ネガティブな感情をなるべく細かく具体的につかめるようになるための語彙力(ボキャブラリー)トレーニング法
エクスプレッシブライティングや脱フュージョン、一次的サイコパスのところなどで書いた通り、ネガティブな感情はなるべく細かく具体的につかめるようになった方が良いんですよね。そのことについての研究が載っていましたんでご紹介しておきます。
うつ病の方はネガティブな感情に対して少ない語彙(ボキャブラリー)で表現することが多いのか…?
2012年のミシガン大学の研究によると、怒りや恥、興奮、幸福など、具体的で多様な感情表現方法を持っている人もいれば、そうでない人もいるけど、これってメンタル安定と関係があるのかについて調べてみたそうです。
まず、研究者の仮説はこんな感じ。
- 大うつ病の人はネガティブな情報に対する認知処理に問題があることを踏まえると、大うつ病の人々はそうでない人々よりも差別化されていないネガティブな感情表現方法しか持っていないのではないかと予測した。
つまり、うつ病の方はネガティブな感情に対して、少ない語彙(ボキャブラリー)で表現することが多いんじゃないか…?って、予想したみたいですね。まぁ、ネガティブを0か100のように極端な考え方で捉えてしまいがちなんであり得る話ですよね。
んで、実験は、ミシガン大学とスタンフォード大学を取り巻くコミュニティから参加者を募ったそうで、結果、166人(年齢18歳から40歳)が集まったとのこと。参加者には電子デバイス(スマホみたいなもの)が渡されたそうで、その電子デバイスは午前10時から午後10時の間に1日8回ランダムに通知が来るようになっていたんだそうな。
通知は、11個の感情の形容詞について、それぞれ現在の感情がどの程度かを4択(全くない=1、少しない=2、少しある=3、非常にある=4)から選んでもらうようになっていたそうです。因みに11個の感情の形容詞のうち7つがネガティブな形容詞、4つがポジティブな形容詞だったそうで、ネガティブな形容詞は、
- 悲しみ
- 不安
- 怒り
- イライラ
- 恥
- 嫌悪感
- 罪悪感
で、ポジティブな形容詞は、
- 幸せ
- 興奮
- 気遣い
- アクティブ
とのこと。
参加者のほとんどが7〜8日間デバイスを携帯していたそうで、各参加者は最大56回の通知があったらしい。因みにうつ病の参加者と健康な参加者の回答数に違いはなかったそうです。
最後に集められたデータを用いて、参加者の感情的な経験を評価したそうで、気になる結果は、
- 仮説通り、大うつ病の参加者は健康な参加者よりも、あまり差別化されていないネガティブな感情を持っていた…!
- また、こちらも予想通り、ポジティブな感情の区別においては、大うつ病の参加者も健康な参加者も違いはなかった…!
そうです。
つまり、ポジティブな感情に対しての語彙力(ボキャブラリー)は特に違いはないけど、ネガティブな感情に対しての語彙力は明らかにうつ病の人の方が少なかったってことですね。精神障がいの方は自分の感情の区別や正確にキャッチすることが苦手みたいです…。
そのため、ざっくり感情を捉えてしまうため、大枠でネガティブということしか分からず、結果、感情の対応が上手くできなくてネガティブだけがどんどん大きくなってしまうみたいです。これはきついっすなー。
個人的考察
因みに健康な方(メンタルが安定している方)は、今の自分の気持ちを7つのネガティブな形容詞に振り分け上手く整理、分析できていたそうです。そのため、精神障がいの方などは、自分の感情を下記7つのネガティブワードに4択(全くない=1、少しない=2、少しある=3、非常にある=4)で評価するトレーニングを行うとよろしいかと思います。ぜひ、お試しください。
- 悲しみ
- 不安
- 怒り
- イライラ
- 恥
- 嫌悪感
- 罪悪感