当ブログでは加工食品をたくさん食べない方が良いよーって話を書いております。
詳しくは、


をご覧いただきたいのですが、デメリットが結構あるんですよね。
んで、ここ10年ぐらい前から言われ出したのが「超加工食品」はヤバい…!って話。ブログ内の記事では、加工食品と超加工食品を大体同じ感じでご紹介していたんですが(実際研究でも混ざっている物が多い)、せっかくなんで、今回、超加工食品について見ておこうかと。
まぁ、平たく言えば加工食品と超加工食品は大体同じってのには変わりないですし、結論から言えばなるべく食べない方が良いってことなんですが、具体的に知りたい方もいるかと思いますんでまとめておきます。



超加工食品ってなに…?

まずは超加工食品ってなに…?ってところから見ていきます。
今回参考にするのが2019年のサンパウロ大学の研究でして、こちらには超加工食品の見分け方が詳しく載っているんですよ。
ということで、超加工食品がどんなものを指すのかと言いますと、

  • 原料が低コストの商品
  • 賞味期限が長い商品
  • ブランドを強調した商品
  • 便利ですぐに食べられる商品
  • 嗜好の要素が高い商品

となっております。
これをみてパッと思いつく物が皆さんあるかと思いますが、パンや菓子類、ジュース(ソフトドリンク)、カップめん、インスタント食品全般、レンチン食品、ジャンクフードなどですね。
次に超加工食品の見極め基準ですが、

  • 自宅で調理する際、全く使わない、又はほとんど使わない原材料が入っているか…?

になります。
具体的には、

  • 高果糖コーンシロップ
  • 硬化油マーガリンとか)
  • エステル交換された油(≒オメガ6脂肪酸
  • タンパク加水分解物(大豆やとうもろこし、小麦なんかの植物性・動物性たんぱく質を塩酸や酵素などでアミノ酸分解して作ったもの。市販の漬物やつゆ、たれ、ラーメンのスープ、レンチンのハンバーグやカレー、インスタント麺など)

って感じ。
併せて、

  • 口当たりや見た目などを良くする食品添加物も入っているか…?

ってのもポイントでして、具体例としては、

  • 香料
  • 風味増強剤
  • 着色料
  • 乳化剤
  • 乳化塩
  • 甘味料
  • 増粘剤
  • 消泡剤
  • 賦形剤(増量剤)
  • 炭酸化剤(炭酸飲料の元)
  • 発泡剤
  • ゲル化剤
  • 艶出剤

が使われているものとなります。
まとめると、自宅で使わない原材料や食品添加物、つまり成分表のところによく分からん言葉がたくさん書いていればいるほど、超加工食品ってことですね。
超加工食品はカロリー密度が高い割に栄養素が少ないのが特徴なんで、こればっか食べていると、栄養素は足りないのに太っているみたいな状態になってしまうんですな。恐ろしい…。



超加工食品はすんごいスピードで世界の食糧事情を変えた…!西洋の総カロリー摂取量の50%が超加工食品…!子どもや低所得者だと70%が超加工食品…!なんて話もある…!

そんな恐ろしい超加工食品ですが、生産量と消費量はすんごいスピードで世界の食糧事情を変えております。
例えば2013年のサンパウロ大学の研究によると、超加工食品は世界の食品の主流になりつつあるんだとか。
また2020年のディーキン大学の研究2017年のアラバマ大学バーミンガム校の研究を見てみると、その理由は、超加工食品が未加工食品や最小限の加工食品よりも便利でおいしく、安いからみたい。
その結果、

  • 西洋諸国の総カロリー摂取量の約50%が超加工食品…!
  • 子どもや低所得者の総カロリー摂取量の70%が超加工食品…!

って感じだったそうな。
意識していないと超加工食品ばっか食べることになりそうな世の中ってことですね。



初めて系統的レビューとメタ分析を用いて、超加工食品の消費量と認知症の発症率の関係を調べてみた…!

