その昔、ちらりとニートってのをご紹介しました。

…っとこう書くと、大概の人は障がい者支援を謳ったブログなんで「あぁ、あれでしょ、学校も行かず、働かない人のことでしょ…!知ってる…!」とまぁ、こんな感じで思うでしょう。
が、しかし、題名を良く見てください…!
「NEET」ではなく「NEAT」って書いています。
…。一応書いておくと、これは誤字ではありません(笑)

ということで今回は、ダイエットの際にぜひ押さえておきたい知識、NEAT(ニート)について書いていきます。



NEAT(ニート)ってなに…?

NEAT(ニート)の正式名称は非運動性活動熱産生(Non-Exercise Activity Thermogenesis)と言います。漢字からなんとなく予想できるかと思いますが、NEATとは、普段過ごしている際に勝手に消費されるカロリーのことです。要は日常生活で勝手に消費するカロリーのことを言います。
このNEATですが、

  • 高ければ勝手にたくさんカロリーを消費し痩せてくれる夢の体になる…!
  • 低ければカロリーを全然消費せず、太っていく悪夢の体になる…。

といった感じ。私のように太りやすい体質の方は特にNEATを意識し、上げていくことを心がけた方が良さそうですね~。



1日1,500kcal〜2,000kcalも消費する…!

2009年のジェームズ・レビン博士(NEAT研究のエキスパートらしい)の書籍によると、現代人の肥満や健康悪化はNEATが少ないのが原因らしい。レビン博士曰く、日常のNEATが多い人は運動しなくても1日に1,500kcal〜2,000kcalも消費するレベルにまで達しているそうな。因みに基礎代謝は別ということ。1日2000kcalって…。ヤバすぎ…!

現代人の平均消費カロリーは、普段運動(スポーツジムなど)を1時間ぐらい行っている人で、約1,300kcal〜1,500kcalらしいので、如何にNEATがバカにできない存在か分かりますね~。



NEAT(ニート)について既存の研究を見直ししてみた…!

2013年のコロラド大学レビュー論文によると、NEAT(ニート)について既存の研究を見直ししてみたそうです。
具体的には、2012年にカリフォルニア州サンフランシスコで行われたアメリカスポーツ医学会(ACSM)の会議で発表されたプレゼンを要約してみたとのこと。それではポイントを一つずつ見ていきましょう…!


運動による減量(ダイエット)効果と健康効果

まず基本として、体重が安定している人ってのは、カロリーバランスが整っている人と予想されるそうです。
つまり、

  • カロリー摂取量=カロリー消費量

になっているってことですね。
そして当たり前ですが、減量(ダイエット)効果を引き起こすには、このバランスを崩して、

  • カロリー摂取量<カロリー消費量

になる必要があります。
つまり理論的には運動でカロリー消費量が増えると、減量できるはずなんですよ。んがしかし、実際は差に非ず、ラボ内で監視しつつ運動してもらうと減量効果は予想よりも少なくなってしまうんですよね。
もうちょい詳しくいうと、定期的な運動により体重や体脂肪が減少する人達がいる一方、同じ量の運動を行ったにもかかわらず、何も変化しない、むしろ体重や体脂肪が増えてしまう残念な人達もいるんですな。
この原因の一つには、運動による減量(ダイエット)効果には大きな個人差があるということ。これにより皆が思い描くような減量が出来る事はかなり難しいみたい。また運動のカロリー消費量が皆が思っている以上に少ないのも理由の一つ。更に運動したことにより普段動かなくなったり、食べる量が増えていたり…なんてことも。
因みにこの当たりについて詳しく知りたい方は、


をご覧ください。
一方で、運動を取り入れると誰でも健康へのメリットが得られます。特にこれまで座りっぱなしだった人が運動するようになると、より健康になり、多くの慢性疾患リスクが低下し、より適切な体重を維持・管理できるようになるんだとか。
そのため、運動で痩せよう…!とは考えず、それ以外の目的、例えば、健康になろう…!とかが良いみたいです。


