【まとめ】全米医学アカデミーから学ぶ慢性的な睡眠不足のデメリット
これまで睡眠不足のデメリットをたくさ~ん紹介してきた当ブログ。
んで、今回も睡眠不足によるデメリットのお話なんですが、「睡眠大全」と言っても過言ではない書籍を見てみようかと…。これまでご紹介してきた研究もたくさん載っていますが、兎に角、睡眠についてこれさえみときゃOKって感じのものです。
2006年発行の物なんですが、今と大筋は変わっておりませんので十二分に参考になります。
全米医学アカデミーから学ぶ慢性的な睡眠不足のデメリット
2006年にアメリカ医学研究所(IOM、現全米医学アカデミー(NAM))が発行した「Sleep Disorders and Sleep Deprivation: An Unmet Public Health Problem」には、2006年時点の睡眠に関わる問題がガッツリとまとめれております(今でもほぼ通用する内容です)んで、この中の第3章では、慢性的な睡眠不足と睡眠障害がもたらす健康への様々な影響がバーッと書かれているんですよね。
80ページ近くあって一つ一つ細かく上げているとかな~~~り時間がかかりそうなんでポイントを以下にバーッと挙げておきます。
そもそも睡眠不足ってなに…?
まずは睡眠不足ってなに…?って話をしていきます。睡眠不足とは、一般成人の場合、1日7~8時間の睡眠時間よりも短い時間の睡眠時間しか取れていない場合(=1日の睡眠時間が7時間未満の人のこと)を言います。
2000年の研究や2002年の研究、2005年の研究によると、成人の少なくとも18%が睡眠不足って報告をしているとの事です。大体5人に1人が睡眠不足ってことですね。因みに1968年の研究では成人の睡眠時間は1日平均7.7時間だったそうなんで、睡眠不足はここ50年近くで爆発的に増えていると言えそうですな。
さらに深刻なのがより睡眠時間を多く必要とする青少年の睡眠時間の現状です。
例えば、1998の研究によると、青少年3,000人以上を対象に、睡眠時間をチェックしてみたら、1日平均8.5時間以上寝ていた人はわずか15%で、1日平均6.5時間しか寝ていない人が26%もいたとのこと。2004年の研究によれば、青少年の必要睡眠時間は1日平均9時間なんで確実に足りない人ばっかってことですねー。
因みに睡眠不足は基本的に多くなればなるほど、バッドステータスも大きくなるのが多くの研究で分かっているそうな。
睡眠不足の原因は何か…?
では若者の睡眠時間の減少の原因は何か…?って話ですが、1998年の研究や2004年の研究によると、- テレビの視聴時間の増加
- 社会的な活動時間の増加
- 娯楽時間の増加
- 勉強時間の増加
が睡眠不足や睡眠障害の要因っぽいです。
また大人の場合の睡眠不足や睡眠障害の原因は重複があるものの、大きく以下の2種類に分ける事が出来るそうです。
- 夜勤があるシフト勤務:大体午前7時~午後6時の間以外の時間で働く事が通常勤務である場合
- バラバラな睡眠時間:平日と土日の睡眠時間が大きく違うなどの場合
それと併せて覚えておきたい事が睡眠時間は短すぎても多すぎてもダメってこと。1日7~8時間睡眠がベストで、その両極端に行くにつれてデメリットが大きくなっていくU字型のグラフをイメージすると分かりやすいかと思います。
以上が睡眠不足の基本事項となりますが、せっかくなので睡眠不足と密接に関わりのある睡眠障害についても触れておきます。
2005年の米国睡眠医学会(AASM)の睡眠障害国際分類によれば、睡眠障害は約90種類あると言われており、そのほとんどの症状は、
- 日中の激しい眠気
- 眠りに入るのが難しい
- 睡眠の持続が難しい
- 睡眠中に異常な症状が発生する
って感じとの事です。
これら睡眠不足・睡眠障害は、
- パフォーマンスの低下
- 健康リスクのアップ(心血管系や内分泌系、免疫系、神経系などの広範囲に悪影響を及ぼす。また死亡率や病気の発症率がアップする)
- 事故や怪我の増加
- 生活の質の低下
- 幸福度の低下
- 病院の受診の増加
と様々なデメリットを生むそうなんで是非注意していきたいですね。
では次に睡眠不足のデメリットを深掘りしていきましょう…!
