昨日の続きです
今回と次回はセアラ連邦大学のアンブレラレビューを見ていきます。



うつ病の遺伝要因と環境要因についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2018年のセアラ連邦大学の研究によると、うつ病の遺伝要因と環境要因についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそもうつ病は遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合っているみたいでして、例えば2014年のオックスフォード大学の研究によれば、うつ病の遺伝率は約37%なんだとか。一方でうつ病の発症リスクの環境要因としては、子ども時代の虐待、子ども時代に親がいない、親が適切に養育しない、失業、学歴の低さ、社会的支援の低さ、パートナーの不在、身体活動の低下、大麻の使用など多岐にわたるらしい。また、遺伝要因と環境要因が相互に作用してうつ病発症リスクがアップしているという研究結果もあるそうな。
そのため、遺伝要因と環境要因の両方の対策をしていきたいのですが、遺伝についてはどうしようもないんで、環境要因がポイントとなりましょう。実際、先行研究でもうつ病の環境要因を調べた系統的レビューとメタ分析は発表されておりまして、また、メンデルランダム化研究も行われていたりしております。但しこれらを統合した研究、つまりアンブレラレビューは発表されていなかったそうで、この度行ってみることにしたとのこと。
ということでまず研究者たちは、2017年8月3日までに発表された、うつ病の発症と遺伝要因・環境要因の関係のメタ分析をPubMedとPsycInfoで検索してみたそうな。併せて、メンデルランダム化研究もチェックしてみたらしい。すると5,869件の研究がヒットしたそうな。続いてこの中から基準を満たす質の高い研究をピックアップしていったそうで、最終的に78件の研究を選ぶことが出来たんだとか。
因みに内訳は、

  • メタ分析:70件
  • メンデルランダム化研究:8件

とのこと。
これらのデータをまとめてみた結果、以下の環境要因はうつ病発症と関係があったそうです。

  • 配偶者の死
  • 幼少期の身体的虐待
  • 肥満
  • 代謝リスク要因が4~5個ある
  • 性機能障害
  • 仕事のストレス
  • 湾岸戦争の退役軍人

んで意外なのが以下の環境要因は因果関係がはっきりしなかったらしい。

  • 肥満
  • 喫煙
  • アルコール

それとこの研究では遺伝要因もチェックしているんですが、

  • 遺伝の割合は非常に小さく、0.1~0.4%程だった

とのこと。
これらを踏まえると、誰でもうつ病になる可能性があるとも言えますし、環境要因の割合が大きいから予防可能だとも言えますね。



個人的考察

肥満予防、代謝性疾患予防、ストレス対策、禁煙、禁酒は今日からでも手が付けやすいのかなーと思いました。



参考文献