1日の総カロリー消費量の内訳とNEAT

ご存じのように運動以外にも私たちはカロリーを日々消費し続けております。
式にしてみますとこんな感じ。

  • 1日の総カロリー消費量=安静時代謝率+食物の熱効果+身体活動カロリー消費量

因みに食物の熱効果(TEF)ってのは食事誘発性熱産生(DIT)とも言われまして、食べる時に使われるカロリー消費量ですね。
んで、身体活動カロリー消費量ってのは、更に以下の2つに分類できます。

  1. 運動(皆が想像する運動、有酸素運動(ランニング)とか無酸素運動(筋トレ)とか)
  2. NEAT(ニート:非運動性活動熱産生)

ここまでをまとめると以下な感じのイメージとなりまして、それぞれのカロリー消費量の割合はこのようになります。


お分かりの通り、実はNEATの占める割合は結構高いんですな。
ではNEATとは何かを次に見ていきます。
NEAT(ニート:非運動性活動熱産生)は、睡眠、食事、皆が思う運動のような運動以外で消費されるカロリーの事を言いまして、日常生活の全ての活動を含むものとして広く定義されております。
例えば、

  • そわそわする
  • 姿勢を維持する
  • 歩いて学校や仕事に行く
  • タイピングをする
  • ガーデニングをする
  • 家庭菜園をする

などなど、無意識に動いて消費されるカロリーです。
因みに動物実験なんかではNEATのことを自発的身体活動(SPA)と言ったりしますが同じ意味みたいです。
そしてNEATの特徴としては下記が挙げられるんだとか。


体重キープやダイエットにかなり重要だと言えますね。
そんなNEATですが、どのように計算すればいいのでしょうか…?
そもそも運動でどれぐらい痩せやすいかを判断するには、1日の総カロリー消費量を正確に測定する必要があります。しかし、ヒトが自由に生活している中で各カロリー消費量における1日の総カロリー消費量を正確に測定することは不可能に近いです。
その中でNEATを計算するのに最も一般的な方法は、

  • NEAT=1日の総カロリー消費量-(安静時代謝率+皆が思う運動でのカロリー消費量)

とのこと。
例えば、

  • 1日の総カロリー消費量2500kcal-(安静時代謝率1600kcal+皆が思う運動でのカロリー消費量400kcal)=NEAT500kcal

って感じですな。
こんな感じで推定するそうです。


NEATは体重管理に役立つのか…?

NEATが体重の調節に役割を果たしているという最も強力な証拠は、2012年のミネアポリスVAヘルスケアシステムの動物実験から得られるそうです。この研究によれば、肥満耐性を持つラットは生涯を通してSPA(≒NEAT)レベルが高かったそうな。
じゃあヒトではどうなのか気になりますが、残念ながら詳細な縦断研究を行うことは実現不可能とのこと。そのため、人間の研究から得られたエビデンスはそれほど高い物ではないらしい。
その中でもヒトにおける最良のエビデンスは1992年のアメリカ国立衛生研究所の研究になるそうです。この研究は、ピマインディアン(肥満・糖尿病の人が非常に多い民族)を対象にした前向きコホート研究でして、NEATレベルと体脂肪の関係を調べてみたと言うもの。
早速結果を見てみると、