睡眠不足でパフォーマンスが大幅に低下する…!
まず最初に挙げておきたいのがパフォーマンスの低下です。睡眠不足のパフォーマンス低下で最も目に見えやすいのが判断力の低下になります。例えば2005年の研究によると、スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事故は睡眠不足による判断ミス(NASA職員が機体の整備不良を発見できなかった)が悲惨な出来事につながった原因だったそうです。
また2005年の研究によると、睡眠不足で、昼間の激しい睡魔が起きるのは当然ですが、その他にも、
などが見られたとのこと。
そこで分かった事は、
そうです。
また、成人1,000名以上を対象とした大規模な2004年の研究では、
そうです。
因みに睡眠不足の影響は年齢とともに減少傾向にあったらしい。
更にこの研究では睡眠時間とホルモンの関係もチェックしたみたいで、
が睡眠不足により起こっていたみたい。
その他、2004年のRCT・クロスオーバーデザインでも睡眠の制限がレプチンの低下とグレリンの増加に関係していると出ていたそうです。
ダイエットをするとき、運動や食事に目がいきがちですが、まずは睡眠から見直すのもアリですねー。
2005年の研究によると、
とのこと。因みに上記の結果と肥満(ウエストの太さ)は関係なかったそうです。
また、1999年の研究では健康な男性11名を対象に1日4時間睡眠を6日間行ってもらったそうなんですが、やはり短い睡眠時間と耐糖能異常には相関関係があったそうな。わずか1週間の睡眠不足でも耐糖能異常につながる…!ってのはすごい話ですねー。
更に睡眠不足と糖尿病&耐糖能異常は、睡眠不足と心血管疾患・死亡率にも関係している可能性があるとの事。確かにあり得る話ですな。
例えば、2003年の研究によればNHSを用いて看護師の健康調査をしていますが10年後、
とのこと。
これらの結果に血圧や糖尿病の病歴は無関係だったそうで、もちろん年齢やBMI、喫煙の有無などは調整済みです。
また1996年の研究や2004年の研究によると、睡眠不足による血圧の上昇や交感神経の活発化、耐糖能異常などの心血管疾患も関係あるそうで、例えば健康な若い男性を対象に1日だけ3.6時間睡眠にしてもらった実験では、血圧の上昇がみられたそうです。
やっぱり睡眠不足ってのは心血管系に悪影響を及ぼすみたいですね。
なんかが起こっていたそうな。
また、1996年のメタ分析によると、ピックアップした19件の研究を精査した結果、
そうです。
大人はこんな感じでしたが、子供を対象とした研究もありまして、例えば1990年の研究や1992年の研究、1998年の研究があり、その中には3,000人以上の高校生を対象とした研究もあったんですよ。
んで早速結果を見てみるとやはり同じ感じでして、子どもは睡眠不足によって、
があったそうです。
また2004年の研究では睡眠不足と自殺未遂も関係が見つかっておりました。
しかし、因果関係(睡眠不足でうつや不安が出るのか、うつや不安があるから睡眠不足になるのか)は分かっていないとの事。まぁ、どちらの可能性もありそうですが…。
更に2004年の縦断研究によると、11~14歳の中学生2,200人以上を対象に3年間にわたって、睡眠時間のアンケートを実施したそうです。併せて、うつ症状と自信についてもアンケートに答えてもらったそうな。
結果、
そうです。
大人も子供も関係なく、睡眠不足はメンタルにダメージを与え、長引けば長引くほどダメージも大きくなりそうな感じですね…。やっぱり寝るって大事。
2002年の前向きコホート研究や2004年の前向きコホート研究、2004年の別の前向きコホート研究という3つの大規模な前向きコホート研究によれば、83,000人~110万人を対象に睡眠時間と死亡リスクを調べたそうです。
追跡期間は6~14年で睡眠時間の短いor長い人と7時間睡眠をした人の死亡率を比べてみたんだそうな。
結果、
とのこと。
更に2002年の研究では、上記3つの研究の全ての結果をグラフ化してみたそうで、結果は、想像通り、
そうです。
その他、2003年の研究なんかでは、睡眠不足に関係する死亡率は、主に急性心臓発作の場合が多い…!って感じだったみたいです。
いずれにしても間違いなく睡眠不足、特に慢性的な睡眠不足は寿命を縮めると言っていいでしょうね。
- 気分の落ち込み
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
などが見られたとのこと。
睡眠不足で太る…!
