【まとめ】メンタル安定や睡眠の質向上に幸せホルモン「セロトニン」は必須!では具体的にどうすべきか?
メンタル安定や睡眠の質向上に超重要なホルモンとしてセロトニンと言うものがございます。俗に幸福ホルモンとか幸せホルモンなどと呼ばれることが多いホルモンですね。
当ブログでもセロトニンは何度も登場しているのですが、記事にしていなかったんで今回からポイントでも書いておこうかと思いまして…。セロトニンってなに…?
冒頭にも書いた通り、セロトニンはメンタル安定に重要な脳内物質でして、幸福ホルモンとか幸せホルモンなどと呼ばれることがございます。セロトニンの主な役割は他の神経伝達物質であるドーパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(ノルエピネフリン:恐怖、驚きなど)といったものをコントロールすることです。因みに同じモノアミン、カテコールアミンに属するアドレナリン(エピネフリン:興奮、闘争など)は脳内での分泌はほぼなく、メインは副腎での分泌になります。
んで、このセロトニンが足りなくなると、ドーパミンやノルアドレナリンのコントロールが効かなくなり、躁状態や鬱状態になってメンタルがガタガタになってしまうんですよね。
実際、精神障がいの方はセロトニンやノルアドレナリンの量が少ない、効きが悪いといった状態であることが多く、そこを増やせばいいだろう…!ということで、SSRIやSNRIといった抗うつ薬(抗鬱剤・向精神薬)を使っております。まぁこの辺については、近年抗うつ薬の効果が減少している…!って話があったり、そもそもセロトニン仮説(カテコールアミン仮説・モノアミン仮説)が正しいのかあやしい…!ってアンブレラレビューが出ておりますので、薬で無理矢理増やすこと自体に効果があるのかはあやしくなってますが…。
それでもメンタルが弱っている人のセロトニンが少ないのは事実ですし、メンタル安定のためにも正常な分泌がなされるよう、意識しておくに越したことはない感じです。
セロトニンを正常に分泌・増やすならトリプトファンだ…!
そんな大事なセロトニンを正常に分泌・増やすにはどうすれば良いのでしょうか…?結論から申しますと、トリプトファンが多く含まれる食材を積極的に摂取しよう…!って感じです。というのも1956年の研究や1957年の研究などでセロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンから生成されることが分かっているんですよ。更に1976年の動物実験によると、ラットを使って血液に含まれるアミノ酸が脳バリアを通過するための輸送システムを調べているんですが、セロトニンの材料になるトリプトファンは、より大きなアミノ酸と一緒に脳内に運ばれていたんですよね。
ということで、セロトニンを意識したいならトリプトファンを意識すべし…!となります。
炭水化物を摂取すると脳内のセロトニン合成が促進する…!
1995年のマサチューセッツ工科大学の研究によると、セロトニンと炭水化物の関係についてレビューしてみたそうです。
んで早速結論から申しますと、脳内のセロトニンを増やすなら炭水化物をちゃんと摂取しよう…!って感じになります。まずざっくりとした流れについてですが、
- 炭水化物を摂取する
- インスリンの分泌と血中のトリプトファンが増える
- 結果、セロトニン合成がアップする…!
となるみたいです。因みにタンパク質ではこのような効果はないとのこと。
そしてセロトニンは入眠や痛みの感受性、血圧コントロール、メンタルなどの機能にも関わっております。そのため、脳は気分が良くなるよう炭水化物を食べるよう指示してくるみたいです。
しかしここで注意したいのが炭水化物の摂取の仕方。どうしても炭水化物と脂肪が豊富な加工食品に手を出しがちになるんですよ。理由は食事報酬が高いからでして、これがセットポイントが上がる、つまり太る原因でもあります。
そして炭水化物を欲する他にも加工食品に手を出しちゃうパターンとして、
- 慢性ストレスを受けている方
- PMS(月経前症候群)の女性
- 冬季うつ病(季節性感情障害)の患者さん
- 禁煙している人(ニコチンは炭水化物同様、脳内のセロトニン分泌をアップさせる効果がある。つまり禁煙でニコチンがなくなると脳内のセロトニン分泌が減る。禁煙が難しいのはこの時脳が緊急事態だと慌ててしまうのも原因)
なんかがいるとのこと。
以上からセロトニン合成アップの為に炭水化物の摂取は超大事となりますが、手軽にとれる加工食品を回避し、如何に未加工の炭水化物、つまりカロリーの質の高い炭水化物をとれるかがポイントになります。
具体的な食材としては、
インスリンの分泌があるからこそ血中トリプトファンアップ→脳内トリプトファンアップ→セロトニンアップとなる…!
