精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか? その3
「精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか?」シリーズの続きです。
双極性障害の方の家族における精神疾患リスクについて調べてみた…!
2018年の台北栄民総医院の研究によると、双極性障害の方の家族における精神疾患リスクについて調べてみたそうです。
そもそも双極性障害は、遺伝性の高い精神疾患と言われておりまして、先行研究により、双極性障害の方の両親や子供、兄弟姉妹といった一親等の家族は、双極性障害の発症リスクが高いって出ているんですよね。
一方で、双極性障害の方の一親等の家族における、統合失調症発症リスク、うつ病発症リスク、自閉スペクトラム症(ASD)発症リスク、注意欠陥多動性障害(ADHD)発症リスクが高まるかは謎だったんですな。
そこで今回調べてみることにしたらしい。
この研究は、台湾に住む双極性障害を持つ方87,639名と双極性障害の方の一親等の家族188,290名を対象にしたというもの。この方々のデータから、双極性障害の方の家族における主要な精神疾患リスクを評価してみたんだとか。
早速結果を見てみますと、以下のようになっていたとのこと。
- 双極性障害の方の一親等の家族は精神疾患リスクが高かった。
- 全人口と比較して、双極性障害の発症リスクは6.12倍(RR6.12)高かった。
- 全人口と比較して、うつ病の発症リスクは2.89倍(RR2.89)高かった。
- 全人口と比較して、統合失調症の発症リスクは2.64倍(RR2.64)高かった。
- 全人口と比較して、注意欠陥多動性障害(ADHD)の発症リスクは2.21倍(RR2.21)高かった。
- 全人口と比較して、自閉スペクトラム症(ASD)の発症リスクは2.10倍(RR2.10)高かった。
- 上記の発症リスク増加は、両親や子供、兄弟姉妹、双子などの違いに関係なく一貫していた。
双極性障害の方が家族にいる場合、他の家族の精神疾患リスクが上がってしまうみたいですね。この結果に研究者曰く、
- 双極性障害の方の一親等の家族のメンタルヘルスにも注意を払うべきだろう
としています。
本人はもちろん、家族支援の重要性も大事だと言うことですね。