2023年のリバプール大学の研究によると、超加工食品の摂取と認知症の関係について観察研究の系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
そもそも先行研究により超加工食品と認知機能低下には関係がありそうと出ておりました。そこで今回、初めて系統的レビューとメタ分析を用いて、超加工食品の消費量と認知症の発症率の関係を調べてみることにしたそうな。
まず研究者たちは、2022年12月24日にMedlineとWeb of Scienceを用いて先行の該当研究を検索してみたそうな。すると7,560件の研究がヒットしたとのこと。続いてこの中から重複しているものや質の低い研究を除外していったそうで、最終的には10件の観察研究がピックアップされたみたい。
因みにこの10件の観察研究の内訳は以下な感じでした。

  • 合計サンプル数:867,316人
  • サンプル範囲:108人~493,888人
  • 研究された国:アジア2件、アメリカ3件、ヨーロッパ5件
  • 研究の種類:縦断研究8件、横断研究1件、症例対照研究1件
  • 縦断研究の追跡期間:6.8年~22年

また、全ての研究は教育、総カロリー摂取量、BMI、心血管疾患、年齢、性別などの変数も調整済みだったそうです。
それと食事についてですが、NOVAっていう基準に基づいて4つのグループに割り振ったみたい。ざっくり書いておきますと、

  • NOVA1:未加工食品・最小限の加工食品
  • NOVA2:料理の材料(油とか調味料)
  • NOVA3:加工食品
  • NOVA4:超加工食品

って感じ。
では結果を見てみましょう…!

  • 超加工食品を最も摂取している人たちと最も摂取していない人たちを比べてみたら、全ての認知症発症リスクが44%(RR1.44)も高かった…!
  • 超加工食品をまぁまぁ摂取している人たちと最も摂取していない人たちを比べてみたら、全ての認知症発症リスクに有意さはなかった(RR1.12)

この研究によれば、超加工食品を大量に摂取する生活を送っていると認知症リスクが高まるみたいですねー。但し、適度に摂取する分には統計的な有意差まではなかったと。



超加工食品で肥満リスクが79%アップ…!ウエスト肥満リスクが30%アップ…!5.6年の間にBMI、ウエスト周りの長さ、体脂肪率が5%以上増えるリスクがアップ…!

2020年のサンパウロ大学の研究によると、超加工食品と肥満リスクの関係について前向きコホート研究を行ってみたそうです。
軽く復習しておきますと、超加工食品とは見た目からでは原材料が分からなかったり添加物が大量に使われている食品のことを言いまして、ソフトドリンクやスナック、お菓子、シリアルや加工パン、加工肉、レンチン製品やインスタント製品なんかが該当します。超加工食品は総じて非常に口当たりがよく、便利で、大容量で販売され、積極的に宣伝されていたりもするんですよね。
このように超加工食品は手軽に簡単にすぐ食べられておいしいと良い事尽くしな感じがしますが、食べると太りやすい…!っていう弱点がありそうなんですな。
例えば、


って感じで、ブラジルやアメリカ、カナダの横断研究から、スペインとブラジルの縦断研究と近年、軒並み肥満の原因だ…!って出ているんですよ。ではイギリスの場合はどうなんだ…?ってことで今回調べてみることにしたんだとか。
この研究はUKバイオバンクっていう大規模コホート研究のデータセットを用いたと言うもの。UKバイオバンクは2006年から2010年の間に参加者を募り、40~69歳の502,536人が参加したもので、その後2012年から2013年と2014年から2019年に再度チェックをしております。スタート時とフォローアップ時のチェック項目は、基本情報からライフスタイル、健康関連についてで、これらを自己記入式のアンケートで答えてもらったんだとか。
因みに超加工食品の摂取量は、24時間で食べたものを思い出してもらったとのこと。これらを食品の加工度分類「NOVA」に当てはめていったそうな。また肥満計測については、BMI、ウエスト周りの長さ、体脂肪率で調べたらしい。最後にデータを統計処理したそうです。
それでは結果を見ていきます。
まずは参加者情報から。

  • 22,659人の参加者(女性52.1%、男性47.9%)が参加していた。
  • 肥満とウエスト肥満の発生率の分析については、ベースラインで肥満じゃない人18,218人、ウエスト肥満じゃない人17,113人のデータに基づいて行った。
  • 参加者のスタート時の平均年齢は55.9歳だった。

