【加筆内容】ビタミンDの健康効果について、観察研究のメタ分析・RCTのメタ分析・メンデルランダム化研究を使ってアンブレラレビューを行ってみた!
2022年の首都医科大学の研究によると、ビタミンDの健康効果について、観察研究のメタ分析・RCTのメタ分析・メンデルランダム化研究を使ってアンブレラレビューを行ってみたそうです。
因みに研究者たちによれば、これらを使ったアンブレラレビューは初とのこと。これは是非チェックしておきたいですねー。
その前に前提として2008年のボストン大学の研究や2013年のボストン大学の研究によると、ビタミンD欠乏症は世界中で最もメジャーな健康問題の一つでして、筋骨格系の健康状態の悪化(くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、骨折など)や、自己免疫疾患、感染症、肺炎、がん、代謝疾患(2型糖尿病、高血圧)、心血管疾患、神経認知障害、死亡率など様々な急性・慢性疾患リスクが高まるみたいなんですな。
んで、その主な原因はビタミンDのメイン供給源である日光(太陽光)に当たる事が少ないから。つまり最も有効な対策は日光を浴びることになります。他の対策としては、食事からの補給、サプリの摂取も有効みたいな感じ。
そんな大事なビタミンDの先行研究はたくさんあるんですが、観察研究のメタ分析、RCTのメタ分析、メンデルランダム化研究のそれぞれで一貫性のない結果が出ております。まぁ、それぞれの研究に長所と短所がありますんで仕方ないですよね。そのためはっきりしたことが言えない状態なんですよ。
一方で観察研究のメタ分析、RCTのメタ分析、メンデルランダム化研究は、それぞれの短所を補える研究でもあるんですな。
そこで今回、これらを一つにまとめてはっきりさせることにしたそうです。
まず研究者たちは、2019年5月までに発表された該当する観察研究のメタ分析、RCTのメタ分析、メンデルランダム化研究をコクラン、Embase、PubMedで検索してみたそうな。すると合計6,887件もの研究がヒットしたとのこと。続いてこの中で被っている物を除きつつ、各研究の質をチェックしていったみたい。
最終的に残った研究は280件でして、これらを基にデータをまとめてみたんだとか。
では結果を見ていきますかー。
まずは観察研究のメタ分析とメンデルランダム化研究を合わせた結果から。
- 観察研究のメタ分析では、ほとんど(78.57%)が有意な関連性を示していた…!
- メンデルランダム化研究では、ほとんど(82.14%)が有意な関連性を示していなかった…!
- 観察研究のメタ分析とメンデルランダム化研究を合わせた結果、ビタミンD濃度が低いと、全死亡率、アルツハイマー病、高血圧、統合失調症、2型糖尿病のリスクが高くなることが分かった…!
- 観察研究のメタ分析の結果、ビタミンD濃度が低いと、クローン病、うつ病、虚血性脳卒中、パーキンソン病、 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、全ての骨折、喘息(小児)のリスクが高くなっていた。但しこれらの結果はメンデルランダム化研究と一致していなかった。
- メンデルランダム化研究の結果、ビタミンD濃度が低いと、肺がん、膵臓がんのリスクが高くなっていた。但しこれらの結果は観察研究のメタ分析と一致していなかった。
観察研究のメタ分析とメンデルランダム化研究を合わせることによって見えてきたところがありますね~。
次に観察研究のメタ分析とメンデルランダム化研究の一貫した結果を、RCTのメタ分析の結果と比較したものを見てみましょう。
- 観察研究のメタ分析とメンデルランダム化研究の一貫した結果のうち、7つの結果がRCTのメタ分析の結果とも被っていた…!
- その7つとは、全死亡率、乳がん、心血管疾患による死亡率、大腸がん、喘息、全てのがん発症率、全てのがんによる死亡率だった…!
つまり、現時点ではっきりと言えることは、
- ビタミンDの濃度が低いと全死亡率が上がる…!
のみとなります。最終的に一つだけになっちゃいましたね。
個人的考察
但し、ビタミンDと全死亡率が関係しているということは、その間に何らかの健康リスクが高いとも言えます。
となると、今回はっきりしませんでしたが、今後の研究結果によってその健康リスクが見えてきそうかなと思いました。そしてあやしいのは、アルツハイマー病、高血圧、統合失調症、2型糖尿病、乳がん、心血管疾患による死亡率、大腸がん、喘息、全てのがん発症率、全てのがんによる死亡率かなーと。
いずれにしてもビタミンDは健康長寿に非常に大事なのは間違いないので、積極的に日光に当たったり、ビタミンDを多く含む食品を食べたり、サプリを摂取していきたいですね。