  • 男性の場合、NEATレベルと体脂肪は逆相関していた…!
  • 女性の場合、NEATレベルと体脂肪は関係なかった…。

とのこと。
またこの研究では、家族構成がNEATレベルの変化の57%も説明できる…!としており、NEATが遺伝にプログラムされている可能性もあったみたい。
更にNEATが体重キープに関係ある証拠は2件の長期研究によっても裏付けられているんだとか。
一つ目は1990年のラヴァル大学の研究で、これによれば太りやすさのうち50%は遺伝的要因だったとのこと。またこの研究では、身体活動レベルを厳密に管理していたそうで、となると残りの可能性はNEATの違いとなり得るそうな。
二つ目は1999年のメイヨークリニックの研究で、これによればNEATの変化は体脂肪増加を予測できる、カロリー消費量の唯一の要素だったとのこと。またこの研究は、過剰摂取による身体活動の増加を調べた唯一のヒト研究とのことでした。但し、こちらは2010年のマーストリヒト大学の研究により、サンプル数16人の小規模実験であることが指摘されているそうな。
更にNEATと過食・体重変化を調べた物はあるのですが、ラボ内と実生活の研究では矛盾した結果が出ているらしい。
例えば2008年のロヨラ大学の研究によると、女性321人を対象に普段の生活をしてもらいつつ、二重標識水法(DLW法)を使用して運動によるカロリー消費量を3年間追跡調査してみたそうです。結果、運動によるカロリー消費量は体重変化の予測因子ではなかったとのこと。なんでも適度なレベルの運動によるカロリー消費量(1日4MJ未満)で比べても、痩せた女性、変わらない女性、太った女性と様々だったみたい。
また2011年のクイーンズ大学の横断研究2011年のクイーンズ大学の横断研究では、男女約120人を対象に加速度計を使用して調べていますが、偶発的身体活動と心肺機能は正の相関関係にあったものの、ウエストの脂肪量とは関係なかったらしい。
まとめると、NEATが体重管理に役立つのかは、明確な証拠がなくまだ研究が不足しているそうです。


定期的な運動を始める・継続するとNEATは変化するのか…?

続いて運動とNEATの関係の研究を見ていきます。
定期的な運動を始める・継続するとNEATが変化するのかを調べた研究は結構盛んに行われておりまして、まずはそれらをバーッと見ていきましょう。