次に超加工食品の占める割合です。

  • 食事全体から見た超加工食品の占める割合は48.6%だった…!
  • スナックとデザートの占める割合は33%だった(ペストリー、パン、ケーキ、ビスケット、お菓子、スナック、ゼリーやプリンみたいなデザート)
  • 超加工パンとデザートの占める割合は21%だった(ベーグル、バンズ(ハンバーガー用のパン)、ロールパン)
  • 冷凍・常温保存可能な超加工食品の占める割合は16%だった(フライドポテト、ソーセージ、ナゲット、フィッシュフィンガー(魚のフライ)、その他の加工肉製品、ピザ、レンチン食品、インスタント食品)
  • 飲料の占める割合は15%だった(乳飲料、ソフトドリンク、フルーツドリンク、フルーツジュース、お酒、砂糖入りコーヒー飲料)
  • 調味料、その他の超加工食品の占める割合は9%だった(マーガリン、ソース、ドレッシング、グレイビーソース、チョコレートやナッツバター、チーズバター、甘味料)
  • 朝食用シリアルの占める割合は6%だった(コーンフレーク、オートクランチ)

食事の約半分は超加工食品…!ってのを見ると、すごい割合ですよね。でも確かにこれぐらいは行きそうですな。
続いて肥満になった人がどれぐらいいたか見てみます。

  • 追跡調査中に肥満(BMI=30kg/m2以上のこと)になった人は947人いた…!
  • 追跡調査中にウエスト肥満(男性102cm以上、女性88cm以上)になった人は1,900人いた…!

実験期間の中央値が5.6年ってことなんで、5年半の間に肥満・ウエスト肥満になった人がこれだけいたってことですね。
それでは本題である超加工食品と肥満リスクの関係の結果です。
変数を調整後、超加工食品の消費量に応じて4グループに分けた結果、最も超加工食品を食べていたグループは、最も超加工食品を食べていなかったグループに比べて、

  • 肥満リスクが79%(HR1.79)も高かった…!
  • ウエスト肥満リスクが30%(HR1.30)も高かった…!

とのこと。
また、

  • BMIが5%以上増えた参加者は3,871人だった…!
  • ウエスト周りの長さが5%以上増えた参加者は5,981人だった…!
  • 体脂肪率が5%以上増えた参加者は3,340人だった…!

らしく、変数を調整後、超加工食品の消費量に応じて4グループに分けた結果、最も超加工食品を食べていたグループは、最も超加工食品を食べていなかったグループに比べて、

  • BMIが5%以上増えるリスクが31%(HR1.31)も高かった…!
  • ウエスト周りの長さが5%以上増えるリスクが35%(HR1.35)も高かった…!
  • 体脂肪率が5%以上増えるリスクが14%(HR1.14)も高かった…!

と有意差があったみたい。
更に超加工食品の摂取量が10%増えると、

  • ウエスト周りの長さが5%以上増えるリスクが6%(HR1.06)も高かった…!
  • 体脂肪率が5%以上増えるリスクが3%(HR1.03)も高かった…!

とのことでした。
まとめると、超加工食品を多く含む食事、つまり西洋スタイルの食事は、肥満リスクを79%、ウエスト肥満リスクを30%と有意に上げるし、5.6年でBMI、ウエスト周りの長さ、体脂肪率を5%以上増やすリスクもアップするみたい。
そのため、生鮮食品や未加工食品、最小限の加工食品を意識してとると肥満防止、体型維持、ダイエット成功に近づきそうです。



超加工食品の摂取で呼吸器疾患の死亡リスクがアップする…!

2024年のアデレード大学前向きコホート研究によると、超加工食品の摂取と呼吸器疾患の死亡リスクについて調べてみたそうです。
具体的には、

  • 慢性呼吸器疾患(CRD)による死亡リスク
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡リスク
  • 肺がんによる死亡リスク

についてチェックしてみたんだとか。
この研究はPLCOっていうデータセットを使ったもので、PLCOは1993年11月から2001年9月の間に参加した55~74歳のアメリカ人154,887人を対象にしたと言うものになっております。んでPLCOから使えそうなデータをピックアップしていったそうで、最終的なサンプル数は96,607人となっておりました。
このデータを統計処理したそうです。
ということで、まずは参加者の特徴をチェックしておきましょう。

