【加筆内容】コーヒー(カフェイン)の効果を見ていくよー その30「アンブレラレビュー編」
んでその後、しまった…!こいつを紹介し忘れた…!って研究が出てきたんですよ(笑)
どんな研究かと言いますと、コーヒーの健康効果を調べたアンブレラレビューという研究です。アンブレラレビューはエビデンスレベルが最も高い研究方法の一つでして、基本や大枠を知っておくことに非常に役立つんですよ。
コーヒーの健康効果についてアンブレラレビューを行い調べてみた…!
2017年のサウサンプトン大学の研究によると、コーヒーの健康効果についてアンブレラレビューを行い調べてみたそうです。
そもそもコーヒーが健康に良いのか悪いのかって問題を調べるために、全体の死亡リスクや癌、心血管系、代謝系、神経系、筋骨格系、胃腸系、肝臓系、妊娠などなど、様々な角度から調査しております。そして研究方法は、横断研究や症例対照研究が多く、そこから系統的レビューやメタ分析をすることも良くあります。んがしかし、結果はマチマチでよく分からんところがあるんですよね。
そもそもコーヒーが健康に良いのか悪いのかって問題を調べるために、全体の死亡リスクや癌、心血管系、代謝系、神経系、筋骨格系、胃腸系、肝臓系、妊娠などなど、様々な角度から調査しております。そして研究方法は、横断研究や症例対照研究が多く、そこから系統的レビューやメタ分析をすることも良くあります。んがしかし、結果はマチマチでよく分からんところがあるんですよね。
そのため、今回、既存のメタ分析を用いてアンブレラレビューを行うことにしてみたんだとか。
ということでまず研究者たちは、2017年7月までに発表された該当する先行研究を検索する為、PubMed、Embase、CINAHL、コクランを使ってみたそうな。またその際、メタ分析を行わない系統的レビューは除外したとのこと。
その結果、
- PubMed→471件がヒット…!
- Embase→872件がヒット…!
- CINAHL→440件がヒット…!
- コクラン→31件がヒット…!
ってことで全部で1,814件もの研究が見つかったみたい。
続いてこの中から研究がダブっているものや質の低い研究を除外していったそうで、最終的には、
これらを用いてコーヒーのメリット・デメリットを導き出したそうです。
では、じっくり見ていきますか~。
まずは全死亡リスクから。
- 1日3杯のコーヒーを飲んだ人は飲まない人に比べて、全死亡リスクが17%(0.83、0.83~0.88)も低かった…!
- この結果に性差の違いは関係なかった…!
- 1日1杯のコーヒーで全死亡リスクが4%(0.96、0.94~0.97)低くなっていた…!
- コーヒーと全死亡率との関係は全てのメタ分析で一貫していた…!
- 1日3杯のカフェインレスコーヒーを飲むと、全死亡リスクが11%(0.89、0.85~0.93)低くなっていた…!
つまり、男女に関係なく、カフェインありなしに関わらず、コーヒーを飲むとあらゆる死亡率が低くなる…!ってことですね。そしてベストは1日3杯だと…。
続いて心血管系(循環器系)の結果を見ていきます。
まずは死亡リスクから。
- コーヒーの摂取で心血管疾患(CVD)リスク、冠状動脈性心疾患(CHD)リスク、脳卒中の死亡リスクが一貫して低下していた…!
- この効果を最も受けるためには1日3杯がベストみたいだった…!
- 心血管疾患(CVD)による死亡リスクは19%(0.81、0.72~0.90)も低かった…!
- 冠状動脈性心疾患(CHD)による死亡リスクは16%(0.84、0.71~0.99)も低かった…!
- 脳卒中による死亡リスクは30%(0.70、0.57~0.86)も低かった…!
- 1日3杯以上でもデメリットはなかったけどメリットも有意なレベルに達しなかった。
- 女性は男性よりもたくさん飲むと、心血管疾患や冠状動脈性心疾患による死亡リスクを下げられそうだったが、脳卒中は変わらなそうだった。
- 1日1杯のコーヒーで心血管系の死亡リスクが2%(0.98、0.95~1.00)低くなっていた…!
- 心筋梗塞後のコーヒー摂取量が多い場合と少ない場合で、死亡リスクが減る可能性があった。
発症リスクはこんな感じ。
- 1日3~5杯のコーヒーを飲むと心血管疾患の発症リスクが15%(0.85、0.80~0.90)も低くなっていた…!
- 1日3~5杯のコーヒーを飲むと冠状動脈性心疾患の発症リスクが10%(0.90、0.84~0.97)も低くなっていた…!
- 1日3~5杯のコーヒーを飲むと脳卒中の発症リスクが20%(0.80、0.75~0.86)も低くなっていた…!