  • 1992年のバーモント大学の研究:標準体型又は太りすぎの56~78歳の高齢男性11人を対象に週3日、8週間、VO2max(最大酸素摂取量:心肺機能の指標になる)の85%で300kcal消費する運動を行ってもらった。結果、NEATが62%も減少していた(1日571±386kcalから340±342kcalに減少していた)
  • 1999年のマーストリヒト大学の研究:標準体型又は太りすぎの平均年齢58歳の高齢男女22人を対象に週2日、12週間、筋トレ60分と有酸素運動90分を行ってもらった。結果、トレーニングを行った日はトレーニングを行っていない日に比べ、NEATが大幅に減少していた。
  • 2003年のカンザス大学の研究:太りすぎ又は肥満の17~35歳の男女74人を対象に週5日、16ヶ月、HRR(心拍予備能・心拍数予備能・心拍予備量・予備心拍数などと呼ばれる。心肺機能の指標になる)の75%で45分間運動を行ってもらった。結果、予想の約50%しか体重が減少しておらず、運動で痩せづらい人がいた可能性を示している運動でのダイエットには個人差があり、痩せやすい人(しっかり痩せた人)と痩せづらい人(ちょっとしか痩せなかった人)がいる
  • 2010年のグラスゴー大学の研究:太りすぎ又は肥満の平均年齢31歳の男女34人を対象に週2日又は週5日で8週間、乳酸性閾値(LT:心肺機能の指標になる)の90~95%で週150分間運動を行ってもらった。結果、予測された脂肪量の減少は0.8±0.2kgだったのに対し、実際の脂肪量の減少は0.0±0.2kgだった。参加者の半数が運動で痩せづらい人だった。
  • 2012年のキエーティ・ペスカーラ大学の研究:標準体型や太りすぎ、肥満など様々な体型の平均年齢56歳の閉経後の女性34人を対象に週4日、13週間、中程度のウォーキングを40分行ってもらった。結果、参加者の半数が運動で痩せづらい人で、平均して1日の総カロリー消費量に変化はなかった。
  • 2009年のデューク大学医療センターの研究:太りすぎ又は肥満の平均年齢53.2歳の男女50人を対象に週3~5回、8ヶ月、カロリー消費量の低いグループ(VO2peak(心肺機能の指標になる)の40~55%又は65~80%で運動してもらい1週間で5035Kj(≒1203kcal)消費した)とカロリー消費量の高いグループ(VO2peakの65~80%で運動してもらい1週間で8372KJ(≒2000kcal)消費した)を比べてみた。結果、両グループとも1日の総カロリー消費量が大幅に増加したが、NEATは変化がなかった。
  • 1998年のCRNHの研究:標準体型又は太りすぎの63±2歳の男女13人を対象に週3日、14週間、中程度のトレーニング20分、インターバルトレーニング20分の合計40分運動を行ってもらった。結果、1日の総カロリー消費量は変化がなく、歩行時間は減少し、NEATが7.7%も大幅に減少していた。
  • 2011年のクイーンズランド工科大学の研究:太りすぎ又は肥満の平均年齢26.5歳の男性16人を対象に週1日、4日間、ウォーキングを60分行ってもらった。結果、運動でのダイエットに個人差はなく、1日の総カロリー消費量が増加していた。
  • 2006年のストラスクライド大学の研究:標準体型の20~25歳の男女16人を対象に週4日、8日間、2092kJ(=500kcal)消費できるよう、女性はVO2maxの59%、男性はVO2maxの48%で運動を行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差、1日の総カロリー消費量、NEATの増加に関する証拠はなかった。
  • 2004年のローウェット研究所の研究:標準体型の18~40歳の男性8人を対象に週7日、7日間、1日3回VO2maxの65%でエクササイズセッションを40分間行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差が見られた(1日0.32MJ(≒76.5kcal)又は週2.2MJ(≒525.8kcal))
  • 2002年のローウェット研究所の研究:標準体型の18~40歳の女性6人を対象に週6日、7日間、中程度の運動(1日2回、1回40分間のエクササイズセッション)又は高程度の運動(1日3回、1回40分間のエクササイズセッション)を行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差、1日の総カロリー消費量、NEATの増加に関する証拠はなかった。
  • 2002年のローウェット研究所の研究:標準体型の18~40歳の男性6人を対象に週6日、7日間、中程度の運動(1日2回、1回40分間のエクササイズセッション)又は高程度の運動(1日3回、1回40分間のエクササイズセッション)を行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差が適度に見られた(1日0.3~0.6Mj(≒71.7~143.4kcal))
  • 1992年のマーストリヒト大学の研究:標準体型の28~41歳の男女32人を対象に週4日、10ヶ月、ハーフマラソントレーニング、激しい強度、1日90分まで段階的に増加の条件で運動を行ってもらった。結果、運動でのダイエットに個人差はなく、1日の総カロリー消費量が増加していた。

また上記の研究から他に分かったこととして、

  • 中強度の運動(1日1.6MJ≒382kcal消費)か高強度の運動(1日3.2~4.0MJ≒764~956kcal消費)をした時、1日の総カロリー消費量は時間の経過とともに減少する傾向があり、NEATが減少した可能性を示していた…。
  • 但し、食事による脂質の摂取量の増加が原因の可能性もあった…!
  • NEATは最初の2日間変化はないが、その後、中強度の運動だと16%(但し有意ではない)、高強度の運動だと25%増加していた…!
  • 一方で、中強度の運動を1日おきに8日間行った標準体型の男女はNEATが変化しなかった…。
  • これらはいずれも短期の研究だった。
  • 長期の研究でも、曖昧な結果が出ていた。NEATの減少が見られた研究もあれば、NEATに変化がなかった研究もあった。

って感じ。
このように矛盾した結果が出ているんですが、調整は難しいとのこと。
但し、食い違いが起こった可能性として、

  • 運動の強度
  • 運動の方法
  • 使用された測定ツール
  • 参加者の年齢
  • 参加者の性別

などの違いが原因かもしれないみたい。
いずれにしても変数が多すぎてよく分からないですね。


NEATは個人差がありそうだし、減少すると健康効果もなくなりそう…!