睡眠不足と肥満には密接な関係があるそうで、基本的に睡眠時間が短くなればなるほど肥満が大きくなるそうな。例えば、2004年の研究によると、睡眠不足と肥満の関係を調べた研究は横断研究が多いけど、前向きコホート研究もあってその実験では成人500名を対象に13年間追跡調査をしたそうです。そこで分かった事は、
- 27歳までに睡眠時間が短い(=6時間未満)の人は、家族歴や普段の運動頻度などの変数を調整してもBMIが7.5倍も高かった…!
そうです。
また、成人1,000名以上を対象とした大規模な2004年の研究では、
- 睡眠時間とBMIはU字型の関係があった…!
- 7.7時間睡眠の成人が最もBMIが低かった…!
- 睡眠時間が短くなるor長くなるにつれて、BMIも徐々に高くなっていった…!
そうです。
因みに睡眠不足の影響は年齢とともに減少傾向にあったらしい。
更にこの研究では睡眠時間とホルモンの関係もチェックしたみたいで、
が睡眠不足により起こっていたみたい。
その他、2004年のRCT・クロスオーバーデザインでも睡眠の制限がレプチンの低下とグレリンの増加に関係していると出ていたそうです。
ダイエットをするとき、運動や食事に目がいきがちですが、まずは睡眠から見直すのもアリですねー。
睡眠不足で糖尿病&耐糖能異常のリスクがアップする…!
耐糖能異常からの糖尿病ってステップなのは皆さんご存じだと思いますが、この2つはどうやら睡眠不足と関係があるようです。2005年の研究によると、
- 1日の睡眠時間が5時間以下の人は、1日の睡眠時間が7~8時間の人に比べ、糖尿病リスクが2.5倍も高かった…!
- 夜勤(深夜に6時間働く人)は、糖尿病リスクが約1.7倍も高かった…!
- 睡眠時間が9時間以上の人も糖尿病リスクがアップしていた…!
とのこと。因みに上記の結果と肥満(ウエストの太さ)は関係なかったそうです。
また、1999年の研究では健康な男性11名を対象に1日4時間睡眠を6日間行ってもらったそうなんですが、やはり短い睡眠時間と耐糖能異常には相関関係があったそうな。わずか1週間の睡眠不足でも耐糖能異常につながる…!ってのはすごい話ですねー。
更に睡眠不足と糖尿病&耐糖能異常は、睡眠不足と心血管疾患・死亡率にも関係している可能性があるとの事。確かにあり得る話ですな。
睡眠不足は心血管疾患・高血圧・脳卒中リスクにも関係している…!
1992年の研究、1997年の研究、1998年の研究、2000年の研究、2003年の研究、2005年の研究、2005年の別の研究、2005年の別の研究、2002年の研究と多くの研究結果から、睡眠不足・睡眠障害は、心臓発作(心筋梗塞)や脳卒中と関係していたそうです。例えば、2003年の研究によればNHSを用いて看護師の健康調査をしていますが10年後、
- 睡眠時間が短い人、長い人の両方で心疾患のリスクがアップしていた…!
- 1日の睡眠時間が5時間以下の場合、心疾患のリスクが45%もアップしていた…!
- 1日の睡眠時間が9時間以上の場合でも心疾患のリスクがアップしていた…!
とのこと。
これらの結果に血圧や糖尿病の病歴は無関係だったそうで、もちろん年齢やBMI、喫煙の有無などは調整済みです。
また1996年の研究や2004年の研究によると、睡眠不足による血圧の上昇や交感神経の活発化、耐糖能異常などの心血管疾患も関係あるそうで、例えば健康な若い男性を対象に1日だけ3.6時間睡眠にしてもらった実験では、血圧の上昇がみられたそうです。
やっぱり睡眠不足ってのは心血管系に悪影響を及ぼすみたいですね。
睡眠不足で、憂鬱な気分・不安症状、アルコールの使用頻度の増加が起こる…!
2004年の研究や2005年の研究、2005年の別の研究によると、慢性的な睡眠不足の成人は、- 激しい精神的な落ち込み
- 抑うつ
- 不安症状
- アルコールの使用頻度の増加
なんかが起こっていたそうな。
また、1996年のメタ分析によると、ピックアップした19件の研究を精査した結果、
- たまの睡眠不足では、認知機能や運動機能よりも気分を大きく変える力があった…!
