今日2つ目の記事です。
先程の記事を見て、月曜日なのにポケモンGOの研究はないのか…って思った方もいるかと思います。
実はあの話の続きが今回ご紹介するポケモンGOの研究なんですよ…!
ということで、ポケモンGOで自傷行為が減るのか調べた初の研究のご紹介です。



ポケモンGOで自傷行為が減るのか調べた初の研究

2020年の香港大学準実験によると、ポケモンGOで自傷行為が減るのか調べてみたそうです。
先行研究により、ポケモンGOで身体活動や心理的・社会的幸福度がアップする可能性があると出ておりますが、それなら自傷行為の発生率も減らせるのかも…?と研究者は考えたみたいですね。
この研究は、香港病院局の事故緊急情報システムのデータを使ったというもの。香港病院局は香港の公立病院を管理している公的機関なんだそうで、香港圏内のほとんどの事故や救急サービスを24時間体制で監視しているんだそうな。
んでデータを集めた期間については、

  • 2012年1月1日~2018年7月31日(ポケモンGOリリース前後のデータ)
  • 2002年1月1日~2008年7月31日(ポケモンGOが関係ない期間のデータ)

って感じ。
因みに香港では2016年7月25日にポケモンGOがリリースされております。
次に集まったデータの中から、自傷行為又は軽度の非自傷行為として病院を受診した12歳以上の患者さんのデータをピックアップしていったらしい。最後に集まったデータを統計処理して自傷行為の発生率の変化をチェックしてみたんだとか。
その結果、まず分かったことが、

  • 2012年1月1日~2018年7月31日までの期間に記録されていた自傷行為の病院受診者は13,463人だった
  • 女性の割合は、13,463人中7,521人(55.9%)だった
  • 男性の割合は、13,463人中5,942人(44.1%)だった
  • 40歳以上の方が、13,463人中6,898人(51.2%)だった
  • 自傷行為以外の故意の傷害は、85,957人発生していた
  • 軽傷以外の傷害関係の事故は、1,972,805人発生していた

とのこと。
どうやら自傷行為を行う方は女性の方が若干多く、また40歳以上の方が半分以上を占めていたみたいですね。
続いて、本題のポケモンGOと自傷行為の関係を見ていきましょう。

  • ポケモンGOのリリース後の期間に、自傷行為の発生率が34%も減っていた…!
  • 自傷行為以外の故意の傷害や軽傷以外の傷害関係の事故なんかはポケモンGOのリリース後も減っていなかった…!
  • ポケモンGOが関係ない期間のデータを見てみると、自傷行為の発生率は増加傾向にあった…。

つまり、明らかにポケモンGOのリリース後の期間に自傷行為が減っていて、それ以外の傷害や事故のケースは変わらなかったと…。これはすごいですねー。
またこの研究では18歳以上の方のみをピックアップし、ポケモンGOリリース直後(2016年7月25日)から実験終了(2018年7月31日)までの約2年間の自傷行為の減少傾向もチェックしてみたそうです。
結果、

  • 18歳~24歳:自傷行為が22%も減っていた…!
  • 25歳~39歳:自傷行為が25%も減っていた…!
  • 40歳以上:自傷行為が43%も減っていた…!

とのこと。
若者や一番多かった40歳以上の方の自傷行為が明らかに減っていたのは、これまたすごいですね。
この結果から研究者曰く、

  • 特に18歳以上の成人における自傷行為の発生率は、ポケモンGOのリリース後の期間に大幅な減少を示していた。ポケモンGOなどの位置情報ゲームは心理的・社会的幸福をアップさせ、精神的健康を改善するツールとして大きな期待が持てるだろう

としています。
ポケモンGOで幸福度がアップし、結果、メンタルが改善して自傷行為が減るという流れを研究者は想像しているみたいですね。



個人的考察

もちろんこの研究にも限界はあって、

  • 準実験であること(あまり質の高い研究形式ではないこと)
  • 「ポケモンGOのリリース後の期間に自傷行為が減っていた」だけなので、実際ポケモンGOで自傷行為が減るのか直接調べたわけではないこと(因果関係が不明、傍証ぐらいな感じであること)

などがありますので、そこはご注意くださいませ。
まぁ、こういう視点で研究する事もあるんだな~とか、自傷行為の対策・支援ってなかなか難しいから、そういう助けの一助にもなれば良いな~ぐらいの感覚で見てもらえるとよろしいかと思います。



参考文献