精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか? その10
「精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか?」シリーズの続きです。
自閉症スペクトラム障害・自閉症スペクトラム障害+知的障害を持つ人の一親等の家族における精神疾患リスクについて
2020年の台北栄民総医院の研究によると、自閉症スペクトラム障害・自閉症スペクトラム障害+知的障害を持つ人の一親等の家族における精神疾患リスクについて調べてみたそうです。
なんでも先行研究により、
- 注意欠陥多動性障害(ADHD:注意欠如多動性障害)
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 双極性障害
- うつ病
- 統合失調症
における家族のリスクについては報告があるものの、精神疾患に共通する遺伝要因と環境要因は依然として不明なままなんだそうな。そこで今回、自閉症スペクトラム障害を持つ人の一親等の家族における精神疾患リスクをチェックし、この辺がどうなのか調べてみたらしい。
この研究は、当ブログで何度も登場している台湾の国民健康保険のデータベースを使ったもので、まずはここから自閉症スペクトラム障害を持つ方26,667人と、その一親等の家族67,998人をピックアップしたそうな。次に上記の各精神疾患との相対リスク(RR)を見てみたらしい。
その結果、自閉症スペクトラム障害を持つ人の一親等の家族は、対照群と比較して精神疾患の相対リスクが高かったとのこと。
具体的には、
- 注意欠陥多動性障害リスク:3.94倍
- 自閉症スペクトラム障害リスク:17.46倍
- 双極性障害リスク:2.22倍
- うつ病リスク:1.88倍
- 統合失調症リスク:3.05倍
って感じ。
ASDを持つ人の親もASDを持っている場合が17.5倍多いってのはすごい数値ですね。やっぱ遺伝の影響や環境の影響が強いのかしら…。
更にこの研究では、自閉症スペクトラム障害+知的障害を持つ人の一親等の家族における精神疾患リスクもチェックしているんですが、結果、自閉症スペクトラム障害を持つ人の一親等の家族に比べて、
だったとのこと。
- 自閉症スペクトラム障害リスク:18.54倍
- 統合失調症リスク:4.47倍
だったとのこと。
つまり、発達障がい+知的障がいを持つ人の親は、発達障がいを持っていることが更に多く18.5倍、また統合失調症を持つ場合も4.5倍と多いみたいですね。
個人的考察
この結果に研究者は、リスクのある家族へのメンタルヘルスケアと早期診断、介入がポイントだよねーとおっしゃっておりました。まさにその通りですね。