そうです。
大人はこんな感じでしたが、子供を対象とした研究もありまして、例えば1990年の研究や1992年の研究、1998年の研究があり、その中には3,000人以上の高校生を対象とした研究もあったんですよ。
んで早速結果を見てみるとやはり同じ感じでして、子どもは睡眠不足によって、
- 抑うつ
- 不安症状
- 行動上の問題
- アルコールの使用頻度の増加
があったそうです。
また2004年の研究では睡眠不足と自殺未遂も関係が見つかっておりました。
しかし、因果関係(睡眠不足でうつや不安が出るのか、うつや不安があるから睡眠不足になるのか)は分かっていないとの事。まぁ、どちらの可能性もありそうですが…。
更に2004年の縦断研究によると、11~14歳の中学生2,200人以上を対象に3年間にわたって、睡眠時間のアンケートを実施したそうです。併せて、うつ症状と自信についてもアンケートに答えてもらったそうな。
結果、
- 慢性的な睡眠不足の期間が長ければ長いほど、抑うつ症状がより悪化し、自信もより低下していた…!
そうです。
大人も子供も関係なく、睡眠不足はメンタルにダメージを与え、長引けば長引くほどダメージも大きくなりそうな感じですね…。やっぱり寝るって大事。
睡眠不足と病気による死亡率の関係
ここからは実際に睡眠不足でどのぐらい病気による死亡率が増えるのか見てみましょう。2002年の前向きコホート研究や2004年の前向きコホート研究、2004年の別の前向きコホート研究という3つの大規模な前向きコホート研究によれば、83,000人~110万人を対象に睡眠時間と死亡リスクを調べたそうです。
追跡期間は6~14年で睡眠時間の短いor長い人と7時間睡眠をした人の死亡率を比べてみたんだそうな。
結果、
- 1日の睡眠時間が5時間以下の場合、総死亡率が約15%もアップしていた…!
とのこと。
更に2002年の研究では、上記3つの研究の全ての結果をグラフ化してみたそうで、結果は、想像通り、
- U字型の曲線で、睡眠時間が短くなったり長くなったりすると、死亡率が上昇していた…!
そうです。
その他、2003年の研究なんかでは、睡眠不足に関係する死亡率は、主に急性心臓発作の場合が多い…!って感じだったみたいです。
いずれにしても間違いなく睡眠不足、特に慢性的な睡眠不足は寿命を縮めると言っていいでしょうね。
睡眠障害のデメリット
この書籍には睡眠障害のデメリットも載っているんですが、詳しく書いていくとまだまだ続いちゃうんで、ポイントだけバーッと挙げておきます。- 睡眠時無呼吸症候群:日中の激しい眠気、夜中に何度も起きる、集中力の低下、気分の変化、慢性的な血圧の上昇と高血圧、心血管疾患(42%高い)、脳卒中(58%高い)、耐糖能異常と糖尿病・インスリン抵抗性の悪化、肥満(病的肥満者の最大40%)、レプチン(食欲抑制ホルモン)の乱れ、死亡リスク。対策はCPAP療法と減量。
- 精神疾患:不眠症(不眠症と診断された人の40%が精神障害も持つ)、過眠症(過眠症と診断された人の46.5%が精神障害も持つ)、大うつ病の青年は睡眠障害の発症率が高い、睡眠障害の青年はネガティブが多い、思春期の睡眠問題はその後の人生におけるうつ病リスクをアップさせる、不眠症と診断された人の15~20%が大うつ病を発症している、男性医師1,000人以上を40年追跡調査した研究結果を含め不眠症とうつ病は関係している、若者1,007人を3.5年追跡調査した研究ではスタート時に不眠症の病歴があると新たなうつ病の発症だけでなく他の精神障害(不安障害やアルコール乱用、薬物乱用など)も発症する可能性が高かった。その中でもうつ病の発症が約4倍(3.95倍)と最も高かった、1997年の成人10,000人を対象とした研究でも不眠症は大うつ病リスクが5倍パニック障害が20倍発症リスクが高かった。
- アルツハイマー病:加齢で進行する記憶力低下と知的能力低下を特徴とする神経変性疾患。2005年の2つの研究では、アメリカだけで約400万人がアルツハイマー病を発症していると推定され、約4分の1が睡眠障害を持っている。
