2月の末頃、統制の所在は内側を向いていた方が良いよーって話をご紹介しました。
今回はその続きのお話です。



統制の所在とメンタル・年齢の関係

2019年のフローニンゲン大学縦断研究によると、統制の所在の変化について長期的に調べてみたそうです。
そもそも統制の所在には内側と外側ってのがありますが、基本的に外側に向いている人は、失敗も成功も他人や運命のせいにしてしまうため、より多くのストレスを抱えることが多いんですよね。そのため、不安障害やうつ病なんかの発症や重症化のリスクが増えてしまうんですよ。
一方で、統制の所在は性格によるものと考えられているため、時間の経過とともに適度に安定してくると考えられているんですな。ということは、当初の所在が外側の方も年齢を重ねるにつれ、安定してくる可能性があるんですよ。しかしこの部分における長期にわたる研究がなかったんで今回調べてみることにしたんだとか。
この研究は、NESDAっていうオランダの有名なうつ病・不安症の大規模コホート研究のデータセットを使ったもので、スタート時には2,981人の参加者(平均年齢41.9歳、年齢範囲18~65歳、女性66.4%)がいたと言うもの。まず実験開始時に参加者に、不安やうつ病の重症度、ポジティブネガティブなライフイベントについてアンケート調査をしたそうな。
続いて、実験開始から2年後、4年後、6年後、9 年後にも同じアンケートを実施し、どう変化したのか見てみたとのこと。因みに途中でドロップアウトせずに、9年間の追跡調査に参加してくれた人は2,052人だったんだとか。
最後にデータを見比べてみた結果、以下のことが分かったそうです。

  • 統制の所在は9年間にわたってかなり安定していた…!
  • 統制の所在は年齢とともに内側になっていっていた…!
  • 統制の所在が外側の人は、より高い不安とうつ病の重症度を予測していた…!
  • 統制の所在はポジティブネガティブなライフイベントの発生率には影響なかった…!
  • うつ病の重症度が高く、ネガティブなライフイベントが多いほど、統制の所在がより外側に向いていっていた…!
  • ポジティブなライフイベントが多いほど、統制の所在がより内側に向いていっていた…!
  • 不安の重症度は統制の所在に影響を与えなかった…!

やっぱ統制の所在が外側の人はメンタルがやられやすいみたいですね。また、うつ病やネガティブなことが多い程、統制の所在は外側に向いてしまうみたいですな。一方でポジティブなことが多いと統制の所在は内側になりやすいみたい。それと意外なのが不安の重症度は関係ないってことですな。
あと朗報としては、年齢を重ねるにつれ、統制の所在が内側になっていくってこと。おそらく人生経験の中で自然と良い事も悪い事も認められるようになるんでしょうね。よく言われる「年の功」とか「丸くなった」ってのはこれのことなのかも…。



個人的考察

ということで、統制の所在は内側に向いていた方が良いのはやっぱり間違いなさそうな感じ。また歳を取れば皆自然と内側になってくるみたいなんで、この辺は年配者に学ぶと良いのかもしれんですな。



参考文献