【まとめ】運動前のストレッチでケガ予防は本当か?柔軟性はアップするのか?運動パフォーマンスはアップするのか?
- 運動前にはストレッチをしっかりしよう…!じゃないとケガするぞ…!
- ストレッチで身体が柔らかくなる…!
- ストレッチをして体をほぐしておくと、その後の運動でパフォーマンスがアップするぞ…!
って話を聞いたことがないでしょうか…?
って感じになりました。
個人的には、それならストレッチをせずに普通に筋トレするか、運動後の最後の筋トレメニューとしてストレッチを行うと良いのかな~と思いました。
ストレッチは大きく分けて2種類ある…!
まずストレッチは、大きく2種類に分けることが出来ます。おそらくどちらも行った経験はあるかと思いますが、その2種類とは静的ストレッチと動的ストレッチです。
この2つのストレッチの違いは、
- 静的ストレッチ:伸ばしたい関節や筋、腱なんかをゆっくりグーッと伸ばして、止める…!んで何秒かしたら、元に戻す…!みたいなストレッチのこと。学校時代によく行うストレッチがコレ
- 動的ストレッチ:関節や筋、腱なんかを動かしてするストレッチのこと。音楽に合わせてやったり、ダンスっぽい感じのストレッチが多い。因みにラジオ体操は動的ストレッチ
って感じになります。
系統的レビュー3連発から導き出された結論は…?
1999年のカナダの臨床疫学センターの系統的レビュー、2002年のシドニー大学の系統的レビュー、2004年のアメリカ疾病予防管理センターの系統的レビューは、全て過去に行われたストレッチとケガの関係について調べた系統的レビューです。
この系統的レビュー3連発から導き出されるストレッチとケガの関係の結論は、
- 運動前にストレッチを行っても意味なし…!運動中のケガ防止効果はなし…!
とのこと。
えー!今までさんざん言われてきたストレッチの重要性とはなんだったのか…。まぁ、柔軟性をメインとした競技ならまだ必要な可能性は残っているみたいなんですが、それ以外のスポーツでは別にやらなくても良いみたいです。
いやいや、ストレッチは柔軟性だけじゃない…!筋組織の変化が重要なんだ説もあるけど…。
いやいや、ストレッチは柔軟性だけじゃない…!筋組織の変化が重要なんだ…!って可能性もまだ残っております。ケガ防止には役立たなくても筋肉が変化するみたいな話ですね。
これについても結論から言うと実は期待薄な感じ。というのも1997年のニコラススポーツ医学運動障害研究所の研究によると、ストレッチで柔軟性はアップしたけど、筋肉の変化は特に何もなかったそうなんですよね。
なんでも、ストレッチで体の柔軟性がアップするのは、単に脳や神経系が関節の曲がる痛みに慣れてしまうだけで、筋組織に変化が出たわけじゃないらしい…。つまり、ストレッチをしてただ痛みに慣れたからだってことですね。う~ん。残念…。
上記については、有名な理学療法士であるグレッグ・リーマン氏も2012年にストレッチは筋肉を緩める訳ではないとしています。
挙句の果てにニューヨーク・タイムズで柔軟性はいらん…!時間の無駄…!と書かれている…。
最後の追い討ちは2009年のニューヨーク・タイムズの記事になります。
この記事によれば、現代の運動科学の分野では体操のプロ以外、筋肉や腱の柔軟性はいらん…!って結論だそうです。
ニコラススポーツ医学運動障害研究所のマラキー・マキュー博士によれば、人間の柔軟性は、そのほとんどが遺伝で決まっているそうで、トレーニングをしても、後天的に柔軟性がアップする範囲はほとんどないんだとか。更に柔軟性をちょっとアップするだけでもかなりの時間が必要ともおっしゃっております。かなり効率が悪そうですね~。
因みに体の柔軟性は7割が遺伝と言うことで、体や筋肉の固い人がストレッチをやるのは時間の無駄っぽい…。
静的ストレッチ・動的ストレッチの効果をレビューしてみた…!
