【加筆内容】肉と野菜はどちらを食べるべきか食べないべきか?糖尿病編5
肉と野菜はどちらを食べるべきか食べないべきか?糖尿病編の続きです。
これまでの経過をみてみると、
って結果が出た一方で、
って結果も出ております。つまり、矛盾が生じているってことですね。
未加工の赤身肉と加工肉における冠状動脈性心疾患(CHD)と2型糖尿病のリスクについてレビューしてみた…!
2012年のハーバード公衆衛生大学院のレビュー論文によると、未加工の赤身肉と加工肉における冠状動脈性心疾患(CHD)と2型糖尿病のリスクについて調べてみたそうです。
まず今回の研究の肉の種類の定義はこんな感じとなっております。
- 赤身肉:牛肉や豚肉、ラム肉など。
- 白身肉:鶏肉、七面鳥肉、ウサギなど。
- 加工肉:たくさんの塩や保存料・防腐剤を使った肉のこと。例としてはベーコンやホットドッグ、ソーセージ、サラミ、ランチョンミートなど。
- 未加工肉:保存料・防腐剤を使っていない新鮮な生の肉や冷凍してある肉。
では、未加工の赤身肉と加工肉が及ぼす冠状動脈性心疾患(CHD)の影響についてバーッとレビューのポイントを並べていきます。
- 2010年のハーバード公衆衛生大学院の系統的レビュー・メタ分析では未加工の赤身肉と加工肉と心疾患の発症について調べている。結果、未加工の赤身肉の摂取と冠状動脈性心疾患(CHD)リスクとの間に有意な関係性は見られなかった。また6つの観察研究で加工肉の摂取量と冠状動脈性心疾患(CHD)の発症率をチェックしたが、加工肉を1日50g摂取するごとに冠状動脈性心疾患(CHD)リスクが42%もアップしていた。また前向きコホート研究に限定した場合は、冠状動脈性心疾患(CHD)リスクが44%もアップしていた。
- 2010年のハーバード公衆衛生大学院の前向きコホート研究では魚以外のタンパク源と冠状動脈性心疾患(CHD)の関係について調べている。結果、未加工の赤身肉を1日100g食べるごとに冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクが19%アップ、加工肉を1日50g食べるごとに冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクが20%アップしていた。また加工肉を1日100g食べるごとに冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクが44%(約2倍)アップしていた。
- 2012年のハーバード公衆衛生大学院の研究では2つの前向きコホート研究の結果を使い未加工の赤身肉と加工肉の心血管疾患(CVD)による死亡リスクを調べている。結果、未加工の赤身肉を1日1食分食べると心血管疾患(CVD)による死亡リスクが18%アップ、加工肉を1日1食分食べると心血管疾患(CVD)による死亡リスクが21%アップしていた。また加工肉を1日100g食べると心血管疾患(CVD)による死亡リスクが46%(未加工の赤身肉と比較して約2倍)アップしていた。
以上をまとめると、
- 加工肉を1日100g食べると心疾患(冠状動脈性心疾患、心血管疾患)リスクが上がる
- 未加工の赤身肉を食べても心疾患のリスクは少しアップするか、全く関係ない
という形とのことです。
次に、未加工の赤身肉と加工肉が及ぼす2型糖尿病の影響についてバーッとレビューのポイントを並べていきます。
- 2010年のハーバード公衆衛生大学院の系統的レビュー・メタ分析では未加工の赤身肉と加工肉と2型糖尿病の発症について調べている。結果、加工肉を1日50g摂取している人は糖尿病の発症率が19%もアップしていた。未加工の赤身肉と糖尿病には関係性が見当たらなかった。5つの前向きコホート研究を見てみると1日1食のベーコン(2枚)で糖尿病の発症リスクが2倍高くなっていた。ホットドッグも同じく2倍高くなっていた。その他の加工肉は66%高くなっていた。
- 2011年のハーバード公衆衛生大学院の研究では未加工の赤身肉と加工肉の2型糖尿病リスクについて3つの前向きコホート研究を使ってメタ分析して調べている。結果、未加工の赤身肉を1日100g食べると2型糖尿病リスクが19%アップ、加工肉を1日50g食べると2型糖尿病リスクが51%アップした。また加工肉を1日100g食べると2型糖尿病リスクが2倍以上アップした。
- 2012年のワシントン大学の前向きコホート研究ではアメリカ先住民を対象に未加工の赤身肉と加工肉と糖尿病の関係について調べている。結果、加工肉の摂取量が多い場合と少ない場合を比べると糖尿病リスクが35%も高かった。しかし、未加工の赤身肉の摂取量が多い場合と少ない場合を比べても糖尿病リスクは関係なかった。
- 2002年のハーバード公衆衛生大学院の研究、2003年のハーバード公衆衛生大学院の研究、2004年のハーバード公衆衛生大学院の研究でも未加工の赤身肉の糖尿病リスクは低リスク~リスクなし、加工肉の2型糖尿病リスクは中~高リスクだった。
ということで心疾患リスク同様、2型糖尿病リスクにおいても、加工肉が問題で未加工の赤身肉は問題があっても小さそうな感じだったそうです。
ではなぜ未加工の赤身肉と加工肉でここまで違いが出たのかと言いますと、保存料・ナトリウムの含有量にあったみたい。
なんでも加工肉には1グラム当たり平均で、
- ナトリウム:約400%も多く入っていた…!
- 硝酸塩(保存料):約50%も多く入っていた…!
そうなんですよね。
そしてナトリウム約400%の違いだけで、冠状動脈性心疾患(CHD)リスクの約3分の2を占めるらしい。それに対して、未加工肉の平均ナトリウム含有量はかなり少ないことも冠状動脈性心疾患(CHD)リスクの小ささを説明していることになりそうということでした。
また硝酸塩などの保存料はアテローム性動脈硬化やインスリン抵抗性をアップさせるので、当然硝酸塩の多い加工肉は冠状動脈性心疾患(CHD)と2型糖尿病のリスクを高めるということです。
個人的考察
肉なし野菜ありで糖尿病が減った…!肉あり野菜ありでも糖尿病リスクが減った…!っていう矛盾がありましたが、上記の研究をみていると見えてくるものがありましたね。
元々野菜は糖尿病リスクを減らす作用がありますが、肉については糖尿病リスクをはっきりと増やしているのは加工肉で、微妙に増やしているかどうかぐらいが未加工の赤身肉って感じみたいです。つまり、肉全てが糖尿病リスクをガッツリ上げる…!ではなく、加工肉が糖尿病リスクをガッツリ上げる…!が正解だったってことですね。
この結果や野菜だけのデメリット、肉のメリットも踏まえると、やはり野菜をメインにしつつも肉も食べた方が良いと言えそうです。