【加筆内容】肥満と過体重(太り過ぎ)は気にすべきか? その2「ヤバい理由」
前回の復習を軽くしておきますと、
- 当時のOECD加盟国36カ国のうち34カ国で人口の50%以上が過体重、25%が肥満だった…!
- WHOが調べたヨーロッパ諸国における過体重と肥満を合わせた割合は、成人の場合約60%、男の子の場合29%、女の子の場合27%だった…!
って感じで、肥満や過体重の方はかなりの割合でいるみたいなんですな。
25年間にわたって195カ国で過体重と肥満の健康リスクを調べてみた…!
世界の疾病負担研究(GBD)2015によると、25年間にわたって195カ国で過体重と肥満の健康リスクを調べてみたそうです。
そもそも過体重や肥満は世界中で増加傾向にありまして、先行研究により高BMIは、
- 心血管疾患
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- 様々ながん
- 様々な筋骨格系障害
などなど、慢性疾患リスクの増加要因だと分かっているんだとか。
ただ、これらが実際どの程度世界中で起こっているのか不明だったため、この度195カ国の過体重・肥満率、高BMIの死亡リスクを年齢と性別ごとに体系的にまとめてみたんだとか。
この研究は世界の疾病負担研究のデータベースを使ったもので、1980年から2015年までの子供と大人の過体重と肥満傾向をチェックしたと言うもの。因みにチェックしたサンプル数は6,850万人で対象となった国は195か国だったそうな。
それでは統計処理した結果を見てみましょう。
まずは1980年から2015年における肥満の蔓延率についてです。
- 2015年には1億770万人の子供と6億370万人の大人が肥満だった…!
- 全体的な肥満率は、子供が5.0%、大人が12.0%だった…!
- 女性の肥満率は男性よりも一般的に高かった…!
- 肥満率のピークは女性の場合が60~64歳、男性の場合が50~54歳だった…!
- 肥満率の増加に男女で有意差はなかった…!
- 男女とも肥満率の増加は成人初期が最も高かった…!
- 20歳未満では肥満率に性差はなかった…!
- 世界の子供の肥満率の増加は、全年齢層の男女で同じだった…!
- 1980年以降、73カ国で子供と大人の肥満率が2倍になっていた…!
- 上記以外のほとんどの国でも肥満率の増加が見られた…!
- 子供の肥満率は大人の肥満率よりも低いが、多くの国で子供の肥満率の増加は大人の肥満率の増加を上回っていた…!
ということで、肥満はヤバい勢いで世界中に広まっているみたいです。
では、肥満がもたらす健康リスクはどんな感じだったのか1990年から2015年まででチェックした結果を見てみましょう。
- 2015年には高BMIが400万人の死亡の一因となっていた…!
- 上記結果は高BMIがあらゆる原因による死亡の7.1%に相当することを意味している…!
- 高BMIに関係する死亡の39%はBMIが30未満の人(つまり過体重の人ですな)で発生していた…!
- 心血管疾患は高BMIに関係する主な死亡原因であり270万人の方が亡くなっていた…!
- つまり高BMIの死亡原因のうち、3分の2以上は心血管疾患によるものだった…!
- BMI関係の死亡の41%は心血管疾患だった…!
- 糖尿病はBMI関係の死亡原因の第2位であり60万人の方が亡くなっていた…!
- 糖尿病によるBMI関係の死亡全体のうち9.5%はBMIが30以上(=肥満)で発生し、4.5%は BMIが30未満(=過体重)で発生していた…!
- 慢性腎臓病とがんはBMI関係の死亡全体のうち10%未満を占めていた…!
- 筋骨格系障害も10%未満を占めていた…!
肥満や過体重は、全死亡リスク、心血管疾患リスク、糖尿病リスク、慢性腎臓病リスク、がんリスク、筋骨格系障害リスクの増加と関わっているみたいですね。特に全死亡リスク、心血管疾患リスクはヤバいですな。
またこの研究では上記に挙げた病気を抱えながら生きる年数もチェックしたそうなんですが、
- 17.8~41.4年…!
とのこと。
また主な原因別に見てみると、
- 糖尿病→10.6~24.4年…!
- 筋骨格系障害→3.4~8.8年…!
- 心血管疾患→2.0~4.9年…!
って感じだったらしい。
いや~健康的に長く暮らすことが如何に肥満で脅かされるかが分かる結果ですな。特に糖尿病になると徐々に透析生活が始まって回数も増えるんで10年以上ってのは納得ですね。
個人的考察
肥満がここまで健康リスクを奪う要因っていうのを改めて思い知らされる結果でした。因みにこの研究では最も死亡リスクが低かったBMI、つまりベストなBMIも出していたんですが、それは、
- BMIが20~25が最も健康的だった…!
とのこと。
まさに標準体型ですね。納得。