前回ちらっと最後の方でカロリー密度って単語を出しました。
今回はここについて書いておきます。



カロリー密度ってなに…?

カロリー密度とは1gあたりのカロリー量のことを言います。要は重さに対してどれぐらいのカロリーがあるのかって話でして、同じ量を食べてもカロリー密度が多ければ多い程カロリー摂取量が多くなり、結果、肥満を招くことになっちゃうんですよ。
また、人間は一般的にカロリー密度の高い食材を好む傾向があります。理由は、はるか昔、カロリー密度が低い食べ物しか食べられなかった時代が長くありました。結果、できるだけカロリー密度の高い食べ物を探し、脳はカロリー密度の高い食品に嬉しさを感じるように進化してきたみたいです。しかし、現在は加工食品を筆頭にカロリー密度の高い食材が蔓延しています。ですが、脳の進化は未だ追い付けていないって感じです。だから脳の報酬系が無駄に喜んでしまい、それでついつい食べ過ぎてしまうってことが起こるそうです。この当たりはセットポイントとも共通する話ですね~。
そのため、カロリー密度が高い食品程、食べ過ぎてしまう(たくさん食べられる)可能性が高く、ダイエットには不向きな食材となります。



高カロリー密度の食事と低カロリー密度の食事を比べてみた…!

2017年のワシントン州立大学など動物実験によると、肥満はカロリー密度の高い食事の消費量や全身の炎症と関連しており、また、腸内細菌はスリム体型から肥満体型への変化の影響があると言われているけど、どうなのか調べてみたそうです。
この研究はオスのラット32匹を使っておりまして、最初は普通にエサと水を自由に与えていたそうです。因みにその際のエサは低カロリー密度のものを使用したそうで、1g=3.1kcal、脂肪19%のものだったそうな。
この環境で7日間が経過した後、以下のグループ(各グループ8匹)にラットを分けたとのこと。

  1. 低カロリー密度の食事を更に7日間続ける
  2. 低カロリー密度の食事を更に21日間続ける
  3. 高カロリー密度の食事(1g=5.24kcal、脂肪60%)に切り替えて7日間与える
  4. 高カロリー密度の食事(1g=5.24kcal、脂肪60%)に切り替えて21日間与える

ラットの食事量や体重は毎日チェックしたそうで、腸内環境については糞便をグループに振り分ける前、グループに分けた7日後、グループに分けた21日後に回収して調べたそうです。体組成はDXAを用いて行われたそうで、こちらもグループに振り分ける前、グループに分けた7日後、グループに分けた21日後に行ったらしい。21日後には血液も採取したとのこと。
結果、

  • グループに振り分ける前の7日間、ラットのカロリー摂取量や体脂肪、体重に変化はなかった。
  • 高カロリー密度の食事を7日間続けた場合、カロリー摂取量や体脂肪が増えそうだったが、体重は増加しなかった…!
  • 高カロリー密度の食事を21日間続けた場合、カロリー摂取量や体脂肪、体重が大幅に増加していた…!
  • 実験開始時、ファーミキューテス(デブ菌)とバクテロイデス(痩せ菌)が腸内細菌の85%以上を占めていた。
  • 高カロリー密度の食事を7日間続けた場合、ファーミキューテス(デブ菌)が大幅に増加、逆にバクテロイデス(痩せ菌)は減少していた…!高カロリー密度の食事を21日間続けた場合も同様の結果が起こっていた…!
  • 高カロリー密度の食事は腸内環境を急速且つ大幅に変化させ、体内炎症を誘発、迷走神経を使って腸と脳のコミュニケーションを破壊し、カロリー摂取量の増加、体脂肪増加、肥満を引き起こさせていた…!

みたい。
高カロリー密度の食事を7日以上続けると、腸内細菌の多様性が失われ、結果、体内炎症からの過食や過体重、体脂肪アップに繋がるみたいですね。嫌ですねー。

高カロリー密度の代表格は高脂肪食である加工食品です。
ということで、皆さん1週間以上連続で加工食品を食べるのはぜひとも回避しましょう…!



高カロリー密度の食事を長期間食べる→腸内環境が悪化→肥満や全身の炎症マーカーが増加する…!

2020年のジョージア大学など動物実験によると、高カロリー密度を長期的に食べるとどうなるのか調べてみたそうです。そもそも肥満は慢性炎症による疾患なんですが、これがどういった流れで起きるのかを調べたのが今回の研究になります。
まず初めに研究者たちはオスのラットを15匹用意。カロリー密度の低いエサ(脂肪5%)と水を2週間与えて実験前の準備をしたそうな。
続いて全てのラットは高カロリー密度のエサ(脂肪45%)に切り替えられたらしい。その後、ランダムに選ばれたラット6匹は4週間で実験終了、残りのラット9匹は26週間で実験終了となりました。
1日のカロリー摂取量は週2回測定され、体重や体組成は毎週測定したそう。また血液採取や炎症性サイトカインレプチンインスリンレベル糞便サンプルの回収(腸内細菌チェック)などについては、カロリー密度の低いエサを2週間与えられた最後の日、高カロリー密度のエサに切り替わってから4週間後、8週間後、26週間後に行ったそうな。
結果、

