【まとめ】牛乳(乳製品)はどうなのか?
牛乳(乳製品)は人間の脳のグルタチオン合成に重要そう…!
2014年のカンザス大学の観察研究によると、乳製品の消費量と高齢者の脳のグルタチオン濃度がどう関係しているのかを調べてみたそうです。実験は健康な高齢者60人(平均年齢68.7歳)を対象としたそうで、期間は7日間、その時に報告された食事記録から普段の乳製品の摂取量と測定した脳のグルタチオン濃度、実験期間中に変化させた乳製品の摂取量と測定した脳のグルタチオン濃度に違いが出たのか比較したとのこと。結果、
- 前頭葉や頭頂部の領域と毎日の平均的な乳製品の摂取量、グルタチオン濃度に相関関係があった…!
- 乳製品の消費量が多くなるほど、脳のグルタチオン濃度が高かった…!
そうです。
つまり、牛乳(乳製品)は人間の脳のグルタチオン合成に重要そう…!ってことですね。
因みにご存知の方も多いと思いますが、牛乳(乳製品)にはグルタチオンが多く含まれております。グルタチオンは別名、抗酸化物質の王様、抗酸化の王などと呼ばれておりまして、体内の酸化を抑えるのに非常に強力な力を持った成分となっております。そして酸化は慢性炎症の大きな原因の一つであり、老化の原因でもあります。
ともなれば、上記の結果も納得でありましょう。
では、具体的にグルタチオンをどう積極的に摂取するかですが、
に多く含まれております。
更にグルタチオンは肝臓のダメージにも効くみたいなんで、ぜひ意識しておきたいところですね。
腸内環境の炎症を抑え、リーキーガットが良くなる…!
実験は1日に4gの酪酸を8週間摂取してもらったとのこと。また腸内の様子は治療の前後に内視鏡で検査したそうな。
結果、
- 1人の患者が離脱、3人の患者は改善しなかった…。
- 治療効果のあった9人の患者(69%)のうち、7人(53%)が寛解した…!
- 残りの2人の患者が部分的に良くなった…!
ということです。
動物性の共役リノール酸だと心血管疾患(CVD)のリスクが上がらない…!
2011年のアメリカ農務省の研究によると、乳脂肪に含まれる動物性の共役リノール酸と植物油に含まれる共役リノール酸を比較して、心血管疾患(CVD)と癌のリスクの違いを調べてみたそうです。とのこと。
やっぱ、動物性の共役リノール酸は良さそうですね~。
牛乳は体型維持に役立つ…!
2013年のフレッドハッチンソンがん研究センターの研究によると、乳脂肪又は高脂肪乳製品(牛乳)の消費量と、肥満及び心血管代謝リスクの関係について調べてみたそうです。この研究は、16件の観察研究をまとめた系統的レビューでして、信頼度はまぁまぁ高い感じ。早速結果を見てみると、
- 観察研究16件のうち11件で、高脂肪乳製品(牛乳)の摂取量は肥満と逆相関だった…!(つまり、高脂肪乳製品の消費量が多い程、スリムだった…!)
- 高脂肪乳製品の消費量と代謝の健康を比較した研究結果は、微妙な感じだった…。
- 高脂肪乳製品の消費量と糖尿病や心血管疾患の発症率を比較した研究結果は、バラバラで判断がつかなかった…。
とのこと。
代謝や糖尿病、心血管疾患といった健康面への影響は微妙ですが、高脂肪乳製品の摂取は体型維持に使えそう…!ってのは嬉しい話ですね。これを見ると、牛乳の脂肪は良い脂肪と言えそうです。
牛乳の乳脂肪は健康のメリットが多い…!では乳脂肪が少ない乳製品はどうなのか…?
牛乳に含まれる乳脂肪は健康のメリットが多い…!と言えそうです。
では、逆に乳脂肪が少ない牛乳を飲んだ場合はどうなのでしょうか…?