2011年のニューファンドランドメモリアル大学の研究によると、静的ストレッチと動的ストレッチを行った際のパフォーマンス効果についてレビューしてみたそうです。そもそも運動前にストレッチを行うのは最高のパフォーマンスを出すためだけど、本当にやる必要があるのかってのは議論が分かれているそうなんですよね。特に静的ストレッチは運動パフォーマンスが逆に低下する…!って研究がいくつかあるそうなんでこれは気になりますわな。
では早速静的ストレッチと動的ストレッチがどんなだったかポイントを見てみましょう。
- 静的ストレッチ:超ゆっくりのスピードでやるか、超長い時間を止めてから元に戻すかなどするともしかしたらメリットがあるかも…?
- 動的ストレッチ:長い時間をかけて行えば、効果なし~効果ありぐらいのパフォーマンスアップが見込めるかも…?
…。
あんまパッとした答えではないですね~。
静的ストレッチは、ゆっくり時間をかけてってのがポイントみたいなんで、ストレッチというよりもヨガや太極拳的なイメージが強い感じですね。
動的ストレッチについては長い時間をかけてやっても意味ない可能性もあるなんて言われたら、じゃあ確実な他の方法を選択した方が…って気になっちゃいますな。
いずれにしても静的ストレッチ・動的ストレッチを積極的にやりましょう…!やった方が良い…!と言える結論ではないですねー。
静的ストレッチが筋肉パフォーマンスにどう影響するのか調べてみた…!
2012年のノーサンプトン大学の研究によると、運動直前の静的ストレッチが筋肉パフォーマンスにどう影響するのか系統的レビューを行ってみたそうです。まず研究者たちは、ストレッチと運動パフォーマンスに関する研究を
- 1966~2011年の期間でMEDLINE
- 1823~2011年の期間でScience Direct
- 1985~2011年の期間でSPORTDiscus
- 1993~2011年の期間でZetoc
の4つを用いて検索してみたとのこと。
結果、4,559件の研究がヒットしたんだそうな。
次にこの研究の中から、選択基準を満たす質の高い研究かどうかを精査していったらしい。
最終的には106件の研究が選択基準を満たしていたそうで、これらから静的ストレッチと筋肉パフォーマンスの関係をみていったとのことです。
では結果をバーッと見ていきましょう…!
106件の研究を分析した結果、
- 各動作の静的ストレッチの時間が30秒未満の場合:パフォーマンスに影響はなかった…!
- 各動作の静的ストレッチの時間が30〜45秒の場合:パフォーマンスに良い効果はなかった…!
- 各動作の静的ストレッチの時間が1〜2分の場合:パフォーマンスへの悪影響が急激に増加した…!
- 各動作の静的ストレッチの時間が2分を超えるの場合:パフォーマンスへの悪影響がはっきりとあった…!
- 全ての研究結果をまとめると、運動直前の静的ストレッチは、筋肉パフォーマンス(最大強度、パワー、スピード)を低下させる可能性があった…!
とのこと。
どうやら静的ストレッチの境界線は45秒みたいで、これより短いと大丈夫そうですが長いとダメっぽいですね。
運動直前のストレッチと長期間・定期的なストレッチで運動パフォーマンスがアップするのか調べてみた…!
2004年のSMBD Jewish General Hospitalの研究によると、ストレッチで運動パフォーマンスアップは見込めるのか系統的レビューを行ってみたそうです。というのも
- 多くの臨床医は、ストレッチで怪我を防ぐと良いとアドバイスしている
- しかし運動直前のストレッチは怪我を予防しないと研究で出ている
- 運動直前以外の時間であればストレッチで怪我を防ぐことができるかも…?って話もある
って感じで意見が分かれているんですよね。
そのため、
- 運動直前にストレッチを行って(ストレッチから60分以内で)、運動パフォーマンスがアップするのか…?
- 長期間(数日から数週間)にわたって、定期的にストレッチを行って、運動パフォーマンスがアップするのか…?
の2種類に分けてチェックしてみたそうです。
まず研究者は、MEDLINE、SPORTDiscusを用いて既存のストレッチとパフォーマンスアップの研究を検索、更に見つかった研究の参考文献などもチェックして研究を集めたんだそうな。因みに見つかった研究のほとんどはRCTのクロスオーバーデザインだったとのこと。
んで、上記の2種類に研究を分けて、結果をまとめてみたそうです。
ではまず、運動直前にストレッチをした時のパフォーマンスアップ効果を見てましょう…!
- 運動直前にストレッチをした時のパフォーマンスアップ効果を調べた研究は、23件あった(24件あったが、1件はダブっていた)
- 運動直前のストレッチが運動パフォーマンスをアップさせるという研究はなかった…!