更に難しいのがNEATには個人差がありそうと言うことです。
例えば2010年のグラスゴー大学の研究によると、太りすぎ又は肥満の女性34人を対象に8週間運動を行ってもらいつつ、心拍数と日記を使ってNEATを測定したそうです。
その結果、

  • 平均して1日の総カロリー消費量が0.62MJ(≒148kcal)も増加していた…!

とのこと。
ただ問題がありまして、ダイエット効果には大きな個人差があったんですな。

  • 痩せやすい人(しっかり痩せた人):11人は予測通りに体重が減っていた
  • 痩せづらい人(ちょっとしか痩せなかった人):23人は予測よりも体重が減らなかった

って感じだったみたい。
んでこの2パターンに分かれた原因を探った結果、

  • NEATは有意差があった唯一の変数だった…!

とのこと。
つまり、NEATは痩せやすい人と痩せづらい人を別つ唯一の原因…!ってことですね。因みに先行研究でも体重減少の個人差は報告されていたものの、その原因がNEATだったってわかったのはこれが初めてだったらしい。更にNEATの変化は参加者全員の体脂肪の重要な予測因子だったんだとか。NEATで今後太るか痩せるか分かる…!ってはすごいですね。
同じような結果は他の研究でも出ていまして、2012年のダヌンツィオ大学の研究では運動した閉経後の女性の半数が痩せづらい人(つまり個人差があった)だったそうな。なんでもNEATが1日平均233kcalも減少したとのこと。
更にこの研究によると、NEATが減少した女性の血中脂質は改善されなかったみたい。つまりNEATの減少は減量効果だけでなく健康効果も得られない可能性があるってことですな。


NEATの変化とカロリーの変化で相殺が起こるのか…?

実はNEATの変化とカロリーの変化で体重減少効果がプラマイゼロになってしまうって話があったりします。
まず最初にチェックしておきたいのが、運動なしのカロリー制限ダイエットはNEATの変化を引き起こし、体重減少を相殺する可能性があるということです。この可能性は2010年のピッツバーグ大学の動物実験により判明しまして、なんでもサルを対象に調べた結果、

  • 1ヶ月間、カロリー摂取量を30%減らしてみると、SPA=NEATの減少がかなり大きく、結果、体重の大幅な減少は起こらなかった…。
  • 1ヶ月間、カロリー摂取量を60%減らしてみると、SPA=NEATの減少が更にかなり大きくなった。但し体重の大幅な減少(-6.4±1.7%)も起こった…!

とのこと。
つまり極端なカロリー制限ダイエットをしないとNEATが減少しプラマイゼロになっちゃうってことですね。
似たような結果はヒトを対象とした研究でも見られておりまして、2011年のルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターの研究によると、カロリー制限をした成人の参加者グループでNEATが減少していたんだとか。因みに加速度計をチェックしてみると身体活動量に変化はなかったらしい。

次に運動ありでカロリー制限なしの場合、NEATの変化が起こるのかですが、こちらのエビデンスはそれほどはっきりしていないそうな。というのもこれらを調べた研究は、カロリー摂取量が制限されていたか、測定されたカロリー摂取量が変化しなかった研究から推測するしかないみたいなんですよね。
例えば2003年のカンザス大学の研究では、第1回中西部運動試験(MET1:Midwest Exercise Trial)っていうものを行っておりまして、男性は体重が-5.2±4.7kg減少したんですが、女性は特に変化がなかったとのこと。因みに男女ともにカロリー摂取量に違いはなかったそうな。
そして16ヶ月の実験後におけるカロリー消費量は、

  • 運動で、男性が1日668±116kcal、女性が1日438.9±88kcal消費していた…!
  • 1日の総カロリー消費量は、男性が1日371±646kcal、女性が1日209±555kcal増加していた…!