  • ラットはみるみる太っていき、体重と体脂肪が大幅に増加した…!
  • 高カロリー密度のエサに切り替えてから1週間以内に腸内環境が変化し始めた…!
  • 4週間の間に腸内フローラは急速且つ一時的に減少していた…!
  • ファーミキューテス(デブ菌)が急速に増え、逆にバクテロイデス(痩せ菌)が急速に減っていた…!
  • 長期的な高カロリー密度の食事は、炎症性サイトカインを大幅に増やしていた…!
  • 26週間後にのみレプチンは悪化していた…!
  • インスリンは変化がなかった。しかし、先行研究によると、高脂肪食を10週間与えたラット、13週間のラット、18週間のラットで、インスリンは悪化していた…!

とのこと。
やっぱり、

  1. 高カロリー密度の食事を長期間食べる
  2. 腸内環境が悪化する
  3. 結果、肥満や全身の炎症マーカーが増加する

って感じみたいですねー。



カロリー密度が低いと痩せる…!

2016年のイスファハン大学の研究によると、カロリー密度と肥満の関係について観察研究の系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
そもそも先行研究により、カロリー密度は肥満と関係ありそうと出ているものの、系統的レビューやメタ分析は行われていなかったそうな。そこで今回行ってみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2015年1月までに発表された該当研究をScienceDirect、ProQuest、MEDLINE、Google Scholarで検索してみたそうな。
すると5,876件の研究がヒットしたんだとか。次にこの中から基準を満たすもの、そうでないものを精査していったそうで、最終的に37件の研究を選べたとのこと。またこの37件のうちの23件の研究を用いてメタ分析を行ったそうです。
その結果、カロリー密度が高い食事をしている人たちは、低い食事をしている人たちに比べて、

  • 2.26kgも体重が増加していた…!
  • 男性の場合、BMIが0.50も増加していた…!
  • 女性の場合、BMIが0.85も増加していた…!
  • 余分な脂肪がつくリスクが27%(OR1.27)も高かった…!

とのこと。
これらはいずれも有意差があったそうなんでやはりカロリー密度の高さは肥満と関係があるみたいですねー。
因みに、カロリー密度とBMIの上昇(OR1.13)とカロリー密度とウエストの脂肪(OR1.17)については、関係ありそうな感じがあったものの有意差まではなかったみたい。



低カロリー密度の食事パターンの特徴を見つつ、低カロリー密度食が高齢者の推奨栄養摂取量をどの程度満たしているのか調べてみた…!

2008年のIMIMの研究によると、低カロリー密度の食事パターンの特徴を見つつ、低カロリー密度食が高齢者の推奨栄養摂取量をどの程度満たしているのか調べてみたそうです。
この研究は、2000年と2005年の2回にわたってスペインのジローナで行われたというもの。参加者は65歳以上の男性1,251人と女性1,247人でして、この中で極端な人を除外、結果、男性1,150人と女性1,094人がサンプルとなったそうな。
んで、食事の評価について165項目からなるFFQ(食事摂取頻度調査票)を使用したらしい。最後に集まったデータを統計処理して低カロリー密度の食事パターンの特徴を見つけたんだとか。
それでは結果を見てみますかー。
まずは低カロリー密度の食事パターンの特徴です。


これらを多くとっていると低カロリー密度の食事になるみたいですねー。
では続いて高カロリー密度の食事パターンの特徴を見てみます。


これらを多くとっていると高カロリー密度の食事になると。
まぁ、加工食品超加工食品ってことですな。
因みに果物と野菜の摂取量は、最も影響の高い食品だったみたい。

続いて低カロリー密度の食事が、高齢者の推奨栄養摂取量をどの程度満たしているのかの結果です。
なんでも、低カロリー密度の食事を摂取している人は、高カロリー密度の食事を摂取している人よりも、


の推奨摂取量を満たす割合が高かったそうです。
この結果に研究者曰く、

  • 今回研究対象となった高齢者集団では、低カロリー密度の食事は、カロリー含有量が少ないにも関わらず、高カロリー密度の食事よりも栄養不足を防ぐ能力が高かった

とのこと。
摂取カロリーは少ないのに栄養素はちゃんと補給できているのは素晴らしいですね。

ということで低カロリー密度の食事をメインにしても健康面は問題ないどころかむしろプラスの影響がある感じです。
それと上記を見て思ったのが、地中海式ダイエットは要件を満たしているよな~ってことですかね。



個人的考察

ということで、ダイエットではカロリー密度に気を配るのも重要なポイントとなっております。と言っても、いちいち気にしているとそれはそれでストレスが溜まって本末転倒なんで、自然にカロリー密度が落ち着くようカロリーの質に気を配る食事をするのが個人的には良いような気がしますが、皆さんはどう思いますかね…?