令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要と、介護福祉からみえる今後の個人的予想
令和3年2月4日に第24回障害福祉サービス等報酬改定検討チームの開催があったそうで、そこでの議論を踏まえ、ついに概要が取りまとめられたみたいです。
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定についての概要は厚生労働省のページでダウンロードが可能となっております。
因みにダウンロードできるPDFは下記の3種類となっております(下記リンクからもダウンロード可能です)3年度事おなじみの書類ですね。それぞれの書面ですが、私の場合は下記のようにみていきます。
- はじめに「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」をみる。ざっくり主要な改定項目を押さえて、全体像をなんとなく把握する(カラーだし、イラストや表も使われ分かりやすいので)
- 次に「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」をみて、関係ある項目・サービス(私の場合は就労移行支援と就労継続支援B型)を細かく見て行く
- 最後に「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」の関係あるサービスの報酬額をみる
更に、
- 上記の手順で初回のチェック時に必要な項目や文章にバーッとハイライト(マーカー)、書き込み(その時思った疑問・解釈など)、付箋を貼っていく。これはそれぞれのページ数が25ページ、157ページ、68ページとかなりのページ数があるが必要なページは限られているため
- 2回目のチェック時は付箋とハイライト、書き込みの場所を中心に更に細かく目を通していく。更に必要な場所にハイライト、書き込みをする
のように見ております。私は見る項目が少ないため、大体1時間もあれば必要な項目の報酬改定の内容については細かく抑えられますが、たくさん見なければいけない方は上記方法をお試しになると便利かもしれません。
改定内容について一つ一つ見て行っても良いんですが、それだと長くなりすぎてしまいますんで、ここでは確認した際に、思った流れと全体像について書いておきます。
今回の報酬改定を一言で言うと、平成30年度報酬改定でガッツリ締め付けた部分から少し緩めてバランスをとってきたな~という印象。
というのも、
- 以前はNPO法人や社会福祉法人が就労移行支援や就労継続支援サービス(事業所)を行っていた。しかし、色々問題があった(事業所の数や質、選択権のなさなど)。つまり門が閉じられた状態
- 事業所の件数を増やし、サービス質を向上させるため、株式会社の参入を認めた。つまり門を一気に限界まで解放した
- 厚生労働省の思惑の通り、株式会社の参入で事業所が一気に増えて利用希望者の選択肢が充実し、多種多様な事業所が増えた。一方で、サービスの質の差や虐待、不正請求等の問題が増えた。つまり限界まで解放した門に人が殺到し、ごった返した。戦国時代みたいな状態になり事業所は飽和状態に…
- 平成27年度で就労継続支援A型の締め付け、就労移行支援の就労定着者数による締め付け、平成30年度に就労移行支援の更なる締め付け、就労継続支援B型の締め付けで一気に事業所を淘汰しだした。つまり門をかなり閉めて、本当にサービスの質のいい事業所のみにしようとしてきた。この締め付けはすごかったな~まさに地獄…
- 令和3年度の報酬改定で少し門を開けた。門の開閉具合をちょうど良くするため微調整してきた
ってイメージですね。つまり、約10年間かけて厚生労働省は利用希望者が自分で好きな事業所を選べるだけの事業所(選択肢)を用意し、更に事業所全体のサービスの質の底上げをしてきたっていう感じ。う~ん。長期戦略。
更にコロナ対応としての在宅の見直し(急に検討することになって大変だったろうな~)や令和3年度限定で平成30年度、令和元年度、令和2年度の中で一番成績が良かったもので基本報酬を算定していいよ…!ってルール(令和4年度以降も継続するかは未定ということ)も盛り込まれていたりなど時代に合わせた改定も盛り込まれておりました。
当事業所にとっては、就労定着者数を2か年度としてくれたことや、就労移行支援体制加算の見直しあたりはかなりうれしいし助かりますね~。
それと施設外就労(施設外就労加算・移行準備支援体制加算(Ⅱ))を見直すよーって話はちょっとびっくりですね~。おそらく平成27年度ぐらいから始まった自社で回すのを避けるためかな~とか想像していたり。過去に就労継続支援A型の就職は一般就労としてカウントさせないとして自社の移行orB型からのA型就職を回避させましたしね。今回ので自社の移行orB型→自社の施設外就労先に行って加算を取るってのを回避させようとしているように思います。そのためまずは手始めに、見直すよ…!って書いてみて反応がどうか見ている感じに思いますね~。
介護福祉のコピペが障害福祉。つまり…。
偶然なんですが、介護のルール改定について知る機会がございまして、驚いたのが介護は3年後(令和6年度)から無資格だとできなくなるということ。少し調べてみるとニュースにもなっていたみたいですね。
調べた内容と個人的予想も踏まえて、下記に記しておくと、
- 確かに介護は3年後(令和6年度)から無資格だとできなくなるみたい(暫定3年間の間で早まる可能性もある)。因みにこの案は平成28年頃からあったみたい
- 無資格者は令和6年度までのどこかで資格を取るか、認知症介護基礎研修を受けておく必要があるみたい
- おそらく理由は医療と福祉を並ばせるため(医療の下が福祉という構図を変える。例えば数年前に介護福祉士の試験内容を変えたのもその一環。将来的に看護師と介護福祉士を同格にするため)、専門職として専門知識の必要性、虐待防止などが挙げられそう
- 介護福祉のコピペが障害福祉。つまり、この流れは障害福祉にもくるかもしれない
- 介護福祉は令和3年度から経過措置で令和6年度から完全移行ということ。今回の報酬改定で障害福祉にこの件は盛り込まれなかったようなので、次回の報酬改定に盛り込まれるとすると令和6年度から経過措置で令和9年度に完全移行があり得るかも…?
- 認知症介護基礎研修は、1日で終わり、6時間との事。また、e-ラーニングでの完全受講を可能としていくらしい。障がいの方にもこれに代わる研修(資格)ができるのかも…?
- 認知症介護基礎研修の受講対象者は、認知症ケアの業務に従事する者(現任者)らしいので、利用者で介護に興味・就職希望があれば、介護職員初任者研修の取得を早めにしておいた方が良さそう
- 介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)のついになるもの(障がい者バージョン)を考えると就業支援基礎研修が考えられる(実務者研修・実践研修とどちらもその上がある)。もしかしたら、就業支援基礎研修の需要が高まるかも…?(ジョブコーチに比べ研修開催頻度が多いため)
- 障がい支援のスタッフも早めに研修や資格を取っておいた方がいいかも…?
かなり個人的な予想が多いのですが、この波は障害福祉にも来る予感がしますね~。
個人的考察
以上、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要と、介護福祉からみえる今後の個人的予想でした。
ご参考になれば幸いです。