【加筆内容】知的障がいと平均寿命の関係を見てみる!その1「オーストラリアの研究編」
3月頃に知的障がいと平均寿命の関係を調べたフィンランドの研究を見てみました。
オーストラリアに住む知的障がいのある方の約50年間分のデータで平均寿命を調べてみた…!
2002年のエディスコーワン大学の研究によると、オーストラリアに住む知的障がいのある方の平均寿命について調べてみたそうです。
そもそも世界で見てみますと、IQが50未満の子ども達は0.3%~0.5%ほどいるそうで、また50~70の軽度知的障がいの方だと0.2%~4.0%ほどいると言われております。んで、オーストラリアでは、人口の1.7%~1.9%ほど知的障がいの方がいると推定されているそうな。
そもそも世界で見てみますと、IQが50未満の子ども達は0.3%~0.5%ほどいるそうで、また50~70の軽度知的障がいの方だと0.2%~4.0%ほどいると言われております。んで、オーストラリアでは、人口の1.7%~1.9%ほど知的障がいの方がいると推定されているそうな。
しかし、オーストラリアを含むほとんどの国では診断されていない知的障がいの方もいるそうで、この数字はある程度低めに出ている可能性があるらしい。
その中で知的障がいの方の平均寿命を調べた先行研究がいくつか出てきておりまして、例えば、1994年のノースゲートNHS財団トラストの研究や1999年のニューヨーク州精神遅滞・発達障害局の研究によりイギリスやアメリカの知的障がいの方の平均寿命が大幅に延びていたそうです。
ではオーストラリアではどうなのか…?ってことで今回調べてみることにしたんだとか。
まずオーストラリアは6つの州がございまして、その中の西オーストラリア州は人口が都市部に集中しており74%の方がパース周辺に住んでいるそうな。
そして1952年に州政府機関である障害者サービス委員会(DSC)ってのが設立されたらしい。その後1953年から障がいのある方へサービスを提供した際のデータがデータベースに保管されているんだとか。今回はそのデータベースを用いて平均寿命を見てみたそうです。
その結果、9,824人の知的障がいの方のデータがあったそうで、そこから正式な知的障がいの判定を受けていない方のデータを除外し、最終的に8,724人のデータが集まったみたい。
期間は1953~2000年だったんで、約50年間分のデータで平均寿命を見たことになります。これはなかなかの期間ですな。
それではどうだったか結果を見てみましょう…!
- 軽度知的障がいの方は54.7%、中度知的障がいの方は27.8%、重度知的障がいの方は17.5%いた。
- 女性(41.6%)よりも男性(58.4%)の方が知的障がいを持っていることが多かった。これは知的障がいの重症度に関係なく一貫していた。
- 知的障がいの方全体の50%生存率は68.6歳だった(オーストラリアの一般人口における50%生存率は、男性75.6歳、女性81.2歳)
- 知的障がいのある男性の平均寿命は66.7歳だった。知的障がいのある女性の平均寿命は71.5歳だった。つまり男性の方が寿命が短かった。
- 知的障がいの重症度と平均寿命は非常に有意な負の相関があった。
- 軽度知的障がい方の50%生存率は74.0歳だった。
- 中度知的障がい方の50%生存率は67.6歳だった。
- 重度知的障がい方の50%生存率は58.6歳だった。
- 遺伝的疾患の有無と寿命の中央値には有意な負の相関があった。
- 遺伝的疾患がない知的障がいの方の寿命の中央値は72.2歳だった。
- 遺伝的疾患のある知的障がいの方の寿命の中央値は60.1歳だった。
全体的にみれば、一般人口よりもどうしても寿命は短くなってしまうみたいですね。しかし知的障がいの重症度別でみてみると、軽度知的障がいの方は、一般人口と同じみたいですな。
個人的考察
フィンランドの研究と大体同じ結果がオーストラリアでも出た感じですね。
因みに上記の研究ではIQ検査にウェクスラー式知能検査を使っているみたいです。
ウェクスラー式知能検査の場合、
- 重症度:IQ
- 軽度:55~69
- 中度:40~54
- 重度:39未満
って感じで、以前に紹介したICD-10とは若干違うんですな。まぁ、こちらの方がちょっと厳しめに見ているって印象です。