去年の終わりごろまで「2021年に世界ADHD連盟が示したコンセンサスを見てみよう!」って記事を書いておりました。
ただその後もADHD研究はガンガン発表されているんですよね。
そんな中、2024年にノッティンガム大学から、ADHDに関連する影響についてのアンブレラレビュー(非常に質の高い研究)が発表されました。
そこで今回から何回かに分けてこちらを見て行こうと思います。



ADHDに関連する影響についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2024年のノッティンガム大学の研究によると、ADHDに関連する影響についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも2007年のリオグランデドスル連邦大学系統的レビュー・メタ分析によると、世界各地の18歳以下の子ども171,756人を対象にADHDの世界有病率を調べた結果、5.29%だったそうな。つまり約5%の子どもが発症する神経発達障害でして、症状は成人期まで続くことが多いものとなっております。
そしてDSM-5によれば、ADHD主な特性は3つありまして、不注意・多動性・衝動性となっており、これらが家庭や学校、職場などで支障を来たすとのこと。
更にADHDは併存性(併存リスク・二次障害・併存疾患・重複障害)との関係もありそうで、生涯にわたって、日常生活機能と生活の質に深刻な影響を及ぼすみたい。
但しADHDは研究論文や出版物が非常に多く、まとめきれていない現状があったんですよね。そこで今回アンブレラレビューを用いて、ADHDが子供と大人に及ぼす悪影響を総合的に評価してみることにしたんだとか。因みに大きなくくりとしては、身体的健康(例:肥満)・精神的健康(例:うつ病)、社会・ライフスタイル(社会的影響(例:犯罪、離婚)に焦点を当ててみたそうです。
まず研究者たちは、2023年7月までに発表された該当研究をPsycINFO、Embase、Scopus、Medline、ERICという5つのデータベースで検索してみたそうな。すると合計16,675件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究を除外、その後、質をチェックしていったらしい。
最終的に選ばれた研究は125件でして、世界中の様々な国が含まれていたんだとか。
それでは結果をじっくり見ていきますか~。



ADHDとメンタルヘルス

ADHDとメンタルヘルスでは、依存症、自殺・自傷行為、気分障害・人格障害、その他の障害など、幅広いトピックを網羅していたとのこと。


ADHDと依存症

ADHDと子供、若者、成人におけるインターネット依存症について調査したメタ分析によると、ADHDはインターネット依存症と関係があった。またADHDの重症度と正の相関関係にもあった

ADHDとギャンブル依存症について調査したメタ分析によると、ギャンブル依存症の人はADHDリスクが4.18倍高かった。またADHDを持つ人は、そうでない人に比べて、ギャンブル依存症リスクが2.85倍高かった(つまり因果関係は双方向)

ADHDと物質使用障害について調査したレビューによると、ADHDと物質使用障害(薬物乱用とアルコール依存症)には正の相関関係があった。全体的な調査結果では、ADHD患者の約4分の1に物質乱用がみられ、また、物質乱用患者におけるADHDリスクも同様であった(つまり因果関係は双方向)。ADHDは小児期・青年期に物質使用障害を発症する独立した危険因子であり、ADHDを持つ子供は持たない子供に比べて、ニコチン、アルコール、物質乱用を発症するリスクが2倍も高かった。また、ADHDによって喫煙リスクも上昇、ADHDは物質乱用の重症度・慢性度とも高い関係があった
複数のメタ分析により、ADHDの子供は物質使用障害・アルコール依存症発症リスク高くなることが分かった。但しアルコール(OR1.35)は、ニコチン(OR2.36)や薬物(OR=3.48)よりもリスクが低かった。一方でADHDはアルコール依存症患者に非常に多く見られ、ADHD患者の43%がアルコール関連障害を発症しており、アルコール依存症患者の約20%がADHDを持っていた。

