健康的な肥満って存在すると思いますか…?
例えば、

  • 健康診断で、肥満って診断されたけど、別に異常はなかった…!だから問題ない…!逆に肥満の方が健康に良いんだ…!
  • スリムな体型や標準体型の人よりもちょっと太っている人の方が健康的…!

って話を聞いたことがある人もいるんじゃないでしょうか…?
いわゆる肥満パラドックスというやつでして、太りすぎや肥満の人々は意外と死亡率が低いって話です。
でも、それって本当なんですかね~?



過体重と寿命の関係について知らべてみた…!

2015年のマギル大学の研究によると、過体重と糖尿病や心血管疾患により亡くなる方の関係性について調べてみたそうです。つまり、過体重と寿命の関係について推定してみたってことですね。研究は2003年10月のアメリカ国民健康栄養調査のデータを用い、そこから非ヒスパニック系白人参加者3,992人の空腹時の血糖値データを使用して調べたとのこと。
過体重については、理想的なBMI(18.5~)と比較して3グループに分けたそうで、

  1. 過体重:BMIが25〜
  2. 肥満:MBIが30〜
  3. 超肥満:MBIが35~

としたそうな。
この各体重カテゴリーと死亡率・健康寿命の関係性を推定してみたそうです。
んで、結果が、

  • 過剰な体重の人と、心血管疾患と2型糖尿病のリスクに関係性があった
  • 特に過剰な体重と寿命の影響を受けていたのは、若者だった。影響度は年齢が上がるにつれて減少していた

とのこと。
更に詳しく見てみると、

  • 肥満男性は、60〜79歳だと0.8歳寿命が短くなっており、20〜39歳だと5.9歳寿命が短くなっていた
  • 超肥満男性は、60〜79歳だと0.9歳寿命が短くなっており、20歳だと8.4歳寿命が短くなっていた
  • 女性にも同じ結果が見られた(超肥満女性は、60〜79歳だと0.9歳寿命が短くなっており、20〜39歳だと6.1年寿命が短くなっていた)

そうです。やっぱ太り過ぎはヤバいっすね~。
けれでも、ここで意外なのが過体重の男性についてです。なんでも、過体重の男性はダメージが小さく、無視できるレベルの人もいたそうなんですよね。4人に1人はコレステロール値や血糖値に異常がなくて、代謝問題が全然なかったそうな。
こう見ると、健康的な肥満ってのはどうやら存在しそうですねー。



でも、やっぱりスリムな人の健康アベレージは高い…!

2015年のロンドン大学コホート研究よると、健康的な肥満の人の自然経過を調べるため、20年以上にわたって追跡調査をしてみたそうです。対象となったのは39〜62歳のイギリスの公務員の方で、2,521人(男性75%)が参加したとのこと。
実験は、5年後、10年後、15年後、20年後にデータをとり、スタート時のデータと照合、肥満と代謝状態について比べてみたそうです。因みに年齢や性別、民族性なんかは調整してくれております。
それでは結果を見てみましょう…!
スタート時、健康的な肥満と診断された66人の参加者のうち、

  • 21人が5年後に不健康な肥満になった…!
  • 27人が10年後に不健康な肥満になった…!
  • 23人が15年後に不健康な肥満になった…!
  • 34人が20年後に不健康な肥満になった…!

そうです。
それに対して、健康的なスリムと診断された1,677人の参加者のうち、

  • 41人が5年後に不健康な肥満になった…!
  • 77人が10年後に不健康な肥満になった…!
  • 82人が15年後に不健康な肥満になった…!
  • 101人が20年後に不健康な肥満になった…!

そうです。
この結果をまとめると、

  • 20年後、健康的な肥満の人の約半分(51.5%)が不健康な肥満になった…。健康的なスリムになった人はわずか10%だった…。
  • 20年後、健康的なスリムの人が不健康な肥満になる割合はわずか6%だった…!

となったみたい。
この結果に研究者曰く、健康的な肥満の成人は、健康的なスリムの成人よりも、20年後に不健康な肥満状態になる可能性が8倍近く高かった。また、健康的な肥満の成人は、不健康なスリムの成人よりも一貫して不健康になる可能性が高かった健康的な肥満の成人は年数が経てば経つほど、不健康な肥満になる確率が高かった、とのこと。
今は健康的な肥満で問題なくてもその後のリスクはかなり高そうですね~。



肥満パラドックスについて調べてみた…!

2014年のクイーンズランド大学の研究によると、大規模コホート研究で肥満パラドックスについて調べてみよう…!となったそうです。
この研究は左心室が50%以上で機能している患者さん47,866人を対象にしたそうで、体脂肪やBMI、除脂肪体重(≒筋肉量)なんかをチェックしたそうな。その上で、年齢や性別などの変数を調整し全国の死亡指数を使用して関係性があるかを見てみたらしい。
平均追跡期間は3.1年間で早速結果を見てみますと、

  • BMIが高いほど死亡率が低いという関係は小さくあった。つまり肥満パラドックスは関係性が小さいが確かにありそう…!
  • 高除脂肪体重(≒筋肉量が多い人)は明らかに死亡率が低かった…!
  • 体脂肪については、除脂肪体重の調整が行われなかった場合にのみ、死亡率の低下と関係していた…!
  • やせた患者さんでは、低BMIは明らかに死亡率の上昇と相関していた…!
  • 除脂肪体重の調整が行われなかった場合にのみ、低体脂肪は死亡率の低下と関係していた…!
  • 体脂肪によってグループ化した低体重の患者さんは、除脂肪体重とは無関係に死亡率が増加しているように見えた…!
  • ただし、肥満患者さんではBMIと体脂肪の両方が死亡率の上昇と関係していた…!因みに体脂肪とは無関係だった…!

どうやら、肥満パラドックスは確かにありそうですがその効果は小さいみたいですね。それよりも痩せすぎのダメージがデカそうな感じ。
つまり、どういうことかと言いますと、

  1. 一番健康的に良い体型なのは、やっぱ筋肉がついた健康的なスリム体型の人(男性は体脂肪率10%ぐらい、女性の体脂肪率20%ぐらい
  2. 標準体型の人
  3. 太りすぎや肥満の人
  4. 痩せすぎの人

って順番になりそうです。
やっぱ、基本的な考え方はあくまで変わらず、両極端を比べたら、太り過ぎや肥満の人の方のダメージが少しだけ痩せすぎの人よりも小さいという感じですな。

ということで、肥満パラドックスがあるから大丈夫…!とは到底言えない感じ。
やはり、当たり前ですが、皆が思う健康体型を目指していった方が良さそうですね~。




個人的考察

まとめると、確かに健康的な肥満って人は存在するけど、将来不健康になるリスクが高いからやっぱ肥満は良くないよ…!ってことでした。
う~ん。頑張って今の体型を維持しよう…。



参考文献