アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその57です。
今回は、睡眠時間と睡眠の質における健康への影響について調べた初のアンブレラレビューを見てみます。



睡眠時間と睡眠の質における健康への影響についての初のアンブレラレビュー

2022年の中国医科大学の研究によると、睡眠時間と睡眠の質における健康への影響についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
なんでも研究者曰く、

  • 我々の知る限り、この研究は睡眠時間と睡眠の質と健康アウトカムの関連性に関する既存のエビデンスを評価した初のアンブレラレビューである

とのこと。これは是非チェックしておきたいですな。
ということでまず研究者たちは、2020年11月15日までに発表された該当する観察研究の系統的レビューとメタ分析をPubMed、EMBASE、Web of Scienceという3つのデータベースで検索してみたそうな。すると全部で15,669件の研究がヒットしたとのこと。続いてこの中で重複している物を除き、更に各研究の質をチェック、精査していったんだとか。
最終的に残った研究は36件でして、これらを基にアンブレラレビューを行ったみたい。それでは結果を見てみましょう。

【睡眠時間が長いor短い】
  • 説得力のあるエビデンスの関連性はなかった。
  • 非常に可能性のあるエビデンスとして、睡眠時間が長いと全死亡リスクが高かった…!
  • 可能性のあるエビデンスとして、睡眠時間が長いと脳卒中リスクが高かった…!
  • 可能性のあるエビデンスとして、睡眠時間が長いと脂質異常症リスクが高かった…!
  • 可能性のあるエビデンスとして、睡眠時間が長いと冠状動脈性心疾患(CHD)による死亡率が高かった…!
  • 可能性のあるエビデンスとして、睡眠時間が長いと脳卒中による死亡率、脳卒中の発症または死亡リスクが高かった…!
  • 可能性のあるエビデンスとして、睡眠時間が短いと過体重・肥満リスクが高かった…!

【睡眠の質が悪い】
  • 説得力のあるエビデンスの関連性はなかった。
  • 非常に可能性のあるエビデンスの関連性はなかった。
  • 可能性のあるエビデンスとして、睡眠の質が悪いと糖尿病と妊娠糖尿病リスクが高かった…!

上記以外は弱いエビデンスや関連性なしだったそうです。



個人的考察

因みに睡眠時間の長さと睡眠の質の指標については概ね以下のように定義されることが多いようです。


更に余談ですが、2024年5月13日時点における全米睡眠財団の年齢別推奨睡眠時間は以下のようになっておりました。

  • 年齢範囲:推奨睡眠時間
  • 4~12ヶ月:12~16時間(昼寝を含む)
  • 1~2歳:11~14時間(昼寝を含む)
  • 3~5歳:10~13時間(昼寝を含む)
  • 6〜12歳:9~12時間
  • 13~18歳:8~10時間
  • 18歳以上:7時間以上

これらは以前紹介した記事「結局、おすすめ睡眠時間は何時間なのか?」の結論とほぼ同じですね。もちろん個人差はありますが概ね上記の推奨睡眠時間の前後1時間の範囲に収まっていると良さそうな感じ。是非ご参考にしてくださいませ。



参考文献