例えば、2007年のハーバード公衆衛生大学院の前向きコホート研究によると、乳製品の摂取と不妊症の関係について調べてみたそうです。この研究は不妊症の経験がなく、妊娠を試みた閉経前の既婚女性18,555人を対象としたそうで、8年間、追跡調査をしてみたとのこと。
乳製品の摂取については、実験期間中に食事質問票を回答してもらい、2回評価したそうな。
結果、
- 8年間の期間中に438人の女性が不妊症を報告した…。
- 低脂肪乳製品の消費量が1日2サービング(牛乳だと1サービング=コップ1杯200mlなので400ml以上)を飲んでいる人は、85%も不妊症になる可能性が高かった…。
- 乳脂肪摂取量と不妊症の関係は逆相関だった…!(つまり、乳脂肪摂取量が多い程不妊症になりづらかった…!)
そうです。
この結果に研究者曰く、低脂肪乳製品の大量摂取は不妊症のリスクを高める可能性がある。逆に高脂肪乳製品の摂取はこのリスクを下げる可能性がある、としています。
乳脂肪が少ないと、メリットがなくなるだけではなく、デメリットまで出てくるみたいですね~。これは嫌ですね…。
ではどの牛乳を飲むべきか…?
では乳脂肪のメリットをしっかり受けるにはどの牛乳を飲めばいいのでしょうか…?
まず一般社団法人日本乳業協会によれば、日本の牛乳の種類は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」と「飲用乳の表示に関する公正競争規約」で決められているそうです。その種類は以下のような感じ。
- 牛乳(成分無調整牛乳):乳脂肪分が3.0%以上で、無脂乳固形分8.0%以上のもの。
- 成分調整牛乳:乳脂肪分1.5%以上で、無脂乳固形分8.0%以上のもの。
- 低脂肪牛乳:乳脂肪分0.5%以上1.5%以下で、無脂乳固形分8.0%以上のもの。
- 無脂肪牛乳:乳脂肪分0.5%未満で、無脂乳固形分8.0%以上のもの。
- 加工乳:クリームやバターを加えたもの。
- 乳飲料:乳固形分3.0%以上のもの。
基本的に下に行けば行くほど加工度が高くなります。そして加工度が高いということは、乳脂肪のメリットが減っていくということです。つまり、牛乳もカロリーの質が大事でして、飲むなら牛乳(成分無調整牛乳)がベストチョイス…!となります。もちろん他の乳製品も基本的には加工度の少ない、未加工の物を選ぶと良い感じとなります。
牛乳や乳製品で前立腺がんになる…!は本当か…?
2005年のタフツ大学の前向きコホート研究のメタ分析によると、乳製品・カルシウムの摂取量と前立腺がんのリスクについて調べてみたそうです。
まず研究者たちは、1966~2005年5月までに発表された乳製品・カルシウムの摂取量と前立腺がんの先行研究をMEDLINE(PubMed&Ovid)で検索してみたそうな。結果12件の研究がピックアップできたとのこと。
サンプル数については男性3,612~65,321人の範囲で、前立腺がんの発症数は99~3,811人の間だったらしい。因みに乳製品については牛乳やチーズ、バターやマーガリン、アイスクリーム、ヨーグルトなどだったみたい。
サンプル数については男性3,612~65,321人の範囲で、前立腺がんの発症数は99~3,811人の間だったらしい。因みに乳製品については牛乳やチーズ、バターやマーガリン、アイスクリーム、ヨーグルトなどだったみたい。
んでメタ分析の結果はこのようになっておりました。
- 乳製品の摂取量が最も多かった男性は、最も少なかった男性よりも、前立腺がんの発症率が1.11倍高かった…!
- カルシウムの摂取量が最も多かった男性は、最も少なかった男性よりも、前立腺がんの発症率が1.39倍高かった…!