ADHDとゲーム依存症について調査した研究によると、コンピューターゲーム依存症とADHDは関連があり、ドーパミンを介した報酬が原因とのこと。また、ゲーム依存症とADHDの間に高い相関関係もあった。ゲームとADHDの因果関係は双方向の相関関係があるという研究がある一方、ADHDはゲームに費やす時間の増加を予測する一方で、ゲーム行動はADHDの症状悪化を予測するものではないとする研究もあった。

ADHDと様々な依存症との関連性を調査したレビューによると、ADHDとギャンブル依存症、ADHDと性依存症、ADHDとインターネット依存症は関係があることが明らかになった。依存症患者におけるADHD併存率は5.8~88.3%、ADHD患者における依存症率は5.9~71.8%だった。


ADHDと自殺・自傷行為

ADHDと自殺・自傷行為との関連性を調査したレビュー全てで、正の相関関係が見られた。メタ分析によると、ADHDと自殺行動マーカーには有意な関連が見られた。具体的には、自殺未遂(OR2.37)、希死念慮(OR3.53)、自殺既遂(OR6.69)だった。
また別のレビューによると、ADHD患者の全体的な自殺率は0.63~0.78%であり、特に男性に多く、併存疾患の悪化の結果である可能性があった。但し別の研究では、自殺行動の増加が直接的に関係あるのか、併存疾患の悪化によるものなのかは不明であるとしていた。
他の研究では、併存疾患がADHDと自殺の関係に介在しているとしており、一方で非行と薬物乱用の併存疾患がこの関連性に大きな影響を与えているとしていた。


ADHDと気分障害・人格障害

まず大枠として、ADHDと気分障害・人格障害は正の相関関係が見られるとのこと。但し、更なる縦断研究を行う必要があるそうな。
系統的レビュー・メタ分析によると、ADHD患者の13人に1人が双極性障害を持ち、双極性障害患者の6人に1人がADHDを持っていた。また別の系統的レビュー・メタ分析によると、気分障害のある人はない人に比べてADHD率が3倍高く、また双極性障害のある人はうつ病のある人に比べてADHD率が1.7倍高かった。更に前向きコホート研究の系統的レビュー・メタ分析によると、健常者と比較してADHDにおける双極性障害の発症リスクは約9倍(RR8.97)高かった
遺伝研究のメタ分析によると、双極性障害患者の親族はADHDの有病率が有意に高かった(RR2.6)。また、ADHD患者の親族の双極性障害の有病率も同様のパターンが見られた。そのため、ADHDと双極性障害は遺伝的要因の可能性がある
ADHDとうつ病の間に正の相関関係はあったが、その関連性には大きなばらつきがあった。
ADHDと強迫性障害の関連性について、子どもの場合ADHDにより強迫性障害リスクが高まることが分かった。但し0~60%とばらつきが大きかった。
小児期のADHDとその後の成人期の境界性パーソナリティ障害には関連性が見られた。また別のレビューによると、境界性パーソナリティ障害とADHD、不安障害と境界性パーソナリティ障害は正の関連性が見られた。


ADHDとその他の障害

ADHDと小児・青少年の摂食障害の間には正の関係があった。摂食障害のある青少年のADHDリスクは3倍、ADHDのある青少年の摂食障害リスクは2倍高かった。一方で別の研究によると、この関連性には大きなばらつきがあると出ていた。ばらつきは、全く関連がないからADHDを持つ女性の21.8%に摂食障害が見られたという結果まで幅があった
ADHDと精神疾患の関連性について、統合失調症とADHDの間には正の相関関係があった。また小児のADHD患者の場合パーソナリティ障害のリスクが高く、相対効果は4.74だった。別の研究では、統合失調症患者における小児のADHD有病率は17~57%、成人のADHD有病率は10~47%であるとした。


ADHDと自尊心

ADHDと自尊心の関係を調べた系統的レビューが1件のみあった。ADHDは成人の自尊心の低下と関連があり、心理療法的な介入によって部分的に軽減できる可能性があるとしていた。



