マルチタスクってのは2つ以上のことを同時に行うことで、基本的にパフォーマンスが落ちちゃうのでなるべく避けた方が良いんですよね。
しかし、そこには例外があるよーってのが今回のお話です。


マルチタスクのパフォーマンス低下には例外がある…!それは運動+頭を使うこと…!

2015年のフロリダ大学の研究によると、パーキンソン病の方と健康な高齢者を比較して、運動と認知機能のマルチタスクにおけるパフォーマンスの影響について調べてみたそうです。
そもそもマルチタスクを行うと、片方又は両方のパフォーマンスが落ちるんですが、パーキンソン病の方は更にパフォーマンスが落ちちゃうんですよね。
じゃあ、運動と認知機能のマルチタスクだと実際パフォーマンスはどうなるのかを調べたのが今回の研究になります。
実験はパーキンソン病の患者さん28名と健康な高齢者の方20名で行ったそうで、流れはこんな感じとなっております。

  1. まずは参加者全員に静かな部屋に座ってもらう。
  2. 12種類からなる認知テストを受けてもらう(この認知テストで認知処理速度、認知処理制御、視覚情報処理、単語記憶、ワーキングメモリ実行機能の6つの認知機能をチェックした)
  3. 自分が思う快適な速度でエアロバイクを漕ぎながら、再度、12種類の認知テストを受けてもらう(エアロバイクの合計時間は33~50分だった)
  4. 最後に統計処理をして、座って認知テストとエアロバイク+認知テストのデータを比較してみた。

気になる結果を見てみると、

  • エアロバイク+認知テストを行うとエアロバイクだけ漕ぐよりもスピードが速くなっていた…!
  • パーキンソン病の方、健康な高齢者の方の両方で、エアロバイク+認知テストを行うと6つの認知テストで大幅に漕ぐスピードがアップしていた…!
  • エアロバイクのスピードは、最も簡単な認知テストで速く、認知パフォーマンスはほとんど影響を受けていなかった…!
  • パーキンソン病の方は健康な高齢者の方に比べ、エアロバイクのスピードが遅く、エアロバイク+認知テストのメリットが少なかった…!
  • エアロバイク+認知テストでのパフォーマンスは3つの例外を除いて差がなかった…!逆に2つの認知テストに至ってはパフォーマンスが向上していた…!

とのこと。
通常、マルチタスクはパフォーマンスが落ちるのに、エアロバイク+認知テストだと運動パフォーマンスは向上、認知機能も影響なしか、場合によってはアップする…!ってのはすごいですねー。マルチタスクにも例外がありましたな。
但し、注意点もあるみたいで、運動レベルが低く一定に保たれている必要があるそうな。そのため、HIITのような激しい運動ではパフォーマンスアップは望めないらしい。
つまり、運動に気を取られない、無意識なレベルでできる運動で仕事や勉強、読書なんかをすると良い…!ってことですね。
因みに運動・認知機能の両方に重要なカテコールアミンの分泌増加が関係しているんじゃないかとのことです。



個人的考察

以上を踏まえて、マルチタスクの例外を上手く使うのならば、

  1. 快適な運動レベル(運動に気を取られない、無意識なレベル)で運動する(トレッドミルによるウォーキングやエアロバイク、スタンディングデスク、ステッパーなんかが良さそう)
  2. その上で、仕事や勉強、読書なんかをする

と、運動パフォーマンスアップも認知機能アップもしてウマウマな状況になるってことですねー。



参考文献