  • 96,607人中50,803人(53%)が女性だった。
  • 平均年齢は65.6歳だった。
  • 1日の食事全体に占める超加工食品の割合は31.2%だった。
  • 5グループに分けると、一番少ないグループの割合は13.4%、一番多いグループの割合は52.7%だった。
  • 超加工食品を一番食べていたグループは一番食べていなかったグループに比べて、カロリー摂取量が多い、運動量が少ない、社会的・経済的地位が低い、健康的な食事が少ない、炭水化物・脂肪・飽和脂肪・コレステロール・トランス脂肪酸の摂取量が多かった。
  • 超加工食品を一番食べていたグループは一番食べていなかったグループに比べて、クッキー、パイ、デザート、加工肉、ソーセージ、ソフトドリンク、ポテトを使ったお菓子、塩のきいたスナック菓子をめっちゃ食べていた。

超加工食品メインの食生活をしている方の特徴は、でしょうね~って感じですね。
では本題である超加工食品の摂取と呼吸器疾患の死亡リスクの結果を見てみましょう。

  • 中央値16.8年の追跡期間中に死亡した方は28,700人で、そのうち慢性呼吸器疾患で4,092人、慢性閉塞性肺疾患で1,536人、肺がんで2015人が亡くなっていた。
  • 超加工食品の摂取量が多いと慢性呼吸器疾患で死亡するリスクが10%(HR1.10)もアップしていた…!
  • 超加工食品の摂取量が多いと、慢性閉塞性肺疾患で死亡するリスクが26%(HR1.26)もアップしていた…!
  • 超加工食品の摂取量が多いことと、肺がんで死亡するリスクは関係なかった(HR0.97)

どうやら超加工食品の摂取は、慢性呼吸器疾患と慢性閉塞性肺疾患の死亡リスクを高めるみたいですね。
またこの研究では用量反応関係(どれぐらい食べるとどれぐらいリスクがアップするのか)もチェックしてくれておりまして、食事全体に占める超加工食品の割合が5%増加すると、

  • 全死亡リスクが9%(HR1.09)アップした…!
  • 慢性呼吸器疾患の死亡リスクが12%(HR1.12)アップした…!
  • 慢性閉塞性肺疾患の死亡リスクが17%(HR1.17)アップした…!
  • 肺がんの死亡リスクが8%(HR 1.08)アップした…!

とのこと。
わずか5%で死亡リスクがこれだけアップするのはすごいですね。



超加工食品と高血圧の関係についてアンブレラレビューを行ってみたけど…。

2023年の蘭州大学の研究によると、超加工食品と高血圧の関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
なんでも超加工食品と高血圧の関係を調べた系統的レビューは複数出ているそうなんですが、エビデンスの質はよく分かっていなかったそうな。そこで今回このギャップを埋めるべく、アンブレラレビューを行ってみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2022年8月9日までに発表された該当する系統的レビューをコクラン、Embase、PubMed、Web of Scienceで検索してみたそうな。また参考文献もチェックしていったらしい。
すると、

  • コクラン:9件
  • Embase:19件
  • PubMed:8件
  • Web of Science:17件
  • 参考文献:3件

の合計56件の研究がヒットしたんだとか。次にこの中の重複研究を除外、その後、質の高い研究を選んで行ったそうです。
最終的にピックアップされた系統的レビューは7件ということでした。
んでまず残念なお知らせがございまして、研究の質が低い物しかなかったそうなんですよね。ちょっと見てみると、

  • 7件中6件は非常に低い質の系統的レビューだった…。
  • 7件中1件は低い質の系統的レビューだった…。

とのこと。
その上で結果はこんな感じでした。

  • 超加工食品の摂取量が多い人は少ない人に比べて、一般集団における高血圧リスクが1.23倍(OR1.23)高かった…!
  • 横断研究のみの場合、超加工食品の摂取量が多い人は少ない人に比べて、一般集団における高血圧リスクが1.35倍(OR1.35)高かった…!
  • 縦断研究のみの場合、超加工食品の摂取量が多い人は少ない人に比べて、一般集団における高血圧リスクが1.16倍(OR1.16)高かった…!
  • これらの高血圧リスクは、重大な不一致があり、非常に低いエビデンスレベルだった。