ADHDと身体的健康

ADHDと身体的健康では、肥満、睡眠障害、喘息が成人のADHDの合併症として十分に裏付けられていたとのこと。また、成人のADHDと片頭痛、セリアック病との関連性を示す暫定的なエビデンスもあったらしい。一方で成人のADHDと心血管疾患の関連性は見られなかったそうな。


ADHDと睡眠

ADHDと睡眠について調べた研究は数多くあるとのこと。
ADHDの子供は対照群よりも睡眠中の動きの回数と無呼吸が有意に高かったものの、併存疾患と服薬でコントロールした後は、入眠障害や就寝時の抵抗に有意差がなくなったらしい。また、同じ研究者のその後の研究により、ADHDの子供は親が報告した就寝時と早朝の問題行動だけでなく、断片的な睡眠や睡眠効率の悪さ、日中の過度の眠気といった問題についてもあった。更にADHDの子供は睡眠時の呼吸問題や睡眠中の周期性四肢運動障害を経験する可能性が高かった。
ADHDを持つ7~12歳及び青年期の方は睡眠障害が有意に高かった。ADHDにおける睡眠障害は一般的であり、行動結果を悪化させる可能性があるとのこと。
成人のみを対象としたレビューでも同様の結果が得られている。ADHDを持つ成人は健常者と比較して、入眠潜時が長く、睡眠効率が低く、睡眠中の覚醒回数が多く、睡眠の質を自己認識する傾向が低い。ADHDを持つ成人と睡眠障害は双方向の関係にあるらしく、睡眠不足はADHDの症状を悪化させ、ADHDは睡眠不足を悪化させるとのこと。
生涯にわたる睡眠とADHDを調べた研究がいくつあるそうで、ナルコレプシーにおけるADHD症状の有病率は33%であり、子供や青年の25.0%と比べて成人の36.2%の方が高い傾向にある。
睡眠時間が短いことは、ADHDの症状、特に多動性と関連していることが示されており、睡眠時間が6時間以下の研究では有意な相関関係が見られた。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA:いわゆる睡眠時無呼吸症候群)の患者の最大95%はADHDを報告しており、ADHDの患者においても閉塞性睡眠時無呼吸症候群がADHDの症状に関係している可能性があるらしい。


ADHDと口腔

ADHDと子供の口腔衛生の関係を調べたメタ分析によると、有意に多くの虫歯、高いプラークスコア、歯の外傷リスクが見つかった。また別のレビューでも、ADHDの子供及び青少年は、歯の外傷リスクと歯肉炎リスクが高かった
ADHDの子供は睡眠中・覚醒中の歯ぎしりや食いしばりをする可能性が高かった


ADHDと過体重・肥満

複数のレビューによると、肥満外来を受診した肥満患者は、ADHDの有病率が高く、ADHD患者は体重が重く、BMIも平均以上である場合が多かった。ADHDを持つ成人の肥満率(28.2%)はADHDのない成人の肥満率(16.4%)と比べて約70%高かった。また、ADHDを持つ小児の肥満率(10.3%)はADHDのない小児の肥満率(7.4%)と比べて約40%高かった。
つまりADHDと肥満は双方向であり、成人期により高くなる傾向があった。一方で、小児におけるADHDと肥満の関連性は小さい様子。
小児と成人のこの違いは他でも見られ、小児のADHDとBMIの間には、年齢や時点を関わらず、高い関連性は見られなかった。またこの研究ではADHDは思春期の少女と成人においてのみ肥満と関連があり、小児や少年とは関連がないとしていた。但し、その後に発表されたレビューでは、ADHDの小児は過体重・肥満が同時に発生するリスクが有意に高く(OR1.56)、特に少年(OR1.45)、アジア人(OR3.25)又はヨーロッパ人(OR1.85)、薬物を使用していない小児(OR1.54)により発生するリスクが高かった



