「アンブレラレビューを見てみよう！」シリーズその53です。
今回は、2型糖尿病における減量と寛解に良い食事法は何かを調べたアンブレラレビューと系統的レビューを見てみます。



2型糖尿病における減量と寛解に良い食事法は何か…？

2021年のグラスゴー大学の研究によると、2型糖尿病の方の減量に良い食事法（ダイエット法）についてアンブレラレビューを行いつつ、更に2型糖尿病の方の寛解の為の食事法について系統的レビューを行ってみたそうです。
そもそも2型糖尿病は環境要因と遺伝要因の両方のパターンが考えられております。そして2013年のワシントン大学の研究なんかを見てみますと、2型糖尿病は主に過剰な体重増加（肥満）によって引き起こされるみたいで、肥満による腸内環境や腸内細菌の悪化、慢性炎症（低レベルの慢性的な炎症）などが原因っぽいです。また、肝臓、膵臓、筋肉などへの脂肪の蓄積は臓器の機能をダウンさせ、それらが高血圧や脂質異常症（高脂血症）を伴う高血糖を引き起こすそうな。更に2型糖尿病は、生涯にわたって管理が必要なんですが、治療の甲斐も虚しく身体障害や寿命を縮めるような合併症を発症してしまうことが多いみたい。
そんな2型糖尿病の対策は上記の通り、過剰な体重増加（肥満）の改善です。つまりダイエット（減量）ですね。体重が減少すると、体重に関わる全ての健康リスクが改善し、薬の量も少なくなるんで。但し、短期的な減量を追い求めるのは意味がなく、長期的な減量や体重維持が重要となります。特に2型糖尿病だとここはより重要なポイントと言えましょう。
そのため、先行研究では様々な食事法を用いてダイエットの成功・2型糖尿病の改善を目指して調べております。
そこで今回、

  1. 2型糖尿病の方の減量に良い食事法についてアンブレラレビューを行う
  2. 2型糖尿病の方の寛解の為の食事法について系統的レビューを行う

という2つの研究をしてみたんだとか。

まず研究者たちは減量に良い食事法のアンブレラレビューの為に、2021年5月7日までに発表された該当するRCTのメタ分析をMEDLINE（Ovid）、PubMed、Web of Science、コクランで検索してみたそうな。
すると1,064件の研究がヒットしたとのこと。続いてこの中で被っている研究と質の低い研究を除いていったそうです。
残った研究は19件のメタ分析でして、ほとんどのエビデンスレベルは非常に低い～低いだったみたい。但し、エビデンスレベルが高いと評価されたものが7件あったんだとか。

次に寛解の為の食事法における系統的レビューの流れもチェックしておきましょう。
最初に研究者たちは、2021年5月10日までに発表された該当する研究をMEDLINE（PubMed経由）、Embase、コクランで検索してみたそうです。すると373件の研究がヒットしたそうな。続いてこの中で被っている研究と質の低い研究を除いていったらしく、最終的には16件の研究が基準を満たしたとのこと。

それでは2型糖尿病における減量と寛解に良い食事法の結果を見てみましょう。
【2型糖尿病の方の減量に良い食事法】

【2型糖尿病の方の寛解の為の食事法】
  • 様々な追跡期間があったが、食事法の実践による2型糖尿病の寛解率は3％～75％だった…！
  • 食事法の実践による寛解率が最大75％と最も高かったのは、新規に糖尿病と診断された人、2型糖尿病になって2年未満の人だった…！
  • 2型糖尿病歴が長い人（8年）、食事法の実践期間が非常に短い人（1週間）は、寛解率が20％～22％とかなり低かった…！
  • HbA1c（血糖値）の低下、寛解の主な要因は、食事法（ダイエット法）に関係なく、減量であると思われた…！
  • 食事を完全に置き換えるダイエットが効果的だった…！
  • 地中海式ダイエットも若干良さそうな感じだった…！

因みに、フォーミュラダイエット（フォーミュラ食）とは、主食を置き換えるだダイエット法のことを言います。1日における総摂取カロリーの13%～47%を置き換える感じでして、主に糖質や脂質を減らし、タンパク質、ビタミン、ミネラルなんかを多くする感じですね。



個人的考察

これらをみた雑感としては、

  • やっぱりダイエット（減量）ってカロリー制限が大事だよな～
  • タンパク質を多くすると良さそう（フォーミュラダイエット）なのは納得だよな～
  • プチ断食は、カロリー摂取量を減らしやすいんだろうな～
  • 置き換えダイエットは無理が少なく続けやすいんだろうな～

って感じ。
前にも書いた通り、自分が一番続けやすいダイエット法を選ぶのが最も大事だと改めて思いましたね。



参考文献