ADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)の環境リスク要因・保護要因・バイオマーカーは何か?
「アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその42です。
ADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)の環境リスク要因・保護要因・バイオマーカーは何か…?
2020年の延世大学校などの研究によると、ADHDの環境リスク要因・保護要因・バイオマーカーについてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそもADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)は、子ども時代に発症する発達障がいの一種でして、その主な特徴は不注意・多動性・衝動性となります。
そして2015年のカーディフ大学の研究によると、ADHDの有病率は1.4~3.0%なんだとか。また、女の子よりも男の子に多く見られまして、知的障がいや精神障がいとの併存もかなりの割合でみられるそう。更にADHDは遺伝的要因が高そうな感じとのこと。但し、はっきりした原因は不明みたいです。
そんなADHDですが、先行研究により様々な環境リスク要因・保護要因・バイオマーカーが調べられております。んがしかし、それがどれほどの影響があるのかはよく分かっていないんですな。そこで今回ガッツリチェックしてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2019年10月31日までに発表された該当研究をMEDLINE、Embase、コクラン、PubMedで検索してみたそうな。併せて参考文献なんかもチェックしたみたい。すると1,839件の研究が見つかったとのこと。次にこの中で被っている物や質の低い物を除外していったそうで、最終的に35件の研究に絞り込むことが出来たんだとか。
この35件の研究の中には63個のメタ分析があったらしく、
- 40個の環境リスク要因・保護要因(症例の中央値:16,850件、サンプルの中央値:91,954人)
- 23個のバイオマーカー(症例の中央値:175件、サンプルの中央値:187人)
があったそう。
では結果を見てみましょうか。
【説得力のあるエビデンス】
【説得力のあるエビデンス】
- 妊娠前における母親の肥満(OR1.63)
- 子どもの湿疹(OR1.31)
- 妊娠中の高血圧による疾患(OR1.29)
- 子癇前症(OR1.28)
- 妊娠中における母親のアセトアミノフェン(解熱・鎮痛剤)の使用(RR1.25)
以上はADHDと関係性が高そうな感じとのこと。
個人的考察
母親の肥満・過体重、高血圧、アセトアミノフェンの使用、喫煙、ビタミンD不足はいずれも対策が出来そうなんで、妊娠前、妊娠中の方は気を付けておくと良さげですね。
また、ADHDの方に関しては特性(特徴)を活かす方向で持っていくとよろしいかと思います。