ADHDと事故・怪我・死亡率

ADHDを持つ小児・青年は、ADHDでない小児・青年と比べて、中毒リスクが有意に高かった(RR3.14)。またADHDをもつ小児・青年は、事故による怪我のリスクも高く、骨折リスクが2倍高かった。小児の重度の外傷性脳損傷は、ADHDのリスク増加と関連しているが、一方で脳震とう・軽~中度の外傷性脳損傷とは関連がなかった。
自己・怪我のリスクの多くは小児期に見られるが、一方で生涯を通じて発生するものも多くあるとのこと。例えばADHDと軽度外傷性脳損傷は生涯にわたって強力な関連性があるらしい。但し、ADHD→軽度外傷性脳損傷なのか、軽度外傷性脳損傷→ADHDなのか、どっちが先なのか判断するのが難しいそう。
またメタ分析によると、ADHDの人は対照群よりも怪我のリスクが2倍高いそうで、事故や怪我のリスクは年齢層によって異なり、12~25歳頃に集中して多く、青年期と若年成人でピークを迎える
ADHDは死亡率とも関連があり、ADHD患者は中毒リスクが高く、中毒による死亡リスクも高い。また、ADHD患者の全死亡率は一般人口よりも高く、特に非自然死による死亡率(RR2.81)が高かった


ADHDと病気・障害

ADHDを持つ小児は下部尿路症状(LUTS:尿が出にくい,排尿が難しい、尿が出過ぎる、尿が近い、頻尿などの症状)のリスクが高く、ADHDの重症度と正の相関関係にある。
ADHDを持つ小児はそうでない小児に比べて、喘息リスクが高い。但し、食物アレルギーは関係なく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎との関連は弱かった。
小児の慢性疼痛とADHDも関連があった。
ADHDを持つ小児はセリアック病リスクが高いとしたレビューもあれば、決定的な関連はないとするレビューもあった。
ADHDと色覚低下、乱視、遠視、斜視(近視ではない)と関係があるとする研究があった。但し、視力に問題があるとされた人のADHD有病率は高くなかった。つまり因果関係は、ADHD→視力問題であり、視力問題→ADHDではなさそう。
限定的なエビデンスながらむずむず脚症候群(RLS)とADHD又はADHDの症状は関連がありそうだった。むずむず脚症候群の症状を持つADHDの子供は11~42.9%、成人は20~33.0%だった。
ADHDを持つ人はそうでない人に比べて、2型糖尿病発症リスクが2倍高かった
ADHDと片頭痛の間には正の関連性があった。
ADHDとセリアック病には正の関連性があった。
高齢者を対象にした研究によると、ADHDの既往歴は神経変性疾患、特にレビー小体型認知症の発症リスクを最大5倍高める可能性があった。
心血管疾患(CVD)リスクの増加は、全年齢層においてADHDと関連があった。



ADHDと社会・ライフスタイル

日常生活、社会生活、ライフスタイルもADHDの影響を強く受けるとのこと。また、これらの影響は、犯罪行為・犯罪傾向、教育・雇用、生活の質、人間関係・社会的交流、リスクテイク(リスクを取ってリターンを狙う)行動に関連するリスクなどがあるみたい。


