【加筆内容】さて、孤独・社会的孤立のデメリットとそのポイントを見ていきましょうか。その3
孤独・社会的孤立のお話の続きです。
今回は大規模なメタ分析を見つつ、実際の支援・対策はどうすべきかを考えていきたいと思います。
2015年のブリガムヤング大学の研究によると、孤独・社会的孤立と死亡率の関係を前向きコホート研究のメタ分析してみたそうです。
まず、研究者たちは、MEDLINEやCINAHL、PsycINFO、Social Work Abstracts、Google Scholarを使って、1980年1月~2014年2月24日までに発表された孤独研究を2回検索してみたそうな。更にデータベースで検索できなかった研究を手作業で調べたらしい。
そして集められたデータは孤独と社会的孤立を区別したそうです。理由はそれぞれが独立した要素である可能性があり、片方だけ発生する場合があるからとのこと。
どういうことかというと、
- 社会的に孤立していても満足している人がいる:人との接触が最小限でも満足した生活を送っている場合
- そもそも社会的孤立が好きな人もいる:一人でいることが好きな場合
- 社会的接触が多いが孤独を感じている人もいる:他人との接触は多いが孤独感を感じている場合
が考えられるんですよね。
つまり、
- 孤独感アリ・社会的孤立アリ
- 孤独感アリ・社会的孤立なし
- 孤独感なし・社会的孤立アリ
- 孤独感なし・社会的孤立なし
の4パターンが考えられるんですな。
そしてこの研究では、客観的な場合(社会的孤立・一人暮らし)と、主観的な場合(孤独)を以下のように定義したとのことです。
- 社会的孤立(客観的な孤立):社会的な接触が少ない、人とのコミュニケーションが少ない、社会活動への参加が少ない、友達が少ない。
- 一人暮らし(客観的な孤立):他人と暮らさず一人で暮らしている。
- 孤独(主観的な孤立):孤独感がある、孤立感がある、帰属意識が満たされていない。
この定義を用いて研究開始当初に仕分けて測定し、その後追跡調査して死亡率を見て判断した研究をピックアップしたみたい。
んで、集められた研究を精査した結果、基準を満たしたのは70件でこれらをメタ分析にかけたそうです。因みに総サンプル数は3,407,134人で、データ収集当時の平均年齢は66.0歳、平均追跡期間が7.1年とのことでした。
気になる結果は、
- 社会的孤立で死亡率が29%アップしていた…!
- 一人暮らしで死亡率が32%アップしていた…!
- 孤独(孤独感)で死亡率が26%アップしていた…!
とのこと。
つまり、客観的な孤立でも主観的な孤立でも死亡率はアップしてしまった…!ってことですね。因みに因果関係は不明ながら、性別の違いや国の違いなどを効力しても結果は同じらしいです。
この結果だけだと、孤独と孤立に違いはなさそうですが、研究者曰く、
- 孤独と孤立の両方が低い人はおそらく死亡リスクが最も低く、両方が高い人は死亡リスクが最も高く、片方だけ高い人は中間の死亡リスクにあると考えられるだろう
ということです。
つまり上記で挙げた4パターンだと死亡リスクが高いのは、
ってことになりますね。
つまり上記で挙げた4パターンだと死亡リスクが高いのは、
- 1位:孤独感アリ・社会的孤立アリ
- 2位:孤独感アリ・社会的孤立なし、孤独感なし・社会的孤立アリ
- 3位:孤独感なし・社会的孤立なし
個人的考察
孤独・社会的孤立の両方がないことに越したことはありませんが、
などをみていると、どうやら問題の多くは不安や寂しさといった孤独感の方みたいなんで、これだと就労支援事業所でも対策・支援が出来そうですよね。
- 主観的に慢性的な孤独では炎症遺伝子が増加&抗体遺伝子が減少するけど、客観的な孤独は関係ない…!
- 孤独感で認知症の発症リスクがアップするけど、社会的孤立は関係ない…!
などをみていると、どうやら問題の多くは不安や寂しさといった孤独感の方みたいなんで、これだと就労支援事業所でも対策・支援が出来そうですよね。
だって、独身や死別はどうにもならんですし、一人暮らしってのは、アットホームなグループホームを進めるぐらいで、これは相談支援専門員(相談支援事業所)がメインですからね(実際の友達がいない&少ないってのは就労支援事業所でもどうにかできそうですが)
となれば、孤独感を感じないように声掛け等できるかが支援のポイントとなりましょう。特に最近はコロナによって在宅支援もあったりするんで、ここは押さえておきたいっすね。
じゃあ、具体的にどうしていけばいいのかですが、まずは事業所に通ってもらったり、電話や対面で支援者と話をするのが良いと思います。その際に支援者は雑談・承認・声掛けを積極的にしていくのがよろしいかと思います。
それによって利用者さんに、
と孤独感は減るのではないでしょうか。
合わせて、事業所に来れば同じく利用している仕事仲間もいますんで、(客観的な)社会的孤立も減るかと思います。
これを日々行っていくことを基本としつつ、更に長期的な支援・対策としては、
を行っていくと良いのではないかと思います。