この間、研修のお手伝いに行った際に「システマティック・インストラクション」が出てきたんですよ。
これって大事なんだけど、なかなかうまくやるのに大変なんだよな~自分も意識してやらんと…と反省したものです。ただ、これ大事なのにあんまり認知度が高くないんですよね。残念ながら。
ということで、今回は「システマティック・インストラクション」をご紹介しておきます。



システマティック・インストラクションってなに…?

システマティック・インストラクション(Systematic Instruction)は、就労支援テクニックの一つでして、系統的に指示していく手法となっております。ただ闇雲に指示しまくるんじゃなくて、利用者さんにベストな指示をすることによって、効率的に失敗することなく仕事(作業)が出来るようになるんですな。
その始まりは、1985年のバージニア・コモンウェルス大学の研究からなりまして、これを1993年に神奈川県総合リハビリテーションセンターの小川先生(当時、今は大妻女子大学にいたはず)が発表し、日本で広まっていったって感じです。
そんなシステマティック・インストラクションでは、指示を4階層に分けております。発達障害ナビポータルさんの図が分かりやすいんで以下に引用しておきますね。


基本的に、一番上の階層の指示方法をまず行い、伝わらなかったら次の階層の指示方法に移行していくって感じです。そしてご覧の通り、上の階層ほど介入度が低く本人の自立度が高い感じとなっております。
んで、上の各階層をもうちょいマイルドな言い方をしますと以下のようになります。

  1. 言語指示:言葉による指示。教えてくれた人はなんて言ってましたっけ…?、なんて書いてましたっけ…?、次は端と端を持ちます、など。
  2. ジェスチャー:ジェスチャーによる指示。身振り手振りで伝えたり、指さししたりする、など。
  3. 見本の提示(モデリング):見本による指示。その場で手本を見せてあげたり、一緒にゆっくりやってみる、など。
  4. 手添え:手取り足取りによる指示。手を添えて一緒に作業を行ったりする、など。

そして私もついついやっちゃうんですが、各階層を同時にやらないことが大事なポイントとなっております。階層の指示をごっちゃにしてやっちゃうと、どれが本人に刺さる指示なのか、必要な介入なのか分からなくなってしまうんですよね。
例えばいきなり、これをこうやって~こう…!みたいに、言葉とジェスチャー、言葉と見本を見せちゃうと、言葉だけでも伝わるのか、ジェスチャー・見本が必要なのか分からなくなるって感じですな。
そのため、必要最小限に過不足なく指示するために、階層を意識して指示するのが大事な訳です。



個人的考察

因みに、もうちょい細かくなっていくと、本人を見守る時の立っている位置(物理的距離)、本人の視界に入る場所に支援者がいるかどうかなんかも関係してきたりします。
また、徐々に自立できるよう、フェードアウトも大事だったり、フィードバックを一緒にやるのも重要です。
こんな感じでもっと詳しく知りたい…!って方はジョブコーチ養成研修を受講されるとよろしいかと思います。



参考文献

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html