ということで、超加工食品で高血圧リスクが高まりそうなんだけど、質が低すぎてよく分からん…!って感じ。
う~ん…。まだまだデータ不足といったところでしょうか。



超加工食品の摂取による健康への影響についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2023年の蘭州大学の研究によると、超加工食品の摂取による健康への影響についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも先行研究により、超加工食品の摂取は、様々な健康への悪影響がある…!と出ておりまして、世界中の人々の疾病負担に大きな影響を与えているそうな。
但し、メタ分析を含む系統的レビューはいくつも発表されているものの、それらをまとめた超加工食品と複数の健康結果に焦点を当てたアンブレラレビューはなかったらしい。そこで今回このギャップを埋めることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2022年12月までに発表された該当する先行研究を4つのデータベースで検索してみたそうな。すると合計436件の研究がヒットしたとのこと。次に重複研究を除外しつつ、各研究の質をチェック、精査していったそうな。
最終的に選ばれたメタ分析を含む系統的レビューは14件でして、サンプル範囲は54,147人~5,750,133人、各メタ分析の研究数は5件~61件の間だったとのこと。
それでは結果を見てみましょう…!

  • 超加工食品の摂取量が多い場合と少ない場合を比較したら、肥満、糖尿病、高血圧、死亡率に正の相関関係がみられた…!

やっぱ超加工食品を食べまくると、様々な健康リスクが上がるみたいですね~。
但し、ここで注意点がありまして、研究の質が全体的に低かったんですよね。ちょっと内訳を見てみると、

  • 14件中2件の研究の質は中程度のエビデンスレベルだった
  • 14件中12件の研究の質は低いエビデンスレベル又は極めて低いエビデンスレベルだった

とのこと。
そのため、まだ上記で挙げた超加工食品の悪影響は確定とは言えない感じです。
とはいえ、超加工食品が体に良くないのはほぼ間違いないんで、なるべく食べないようにしておいて損はないかと思います。



超加工食品の摂取と代謝性疾患リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた(2024年の中国医科大学バージョン)

2024年の中国医科大学の研究によると、超加工食品の摂取と代謝性疾患リスクの関係について観察研究のメタ分析・系統的レビューのアンブレラレビューを行ってみたそうです。
代謝性疾患は、肥満や2型糖尿病などのことを言いまして、世界中で急速に増えている深刻な疾患となっております。その原因は未だはっきり分かっていないものの、どうやら遺伝要因と環境要因の両方が関係しているっぽい。
中でも、最も重要で対策可能とされている環境要因の一つが食事となっております。そして代謝性疾患をコントロールするための食事ガイドラインにおいて、超加工食品の摂取量を減らすことは必要か否か、現在も議論が続いているんだとか。そのため今回は、そこん所をガッツリ深掘りしてみることにしたとのこと。
まず研究者たちは、2023年7月15日までに発表された該当研究をPubMed、Web of Science、Embase、コクランで検索してみたそうな。すると最初の検索で合計776件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究を除外しつつ、更に各研究の質をチェックしていったらしい。
最終的に選ばれた系統的レビューは6件でして、この中には合計13件のメタ分析が含まれていたんだとか。
またこれらの基の研究の特徴は、

  • 研究数の中央値:7件(範囲3~18件)
  • サンプル数の中央値:66,235人(範囲15,152~992,242人)
  • 症例数の中央値:15,000人(範囲4,302~34,924人)
  • 超加工食品の定義:加工度分類「NOVA」を使用

って感じでした。
それでは結果をバーッと見てみましょう…!

【超加工食品と過体重・肥満リスク】
  • 6件のメタ分析全てで有意だった…!
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、肥満リスクが55%(OR1.55)高かった(非常に可能性のあるエビデンス)
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、腹部の肥満リスクが41%(OR1.41)高かった(可能性のあるエビデンス)
  • 超加工食品の1日の摂取量(kcal)が10%増えるごとに、腹部の肥満リスクが5%(OR1.05)高かった(可能性のあるエビデンス)
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、過体重リスクが36%(OR1.36)高かった(低いエビデンス)
  • 超加工食品の1日の摂取量(kcal)が10%増えるごとに、過体重・肥満リスクが3%(OR1.03)高かった(低いエビデンス)
  • 超加工食品の1日の摂取量(kcal)が10%増えるごとに、肥満リスクが7%(OR1.07)高かった(低いエビデンス)

