前回前々回の続きです。
引き続き2016年のサウサンプトン大学の研究を参考に、慢性疾患の自己管理にゲーム化(ゲーミフィケーション)が有効なのか見ていきます。
今回はスクルの輪の効果を調べた研究についてです。それでは早速見ていきましょう…!



ゲーミフィケーションのフレームワーク「スクルの輪(The Wheel of Sukr)」の効果はどうか…?

では患者さんのアンケート結果はどうだったのか見てみましょう…!

【社交】
  • すごく良い・良い:68%(28/42)
  • どちらでもない:19%(8/42)
  • 悪い・すごく悪い:13%(5/42)

糖尿病患者さんは自分の良い結果をお互いに共有し、同じ病気を持った仲間を増やしたいと考えている感じだったとのこと。


【自己表現】
  • すごく良い・良い:43%(18/42)
  • どちらでもない:36%(15/42)
  • 悪い・すごく悪い:21%(9/42)

「自己管理スキルをアップさせることで自分の健康に気を配ることは重要です」のみだと、すごく良い・良いは55%(23/42)で、悪い・すごく悪いは14%(6/42)だった。おそらくオンライン上での自己表現が重要なんじゃないかとのこと。


【楽しさ】
  • すごく良い・良い:76%(32/42)
  • どちらでもない:19%(8/42)
  • 悪い・すごく悪い:5%(2/42)

大多数の患者さんが重要だと思っていた。糖尿病ってのは退屈な作業の繰り返しなんで楽しさは重要なポイントみたい。また、自己管理の努力が評価される機会やお互いに積極的に競争する機会が得られるのもポイントとのこと。


【自尊心】
  • すごく良い・良い:79%(33/42)
  • どちらでもない:11%(5/42)
  • 悪い・すごく悪い:9%(4/42)

大多数の患者さんが重要だと思っていた。スコアボードやプログレスバー(進捗状況が分かるバー、パソコンとかでコピーすると何パーセント完了みたいなバーが出るがあれ)などは、患者さん同士がお互いのスコアや進捗状況を確認できる。そのため自己管理を促すことができ、更に患者さん同士がお互いをサポートし励まし合う機会にもなるとのこと。


【成長】
  • すごく良い・良い:88%(37/42)
  • どちらでもない:9%(4/42)
  • 悪い・すごく悪い:3%(1/42)

大多数の患者さんが重要だと思っていた。血糖値、食事の摂取量などに関するフィードバックを受け取ると、自分の状態を自己管理できるようになるとのこと。


【持続可能性】
  • すごく良い・良い:68%(28/42)
  • どちらでもない:21%(9/42)
  • 悪い・すごく悪い:11%(5/42)

自己管理アプリを定期的にアップデートするなどして、患者さんがアプリを使用する意欲を維持し、継続できる方法で自分の状態を管理し続けるようにするのが大事とのこと。


【モチベーション】
  • すごく良い・良い:76%(32/42)
  • どちらでもない:12%(5/42)
  • 悪い・すごく悪い:12%(5/42)

大多数の患者さんが重要だと思っていた。モチベーションが高いと、自分の状態を管理する上での自分の役割をしっかり認識し、病気をコントロールすることに熱心になるので重要とのこと。


【自己管理】
  • すごく良い・良い:73%(31/42)
  • どちらでもない:13%(5/42)
  • 悪い・すごく悪い:14%(6/42)

大多数の患者さんが重要だと思っていた。日誌やデータの可視化により、より良い自己管理習慣を身に付けられるようになるみたい。


ということで、まとめると、

  • ゲーミフィケーションによって糖尿病などの慢性疾患の自己管理力が向上する可能性は高い…!
  • 専門家はスクルの輪の8つの項目(社交・自己表現・楽しさ・自尊心・成長・持続可能性・モチベーション・自己管理)について、良いと感じていた…!
  • 患者さんの71%(30/42)がスクルの輪について良いと感じていた…!

って感じ。
専門家も患者さんもスクルの輪というゲーミフィケーションを取り入れることで、慢性疾患、特に糖尿病の自己管理が上手くできるようになりそう…!って思ったみたいですね。



個人的考察

この「スクルの輪」というフレームワークは、慢性疾患に限らず、ゲーミフィケーションを使う際の基礎として使えるんじゃないのかな~と思っております。
そのためゲーム化を取り入れたい際はスクルの輪を土台にしつつ作っていくのが良いかと。



参考文献