線維筋痛症の症状改善に役立ちそうな方法を見ていくよーの続きです。
5月から毎週月曜日にご紹介してきた線維筋痛症のお話も、今回でひとまずラストにしようかな~と思います。
そこで最後は線維筋痛症の寛解率についてご紹介しようかと。ご存知の方も多いように「障がい」と呼ばれるものは、基本的に完治することはありません。その完治に近い状態を寛解(かんかい)と申します。寛解状態は症状が非常に落ち着いた状態のことでして、これだと完治と同じじゃん…!って気がしてしまうんですが、再発リスクがずーっと残るっていう違いがございます。なんで、また状態が悪くなることがあるんですよね。
んで、この寛解状態が長期間に亘って続くような状態のことを完全寛解といったりします。線維筋痛症の方はもちろん、精神障がいの方も目指すべき最終目標ですな。
では実際、この頂に到達する線維筋痛症患者さんはどのぐらいいるのか…?今回はここを見ていきます。



線維筋痛症はどのぐらい症状改善・寛解する可能性があるのか…?

2011年のアメリカ国立リウマチ疾患データバンク(NDB)の研究によると、線維筋痛症患者さんの症状改善・寛解率について調べてみたそうです。
まず研究者たちは、1998年から開始したアメリカ国立リウマチ疾患データバンク(NDB)のデータセットをチェックしたそうな。このデータセットにはアメリカのリウマチ専門医が所属する病院から集められた線維筋痛症患者さんのデータが入っていまして、毎年1月と7月の年2回(半年間隔)、線維筋痛症の症状について郵送アンケート又はネットアンケートに答えてもらったと言うもの。
このデータの中から、米国リウマチ学会(ACR)の2010年の線維筋痛症診断基準を満たしている人、上記アンケートに最低2回以上答えている人なんかをピックアップしていったらしい。
結果、サンプル数は1,555人となりまして、アンケートの回答率は、

  • 1年間(2回答えた):19%
  • 2年間(3,4回答えた):25%
  • 3~11.5年間(6~23回答えた):56%

ってことで、平均追跡期間は4.0年で、延べ回答数は11,006件にも上ったそうです。
最後に統計処理した結果、5年間の症状改善率は、

  • 痛み:0.4
  • 疲労感:0.4
  • 全体:0.0

とのこと。
やっぱ厳しいですなー。
続いて追跡期間全体から見た平均値を見てみますと、

  • 全体:0.03
  • 痛み:0.22
  • 睡眠障害:0.20
  • SF-36:0.11
  • SF-36(メンタル部分のみ):0.03

って感じ。更に厳しい結果ですね…。
また、症状改善状態に一度もならなかった線維筋痛症患者さんは716人(44.0%)もいたそうで、7,448件もあったとのこと。
更に症状改善・悪化の程度について見てみますと、

  • 線維筋痛症の患者さんの約10%に大幅な改善が見られた…!
  • 線維筋痛症の患者さんの約15%に中程度の痛みの改善が見られた…!
  • 線維筋痛症の患者さんの約35.9%は重症度が上がっていた…。
  • 線維筋痛症の患者さんの約38.6%は痛みが悪化した…。

そうです。
まとめると、

  • 線維筋痛症が完全寛解することはほとんどない…。
  • 線維筋痛症が寛解することは25%ほど…。
  • それよりも変わらない・悪化していくことの方がずーっと高い…。

となってしまいました。
以上を見るとやっぱ難しい病気だなーと言わざるを得ませんね…。



個人的考察

まぁ、線維筋痛症に限らず、障がいというものの寛解への道のりは険しいの一言なんで致し方ありませんね。となると近道なんかなくて、やっぱ地道に一歩一歩、日々の生活・対策が大事ではないかと思いました。
まずは手始めに食事、睡眠、運動に手を付けつつ、自分なりの体調安定法(コーピングレパートリー)なんかを作ってみることをおすすめ致します。



参考文献