カフェインの特徴の一つに、アデノシンのブロック機能というものがございます。
アデノシンは俗に疲労物質と呼ばれておりまして、頭を使う作業なんかをすると脳内に分泌され疲労を感じるようになっております。また疲れると眠くなるのもアデノシンの効果の一つとなっております(1997年のハーバード大学の研究2002年のヘルシンキ大学の研究より)。そのため眠気覚ましや集中力アップにカフェインが効果的なんですよね。
ということで今日はアデノシンのお話です。



カフェインのアデノシンブロック機能は様々な影響を与える…!

それでは早速カフェインによってアデノシンがブロックされるとどのような影響が起こるのか見ていきましょう。
まず2006年のアメリカ国立衛生研究所の研究からです。この研究はアデノシンの研究をレビューしたものなんですが、カフェインによりアデノシン受容体をブロックすることにより、

  • 代謝
  • 心血管系
  • 呼吸器系
  • 体内炎症
  • 神経調節
  • 神経保護

に影響が出るんだとか。
特に脳内神経への影響は注目したい感じでして、例えば2011年のコインブラ大学の研究なんかを見てみると、虚血やてんかん、ハンチントン病にパーキンソン病、アルツハイマー病、うつ病や双極性障害、統合失調症に不安障害(恐怖症やパニック障害、全般性不安障害)とも関連がありそうな感じなんですよ。すごいですね~。
あと個人的に注目しているのはカフェインによるアデノシンブロックでのアミロイドβ(脳内のごみ・老廃物のこと)からの神経保護機能です。
2006年のコインブラ大学の研究では、マウスを対象にカフェインがアミロイドβによる認知障害を予防するか調べているんですが、一度にカフェインを大量摂取(30mg/kg)するか、毎日摂取(0.5mg/kg)すると効果があったんですよね。
更に2009年のサウスフロリダ大学の研究によると、ワーキングメモリに障害のある高齢マウスを対象に水又は水+カフェインを飲ませてみたそうです。すると実験開始から4~5週間後に、水+カフェインを与えられた高齢マウスは非常に優れたワーキングメモリを持っていたんだとか。また海馬(40%減少)と嗅内野(46%減少)のアミロイドβ沈着が大幅に減り、脳内アミロイドβレベルまで減っていたそうな。
つまり、カフェインのアデノシンブロック効果で脳内のアミロイドβレベルが低下し、それによってアルツハイマー病などの認知症・認知機能低下が防がれていたみたいです。

もう一つ個人的に注目しているのがメンタルへの影響でして、これにもカフェインのアデノシンブロック効果が関係しているみたいなんですよ。
というのも2015年のコインブラ大学の研究によると、カフェインのアデノシンブロックによって慢性ストレスからの気分障害(うつ病など)や記憶機能障害を防いでくれるというんですな。
んでその仕組みは2016年のコインブラ大学の研究によれば、どうやらアデノシンの特定の受容体にカフェインが効いて、異常なシナプスの可塑性とシナプスの毒性を制御しているっぽいんですよ。なんだかすごいですよね。
因みに2018年のジャウメ1世大学の研究によると、カフェインを摂取すると、胃や腸から血流を介して全身に行きわたるんだとか。そしてカフェインによるアデノシン受容体への効果は中枢神経系から末梢神経系と全体に広く分布しているんで、体の様々なところで効果を発揮するそうです。こんなところからもカフェインは大うつ病の治療に使えるかも…?って話になっているみたいです。



個人的考察

ということで今まで挙げてきたカフェイン効果は実はアデノシンブロック機能が働いているのが深く関わっていそうだよ…!というお話でした。
やっぱカフェインって面白い物質だと改めて思いますよね…!



参考文献

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9157887/