- パーキンソン病:歩行や動作の障害、筋肉の震え、ゆっくりとした歩行、表情の減少が特徴。睡眠障害や呼吸障害を持つこともあり、日中、激しい眠気を感じている事が多い。睡眠障害はパーキンソン病の進行とともに増加する。
- てんかん:脳内の異常な電気活動を特徴とするもので、意識の喪失や異常な動きや行動が出る。睡眠不足と密接に関わりがあり2005年の研究によれば発症率は1.5~3.1%。2005年の研究によれば睡眠関連のてんかんはてんかん患者の10%以上に影響を与える可能性がある。発作を引き起こす疾患は睡眠リズムを乱し睡眠不足につながる可能性があるし、睡眠不足は発作の発生率を高める。
- 脳卒中:1996年の研究によれば脳卒中を起こした人の60~70%が睡眠時無呼吸症候群を持っていた。
- むずむず脚症候群(RLS):脚を動かしたいという衝動を抑えきれない病気。2000年の研究によれば、夕方や夜に起こりやすいため、ほとんどの人が入眠が困難になる。また1997年の研究によると、不快感により夜中、頻繁に目を覚ますこともある。
全米医学アカデミーから学ぶ慢性的な睡眠不足のデメリット「パフォーマンス&安全性&機能と生活の質&経済的な影響編」
睡眠不足や睡眠障害は、目に見えない睡眠状態の影響であるにも関わらず、死亡率や病気の発症率、パフォーマンス、事故や怪我、機能と生活の質、幸福度、経済面など公衆衛生のほとんど全てにおいて悪影響を及ぼします。では、具体的にどのぐらいの悪影響なのか早速、第4章のパフォーマンス&安全性&機能と生活の質&経済的な影響を見ていきましょう…!睡眠不足と認知パフォーマンスの低下の関係
まずは睡眠不足による認知パフォーマンスへの悪影響を大まかにつかみたいと思います。睡眠不足は勉強や仕事など様々な環境での認知パフォーマンスの低下をもたらしまして、具体的には注意力や記憶力、複雑な意思決定などの低下が起きるそうです。
更に詳しくは2005年のペンシルベニア大学の研究や2009年のペンシルベニア大学の研究が参考になりまして、睡眠不足による認知パフォーマンスへの悪影響をまとめてくれているんですよね。
それが以下になります。
ということでまさにグダグダになるみたいです。
- マイクロスリープ(日中に数秒間寝てしまう)が起こる。
- 集中力や注意力が不安定になり、ミスが増える。
- 時間のプレッシャーがある時は認知ミスが増える、自分のペースでタスクを行った時は認知スピードが落ちる。
- 反応速度が遅くなる。
- 短期記憶とワーキングメモリが低下する。
- 拡散的思考(アイディアを思いつく能力)が低下する。
- 認知課題の学習(学校の勉強を覚えるなど)が低下する。
- 前頭前野が関わる機能(思考や感情、記憶、創造性、行動のコントロールなど)が低下する。
- 効果的ではない解決策にこだわりやすくなる。
- 行動の効果を持続するために、余計な努力をしなければならなくなる。
- タスクが上手くスタートできても、時間が経つにつれ、パフォーマンスが低下する。
- 状況認識力が低下し、必要でない事をしてしまう事が多くなる。
ということでまさにグダグダになるみたいです。
ぜひ注意していきたいですね~。
実験期間は14日間で、睡眠不足とパフォーマンスの関係を見比べてみた結果、
そうです。
睡眠不足のダメージは徹夜レベルと同等なのに、自分では気付けないってのがすごいですねー。
また2003年の別の研究では、健康な66人の参加者を対象に以下の4グループにランダムに振り分け毎日寝てもらったそうです。
実験期間は7日間で、睡眠不足とパフォーマンスの関係を見比べてみた結果、
そうです。
2つの研究から、睡眠不足で注意力と反応速度は確実にダウンしますし、睡眠不足が続けば続くほど、そのパフォーマンス低下も大きくなっていくみたいですね。まさに睡眠負債ですな。
因みに2000年の研究によると、睡眠不足による認知機能低下は、前頭葉の代謝低下が原因っぽいです。
一応1998年の研究によれば、
っていう結果が出ていたり、1998年の研究や2003年の研究、別の2003年の研究でも、
睡眠不足で認知パフォーマンスは低下する…!続けば続くほど低下する…!睡眠不足のダメージは徹夜レベルと同等…!なのに自分では気付けない…!回復にも時間がかかる…!