【超加工食品と2型糖尿病リスク】
  • 3件のメタ分析全てで有意だった有意だった…!
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、2型糖尿病リスクが40%(RR1.40)高かった(非常に可能性のあるエビデンス)
  • 超加工食品の1日の摂取量(kcal)が10%増えるごとに、2型糖尿病リスクが5%(RR1.12)高かった(非常に可能性のあるエビデンス)
  • 超加工食品をまぁまぁ食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、2型糖尿病リスクが12%(RR1.12)高かった(可能性のあるエビデンス)

【超加工食品とNAFLDリスク】
  • 2件のメタ分析全てで有意だった有意だった…!
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患:太りすぎや肥満が原因で起こる脂肪肝)リスクが39%(RR1.39)高かった(可能性のあるエビデンス)
  • 超加工食品をまぁまぁ食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、NAFLDリスクが4%(RR1.04)高かった(低いエビデンス)

【超加工食品と高血圧リスク】
  • 1件のメタ分析全てで有意だった有意だった…!
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、高血圧リスクが23%(OR1.23)高かった(可能性のあるエビデンス)

【超加工食品とメタボリックシンドロームリスク】
  • 1件のメタ分析全てで有意だった有意だった…!
  • 超加工食品を最も多く食べていた人たちは、最も少なく食べていた人たちよりも、メタボリックシンドロームリスクが25%(RR1.25)高かった(低いエビデンス)

う~ん…。やはり超加工食品のたくさん摂取すると代謝性疾患リスクが上がるっぽいですね。
ちょっとまとめてみますと、

  • 超加工食品と肥満リスク・2型糖尿病リスクは非常に可能性が高そう…!
  • 超加工食品と脂肪肝リスク・高血圧リスクも可能性がありそう…!
  • 超加工食品とメタボリスクは関係が低そう…。

って感じでしょうか。



超加工食品と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた(2024年のハインリッヒ・ハイネ大学バージョン)

2024年のハインリッヒ・ハイネ大学の研究によると、超加工食品と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2024年1月5日までに発表された超加工食品と健康リスクに関わるメタ分析・系統的レビューを電子データベースで検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究を適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。
最終的に選ばれた研究は16件でして、これらのデータをまとめて超加工食品と健康リスクの関係を見てみたんだとか。因みに今回の超加工食品の定義については加工度分類「NOVA」を使用したとのこと。
それでは結果をバーッと見てみましょう。

  • 全死亡率:1日50g食べると2%アップ…!
  • 心血管疾患の発症率:1日50g食べると4%アップ…!
  • 心血管疾患の死亡率:1日50g食べると5%アップ…!
  • 2型糖尿病の発症率:1日の全食事のうち10%食べると12%アップ…!
  • 大腸がんの発症率:1日の全食事のうち10%食べると4%アップ…!
  • 上記はいずれも中程度のエビデンスレベルだった…!
  • 炎症性腸疾患、肥満、メタボ、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、メンタル、栄養価問題については良く分からなかった。

数パーのリスク増加ですが、1日たった50gとかだとあっという間に行くんで、それを考えると怖い数字かと…。
因みに研究者はNOVAについて以下のことが良く分からないよね~とおっしゃっておりました。

  • 食品の加工が健康リスクをアップさせるのか…?
  • 超加工食品の摂取が単にカロリーの質の悪さを示す指標に過ぎないのか…?

まぁ、NOVAについては以前に書いた通り、疑問な部分もあるんでね…。
それにしても健康リスクが悪化しているのは間違いないっぽいんでなるべく食べないようにしておくと良さげかと思います。



超加工食品と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた(2024年のディーキン大学バージョン)

2024年のディーキン大学の研究によると、超加工食品と健康リスクの関係についてメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2009年から2023年6月までに発表された該当研究を、MEDLINE、PsycINFO、Embase、コクランで検索してみたそうな。すると全部で668件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究と質の低い研究を除外していったみたい。
最終的に残ったメタ分析は14件でして、総サンプル数は9,888,373人(サンプル範囲1,113人~962,593人)ってことでした。
約1千万人で超加工食品と健康リスクの関係を見てみたってのはすごいですねー。
では気になる結果を見てみましょう…!
超加工食品の摂取量が多いと以下のリスクが高まるんだとか。

【説得力のあるエビデンス】
  • 心血管疾患(CVD)関連による死亡リスク:1.50倍…!
  • 2型糖尿病の発症リスク:1.12倍…!
  • 不安障害の発症リスク:1.48倍…!
  • 精神疾患全般の発症リスク:1.53倍…!