- この結果に性差の違いは関係なかった…!
- 1日4杯のコーヒーを飲むと心不全の発症リスクが11%(0.89、0.81~0.99)も低くなっていた…!但し1日10杯以上で心不全の発症リスクがわずかに高くなっていた。
どうやら心疾患にも間違いなくコーヒーは良さげですね~。そしてこちらも1日3杯が良さそうだと。
因みに血圧に関しては良さそうな雰囲気があったものの有意とまではいかなかったみたい。ただ、期待が持てそうな感じでした。
次はガン(癌)リスクをチェックしておきますか。
- コーヒーの摂取量がたくさん飲む場合とちょっと飲む場合で、ガンリスクは18%(0.82、0.74~0.89)も低かった…!
- コーヒーを飲んでいる人は飲んでいない人に比べて、ガンリスクが13%(0.87、0.82~0.92)も低かった…!
- 1日1杯のコーヒーでガンリスクが3%(0.97、0.96~0.98)低かった…!
- 非喫煙者の場合、1日1杯のコーヒーでガンによる死亡リスクが2%(0.98、0.96~1.00)低かった…!
- 喫煙者の場合、コーヒーでガンによる死亡リスクは上がっていた…。特に1日4杯を超えるとヤバかった…!
- コーヒーの摂取量がたくさん飲む場合とちょっと飲む場合では、前立腺がん、子宮内膜がん、メラノーマ(皮膚がん)、口腔がん、白血病、メラノーマ以外の皮膚がん、肝臓がんのリスクが低下していた…!
- コーヒーを飲むと肺がんリスクはアップしていた(オッズ比1.56)。但し、喫煙の有無を調整するとタバコを吸わない人は関係なかった…!
- あるメタ分析では、タバコを吸わない人は吸う人に比べて、肺がんリスクが8%(0.92、0.75~1.10)も低かった…!
- カフェインレスコーヒーをたくさん飲む場合とちょっと飲む場合で、肺がんリスクが低くなっていた…!
- あるメタ分析では、コーヒーを飲む人はそうでない人に比べて、尿路がんリスク(オッズ比1.18)が高かった。但し、膀胱がんと腎臓がんを別々にしたコホート研究のメタ分析では、有意な関係はなかった…!
- コーヒーと胃がん、結腸直腸がん、卵巣がん、甲状腺がん、乳がん、膵臓がん、食道がん、喉頭がん、リンパ腫、または神経膠腫(脳腫瘍)のリスクは関係なかった。
コーヒーがあらゆるがん対策になるわけではないものの、ある程度のガンリスクを下げる力はありそうですねー。そして特にガンリスクを上げるものもなさそうな感じ。デメリットがないってのも素晴らしいですな。但し、タバコ+コーヒーの肺ガンリスクだけはかなりヤバそうなんで、ここは注意が必要っすね。
次は肝臓と胃腸の健康リスクを見てみましょう。
- 上記の通りコーヒーは肝臓がんリスクを下げる働きがあった…!
- コーヒーは、非アルコール性脂肪性肝疾患リスクを29%(0.71、0.60~0.85)も下げていた…!
- コーヒーは、肝臓の線維化リスクを27%(0.73、0.56~0.94)も下げていた…!
- コーヒーは、肝硬変リスクを11%(0.89、0.73~1.08)も下げていた…!
- コーヒーをたくさん飲む場合とちょっと飲む場合で、肝硬変リスクが31%(0.69、0.44~1.07)低くなっていた…!
- 1日1杯のコーヒーで肝硬変リスクが23%(0.77、0.64~0.87)低くなっていた…!
- 1日1杯のコーヒーで肝硬変による死亡リスクが26%(0.74、0.59~0.86)低くなっていた…!
- コーヒーは、胆石症リスクの大幅な低下と一貫して関係していた…!
- 1日2~6杯のコーヒーで胆石症リスクは低下していた…!
- 逆流性食道炎のリスクはわずかに高かったが有意ではなかった。
コーヒーは肝臓にも良さそうですね~。
今度は代謝性疾患についての結果です。
- コーヒーをたくさん飲む場合とちょっと飲む場合、2型糖尿病リスクが30%(0.70、0.65 ~ 0.75)低くなっていた…!
- 1日1杯のコーヒーで2型糖尿病リスクが6%(0.94、0.93~0.95)低くなっていた…!
- 1日1~6杯の間で、コーヒーの摂取量が増えるごとに2型糖尿病リスクが低くなったという研究もあった…!
- カフェインレスコーヒーでも、同じぐらい2型糖尿病リスクが下がっていた…!
- メタボリックシンドロームの場合、コーヒーをたくさん飲む場合とちょっと飲む場合、2型糖尿病リスクが9%(0.91、0.86~0.95)低くなっていた…!