2003年の研究によると、健康な48人の参加者を対象に以下の3グループにランダムに振り分け毎日寝てもらったそうです。- 1日4時間睡眠グループ
- 1日6時間睡眠グループ
- 1日8時間睡眠グループ
実験期間は14日間で、睡眠不足とパフォーマンスの関係を見比べてみた結果、
- 睡眠不足が続くとパフォーマンスの低下も大きくなっていった…!
- 1日6時間睡眠以下の人のパフォーマンス低下は、2日完全に徹夜した人のパフォーマンスと同じぐらいだった…!
- にもかかわらず、本人は、自分のパフォーマンスが低下していることにほとんど気付いていなかった…!
そうです。
睡眠不足のダメージは徹夜レベルと同等なのに、自分では気付けないってのがすごいですねー。
また2003年の別の研究では、健康な66人の参加者を対象に以下の4グループにランダムに振り分け毎日寝てもらったそうです。
- 1日3時間睡眠グループ
- 1日5時間睡眠グループ
- 1日7時間睡眠グループ
- 1日9時間睡眠グループ
実験期間は7日間で、睡眠不足とパフォーマンスの関係を見比べてみた結果、
- 睡眠不足が続くとパフォーマンスの低下も大きくなっていった…!
- 特に1日3時間睡眠のパフォーマンス低下率がヤバかった…!
- 実験終了後も3日間追跡調査してみたところ、少しずつ回復はしていたが、それでもスタート時のレベルに戻るには至らなかった…!
そうです。
2つの研究から、睡眠不足で注意力と反応速度は確実にダウンしますし、睡眠不足が続けば続くほど、そのパフォーマンス低下も大きくなっていくみたいですね。まさに睡眠負債ですな。
因みに2000年の研究によると、睡眠不足による認知機能低下は、前頭葉の代謝低下が原因っぽいです。
睡眠不足と学校成績の関係
次に睡眠不足と学校成績の関係をみていきます。…といっても学校成績と睡眠不足の関係を調べるのは超難しいらしくて、なんでも様々な要素が複雑に絡み合っているためはっきりとしたことが言えないみたいなんですよね。一応1998年の研究によれば、
- 睡眠不足は若者の注意力や認知機能に影響を与える…!
っていう結果が出ていたり、1998年の研究や2003年の研究、別の2003年の研究でも、
- 睡眠時間の短さと学校成績の低下は関係している…!
とは出ているそうです。
しかし、因果関係が良くわからない、つまり、睡眠不足だから成績が悪いのか、成績が悪いから睡眠不足になるのかが謎なんですよね。まぁ、良くても現状維持か悪くなるしかないと思うのでやはりしっかり寝ておきたいところです。
睡眠不足と仕事のミスの関係
睡眠不足と学業の関係は変数が多すぎていまいちはっきりとした結果は分からなかったのですが、睡眠不足と仕事のミスの関係についてはどうなのでしょうか…?この関係を調べるのによく参加者として選ばれるのが医療関係者です。医療はミスが命取りになる仕事なんですが、一方で長時間労働や夜勤があるなど、睡眠不足に陥りやすい仕事でもあるんですよね。
例えば2002年の研究によると、研修医ってのは他の仕事に比べ特に長時間労働が多いそうです。そして、研修医の最初の1年間は、研修医は3日おきに徹夜(24時間シフト)で働くことが結構あるそうで、1週間96時間労働ってのが結構普通みたいです。
そうなれば当然、睡眠不足による医療ミスは起きやすくなります。
んで、2004年の研究によると、集中治療室での研修医のインターン(長時間労働)と医療ミスについて調べてみたそうです。なんでも集中治療室の勤務は勤務時間が最も長く、ミス率も最も高いんだそうな。
この研究では634人を対象に、合計2,203日分のデータを集めたとの事。因みにミスについては、診断ミスや手順ミス、投薬ミスなど種類ごとに細かく記録したそうです。
結果、
- 残業や夜勤が多い場合、研修医のインターン時の投薬ミスは約21%も増えていた…!
- 更に診断ミスに至っては少なくとも5倍も増えていた…!
- 重大な医療ミスの発生率は22%も高かった…!
