.189886
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