【加筆内容】すきっ腹に運動は良いのか?
運動は大量のエネルギーを使うから、空腹状態ではしない方が良い…!って話ですね。
ではこれは実際のところどうなのか…?ってことで、それらを調べた実験を見ていきます。
ではこれは実際のところどうなのか…?ってことで、それらを調べた実験を見ていきます。
すきっ腹に運動で体脂肪が増えずに筋肉が増え耐糖能とインスリン感受性が改善した…!
2010年のルーヴェン・カトリック大学の研究によると、すきっ腹に運動は良いのか…?について調べてみたそうです。
具体的には空腹+運動と食事+運動で体重や耐糖能、インスリン感受性に違いが出るのかチェックしたとのこと。
この研究は18~25歳までの健康な男性28人を対象に行ったそうで、平均年齢は21.2±0.3歳、体重は71.5±1.9kgだったそうな。因みに実験中、1名が実験と関係のない病気でリタイアしたそうで、最終的なサンプル数は27人だったらしい。
まず参加者全員は実験開始の2週間前に、エアロバイクでVO2maxなどをチェックしつつ、更に4日間、食事記録もつけてもらったそうです。
その後、全員には以下のような高カロリー・高脂肪食を6週間摂り続けてもらったそうな。
- 高カロリー:1日当たり3000kcal、3500kcal、4000kcal、4500kcalという4つの異なるカロリーメニューをとってもらった。この食事メニューで、1日のカロリー摂取量がプラス30%以上増加した。
- 高脂肪食:各食事メニューの三大栄養素の割合は、脂肪約50%、炭水化物約40%、タンパク質約10%だった。
上記高カロリー・高脂肪食の食事を取ってもらいながら、参加者を以下の3グループにランダムに振り分けたそうです。
- 空腹+運動グループ:10人には、すきっ腹に運動してもらった。
- 食事+運動グループ:10人には、運動前と運動中に炭水化物を摂取してもらった。
- コントロールグループ:7人には、特に運動してもらわなかった。
ではここで、空腹+運動グループと食事+運動グループの詳細について見ていきましょう。
運動は週4日で行われたそうで、空腹+運動グループは全ての運動を空腹で行いました。それに対して、食事+運動グループは、運動の約90分前に炭水化物が豊富な朝食(675kcal、炭水化物70%、脂肪15%、タンパク質15%)を食べてもらったとのこと。
更に空腹+運動グループは運動中、1時間当たり500mlの水しか飲まなかったのですが、食事+運動グループは、1時間当たり500mlの特性ドリンクを飲んだそうです。このドリンクは、水+体重1kg当たり1gのマルトデキストリン(吸収率の良い炭水化物)というものだったみたい。
そして上記による1日当たりのカロリー摂取量のズレを合わせるため、空腹+運動グループには、朝食と特性ドリンクを午後半ばに食べたそうです。
週4日の運動は、必ず午前6:30~9:00の間に行われたそうで、週2日の60分間と週2日の90分間で構成されていたとのこと。因みに運動メニューはエアロバイクとランニングを組み合わせたものだったらしく、有酸素運動がメインだったみたいです。
実験終了後、集められたデータを統計処理した結果がこちら。
- コントロールグループの体重は3.0±0.8kg増加した…。
- 食事+運動グループの体重は1.4±0.4kg増加した…。
- 空腹+運動グループの体重は0.7±0.4kgと増加していなかった…!
- コントロールグループよりも食事+運動グループは耐糖能とインスリン感受性が良くなっていたが、空腹+運動グループは更に耐糖能とインスリン感受性が良くなっていた…!
- 食事+運動グループではみられなかったが、空腹+運動グループはコントロールグループよりも、筋肉成長スピードがアップした…!
どうやら、すきっ腹に運動は食事+運動よりも、体脂肪が増えずに筋肉が増え、耐糖能とインスリン感受性が改善するというアドバンテージがあるみたいですね。
この研究は、上記研究とスタイルが似ていて、男性20名が参加したものとなっております。
まず参加者は以下の2グループにランダムに振り分けたそうです。
- 空腹+運動グループ:10人
- 食事+運動グループ:10人
食事+運動グループには、運動前に炭水化物が豊富な朝食を取ってもらい、更に運動中にも炭水化物を摂取してもらったとのこと。運動については1回2時間の運動(VO2maxの70%ぐらい)を行ったそうです。
結果、
- 予備テストでは、運動によりeEF2のリン酸化(≒筋肉成長スピードがアップ)が約2倍増加した…!
- 本テストでは、食事+運動グループではeEF2のリン酸化が無効になった…。しかし、空腹+運動グループは無効化されなかった…!
とのこと。
つまり、空腹+運動グループは食事+運動グループよりも運動後、筋肉成長スピードがアップする…!ってことですね。
個人的考察
但し、これらはいずれも数週間での結果なので長くなっても同じ効果が得られるかは分かりません。
カロリー制限は確かに脂肪を積極的に使ってくれますが、一方で激しいカロリー制限を長期的に行うと、デメリットがメリットを上回る可能性も高そうです。ミネソタ飢餓実験然りでストレス(コルチゾール)もヤバそうですしね。
もちろん、栄養を補給しなければ筋肉の維持は厳しいですし、分解も進んじゃうんでやはり補給は必要でしょう。実際、上記実験でも朝食や運動前、運動中に補給しなかった部分を夕方に補給していますし。
それらを踏まえると、
- すきっ腹に運動は良いけど、その分の栄養は別で補給した方が良い
- 断食するにしてもプチ断食程度で抑えておきたい
- チートデイの導入などメリハリをつけた方が良さそう
って感じになるのではないでしょうか…?
いずれにしても1日の中で栄養補給はしっかりしておきたいですねー。