障がい者支援について考える その8「番外編:アクセプタンスとアイスキューブ・チャレンジ」
引き続き「少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ」シリーズを行っております。
2月の社内研修では引き続き「少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ」シリーズを行っております。そちらの内容は以前に書いておりますので、気になる方は下記からご覧下さい。
- 少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ動機や対策について その1
- 少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ動機や対策について その2
- 少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ動機や対策について その3
ブログ限定社内研修
前回書いた通り、これだけだと物足りない方もいるかと思いますんで、ここからはブログ限定社内研修を行います。時間の都合上、社内研修に導入できずにいた内容で、体験型の物となっております。是非、各自で行っていただければよろしいかと…。
そもそもアクセプタンスってなに…?
今回、ブログ限定社内研修でご紹介する内容は、今の自分のアクセプタンスレベルを知り、鍛える方法です。ではまず最初に、そもそもアクセプタンスってなんだっけ…?って話から。
熊野先生の講義でも出てきましたが、自動思考(ある場面でふっと浮かび、状況から離れると消えていく評価的な思考のこと)を気付いて変えようとしたのが第二世代の認知行動療法。しかし、自動思考に対して変えようと意識すると返って考えてしまう、いわゆるシロクマのリバウンド効果が発動してしまい上手くいかなかったんですよね。
熊野先生の講義でも出てきましたが、自動思考(ある場面でふっと浮かび、状況から離れると消えていく評価的な思考のこと)を気付いて変えようとしたのが第二世代の認知行動療法。しかし、自動思考に対して変えようと意識すると返って考えてしまう、いわゆるシロクマのリバウンド効果が発動してしまい上手くいかなかったんですよね。
んで、それらに気付いてから、じゃあ、自動思考は変えられないなら、傍観、観察し、それに巻き込まれない力を付けよう…!って発想になったわけです。これがアクセプタンスですね。つまり、アクセプタンスとは思考の傍観ってことになります。不快な私的出来事(思考・感情・身体感覚・記憶など)に気づき、そのままにしておくってことですね。
もうちょい詳しく言うなら、身受心法の「身=身体」と「受=感受」の部分ですね。これも軽くおさらいしておきますと、呼吸に伴う身体感覚に注意を向ける。その時の色々な身体感覚や思考(いわゆる六根(五感+自動思考))を感じ取ってそのままにしておく。これがアクセプタンスって感じですね。
アイスキューブ・チャレンジ
アクセプタンスを思い出していただいたところで、次に自分のアクセプタンスレベルを知り、鍛える方法に入っていきます。
今回ご紹介するのは名著「セルフ・コンパッション あるがままの自分を受け入れる」で有名なテキサス大学オースティン校のクリスティーン・ネフ教授が推奨している方法で、アイスキューブ・チャレンジというものです。
やり方は以下の通りとなっております。
①準備
あらかじめ冷凍庫で氷を作っておきます。氷は普通の製氷機で作る2,3センチメートルぐらいの立方体の物でOK。
また、ストップウォッチを用意します。なければ時計でもOK。
②氷を手に持つ
①で作った氷を一つ持ってきます。
ストップウォッチをスタートし、持ってきた氷を手に握ります。
③湧き出る思考に気づきを得る
氷を握っていれば当然、冷たい…!、痛い…!、放したい…!、なんでこんなことをしているんだ…?、限界だ…!など、色々な思考が浮かんできます。まずはその思考の存在に気づきを得ます。その上で、
- 今この瞬間にある思考は単なる思考に過ぎない事を感じ取る
- 感じ取った思考があるからといって、アクションを起こす必要はない(例えば、冷たいからといって氷を手から離す必要はない)
- 感じ取った思考に対してアクションを起こすかどうかを決めるのは自分次第である(冷たいからといって氷を手から離すかどうかを決めるのは自分自身である)
を感じ取ります。
④湧き出る身体感覚に気づきを得る
次に③で浮かんだ思考はいったん置いといて、氷がもたらす身体感覚に意識を集中していきます。そして、その身体感覚の存在に気づきを得ます。その上で傍観、観察し続けます。具体的には、
- 冷たい…!では具体的にどのあたりがどのような感覚かな…?
- 手の平の中指の付け根の下あたりは感覚がないなー。でも、中指の第二間接あたりから上はビリビリするな…
- 溶けてきてしずくが垂れそうだな…
ポイントは評価的思考はせず、あくまで傍観、観察に徹するってところですね。
⑤更に湧き出てくるネガティブな思考や身体感覚に気づきを得る
そのまま氷を持ち続ければ、当然、ネガティブな思考や身体感覚がどんどん湧き出てきます。それら全てに対して、③④に書いたようにひたすら気づき、傍観、観察をし続けます。
⑥氷を手から放す
最低でも3分間程、氷を握ってもらい、その後、ゆっくりと氷を手から放します。
⑦気づきについての一人反省会を行う
最後に、気づきについての一人反省会を開催します。
反省会で考える内容の例としては、
- 湧き出た身体感覚や思考はどのようなものだったか…?
- 湧き出た身体感覚や思考に対する抵抗感(ネガティブ)に気付いたか…?
- どのような抵抗感(ネガティブ)があったか…?どのように対処したか…?
- 湧き出た身体感覚や思考の抵抗感(ネガティブ)を受け入れ、氷を握り続けられたか…?
- ①~⑦を行って何を学べたか…?
っという感じとのことです。
この一人反省会の自己評価から、今の自分のアクセプタンスレベルを知ることができます。また、アイスキューブ・チャレンジを続けることによって鍛えてもいけるわけですね。
個人的考察
⑥のステップの氷を放した後、自己統制法のように手の平に温かさが戻る感覚に意識を集中させるのも個人的におすすめです。今度はポジティブな思考や身体感覚がどんどん湧き出てくるんですよね。それらにも振り回されずに気づき、傍観、観察を決め込むとネガティブ・ポジティブの乱高下に振り回されないようになる感じがするので躁うつ病の方とかにおすすめしたいところ。
是非、実際にお試しください。
是非、実際にお試しください。
参考文献
リンク
リンク
リンク