- 23件の研究のうち20件で運動直前のストレッチが運動パフォーマンスをダウンさせるという結果だった…!
- 1件の研究では静的ストレッチはジャンプに悪影響、動的ストレッチは効果なしという結果だった…!
- 運動パフォーマンスは、パワーやジャンプの高さ、ジャンプ力、ジャンプスピードで測定していた…!
- 運動直前のウォームアップのランニング研究は5件あった(ランニングスピードを調べたのが4件)
- 4件の研究のうち、2件の研究はあいまいな結果だった…!
- 4件の研究のうち、2件の研究は矛盾した結果(パフォーマンスアップ1件、パフォーマンスダウン1件)だった…!
つまり、ここから言えることは、
って感じです。
- 静的ストレッチ・動的ストレッチに関わらず、運動直前にストレッチを行っても(ストレッチから60分以内で運動を始めても)、運動パフォーマンスはアップしない…!むしろダウンする…!
- 運動直前にランニングしても運動パフォーマンスが上がるかは怪しい…!下がる可能性すらある…!
やっぱり、運動前にストレッチとかはやらん方が良さそうですね~。
続いて、長期間にわたって、定期的にストレッチをした時のパフォーマンスアップ効果を見てましょう…!
- 長期間にわたって定期的にストレッチを行った時のパフォーマンスアップ効果を調べた研究は9件あった…!
- 9件の研究のうち、7件の研究で運動パフォーマンスがアップしていた…!
- 定期的なストレッチにより運動パフォーマンスがダウンするという研究はなかった…!
- 9件の研究のうち、2件の研究では、運動パフォーマンスは改善もしないし、低下もしないという結果だった…!
ということでまとめると、
- 静的ストレッチ・動的ストレッチに関わらず、長期間(数日から数週間)にわたって、定期的にストレッチを行うと、運動パフォーマンスはアップする…!
ってことになりますね。
…っとここで気になるのが、運動直前のストレッチと、長期間・定期的なストレッチで、どうして差が出たのかですね。
これについて研究者は、
- 長期間・定期的なストレッチで筋肥大が起こっているからじゃない…?
と答えております。
1日30~60秒のストレッチを数ヶ月間継続すると、それが筋トレになり、結果、運動パフォーマンスがアップすると…。確かにありそうですね。
そのため研究者は、
- ストレッチは、運動後か、運動とは関係のないときにやると良いよ…!
とアドバイスをしておられました。
皆が思うストレッチの使い方はどうやら間違いみたいですね~。
ストレッチの筋力アップ効果について調べてみた…!
2007年のエスタシオ・デ・サ大学の研究によると、ストレッチの筋力アップ効果について調べてみたそうです。具体的には、
- 運動直前のストレッチで筋力がアップするのか…?
- 定期的なストレッチて筋力がアップするのか…?
をそれぞれチェックしたとのこと。
結果は、
- ほとんどの研究でストレッチ後に筋力が低下していた…!
- 筋力の低下は、ストレッチの時間が長ければ長い程、大きくなっていた…!
- 逆に定期的なストレッチでは筋力がアップする可能性があった…!
とのこと。
やっぱり運動直前のストレッチはダメ、定期的なストレッチは良い…!って結果でしたね。
更に面白いのがストレッチで筋力もアップするってことでしょうか。やはりストレッチは筋トレとして考えた方が良さそうですね。
ストレッチと運動パフォーマンスについてまとめ
ストレッチと運動パフォーマンスについてまとめると、
- ストレッチは運動直前にはしない方が良い…!
- ストレッチは長期間・定期的に行った方が良い…!
- ストレッチは筋トレと考えるべし…!
- ストレッチは運動後か、運動とは関係のないときにやるべし…!
って感じになりました。
個人的には、それならストレッチをせずに普通に筋トレするか、運動後の最後の筋トレメニューとしてストレッチを行うと良いのかな~と思いました。
個人的考察
ということで、昔のストレッチの話は何だったんだ…。誰が言い出したんだと改めて思いました。やっぱ日々新たな情報を仕入れてアップデートしていく必要がありそうですね。
それと、この話を知ってから私はストレッチをしなくなりました。時間の無駄になるんで、普通にHIITや筋トレを速攻で始めちゃっています。
まぁ、柔軟性に関しては、最近紹介した通り、筋トレをフルレンジでやれば十分かな~と。