とのこと。
つまり1日の総カロリー消費量が、男性では運動の約55%、女性では運動の48%も増加していたみたい。この結果からカロリー制限に関係なく運動するとNEATがアップするかもしれないと考えられるんですな。
また同研究チームは、第2回中西部運動試験(MET2:Midwest Exercise Trial)を2012年のカンザス大学の研究として発表しております。こちらでは第1回中西部運動試験にあったような運動による男女差がなくなりました。つまり男女で効果が同じく、1日の総カロリー消費量の変化に差もなかったみたいです。
一方で1997年のラヴァル大学の研究によると、一卵性双生児の男性を対象に12週間、運動をしてもらいつつ、カロリー摂取量を一定に保ってもらったそうな。すると実験の後半における体内のカロリー貯蔵量の変化はカロリー不足のわずか65%だったそうです。これだけ聞くと運動でNEATが下がったように感じちゃうんですが、研究者によれば、1日の総カロリー消費量が測定されていない、安静時代謝率の低下が観察されたということで、NEATの低下が発生したと結論は出せないとのこと。
それに対して、2002年のクイーンズ大学の研究2004年のクイーンズ大学の研究によると、実際の運動によるカロリーの変化は予想された運動によるカロリーの変化と有意差はなかったんだとか。つまりNEATが維持されている可能性があったってことですね。但しこちらにも不安要素はありまして、例えば、カロリー消費量とカロリー摂取量の変化がどの程度結果に影響したのかよく分からない、体組成の誤差が組み込まれておりこれがNEATの変化が分からなかった原因の可能性があるそうです。まぁでも体組成の誤差ぐらいしかNEATの変化がないなら気にしなくても良い気もしますがね…。
また上記以外にも運動がNEATに与える影響は謎な部分はありまして、

  • 有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)でNEATへの影響は変わるのか…?
  • 運動種目がランニングやサイクリング、水泳で調べるケースが多いけど、NEATへの影響は変わるのか…?
  • 運動強度(運動の負荷)でNEATへの影響は変わるのか…?
  • 年齢でNEATへの影響は変わるのか…?
  • 性別でNEATへの影響は変わるのか…?
  • 体型(BMI)でNEATへの影響は変わるのか…?

などなどがございます。
つまり誰にでも当てはまるのか、ある特定のカテゴリーの方に当てはまるのかってことですね。この辺は今後の研究に期待というところでしょうか…。



NEATを高めるにはどうすべきか…?

最後に気になるNEATの高め方についてまとめておきます。
と言っても実は以前にさらりと紹介していたりしますが…。


などなど。兎に角日常的に動くことを意識して行けばいいんで、実はハードルは意外と低かったりします。つまり、できることから少しずつ取り組んでいけばいいという難易度の低さもNEATの魅力になります。これなら習慣化もしやすいですしね~。



個人的考察

これらをみるとNEATについて分かっていないことが多いのが実情です。
しかし一方で、カロリー消費にNEATの影響がめちゃくちゃ大きいのも事実なんですな。
そして「運動や筋トレはダイエットに使えるのか?」の内容を踏まえると、減量のみを理由とした運動はやめた方が良さげなのも事実です。
以上を踏まえると、ダイエットやスリム体型、体型維持にNEATが大事なのは間違いないかと思います。
そして個人的な優先順位は、

  1. まずはNEATを意識して上げる…!
  2. その後、余裕があるなら運動を行う…!
  3. 運動でNEATが下がるようなら、NEAT優先で運動頻度を減らす…!

って感じです。
もちろん理想は、NEATと運動を両立して行う…!ですが、スタートでそれは難易度が高いんでこの順番がよろしいかと。因みにダイエット以外、特に健康のメリットを受けたいなら運動は絶対なんでやっぱり最終的にやった方が良いと思います。
ということで塵も積もれば~でNEATを普段から心がけることにより勝手に痩せる体という夢の状態をゲットできます。ぜひ、できることから取り組んでみてください。



参考文献

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2336074/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9880251/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20384845/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19056567/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21502894/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21959343/