アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその56です。
今回は、腎臓がんリスクと食事の関係をガッツリ深掘りした研究を見てみましょう。



腎細胞がん(腎臓がん:RCC)の発症と食事の関係について観察研究のメタ分析のアンブレラレビューを行ってみた…!

2022年の南華大学の研究によると、腎細胞がん(腎臓がん:RCC)の発症と食事の関係について観察研究のメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも腎細胞がん(腎臓がん:RCC)は成人のがん全体の約3%を占めているそうな。また発症率が先進国で高まっているらしい。例えば2013年から2017年にかけての腎細胞がんの発症率は男性が年間平均1.4%、女性が1.6%も増えていたんだとか。そして2020年には、世界中で約43万人の方が新たに腎細胞がんを発症し、18万人がなくなっているとのこと。
そんな泌尿器系のがんの中でも注目していきたい腎細胞がんは食事と密接に関連していると先行研究で出ております。ただ、そのエビデンスレベルやバイアスリスクがどの程度かよく分かっていなかったそうな。そこで今回アンブレラレビューを行ってみたそうです。
まず研究者たちは、2021年4月までに発表された該当する研究をPubMed、Web of Science、Embase、Scopus、コクランで検索してみたそうな。併せて世界がん研究基金(WCRF)でも検索してみたらしい。その結果、合計1,587件の研究が見つかったとのこと。次にこの中で被っている物を除きつつ、更に各研究の質をチェックしていったみたい。
最終的に選ばれたメタ分析は22件でして、これらを基に腎細胞がんと食事の関係を見てみたんだとか。
では結果を見ていきましょう。
まずは食事スタイルとの関係から。

【説得力のあるエビデンス】
  • なし。

【低いエビデンス】
  • 健康的な食事スタイルを長期間行っている人はそうでない人に比べて、腎細胞がんの発症リスクが34%低かった…!
  • 不健康な食事スタイル又は西洋スタイルの食事を長期間行っている人はそうでない人に比べて、腎細胞がんの発症リスクが54%高かった…!
  • 食事性炎症指数(DII)が高い食事をしている人はそうでない人に比べて、腎細胞がんの発症リスクが8%高かった…!
  • 血糖値の高い食事をしている人はそうでない人に比べて、腎細胞がんの発症リスクが18%高かった…!

次に食品・飲み物・お酒との関係です。

【説得力のあるエビデンス】
  • なし。

【非常に可能性のあるエビデンス】
  • なし。

【可能性のあるエビデンス】
  • 野菜の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが26%低かった…!

【低いエビデンス】
  • 全ての肉の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが27%高かった…!
  • 加工肉の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが13%高かった…!
  • 鶏肉の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが23%高かった…!
  • アブラナ科の野菜(ブロッコリー、キャベツ、白菜、チンゲン菜、小松菜、水菜、大根など)の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが19%低かった…!
  • ワインの摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが30%低かった…!
  • 蒸留酒の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが20%低かった…!

最後は主要栄養素と微量栄養素との関係を見てみます。

【説得力のあるエビデンス】
なし。

【非常に可能性のあるエビデンス】
なし。

【可能性のあるエビデンス】
  • ビタミンCの摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが23%低かった…!

【低いエビデンス】
  • 食物繊維の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが18%低かった…!
  • 動物性タンパク質の摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが10%高かった…!
  • ビタミンEの摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが19%低かった…!
  • 食品+サプリからのカルシウムの摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが4%低かった…!
  • サプリからのカルシウムの摂取量が多いと、腎細胞がんの発症リスクが20%低かった…!

以上な感じでした。
ちょっとポイントをまとめてみますと、

  • エビデンスレベルの高い物(説得力のあるエビデンス・非常に可能性のあるエビデンス)は一つもなかった…。
  • 野菜とビタミンCをたくさん摂取しておくと、腎細胞がんの発症リスクを下げられそう…!

のようになります。
とりあえず野菜を食べつつ、果物からビタミンCを摂取しておくか…。



個人的考察

はっきり言える対策はなかったものの、やはり野菜は積極的に食べていきたいな~という結論でしたね。



参考文献