【非常に可能性のあるエビデンス】
  • 全死亡リスク:1.21倍…!
  • 心臓病関連による死亡リスク:1.66倍…!
  • 2型糖尿病の発症リスク:1.40倍…!
  • うつ病の発症リスク:1.22倍…!
  • 睡眠問題リスク:1.41倍…!
  • 喘鳴リスク:1.40倍…!
  • 肥満リスク:1.55倍…!

上記以外は、可能性のあるエビデンス・低いエビデンス・エビデンスなしだったそうです。
身体的健康・精神的健康のどちらもガタガタになるリスクが高まるみたいですね。怖い…。
因みにこの研究によれば、超加工食品の摂取量の増加、1日当たりのサービング数の増加、1日の総摂取カロリーの割合の10%の増加のいずれにおいても、一貫して健康への悪影響リスクの増加がみられたとのこと。



超加工食品と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた(2024年の浙江大学バージョン)

2024年の浙江大学の研究によると、超加工食品と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2023年3月1日までに発表された超加工食品の摂取と健康リスクの関係の観察研究のメタ分析をMedlineとEmbaseで検索してみたそうな。すると2つの電子データベースから合計129件の研究が見つかったとのこと。次にこの中の重複研究を除外、その後基準に従い精査していったらしい。
結果、選ばれた研究は13件でして、この中には合計39件のメタ分析が含まれていたとのこと。
更にこの研究では更新されたメタ分析と新規のメタ分析をチェック、すると2,820件の研究がヒットしたんだとか。続いて先程と同じように、この中の重複研究を除外、その後基準に従い精査していったらしい。
結果、選ばれた研究は98件でして、これを用いて19件の既存のメタ分析を更新、28件の新規のメタ分析に組み入れたそうです。そのため、研究数は145件となり、122件のメタ分析が含まれていることになったんだとか。
最後にこれらのデータをまとめてその傾向を見てみたとのこと。
それでは超加工食品を摂取した場合における健康リスクをバーッと見てみましょう…!

【説得力のあるエビデンス】
  1. 腎臓機能の低下(OR1.25)
  2. 小児・青年の喘鳴リスクの増加(OR1.42)

【非常に可能性のあるエビデンス】
  1. 糖尿病リスクの増加(OR1.23)
  2. 過体重リスクの増加(OR1.18)
  3. 肥満リスクの増加(OR1.26)
  4. うつ病リスクの増加(OR1.40)
  5. 精神疾患全般リスクの増加(OR1.41)

【可能性のあるエビデンス】
  1. 全死亡リスクの増加
  2. 心血管疾患による死亡リスクの増加
  3. 高血圧リスクの増加
  4. 心血管イベントリスクの増加
  5. 不安障害リスクの増加
  6. ウエストの肥満リスクの増加

【低いエビデンス】
  1. 大腸がんリスクの増加
  2. 結腸がんリスクの増加
  3. カンジダ症リスクの増加
  4. 炎症性腸疾患(IBD)リスクの増加
  5. メタボリックシンドロームリスクの増加
  6. 脂質異常症(高脂血症)リスクの増加
  7. HDLコレステロールリスクの増加
  8. 高尿酸血症リスクの増加
  9. 喘息リスクの増加
  10. BMI増加リスクの増加
  11. ウエストの長さの増加リスクの増加
  12. HDLコレステロールの減少リスクの増加

上記以外はエビデンスなしだったそうです。
今まで見てきたアンブレラレビューと被っている物がありますね~。
ということで超加工食品の摂取量が多くなると、様々な慢性疾患リスク・精神疾患リスクが上がっちゃう様子。対して研究者によれば現時点(2024年時点)では、超加工食品を摂取することによる健康へのメリットを報告した研究は一つもないとのこと。
つまり超加工食品は健康面において、百害あって一利なし…!って感じなんで、やっぱりなるべく食べない方が良さげです。



個人的考察

これらを見ると、意識して超加工食品を減らし、未加工食品や加工度の少ない食品を積極的に食べていきたいですな。



参考文献