【加筆内容】精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか? その19
「精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか?」の続きです。
ADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)の方の全死亡率と自殺率、精神疾患との関連性
2024年の台北栄民総医院の縦断研究によると、ADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)の方の全死亡率と自殺率について調べてみたそうです。そもそも先行研究により、ADHDの方は事故や自殺などの非自然死による死亡リスクが高いと出ておりました。そしてこのリスク増加は、統合失調症や双極性障害、大うつ病、自閉症スペクトラム障害、不安障害、物質使用障害、パーソナリティ障害などといった精神障がいを併発している(二次障害として持つ)のが原因の可能性があるみたい。
そこで今回研究者たちは、ADHDの方の全死亡率と原因別の死亡率をチェックしつつ、更に精神疾患との関連性も見てみたとのこと。
この研究は、台湾の国民健康保険のデータベースを使ったもので、2003年から2017年の間のデータを使ったと言うもの。因みに以前にも書いた通りこのデータは台湾の人口の99%をカバーしているそうな。
このデータベースには117万人が登録されていたそうで、ここからADHDの診断を受けた人を検索してみたらしい。すると233,886人の方がいたそうです。次にこのデータを統計処理し、全死亡率や自殺率、精神障がいとの関係も見てみたそうな。
結果、追跡期間中に亡くなった方は781名いたのですが、傾向を見てみると、
- 全死亡率が1.45倍(HR1.45)高く、大多数が非自然死であり、主な原因は自殺だった
とのこと。
どうやらADHDも死亡率(特に自殺の死亡率)が高くなっちゃうみたいですね。
んで、気になるのがADHDと精神障がいの併発パターンでして、なんでも自殺率が特に高かったらしいんですよ。
バーッと挙げていきますと、
- ADHD+物質使用障害の自殺率:47倍(HR47.06)
- ADHD+統合失調症の自殺率:32倍(HR32.02)
- ADHD+パーソナリティ障害の自殺率:23倍(HR23.60)
- ADHD+不安障害の自殺率:10倍(HR10.11)
- ADHD+双極性障害の自殺率:9.3倍(HR9.30)
- ADHD+大うつ病の自殺率:8.3倍(HR8.36)
- ADHD+自閉症スペクトラム障害の自殺率:6.4倍(HR6.42)
って感じ。
こうみると如何に精神障がいが自殺率と関係しているか、ADHDとの併発(二次障害)が自殺率を爆発的に上げるかが分かりますね。
個人的考察
残念ながらADHDも平均寿命を短くする要因になりそうな感じです。