- コーヒーをたくさん飲む場合とちょっと飲む場合、腎結石や痛風リスクが有意に低下していた…!
糖尿病にもコーヒーは良い感じですな。
次は腎臓ですねー。
- コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて、尿失禁や慢性腎臓病(CKD)リスクが低下していた…!但し、どちらも有意性はなかった。
どうやら腎臓はあんま関係なさそうですね。
次は筋骨格系の結果を確認しますか。
- コーヒーと筋骨格系の結果は矛盾していた。
- 女性は骨折リスクが増加(1.14、1.05~1.24)していた…!
- 男性は骨折リスクが減少(0.76、0.62~0.94)していた…!
よく分からん感じなものの、もしかしたら女性はちょっとデメリットがあるかもしれないですな。
今度は神経系ですね。
- コーヒーは喫煙による変数を調整した後でも、パーキンソン病リスクが低下していた…!
- カフェインレスコーヒーもパーキンソン病リスクの低下と関係があった…!但し、有意差はなかった。
- コーヒーを飲むと、うつ病、認知障害、アルツハイマー病リスクが27%(0.73、0.55 ~ 0.97)も低下していた…!
コーヒーは脳機能やメンタルに関わる部分にも良さそうですね~。
最後は女性に関係する項目の結果です。
- コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて、子宮内膜症リスクが高かった…!しかし有意差はなかった。
- コーヒーと妊娠に関連するデメリットはどうやらありそうな感じだった。
- コーヒーをたくさん飲む人とちょっと飲む人は、低出生体重児のリスクが31%(1.31、1.03~1.67)高かった…。
- コーヒーをたくさん飲む人とちょっと飲む人は、流産リスクが46%(1.46、1.06~1.99)高かった…。
- コーヒーをたくさん飲む人とちょっと飲む人は、早産リスクが第1学期22%(1.22、1.00~1.49)、第2学期12%(1.12、1.02〜1.22)高かった…。
- 但し、コーヒーと、第3学期の早産、神経管閉鎖不全、口唇口蓋裂、心血管系の先天異常に有意な関係性は見当たらなかった。
- またコクランのRCT・メタ分析によれば、コーヒー・カフェインと出生体重、早産に有意な関係性はなかった。
- 妊娠中にコーヒーをたくさん飲んだ人とちょっと飲んだ人は小児白血病リスクが57%(1.57、1.16~2.11)も高かった…。
- 妊娠中にコーヒーを飲んだ人は飲まなかった人に比べて、小児白血病リスクが44%(1.44、1.07~1.92)も高かった…。
ということで、妊娠している女性に関しては、コーヒーの摂取は控えた方が良さそうな感じでした。
ということでコーヒーの健康関係のメリットデメリットをまとめますと、コーヒーを飲むことによるメリットは、
- 全死亡リスク
- 心血管死亡リスク
- 全てのがん死亡リスク
- 前立腺がん、子宮内膜がん、メラノーマ(皮膚がん)、口腔がん、白血病、メラノーマ以外の皮膚がん、肝臓がんなどの特定のガンリスク
- 2型糖尿病リスク
- メタボリスク
- 胆石リスク
- 痛風リスク
- 腎結石リスク
- 肝臓の線維化リスク
- 肝硬変リスク
- 肝硬変死亡リスク
- パーキンソン病リスク
- うつ病リスク
- 認知障害リスク
- アルツハイマー病リスク
の低下となります。
一方で、コーヒーを飲むことによるデメリットは、
- 妊娠している女性の場合、胎児への健康リスク
- 女性の骨折リスク
がありそうな感じです。
これだけの健康メリットが多い理由は、やはりコーヒーに含まれる抗酸化物質のおかげみたいでして、抗酸化物質の毎日の摂取量の大部分を補えるからなんだとか。そしてその抗酸化物質による高い抗酸化作用・抗炎症作用がこれほどの健康メリットを引き出しているんだと。
確かにコーヒーにはカフェインやクロロゲン酸、ジテルペン、カフェストール、カーウェオールなどがたんまり入っておりますし、抗酸化物質もお茶、果物、野菜よりも多く含まれておりますもんね。
それと今回の研究では、カフェインレスコーヒーに目立った健康上のデメリットが見当たらなかったそうなんで、カフェインのあるなしでデメリットが変わることはなさそうな感じです。
個人的考察
最後にコーヒーをどれぐらい飲めばベストなのかですが、研究者曰く、
- おそらく1日3〜4杯がベストだろう
ってことなんで、やっぱり1日3杯が良さげな感じでした。
但し、繰り返しになりますが、妊娠中又は妊娠の可能性がある女性、骨折リスクが高い女性は、注意した方が良さそうです。