つまり、牛乳や乳製品、カルシウムの摂取量が増えるほど、前立腺がんのリスクがアップする…!ってことですね。嫌な結果ですな…。
…っと、これだけみると牛乳や乳製品、カルシウムはガンになるからもうやめる…!といいたくなりますが、ここでちょっと待った…!って言ったのが2006年のビクトリアがん評議会になります。上記研究結果に疑問を持って、オーストラリアで調べ直すんですよ。
この研究はスタート時の年齢が27~75歳(99.3%の人が40~69歳)の男女41,528人(男性17,049人)を対象としたメルボルン共同コホート研究(MCCS)という前向きコホート研究のデータセットを使ったものになります。
研究は1990年11月26日~1994年10月25日までオーストラリアのメルボルンに住んでいた男性を対象とし、乳製品の種類は牛乳、チーズ、ヨーグルト、クリーム、カスタードとしたそうな。因みにバターとマーガリンは別々に分類したとのこと。
使えるデータを精査した結果、最終的なサンプル数は男性14,642人でして、平均追跡期間10.9年だったらしい。
この間に674人の方が前立腺がんを発症したそうなんですが、
- スタートから2年間の追跡調査における全てのハザード比は、残りの追跡調査期間におけるハザード比よりも高かったが、統計的に有意だったのはバター摂取量のみだった…!
- 進行性の前立腺がんのハザード比は、一般的な非進行性の前立腺がんのハザード比よりも低かった…!しかも、その差は統計的に有意ではなかった…!
って感じだったらしい。
つまり、
- 乳製品やバター、マーガリン、カルシウムの摂取量と前立腺がんリスクは関係ない…!
って結論に至ったそうな。
ではなぜ上記で紹介したタフツ大学のメタ分析と結果が違ったのかといいますと、研究者曰く、
- 2005年のタフツ大学の前向きコホート研究のメタ分析は、非常に小さい効果量と比較的低い統計的証拠に基づいていたから…!
とのこと。
う~ん。こうなると微妙な感じですねー。
コホート研究であることや単純に牛乳だけでなく、乳製品の中にヤバそうな物(マーガリンやアイスクリーム)も含めているのをみると、正直、前立腺がんのリスクはあやしい感じですね~。
まぁ、牛乳・乳製品のメリット(グルタチオンなど)を踏まえると、私は普通に飲んで良いんじゃないのかな~と思います。
乳製品で太るのか…?
2011年のシドニー大学の研究によると、乳製品の摂取と肥満リスクの関係について系統的レビューを行ってみたそうです。まず研究者たちは、1980年から2010年4月までに発表された乳製品の摂取と肥満リスクの前向きコホート研究をMEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane Library、Science Direct、ISI Web of Science、EBM Review、Google Scholar、Conference Proceedingsで検索してみたそうな。すると1,200件の研究が見つかったらしい。
続いてこの中で使えそうなものをピックアップしていったそうな。その結果、19件の前向きコホート研究が選ばれたとのこと。
この19件の研究の特徴は、
- 10件は2歳から14歳の子どもを対象としていた。サンプル範囲は53人から12,829人の間で、平均追跡期間は8か月から10年の間だった
- 9件は18歳から75歳の大人を対象にしていた。サンプル範囲は248人から42,696人の間で、平均追跡期間は2年から12年の間だった
って感じです。
では結果を見てみましょう。
- 子どもを対象にした研究10件のうち3件で、乳製品の摂取により体重増加の予防効果が見られた…!
- 大人を対象にした研究9件のうち5件で、乳製品の摂取により体重増加の予防効果が見られた…!
- 1件の研究では、低脂肪乳製品のみ体重増加の予防効果が見られ、乳製品全体では効果がなかった。
- 1件の研究では、もともと太りすぎだった男性にのみ有意な体重増加の予防効果が見られた。
- メタ分析をしたかったが、各研究の方法や測定などがバラバラでできなかった。
つまり、乳製品の摂取により、過体重や肥満リスクを下げられそうだけど、まだまだ研究不足だよね~って感じだったみたい。
長期の研究でも乳製品は肥満リスクを抑える…!
2016年の上海交通大学の研究によると、乳製品の摂取と子どもの肥満リスクの関係について前向きコホート研究の系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2015年3月までに発表された該当研究をPubMedとEMBASEというデータベースで検索してみたそうな。更にGoogle Scholarと参考文献を用いて手動で該当研究がないかも探してみたらしい。
結果、最終的に10件の研究が見つかったとのこと。この10件の研究の特徴は、
- 総サンプル数:46,011人
- 平均追跡期間:3年間
って感じ。
これらのデータを基に乳製品で太るのか調べた結果、
- 乳製品の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比較して、太りすぎや肥満リスクが38%(OR0.62)も低かった…!
