ビッグファイブの話の続きです
今回はそもそもビッグファイブの精度ってどうなの…?って研究を見ていきます。



ビッグファイブが合っているのか調べてみた…!

2001年のウェイクフォレスト大学の研究によると、ビッグファイブが合っているのか調べてみたそうです。
この研究は2~3週間の日常生活の行動を分布図にしてビッグファイブと当てはめてみたと言うもの。
その結果以下のことが分かったんだとか。

  • 個人内でのばらつきは大きかったが、日常行動において、定期的かつ日常的にビッグファイブの5つの特性が出ていた…!
  • 分布図にしてみると個人差はほぼ完全に安定していた…!
  • 行動のばらつきは、個人差の範囲だった…!
  • 外向性の個人のばらつき量は、外向性に関係する状況によって変わっていた…!

つまり、個人差はあれどビッグファイブの5つの性格特性は大体当てはまる…!ってことですね。



ビッグファイブの各特性が行動に与える影響について過去データをまとめたりメタ分析してみた…!

2009年のウェイクフォレスト大学の研究によると、ビッグファイブの各特性が行動に与える影響について調べてみたそうです。
まず研究者たちは過去に行われた15件のビッグファイブ研究を掘り返してみたそうな。これらはいずれもウェイクフォレスト大学の大学生の男女を対象にしたものでして、必要基準を満たしていない大学生を除外すると、各研究の参加者数は平均33人(範囲12~63人)だったとのこと。
各研究の実験の流れは大体同じ感じでして、

  1. 参加者全員に標準的なビッグファイブテストを行う
  2. 1~2週間、1日に数回自分の行動を報告する

って感じ。
自分の行動の報告をもうちょい深掘りすると、

  • 20~60分前はどのような行動をしていたかをまとめる(大体1~2分で完成)
  • 2~4時間ごとに行う(例:12時、15時、18時、21時、24時)

って感じだったそうです。
その後、集められたデータを精査しまとめてみたんだとか。
この15件の研究の総サンプル数は495人でして報告データは21,871件(各参加者の平均は44.18件)にも上ったとのこと。
更にビッグファイブの各性格特性のサンプルは以下な感じだったそうな。

  1. 外向性:15件の研究で評価、総サンプル数495人、報告データ21,798件、平均報告データ44.04件。
  2. 協調性:12件の研究で評価、総サンプル数399人、報告データ15,388件、平均報告データ38.57件。
  3. 誠実性:14件の研究で評価、総サンプル数474人、報告データ20,922件、平均報告データ44.14件。
  4. 神経症傾向:12件の研究で評価、総サンプル数386人、報告データ17,827件、平均報告データ46.18件。
  5. 開放性:10件の研究で評価、総サンプル数311人、報告データ12,544件、平均報告データ40.33件。

因みにこれらの研究は8年間にわたって実施されたそうです。なかなか良い感じですな。
では結果を見てみましょう。

  • 各参加者のビッグファイブのスコアとランダムに選択された報告データ1つを比べてみると相関関係があった。これを10回やってみたけど、全て有意な相関関係があった。
  • 但し、相関の大きさは全て従来の基準である0.40を下回っていた。ランダムに選択された瞬間における行動とビッグファイブはそれほど関係していないように見える。
  • 外向性の相関関係が0.18、開放性の相関関係が0.37まで変化していた。性格特性のうち3つは0.30を超える相関関係を持っていた。つまり単一の状態を予測する場合の典型的な相関関係がかなり高い可能性がある。

まずその瞬間瞬間の行動を切り取ってビッグファイブの性格特性と照らし合わせると関係はありそうだけど、小さい可能性もあるし、特性によっては強そうな感じもあるってことですね。微妙ですな~。
続いて、もうちょい大枠で捉えた場合の結果です。

  • ビッグファイブの全ての性格特性の相関関係が0.40を超えていた…!
  • そのうちの1つは0.56に達していた…!
  • 中央値との相関関係は0.41~0.55の範囲で、ほぼ同じくらい高かった…!

つまり大枠で捉えてみると、かなり性格特性により行動が予測できる…!ってことですね。やっぱビッグファイブってすげー。
更にこの研究ではメタ分析も行っておりまして、その結果も見てみますと、

  • 上記の結果と非常に似ている結果になった…!

とのこと。
性格特性と行動が関係あるかの基準である0.30や0.40を余裕で超えていたみたいで、平均レベルの相関関係は0.42~0.56の間、より質の高い研究だと0.60に近づいていたらしい。性格診断でここまで予測できるのはすごいですな~。
これらの結果から研究者曰く、

  • ビッグファイブは、実際の状況で個人がどのように行動するかのスケールとして、説得力のある有効性を示している。この予測は、人々の実際の行動に現れる特性の重要な説明の裏付けとして十分強力である

としています。
ビッグファイブの精度は高いよーっと言ってくれていますね。



個人的考察

やっぱ自己分析するならビッグファイブがオススメだと改めて思った次第です。



参考文献