対人トラブルでよくある距離感問題のヒントになりそうな研究の話
就労支援事業所で働いていると日々トラブルが起きまして、その中でも対人トラブルは皆さんの悩みの種になっているかと思います。そして対人トラブルでよくあるのが距離感問題です。
距離感とは、
- 物理的距離感:実際に測れる距離。例えば同性なら腕一本、異性なら腕二本分距離をとると良いなど
- 精神的距離感:実際に測ることができない心の距離感。日常会話程度かプライベートな話もできるかなど
の大きく2種類に分けることが出来るかと思います。
触って良い場所悪い場所・タッチの判断基準について調べてみた…!
2015年のアールト大学の研究によると、ボディタッチの範囲について調べてみたそうです。
この研究はダンバー数で有名なロビン・ダンバー教授も関わっておりまして、人に触れるという行為はポジティブな感情を伝えるための強力な方法なんだけど、詳しいことがよく分からんからチェックしてみたものとなっております。
具体的にはフィンランド、フランス、イタリア、ロシア、イギリスの5ヶ国からの参加者1,368人にインターネットアンケートを用いて親戚や友人、見知らぬ人に触らせてもよい体の部分を聞いてみたんだとか。
するとまず分かったことが、
- 他人に触れる理由の数は、その人との感情的なつながりと正の相関があった…!
- 感情的に最も近い他人が最も多くの理由で触れられていた…!
- 罰や他害行為、恐怖の為に触れるというのは稀だった…!
- 他人に触れる一番の理由は挨拶だった(これは海外のあいさつが握手だからでしょうな)
とのこと。感情的なつながり、つまり信頼感とか親密感が高いとボディタッチが多いと。そりゃそうでしょうな。
続いて、具体的に触れても良い場所、嫌な場所を調べた図を見てみましょう(クリック又はタップで拡大できます)
ポイントは、
- パートナー(配偶者とか)は、基本的に体のどこにでも触れてOK
- 仲の良い友達や家族親戚は、頭と肩・腕・手がOK
- 他人は手だけOK
- タブーゾーン(触るの禁止エリア)は、基本股周辺で、家族親戚、知り合い、他人が該当する
- しかしなぜかタブーゾーンは仲の良い友達だとなくなる
- 女性(母親や姉妹)に触れられることには皆抵抗が少ない
- 驚くべきことに知り合いの女性や知らん女性でもタブーゾーンがなくなる
といったところでしょうか。
次に触れやすさを決めている基準の図を見てみましょう(クリック又はタップで拡大できます)
こちらのポイントも挙げておきますと、
- 社会的関係性(左側)と触れやすさは、頭や胴体、太もも、足の触れやすさと関係していた。但し手は関係なかった
- 感情的なつながり(中央)と触れやすさも、頭や胴体、太もも、足の触れやすさと関係していた。但し手は関係なかった
- 最後に出会ってからの経過時間(右側)は、関係なかった
そうです。
まとめると、
- 男女問わず男に触られるのは嫌で女に触られる方が良い
- 親しい人を除き、手以外は触らない方が良い
- 手以外を触ってきたら、その人は親しい人か距離感のつかめない人と思うと良い
- 触れやすさを決めているのは社会的関係性と感情的なつながり
- 一度できた距離感は時間の経過によって変わりづらい
って感じ。
またこの結果は、ボディタッチ(物理的距離感)の範囲は感情的なつながり(精神的距離感)の強さというのも押さえておきたい部分でしょう。
個人的考察
こういったことを科学的に見ていくと、なんとなく思っていたことの答え合わせが出来ていいですよね~。
それと上記の研究結果は手のみOKとなっていましたが、あいさつイコール握手の習慣がある海外ならではの感じが個人的に致しますので、やはり基本的には触らない方がよろしいかと思います。