世の中にはいろんなダイエットがございまして、日々新しいダイエットが開発され、廃れていきます。
そんな中、一定の知名度を得たダイエットの一つとして「ポートフォリオダイエット」と言うものがございます(まぁ、日本ではほとんど聞く事はないですが)。ポートフォリオダイエットはコレステロールを下げる食事スタイルのことでして、心疾患リスクに良さげっぽいんですよ。
今回は、そんなポートフォリオダイエットの研究を見ていきます。



ポートフォリオダイエットの健康効果について系統的レビューとメタ分析を行ってみた…!

2018年のトロント大学の研究によると、ポートフォリオダイエットの健康効果について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
そもそもポートフォリオダイエットは、2000年代初頭に登場したダイエット法でして、コレステロールを下げる以下の4種類の食品を食べる食事スタイルとなっております(2,000kcalの食事に基づいた場合)

  1. ナッツ類(木の実やピーナッツを含む)を42g食べる。
  2. 豆類(大豆製品や大豆、えんどう豆、ヒヨコマメ、レンズマメなど)から植物性タンパク質を50g摂る。
  3. オーツ麦、大麦、サイリウム(オオバコ)、ナス、オクラ、リンゴ、オレンジ、ベリー類から水溶性食物繊維を20g摂る。
  4. 植物ステロール強化マーガリンは2gまで摂る。

つまり、ポートフォリオダイエットとはナッツ類、植物性タンパク質、水溶性食物繊維、植物ステロールを組み合わせた植物ベースの食事パターンってことですね。
因みに強化版ポートフォリオダイエットってのもあるらしく、こちらは一価不飽和脂肪酸の摂取量13%を炭水化物26%に置き換えたり上記の4つの成分に追加できる食品を挙げたりしているみたい。
そんなポートフォリオダイエットはカナダ心臓血管学会(CCS)、カナダ糖尿病学会、欧州動脈硬化学会(EAS)、Heart UKなんかの診療ガイドラインにも認められているらしい。
ただ、その効果やエビデンスレベルがはっきりとしていない部分もあったみたいで、そのため今回系統的レビューとメタ分析を行いガッツリ掘り下げてみることにしたんだとか。

ということでまず研究者たちは、2018年4月19日までに発表された該当研究をMEDLINE、EMBASE、コクランで検索してみたそうな。すると、MEDLINEで30件、EMBASEで49件、コクランで24件の研究がヒットしたとのこと。続いてこれら103件の中で被っている研究、質の低い研究を除いていったそうです。
最終的に選ばれた質の高い研究は5件でして、総サンプル数は439人、LDLコレステロール、血中脂質、血圧、体重をチェックしていたみたい。またそのうちの5件の研究(総サンプル数435人)でC反応性タンパクをチェックしており、更に4件の研究(総サンプル数415人)で10年間における冠状動脈性心疾患リスクもチェックしておりました。
次に研究の特徴をバーッと見ておきます。

  • 規模:比較的小規模の研究が多かった
  • 参加者:中央値25人、範囲13人~345人
  • 年齢:中央値57歳、範囲54.7歳~65歳
  • BMI:中央値27kg/m2、範囲25.6kg/m2~29.0kg/m2
  • 性別:男性が約44%
  • 血中脂質:脂質異常症(高脂血症)の方が対象でLDLコレステロールの中央値が4.4mmol/L、範囲4.2mmol/L~4.6mmol/Lだった
  • その他:上記以外は健康で糖尿病歴や心血管疾患歴はなし

では気になる結果を見てみましょうか。
ポートフォリオダイエットは対象食に比べて、

  • LDLコレステロールが17%低下…!
  • 総コレステロールが12%低下…!
  • 中性脂肪が16%低下…!
  • 非HDLコレステロールが14%低下…!
  • アポリポ蛋白Bが15%低下…!
  • 収縮期血圧が1%低下…!
  • 拡張期血圧が2%低下…!
  • C反応性タンパクが32%も低下…!
  • 10年間における冠状動脈性心疾患リスクが13%も低下…!
  • 体重が0.1kg低下…!

とのこと。
因みにこの中でエビデンスレベルが高かったものは、

  • LDLコレステロール
  • 総コレステロール
  • 中性脂肪
  • 非HDLコレステロール
  • アポリポ蛋白B
  • 体重

とのことで、他は中程度ってことでした。
やっぱり噂通り、コレステロールに効く結果ですねー。



個人的考察

因みにポートフォリオダイエットを試したい方は下記を参考にしてみてください。

  1. ナッツ類(木の実やピーナッツを含む)を1日25~50g食べる。
  2. 植物性タンパク質(大豆や豆類など)を1日35~50g摂取する。
  3. 水溶性食物繊維(オーツ麦、大麦、サイリウム(オオバコ)、豆類、ナス、オクラなどなるべくネバネバした物)を1日15~25g摂取する。
  4. 植物ステロール(植物ステロール強化マーガリン、サプリメントなど)を1日1~3gまでにする。



参考文献