自分に合うマットレスとはどのような物なのか?
以前ウェイトブランケットのところで、マットはどんな高級な物でも床で寝ているのと睡眠の質が変わらなかったという衝撃の研究結果があるよ…!ってことを書きました。
マットレスの上で寝てもコンクリートの床の上で寝ても、睡眠の質(睡眠の長さと持続性)に全く差がなかった…!
デビッド・ランデルの著書「Dreamland ADVENTURES IN THE STRANGE SCIENCE OF SLEEP」にはウィリアム・C・デメント博士(睡眠学の世界的権威。1970年にスタンフォード大学に世界初の睡眠障害センターを設立した方。睡眠負債(毎日の睡眠不足が借金のように溜まり、健康に悪影響を及ぼす状態のこと)という言葉を作ったことでも知られる)が行った、マットレスとコンクリートの床で寝比べて、睡眠の質(睡眠の長さと持続性)にどのような違いが出るのかを調べた非公式実験が掲載されております。
デメント博士はアメリカのあるマットレスメーカーから、(1960年代当時の)最新技術を使って開発した新型マットレスの試作品をテストする仕事の依頼を受けたそうです。新型マットレスの内側には無数のセラミックビーズが詰め込まれ、これを通して暖かな空気が循環する仕組みとなっていたそうで、あたかも、水分を含んだ柔らかな土の上で寝ているような気分を味わえるということでした。因みにデメント博士のメモによれば、「研究室のスタッフたちは、皆、今まで使った中で最高のマットレスだと絶賛した」そうです。
マットレスの会社の依頼は、この新型マットレスがどれだけ睡眠の質を改善するのかを調べてほしいというものだったそうです。従来のマットレスよりも良い結果が出れば、新製品として数千ドルで販売するつもりだったそうな。
デメント博士はマットレス同士を比べても大きな差が結果ででないのではと思い、テストの結果を分かりやすくするため、3種類のシチュエーションを用意したとのこと。
その3種類のシチュエーションとは、
その3種類のシチュエーションとは、
- 新型のマットレスで寝る
- 従来のマットレスで寝る
- 何も敷いていないコンクリートの床で寝る
コンクリートの床を指定された参加者は文句も言わずに(笑)、固い床の上で一晩を過ごしたんだそうな。その際のデータはデメント博士のチームによって解析されたそう。そして、結果は3つとも睡眠の質(睡眠の長さと持続性)において全く差がなかったんだそうな。
デメント博士曰く、まさに衝撃の結果だった。どのシチュエーションでも、被験者の睡眠時間や質は全く同じだったのだとのこと。
因みに実験の依頼元であるマットレスメーカーにこの結果を伝えたところ、早々に研究が打ち切られたらしいです。悲しいですね~。
しかし、上記実験を行ったデメント博士は、のちに自らの著書「ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?」で以下のように述べております。
しかし、上記実験を行ったデメント博士は、のちに自らの著書「ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?」で以下のように述べております。
「しかしいま考えれば、おかしな話ではないことがわかる。手がかりは、被験者が大学生だったことだ。しかも時期は最終試験が終わったばかりの春休みで、学生たちは睡眠不足が最高潮に達していた。若い彼らは、どこだろうとぐっすり眠れる状態だったのだ。もし被験者が中年で、睡眠負債がもっと少なかったら、全く違う結果が出ただろう。」とのこと。
つまり、サンプルに問題があったのかも…?って話ですね。
その後の研究でも意見が割れている…!
実はマットレス研究はその後も行われているんですが、なかなか答えが出ないみたいなんですよ。例えば、2000年のヨーテボリ大学の研究によると、9人の男子学生に色々な硬さのマットレスで寝てもらったんだそうな。結果、睡眠の質に変化はなかったとのこと。その一方で、2009年のオクラホマ州立大学の研究によると、睡眠障害のない健康な男女59人(男性29人、女性30人)に28日間程、良いマットレスを使ってもらったそうで、結果は、睡眠の質が向上し仕事のストレスも下がったらしい。こんな感じで結果はバラバラみたいで、更に2011年のカレッジ・オブ・レイク・カウンティの研究ではノースカロライナ州ローリー・ダーラム地域に住む健康な男女128人に協力をお願いし、マットレスの硬さの影響が痛みや睡眠時間、睡眠の質、翌日の調子にどのような影響を及ぼすのか調べたそう。因みに参加者の年齢は24〜68才でBMIが17.9〜45だったそうな。
んで、参加者には7種類の硬さのマットレスが用意され、ランダムに振り分けられたそうで、自宅で約4週間、実際に寝てもらったみたい。その後、別のマットレスで更に4週間ずつ寝ることを繰り返していったんだそうな。
んで、参加者には7種類の硬さのマットレスが用意され、ランダムに振り分けられたそうで、自宅で約4週間、実際に寝てもらったみたい。その後、別のマットレスで更に4週間ずつ寝ることを繰り返していったんだそうな。
結果、睡眠の質はマットレスの硬さによって大きく変わることがわかったんですが、ここで大きな問題も一緒に分かったんですよ。それが、
- どのマットレスがベストなのかは個人によって全く異なる
- ほとんどの人は自分に合うベストなマットレスを見抜くことができない
こりゃ難易度が高すぎまっせ…。
個人的考察
以上からマットレスは別に高いものを買えば良いってわけじゃないのは言わずもがな。しかも、自分はベストと思っているマットレスでも実は自分に合っていない可能性もある訳でして…。
参考文献
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