そうです。
また2001年の研究や2003年の研究によれば、睡眠不足の外科研修医は、手術のシミュレーションで最大2倍もミスが増えていたそうです。
更に2004年の研究によると、5,600人の研修医を対象に、勤務時間と医療ミスの関係について調べてみたそうです。
すると、
- 週80時間以上働いた研修医は、週80時間未満の研修医よりも、重大な医療ミスを起こす可能性が50%も高かった…!
とのこと。
他にも2004年の研究では、看護師を対象に勤務時間と医療ミスの関係について調べてみたそうなんですが、やはり結果は似ていて、
- 8.5時間勤務よりも12.5時間勤務の方が3.3倍も医療ミスが多かった…!
とのこと。
因みに看護師のほぼ40%が12時間勤務をしていると報告していたそうです。睡眠時間を直接調べてはいませんが、疲労が主な原因である可能性は高いそうです。
睡眠障害と認知パフォーマンスの関係
ここからは睡眠障害と認知パフォーマンスの関係をいくつか下記に挙げておきます。睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、子どもでも起きる事がありまして、2002年の研究や2004年の研究によると、発達や認知、行動、学校成績に悪影響を及ぼすと言われております。また2002年の研究によると、重度の睡眠時無呼吸症候群の子どもはそうでない子供に比べて、神経行動学的リスク(感情、行動、学習の問題)が約3倍も多いそうです。成人の睡眠呼吸障害と認知障害
1987年の研究や1991年の研究、1995年の研究、1997年の研究、1997年の別の研究といった横断研究では、成人の睡眠障害が認知機能障害と関連していることを示しているそうです。また1996年の研究によると、認知機能障害は、部分的に仕事の質やパフォーマンスを低下させると出ていたり、事故や怪我を増やしたり、生活の質が低下すると出ているので、やはり注意していきたいところ。
更に、2000年のメタ分析では、重度の睡眠時無呼吸症候群を持つ人は認知機能障害がかなりあるそうで、特に注意力や実行機能(複雑なタスクを計画したり整理する能力)への影響がすごく、それよりも低いものの記憶力への悪影響もあったそうです。
睡眠不足と安全性
睡眠不足と事故や怪我の関係を見る際に最も身近なのが自動車事故です。2002年の研究によると、ニュージーランドに住む571人を対象に、運転中の急な眠気について詳細な質問に答えてもらったそうです。
すると、重大な交通事故による怪我の約20%は、アルコールと関係がなく、ドライバーの眠気が関係していたそうな。
そして入院または死亡を含む自動車衝突事故の大きな原因は、
- 睡眠不足
- 午前2時~午前5時までの運転
だったそうです。
また、他の研究でわかったのが、睡眠不足による運転パフォーマンスへの影響は、飲酒運転と同程度だということです。例えば、1995年の研究によると、1990年~1992年までにノースカロライナ州で確認できた自動車衝突事故をチェックしてみたそうです。
居眠り運転による衝突事故と飲酒運転による衝突事故の割合を見てみると、重傷の場合は同じぐらいのパーセンテージだったそうな。
詳しく見てみると、
- 全ての原因の衝突事故→居眠り運転13.5%:飲酒運転17.8%
- 自動車衝突による死亡事故→居眠り運転1.4%:飲酒運転2.1%
って感じ。
更に、2001年の研究では、睡眠不足の人や飲酒した人に実験用コースを運転してもらったそうです。
結果、
- 運転パフォーマンスはどちらも同じぐらい低くなっていた…!
とのこと。
他にも1999年の研究なんかでは、徹夜明けの状態の運転パフォーマンスは血中アルコール濃度が0.07%の場合に見られる状態と同じぐらいだったそうなんで、やはり睡眠不足のパフォーマンス低下による事故は非常に気を付けるべき問題みたいです。
因みに睡眠障害と安全性にも関係がありまして、1999年の研究によると、睡眠時無呼吸症候群の人はそうでない人に比べ、交通事故に遭うリスクが2倍だそうです。そして1997年の研究によると、睡眠時無呼吸症候群の症状が重くなればなるほど、交通事故のリスクも高くなっていくそうな。
睡眠不足と仕事中の安全性
次は睡眠不足と仕事中の事故の関係について見ていきましょう。2002年の大規模な研究によると、睡眠不足による疲労は業務中の怪我や死亡リスクを高めるそうです。
例えば2003年の大規模な前向きコホート研究では、オランダの企業で働く7,000人以上の労働者を対象に仕事中の事故発生率を調べてみたそうな。
実験期間は1年間で結果、
- 1年間で負傷した労働者は108人だった。
- 睡眠不足による疲労が溜まれば溜まるほど事故発生率も高くなっていた…!
