これまで7回にわたってダークチョコレートの効果を見てきました。
但し、ここでちょっと疑問なのが


ってこと。
以前にも書いた通り、超加工食品は様々な健康リスクを上げる感じなんですな。
じゃあ、ダークチョコレートはどうなんだ…?ってことでラストである今回はここんところをチェックしておきます。



チョコレート(ダークチョコレート)は超加工食品なのか…?

2023年のサンパウロ大学レビュー論文によると、チョコレートが超加工食品なのか加工面と健康面から先行研究を見直ししてみたそうです。
まず食品の加工度分類であるNOVAを見てみますと、チョコレートは「NOVA4:超加工食品」のグループになってしまうんですよね。しかし今回の研究者たちによれば、NOVA分類では考慮されていない点もいくつかあるからこれだけでチョコレートイコール超加工食品とは言えないよね~ということでした。ここはNOVAの記事の個人的考察にも書いた通り私も同意見ですね。大枠としては良いけど細かく見ると、ん…?ってところがあると持っていますんで。
そこでまずはチョコレートの種類や成分から超加工食品に該当するのか見ていきます。
まずチョコレートには大きく以下の3種類があるとのこと。

  1. ダークチョコレート:一般的にカカオリカー、ココアバター、ココアパウダーという総カカオ量が最低35%以上であり、それに砂糖と場合によっては乳製品を混ぜたものを言う。最近では、更にカカオ含有量の高い製品もありまして、カカオリカー45~80%、砂糖20~55%、ココアバター0~5%、レシチン0~5%、香料0.5%未満って物やカカオリカー70%と砂糖30%のみってものも出ている。
  2. ミルクチョコレート:総カカオ量が最低15~25%、総乳製品量が12~14%含まれたものを言う。
  3. ホワイトチョコレート:ココアバターが最低20%、乳製品が最低14%、これに砂糖を混ぜたものを言う。

そして2020年のヴァルミア・マズーリ大学の研究を見てみると、カカオの含有量が高いと、ポリフェノールなどの量も高く、抗酸化作用も高くなるとのこと。もうちょい詳しく見てみると、

  • ポリフェノール:カテキン・エピカテキン・プロシアニジン
  • アルカロイド:テオブロミン・カフェイン・フェニルエチルアミン・パラキサンチン・テオフィリン

が高くなるって感じでして、健康に良さそうな要素満載なんですな。
また2019年のバーリ大学の研究を見てみると、カカオには脂肪(25.6%)とタンパク質(20.4%)も含まれておりまして、更にカリウム、リン、銅、鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルも入っていたりします。
因みにダークチョコレートはカフェインを多く含む場合があるそうなんですが、皆が思うほど多くは入っていないそう(1枚当たりのカフェイン量は、グランデの淹れたてコーヒーの10分の1)
以上から、チョコレートの種類や成分から見てみると超加工食品に該当しないんじゃないかな~って感じですね。

次に加工面から超加工食品に該当するか見てみましょう。
このレビューでは加工の手順の説明から、各加工工程を細かく見て行っているんですが、ポイントをまとめますと以下のようになっておりました。

  • チョコレートの加工や製造には化学プロセスが存在しない。そしてチョコレートの加工中に起こる化学変化は他のプロセスの結果である…!
  • そして、カカオからチョコレートになるまでの加工処理は超加工食品の加工処理とは違う…!
  • つまり、チョコレートは超加工食品とは言えない…!
  • 特にダークチョコレートは成分数が多いとは言えず、加工中に未知の添加物は使用されない…!また化学合成や抽出も行われていない…!

つまり、加工面から見てもチョコレート、特にダークチョコレートは超加工食品と言えないと。

最後は健康面から超加工食品に該当するか見てみます。
上記にもあるようにカカオは抗酸化作用・抗炎症作用を筆頭に様々な健康へのメリットがありそうな感じなんですよね。実際、チョコレート(カカオ)と健康面について調べた研究はいくつもありまして、まとめると以下のような感じだったそうです。

【心血管リスクへのメリット】
  • ダークチョコレート:血管の拡張、特に男性の動脈硬化の低下。脳卒中、心不全、心筋梗塞、冠状動脈性心疾患などの心血管疾患リスクの低下。酸化悪玉コレステロール、総コレステロール、中性脂肪、悪玉コレステロールの大幅な低下。善玉コレステロールの増加。血圧の低下。
  • ポリフェノール:体内炎症の低下、一酸化窒素合成酵素の活性化と放出の誘発。抗酸化作用、抗高血圧作用。
  • フラボノイド:血圧の低下、脳の血流の増加による心臓保護効果と神経保護効果。体内炎症予防効果。精神的ストレスによって起こる血管や血流ダメージの改善。
  • エピカテキン:炎症の予防、免疫細胞の活性化による心臓代謝保護効果。
  • カテキン:血圧の低下、血管の拡張、動脈硬化の軽減。

【認知機能へのメリット】
  • フラボノイド:ココアからのエピカテキンを1日50mg以上摂取すると、認知機能にプラスの効果。ココアフラバノールによる認知機能と神経可塑性に与えるプラスの効果。

【抗酸化作用へのメリット】
  • エピカテキン:フラボノイドによって酸化や内皮細胞を保護。

プロバイオティクスへのメリット】
  • ダークチョコレート:短鎖脂肪酸の生成を増加させ空腹感を軽減。腸透過性の予防。腸内環境を改善し腸バリアを強化、腸の炎症を改善し、短鎖脂肪酸の総レベルを増加させ、腸の健康を促進。

ミルクチョコレートやホワイトチョコレートの効果はよく分からないところがあるものの、ダークチョコレートだと上記の恩恵を受けられそうな感じ。
つまり、健康面から見てもダークチョコレートは超加工食品と言えない様子です。


もちろんチョコレートはカロリー密度の高い食品であり、食べ過ぎることはよくありません。そのためバランスの取れた食事の一部として、適度に摂取することが重要とのこと。
とはいえ健康上のメリットがこれだけ多いので、不健康な食品と見なすべきではないと研究者はおっしゃっております。
以上をまとめた結果、

  • 加工レベルが低いこと(化学合成や抽出が行われていない)
  • 原材料が少ないこと(成分が少ない)
  • 適度に摂取した場合の健康上のメリットが多いこと

から、チョコレートを超加工食品と見なすべきではないと結論付けておりました。



個人的考察

超加工食品じゃないと言われて安心しました。
これからも食べ過ぎに注意しつつ、ダークチョコレートは食べていきたいな~と思いますね。



参考文献