ADHDと犯罪行為・暴力行為

ADHDと犯罪行為は正の相関関係があった。
ADHDは早期発症と再犯リスク増加に関係していた。小児期のADHDと青年期・成人期の逮捕(RR2.2)、有罪判決(RR3.3)、刑務所に入ること(RR2.9)は関係があった。別のレビューによると、若者の受刑者の45%がADHD検査で陽性だった。更に別のレビューによると、刑務所におけるADHDの推定有病率は25.5%で、性別や年齢による有意差はなかった。同様の調査は他にもあり系統的レビュー・メタ分析によると、刑務所におけるADHDを持つ成人の有病率は26.2%、小児期のADHDの遡及的評価での推定有病率の上昇(41.1)と関連が見られた。
親密なパートナーや家庭内暴力を調査した研究によると、小児期・成人期のADHDと成人期の親密なパートナーや家庭内暴力には正の関連性があった。但し一部の研究では、素行障害又は反社会性パーソナリティ障害の併存疾患が考慮されていなかった。
メタ分析によると、ADHDを持つ人は対人暴力においての加害者(OR2.5)にも、被害者(OR1.78)にもなるリスクが高かった
ADHDを持つ人は、性暴力の加害者(OR2.73)にも、被害者(OR1.84)にもなるリスクが高かった


ADHDと教育・雇用

ADHDと教育の低さは一貫している。ADHDを持つ人はそうでない人と比べて4年制大学の卒業率が低かった。また、ADHDを持つ人はそうでない人と比べて、高校成績と大学成績が低く、早期退学、留年、特別教育の必要性、学校中退が高かった
更に他のレビューによると、未治療のADHDを持つ人は、ADHDを持たない人に比べて、達成度テスト結果(79%)と学業成績結果(75%)が低く、これはIQの差をコントロールした場合でも同様だった(達成度テスト結果72%・学業成績結果81%)。但し、ADHDの治療を行うことによって改善していた。達成度テスト結果(79%)の方が学業成績結果(42%)よりも改善度が高かった。これはIQの差をコントロールした場合でも同様だった(達成度テスト結果100%・学業成績結果57%)。薬物療法単独でのADHD治療による達成度テスト結果(75%)と学業成績結果(33%)、非薬物療法単独でのADHD治療による達成度テスト結果(75%)と学業成績結果(50%)よりも、様々な治療を組み合わせた場合の方が達成度テスト結果(100%)と学業成績結果(67%)の改善度が高かった
ADHDを持つ人は、仕事でパフォーマンスを発揮できず、安定した仕事や雇用状態の維持、役職を得るのが困難であった。その結果、より多くの経済的問題に直面し、公的サポートを受ける可能性が高かった。また、ADHDを持つ成人は、特にフルタイムでの雇用率が低く、頻繁に転職していた。更に小児期にADHDと診断された成人は、収入や教育、職業的達成が同年代の人よりも低く、結果、雇用の質も低かったADHDの症状が成人でも続く人は、仕事で有意に多くの問題を抱えていた成人期にADHDの症状が軽減した人でも、以前のADHD症状の悪影響が職業上の結果に出ることがあった。


ADHDと生活の質(QOL)

ADHDは成人及び小児の生活の質(QOL)を低下させることがわかっている。ADHDが生活の質に及ぼす全体的な影響は、他の精神疾患や重度の身体障害と同程度である。また、ADHDの症状レベルや障害の増大は生活の質の低下を予測する。
ADHDを持つ子供の親は、心理社会的、達成、自己評価の領域全体にわたって生活の質への強い悪影響を報告しているが、ADHDを持つ子供は親よりも自身の生活の質をそれほどネガティブに捉えておらず、必ずしも健常者よりも自分の能力が劣っているとは考えていない。
ADHDを持つ小児の健康関連の生活の質も有意に低下していた。詳しく見てみると、身体的健康関連の生活の質への影響は中程度、心理社会的関連の生活の質への影響は大きかった
ADHDを持つ子供たちは、精神的健康、自尊心、親の影響、感情・行動など、全ての心理社会的領域と家族活動において、より多くの問題を抱えていた。


