ダイエットを成功させたい?だったら行動経済学の知見を取り入れよう!
結果は、超当たり前な感じでして、やっぱダイエットはこれだよね~といったところ。
んがしかし、そこをちょっとでも工夫して何とか少しでも楽にダイエットできんのか…?って思うのも人情。
ダイエットを成功させたい…?だったら行動経済学の知見を取り入れよう…!
2016年のペンシルベニア大学のRCTによると、身体活動を増やすために行動経済学が役立つのか調べてみたそうです。
そもそも行動経済学は心理学の要素を取り入れ、長期的な目標に沿わない決断を下す理由を理解するのに役立つとのこと。というのも、運動が健康に良いことは周知の事実なんですが、じゃあ、知っているから出来るかと言えば皆さんご存知の通り、言うのとやるのは全くの別物。大多数の人は想像通りの方法で目標から逸れていきます。
そこで今回研究者たちは、運動量を増やす・継続するために3つの方法を使って金銭が役立つのか調べてみたらしい。
この研究は、2014年3月6日から9月6日にかけて行われたもので、参加者はペンシルべニア大学の職員と言うもの。まず始めに実験に参加してしてくれる18歳以上でBMIが少なくとも27kg/m2以上の人(=太りすぎ・肥満の人)を募集してみたそうな。すると281人が参加してくれることになったらしい。
次に参加者全員に、少なくとも1日に7000歩以上歩くよう目標を与えてみたんだとか。またその際、以下の4グループにランダムに振り分けたとのこと。
- 目標達成でお金がもらえるグループ:1日7000歩以上を達成するごとに1.4ドルもらえる。
- 目標未達成でもらえるお金が減るグループ:1日7000歩が達成されないたびに毎月もらえるお金(42ドル)から1.4ドルずつ減っていく。
- 目標達成で宝くじがもらえるグループ:1日7000歩以上を達成するごとに宝くじがもらえる。宝くじは1日7000歩以上を達成するごとに00から99までの2桁の好きな数字を選ぶもので、毎日当選番号が1つランダムに発表された。下一桁が同じなら5ドルもらえた(確率18%)。二桁とも同じなら50ドルもらえた(確率1%)
- コントロールグループ:特に何もしない。
因みに参加者は1日7000歩が未達成の場合、その都度、目標を達成したらもらえた金額が通知されたらしい。なんでも後悔を避けたいという気持ちが動機付けにつながる(歩くモチベアップに繋がる)からとのこと。
それと歩数の計測は、スマホアプリ(「Moves」っていうProtoGeo Oy=Meta社のものらしい)を使ったみたいで、これは加速度計を利用したものだったみたい。
実験期間は全部で26週間でして、前半の1~13週間目までは上記の介入を行い、後半の14~26週間目まではフォローアップ期間として金銭や宝くじなどは渡さず、毎日の歩数情報のみ提供してもらったんだとか。
最後に集まったデータを統計処理したそうです。
ということで気になる結果の前に、参加者の情報を見ておきましょう。
- 少なくとも参加者の95%が13週間の介入期間をやり遂げた。
- 少なくとも参加者の92%が26週間の実験期間をやり遂げた。
- 参加者の平均年齢は39.7歳だった。
- 参加者の平均BMIは33.2kg/m2だった。
- 参加者の78%が女性だった。
- 参加者のうち183人(65.6%)がiPhoneを使用していた。
- 参加者のうち96人(34.4%)がAndroidスマホを使用していた。
では結果を見てみますかー。
まずは26週間全体の週レベルにおける、1日7000歩以上を達成した日数の平均割合です。
- 目標達成でお金がもらえるグループ:0.41
- 目標未達成でもらえるお金が減るグループ:0.48
- 目標達成で宝くじがもらえるグループ:0.42
- コントロールグループ:0.33
やっぱ、お金とか宝くじみたいなご褒美をもらえる方が人間はやる気になるみたいですねー。それ以上に効果があったのが運動をやらないとお金が減っていくという方法。う~ん。面白い…。
因みに上記の全てのグループは、13週目(介入の終わり)に近づくにつれ徐々に歩数が減っていっていたんだとか。やっぱ継続するって難しいんですね…。
続いて、前半(1~13週間目)の介入期間における、1日7000歩以上を達成した日数の平均割合と平均歩数を見てみましょう。
- 目標達成でお金がもらえるグループ:0.35(1日の平均歩数5406歩)
- 目標未達成でもらえるお金が減るグループ:0.45(1日の平均歩数5880歩)
- 目標達成で宝くじがもらえるグループ:0.36(1日の平均歩数5251歩)
- コントロールグループ:0.30(1日の平均歩数5031歩)
最後は、後半(14~26週間目)のフォローアップ期間における、1日7000歩以上を達成した日数の平均割合と平均歩数を見てみましょう。
- 目標達成でお金がもらえるグループ:0.25(1日の平均歩数4692歩)
- 目標未達成でもらえるお金が減るグループ:0.30(1日の平均歩数5065歩)
- 目標達成で宝くじがもらえるグループ:0.23(1日の平均歩数4529歩)
- コントロールグループ:0.24(1日の平均歩数4539歩)
つまりまとめると、
- 目標未達成でもらえるお金が減る方法が一番効果が高い…!
- 目標達成でお金や宝くじといったご褒美がもらえるのも少し効果がある…!
- 上記の効果をもってしても、目標達成率は徐々に下がっていく…!
- 上記の方法をやめても、目標未達成でもらえるお金が減る方法の効果はほんの少しだけ残る…!
- 但し、上記の方法をやめた場合の有意差はないので、ほぼ一緒とも言える…!
やっぱ人間はポジティブよりもネガティブに目が行きがち(ネガティブバイアスがある)なんで、ご褒美よりも効果があるんですな。しかもそのネガティブもなくなれば効果がほぼなくなると。まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ですね。
個人的考察
この研究を現実のダイエットに活かすならば、
- ダイエットの目標を決める
- 1日サボるごとに○○円給料から慈善団体等に寄付をすると決める
- 1ヶ月経って、実際にサボった分の総額を慈善団体等に寄付する…!
って感じですかね。
やっぱりダイエットや勉強みたいな高難易度の目標達成や習慣化には、No pain, no gain(痛みなくして得る物なし)が必要なのかもと思いました。後はセルフコントロールをアップさせるのも良いのかも。
やっぱりダイエットや勉強みたいな高難易度の目標達成や習慣化には、No pain, no gain(痛みなくして得る物なし)が必要なのかもと思いました。後はセルフコントロールをアップさせるのも良いのかも。
因みに上記の研究結果は支援にも応用可能でして、お金(工賃)へのこだわりが強い方なんかに、出勤できなかった際「出勤できていればいくら工賃が手に入るはずだった」と伝えます。これにより本来手に入った金額が分かる、もらえたお金が減ったと分かるんで、モチベアップや習慣化に繋がりやすくなるんですな。是非ご参考にしてください。