- 乳製品の摂取量が1日1サービング(牛乳100ml)増えるごとに、体脂肪率が0.65%も低く、太りすぎや肥満リスクが13%(OR0.87)も低かった…!
とのこと。
長期の研究でも乳製品は肥満リスクを抑える…!って結果だったみたいですな。
乳製品の種類が関係あるのかは謎ですが、とりあえず乳製品が特別太りやすいってことはなさそうですね。
乳製品で太るのかは結局よく分からない
そもそも子どもの肥満は世界でも大きな問題となっております。んで乳製品の影響はあんまり分かっていなかったんですよね。
そこで今回、横断研究の系統的レビュー・メタ分析と縦断研究の系統的レビュー・メタ分析を行ってみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2021年10月18日までに発表された該当研究をMedline(PUBMED)とコクランで検索してみたそうな。また検索にヒットした研究の参考文献もチェックしたとのこと。すると4,367件の研究が見つかったんだとか。
続いて重複している物や質の低い研究を除いていったそうで、最終的に24件の研究を選ぶことが出来たそうです。この24件の研究の特徴は以下な感じでした。
- 総サンプル数101,330人
- 国:アメリカ10件、ヨーロッパ6件、アジア7件、オセアニア1件(日本の研究は0件)
- 平均追跡期間:1年~3.2年
- 乳製品のチェック法:食事摂取頻度調査票(FFQ)、24時間の食事を思い出してもらう。
それでは結果です。
まずは横断研究の系統的レビュー・メタ分析から見てみましょう。
- 乳製品の総摂取量は肥満リスクを34%(OR0.66)も有意に下げていた…!
- 乳製品の総摂取量は過体重リスクを4%(OR1.04)と有意ではないが上げていた。
- 乳製品の総摂取量は過体重と肥満を合わせたリスクを10%(OR0.90)と有意ではないが下げていた。
- 牛乳の総摂取量は肥満リスクを10%(OR0.90)と有意ではないが下げていた。
- 牛乳の総摂取量は過体重リスクを5%(OR1.05)と有意ではないが上げていた。
- 牛乳の総摂取量は過体重と肥満を合わせたリスクを6%(OR0.94)と有意ではないが下げていた。
- ヨーグルトの総摂取量は肥満リスクを6%(OR0.94)と有意ではないが下げていた。
- ヨーグルトの総摂取量は過体重リスクを10%(OR1.10)と有意ではないが上げていた。
- ヨーグルトの総摂取量は過体重と肥満を合わせたリスクを12%(OR1.12)と有意ではないが上げていた。
- チーズの総摂取量は過体重と肥満を合わせたリスクを14%(OR0.86)と有意ではないが下げていた。
まとめると、全体的にみたら乳製品の総摂取量は肥満リスクを下げるけど、後は有意差がなくてよく分からん…!って感じですね。
次に縦断研究の系統的レビュー・メタ分析の結果です。
- そもそも質の高い縦断研究が少ない為、乳製品の総摂取量、全脂肪乳製品の摂取量、低脂肪乳製品の摂取量と肥満リスク、過体重リスク、過体重と肥満を合わせたリスクのメタ分析が出来なかった。
- 一応、乳製品の総摂取量は過体重リスクを44%(RR0.56)、全脂肪乳製品の摂取量は過体重リスクを43%(RR0.57)、低脂肪乳製品の摂取量は過体重リスクを26%(RR0.74)低下させたという研究が1件のみあった。
- また、乳製品の総摂取量は過体重リスクと関係ない(RR1.01)という研究も1件あった。
- 牛乳の総摂取量は過体重リスクを17%(RR1.17)も有意に上げていた…!
- しかし、他の研究では、牛乳の総摂取量は肥満リスク(RR1.05)も過体重と肥満を合わせたリスク(RR0.91)も関係がないと出ていた。
まとめると、縦断研究は研究数が少ないのでよく分からん…!って感じですね。
ということで、結局よく分からないってのが結論になってしまいました。
今後の研究に期待するところは大きいですが、太りもしないし痩せもしないって中立な立場でいるのが良いのかもしれません。