人間関係・社会的交流

ADHDは、人間関係や社会生活上の困難とも関連があり影響も様々である。
ADHDを持つ子供は、そうでない子供に比べて、友人関係や社会性での障害が著しく大きい。社会的機能問題や友人関係でのトラブルは、特にADHDを持つ女の子に多い
社会的機能問題は、子供と先生とのやり取りでも影響が出る。ADHDを持つ生徒は先生との信頼関係が低い。また、先生もADHDを持つ生徒は他の生徒に比べて、感情的な親密さが低く、協力関係になく、対立関係の増加を経験するケースが多い。
ADHDは成人の親密な関係に強い影響を及ぼす。ADHDを持つ成人は離婚率が高く、恋愛関係での満足度が低く、パートナーとの関係で苦労するケースが多く、親密さも低く、親密さへの恐怖を感じる傾向もある。ADHDは、親密なパートナーとの暴力、怒り、敵対的な葛藤、葛藤解決率の低さとも関連がある。性的関係の点では、ADHDの人は性的満足度が低く、性欲が強く、自慰の頻度が多く、性機能障害が多く、性的健康が悪く、恋愛関係が難しい。またADHDを持つ成人には、子育ての困難さもよく見られる


ADHDとリスクテイク

リスクテイクとは、リスクを取ってリターンを狙う行動のことを言う。全部で5件の研究があり、うち3件は運転、うち1件は妊娠、うち1件は一般的なリスクテイク行動とADHDとの関連を調べていた。
ADHDを持つ人は運転の事故率が高かった。研究によればRR1.54としたものやRR1.29、暴露調整後RR1.23としたものまで様々だった。ADHDの運転者はスピード違反が多いが、飲酒運転や無謀な運転は多くなかった。別の研究でもADHDと運転事故の関係は、交通事故よりも違反や告発においてより顕著だった。更に別の研究によると、ADHDによって交通違反、交通事故、免許停止が増えることが分かり、理由はADHDの特性によって怒りのコントロールが出来ないからではないかと考えられた。
ADHDは10代の妊娠リスクの増加と関連があった。ADHDを持つ母親と妊娠合併症(子癇(けいれん発作)、感染症、帝王切開など)は関連があった。妊娠中のADHD治療薬による奇形リスクの増加は見られなかった。それどころか、妊娠中の刺激性薬剤(メチルフェニデートおよびアンフェタミン)による治療は、妊娠合併症・出産合併症(流産や胎盤機能不全など)のリスク低下と関連があった。
メタ分析によると、ADHDを持つ子供とADHDを持つ成人は、そうでない子供と大人に比べて、リスクテイクが中程度高かった


ADHDとその他

性別違和(性別不合)のある子どもと成人はADHD有病率が高かった。但し研究数が少なく、質も低かった。
ADHDの若者は、デジタルメディアに費やす時間が長く、ネット依存などの問題がより深刻だった。



まとめ

このアンブレラレビューでは、ADHDの中核的な症状や障害にとどまらず、様々な側面と影響に焦点を当てていました。そしてADHDの影響を広く体系的に明らかにした初めての研究とのこと。
その結果は、ADHDに関連する健康とライフスタイルのリスクの広がりを明らかにしており、依存症、自殺・自傷行為、気分障害・人格障害、摂食障害といったメンタルヘルスへの大きな影響があることを示しています。
また、睡眠、口腔、過体重・肥満、事故・怪我、病気・障害といった主要な身体的健康リスクにも影響がありそうです。
更に、犯罪行為・暴力行為、教育・雇用、生活の質(QOL)、人間関係・社会的交流、リスクテイクといった領域にも影響がありそうです。
これらの結果は、ADHDが個人の生活や社会の様々な側面と相互関係にあることを示しています。また、ADHD患者の健康と幸福への有害な影響はこれだけ多岐にわたるため、包括的なアプローチを採用することが重要とのことでした。



個人的考察

以上、「2024年にノッティンガム大学から発表されたADHDに関連する影響についてのアンブレラレビュー(非常に質の高い研究)を見てみよう!」シリーズでした。
就労支援事業所として、支援できる部分は少ないかもですが、関係機関と上手く連携して、上記にある「包括的なアプローチ」ってのを実現していきたいですね~。



参考文献