- 他のリスクを調整しつつ、睡眠不足による疲労度が特に高い労働者とそうでない労働者を比べてみると、事故発生率が70%も高かった…!
そうです。
また2002年の別の研究でも慢性的な不眠不足の労働者は、そうでない労働者よりも、仕事中の事故や怪我がはるかに多かったそうです。
因みに睡眠障害と事故については、例えば、2002年の大規模な前向きコホート研究で調べております。
この研究は、スウェーデンに住む約50,000人を対象に20年間、睡眠障害と仕事中の事故の関係について調べてみたそうです。
すると、
- 睡眠障害がある人はそうでない人に比べ、仕事中に事故で死亡するリスクが約2倍(1.89倍)だった…!
そうです。
また2001年の研究では、いびきや日中の過度の眠気を報告する労働者は、仕事中に事故に遭う可能性が約2倍だったとのこと。
安全に過ごすためにも睡眠はしっかりとっておきたいですね…!
睡眠不足と安全性の対策
睡眠不足と安全性の対策としては、事前に計画された昼寝(仮眠)が良いそうです。例えば、1986年の研究では、飛行機の乗組員に40分間の仮眠をとってもらったそうなんですが、眠気が減り覚醒状態が改善したそうです。
また、2004年の研究では、高速道路をパトロールするイタリアの警察官を対象に夜勤前に仮眠をとってもらったそうです。すると、夜勤中の自動車事故リスクが低下したそうな。
一番の対策は夜にしっかり寝るというのは、言うまでもありませんが、どうしても…と言う際は昼寝を取り入れて見てもよろしいかもしれませんね。
睡眠不足と機能・生活の質の関係
睡眠不足と機能・生活の質への悪影響は様々な研究から証明されております。2001年の研究や2004年の研究、2005年の研究、2005年の研究、1995年の研究、1997年の研究、2002年の研究と一般の方を対象とした多数の研究で睡眠問題は、健康や機能、生活の質への悪影響と関係していたそうです。
因みに生活の質のチェックにはSF-36ってのを使います。SF-36は健康関連QOLをチェックするアンケートで、質問の数は全部で36項目あります。
この回答で以下の8つの尺度が分かるようになっております。
- 身体的機能
- 身体的健康問題による制限
- 体の痛み
- 一般的な健康イメージ
- 日々の活力
- 社会的機能
- 感情的健康問題による制限
- メンタルヘルス
これら生活の質は、2003年の研究によれば、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなどの人は低い傾向にあるそうです。
また、2005年の大規模な研究によると、約80,000人を対象に夜間の睡眠時間と生活の質についての関係を調べてみたそうなんですが、SF-36を答えてもらったところ、
- 回答者の約26%が頻繁に睡眠不足(過去30日間で14日以上の睡眠不足)だったと答えていた…!
- 頻繁に睡眠不足の人たちは、そうでない人たちよりも、SF-36の8つの項目それぞれで機能や生活の質が低いと答えていた…!
とのこと。
やはり睡眠不足でQOLは下がるみたいですね。更に1999年の研究や2001年の研究、2002年の研究によると、不眠症は生活の質への悪影響がある…!と出ているそうです。
上記の2001年の研究では、重度の不眠症の人についても調べているんですが、それによると、SF-36の8つの項目全てで、生活の質が低かったそうな。
因みにこの結果は、約3,500人の患者さんを対象とした上記の2002年の研究によれば、うっ血性心不全やうつ病の患者さんの評価と同程度だったとのこと。
その他の間接的な影響(幸福度・経済的影響)
他にもエビデンスは低い物や間接的な影響ではあるものの、睡眠不足によって家族の幸福度が下がったり、医療の利用による経済的負担があるなどが挙げられておりました。
やっぱ睡眠の質にはこだわっていきたいですね~。
やっぱ睡眠の質にはこだわっていきたいですね~。
個人的考察
以上、全米医学アカデミーから学ぶ慢性的な睡眠不足のデメリットでした…!
余談ですが、こいつをまとめるのに結構時間がかかって大変でした(笑)