1980年の研究によると、神経伝達物質の合成の前駆体制御について、過去10年間の研究結果をまとめてみたそうです。なんでも、炭水化物の摂取後に放出されるインスリンは、競合するより大きなアミノ酸の筋肉組織への取り込みを刺激し、血漿中の他のアミノ酸に対するトリプトファンレベルを増加させる効果があるそうな。そしてこの効果により、トリプトファンが血液脳関門を突破して脳内トリプトファンレベルが上昇、結果、セロトニン合成と放出が促進されるらしい。
つまり、インスリンの分泌があるからこそ血中トリプトファンアップ→脳内トリプトファンアップ→セロトニンアップとなるみたいです。正常なインスリン感受性(インスリン抵抗性)が如何に大事かが分かる話ですな。
因みにタンパク質の摂取後も同じ感じでしてチロシンレベルが増加し、その結果カテコールアミン合成が促進されるんだとか。またレシチン・コリンの摂取に関しても同様に脳内コリンレベル&神経細胞のアセチルコリン合成をアップさせるということです。
炭水化物とタンパク質を一緒に食べてしまうとインスリン分泌に悪影響が出ちゃう…!
但し、炭水化物摂取→インスリンの分泌→血中トリプトファンアップ→脳内トリプトファンアップ→セロトニンアップという流れが行われるためには注意点もあるそうです。これについては1986年の研究が参考になりまして、どうやら炭水化物とタンパク質を一緒に食べてしまうとインスリン分泌に悪影響が出ちゃうみたいなんですよ。
具体的には、
- 食事に含まれるタンパク質が2.5%ぐらいからトリプトファンの増加量が減ってくる…!
- 食事に含まれるタンパク質が5%ぐらいでトリプトファンが増加しなくなる…!
って感じだったそうな。これはちょっと困っちゃいますね~。どっちも大事ですし…。
まぁ、一緒に食べるとこうなるみたいなんで、1日の食事の中でメリハリをつけていくとよろしいのかもしれませんな。
高炭水化物食で血中トリプトファンがアップする…!高タンパク質食で血中チロシンがアップする…!
2003年のマサチューセッツ工科大学の研究によると、高炭水化物食と高タンパク質食によって血中のトリプトファンとチロシンに違いが出るのか調べてみたそうです。
そもそも先行研究によって、
- 血中のトリプトファン濃度が高いとセロトニン生成も多くなる
- 高炭水化物食はトリプトファンを上昇させる
- 高タンパク質食はトリプトファンを低下させる
ってことが分かっていたんですが、実際の食事でどうなるのかは分かっていなかったんですよね。
そこで今回、アメリカ人が一般的に食べているような高炭水化物な朝食と高タンパク質な朝食を用いてセロトニンの材料になるトリプトファンとドーパミンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の材料になるチロシンの変化をチェックしてみたとのこと。
この研究は参加者が9人のものでして、まず最初に一晩断食してもらったそうな。続いて、
- 高炭水化物な朝食:炭水化物69.9g、タンパク質5.2g
- 高タンパク質な朝食:炭水化物15.4g、タンパク質46.8g
を3~7日の間隔で食べてもらったらしい。
併せて、朝食後すぐ、40分後、80分後、120分後、240分後に採血を行い、血中のトリプトファンやチロシン、インスリンなんかを見てみたそう。
その結果分かったことが、
- 高炭水化物の朝食を食べると、トリプトファンは中央値54%(範囲36~88%)で有意差があった…!
- 高タンパク質の朝食を食べると、チロシンは中央値28%(範囲10~64%)で有意差があった…!
- 高炭水化物の朝食を食べると、インスリン濃度が大幅に上昇した…!
- 高タンパク質の朝食を食べると、インスリン濃度は上昇しなかった…!
とのこと。
やはり実際の食事でも高炭水化物食を食べると、血中トリプトファンが増えたみたいですね。この結果から研究者曰く、
- おそらく脳内トリプトファン濃度とセロトニン合成に大きな違いをもたらす可能性があるだろう
としています。
また高タンパク質食で血中のチロシンも変化したんで、おそらくカテコールアミン合成も同様に違いが出るんじゃないかとのことでした。
ということで、セロトニンには炭水化物、ドーパミンにはタンパク質を摂取していくと良い感じ。両方大事なホルモンなんでぜひ意識していきたいですね~。