アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその44です。
昨日に引き続き中国医科大学のアンブレラレビューを見ていきまーす。



糖質制限ダイエット(低炭水化物食)のダイエット効果・健康効果をガッツリ調べてみたぞ…!

2021年の中国医科大学の研究によると、糖質制限ダイエット(低炭水化物食)のダイエット効果・健康効果についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも2005年のオレゴン健康科学大学の研究を見てみると、炭水化物(糖質)を摂取することは様々な疾患の予防になるとのこと。そして2001年のNCEPの研究によれば、炭水化物の推奨摂取量は総カロリーの50~60%なんだとか(私はこれよりも低く設定しましたが
一方で皆さんご存知の通り、糖質制限ダイエット(低炭水化物食)が流行った通り、肥満、コレステロール、中性脂肪など、様々な理由から炭水化物は世間で嫌われております。
なぜこういった矛盾が生じているかと言いますと、炭水化物におけるカロリーの質の違いが原因とのこと。例えば2018年のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の前向きコホート研究のメタ分析によると、白米や麺類などのような精製穀物はカロリーの質が低く、慢性的な高GI値や代謝への悪影響なんかが起こる可能性があるそうな。そのため、上記のような矛盾が生じちゃうわけですな。
但し、この時点で炭水化物の摂取と複数の健康効果との関係性を調べたアンブレラレビューはなかったんでイマイチはっきりしたことは言えなかったみたい。そこで今回ガッツリ調べてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2020年7月10日までに発表された食事による炭水化物が健康に及ぼす影響を調べた観察研究の系統的レビュー又はメタ分析をPubMed、Embase、Web of Scienceというデータベースを用いて検索してみたそうな。すると合計15,457件の研究が見つかったとのこと。次にこの中で重複している物や質の低い物を除いていったそうな。
最終的にピックアップできた研究は24件でして、総サンプル数は13,164,365人って感じでした。糖質制限ダイエット(低炭水化物食)のダイエット効果・健康効果を調べたものとしては最大規模の研究の一つといってよろしいのではないでしょうか。
それでは気になる結果を見てみましょう…!

  • 説得力のあるエビデンスレベルのメタ分析はなかった…!
  • 非常に可能性のあるエビデンスレベルのメタ分析1件(3.3%)によると、炭水化物の摂取量が増えると、メタボリックシンドロームリスクが25%(相対リスク1.25)上昇すると出ていた…!
  • 可能性のあるエビデンスレベルのメタ分析2件(6.7%)によると、炭水化物の摂取量が増えると、食道がんリスクが43%低下(相対リスク0.57)、全死亡リスクが19%上昇(相対リスク1.19)すると出ていた…!
  • その他(冠状動脈性心疾患リスク、2型糖尿病リスク、パーキンソン病リスクなど)は低いエビデンスレベルだった…!

カロリーの質を関係なくして炭水化物の研究を見てみると、はっきりしたことは言えないみたいですね~。なんとなくメタボリスクアップ、食道がんリスクダウン、全死亡リスクアップが言えそうな感じですが何とも煮え切らないですな。
この結果に研究者曰く、

  • 糖質制限ダイエット(低炭水化物食)への熱狂と高炭水化物の食品を忌み嫌うことは考え直す必要があるだろう

としています。
炭水化物(糖質)を過度に気にして避ける必要はないってことですね。



個人的考察

個人的にもこの考え方は共感できまして、やはり気にすべきは、カロリーの質だと思っております。つまり加工食品超加工食品を避けるのが大事であって、カロリーの質の高い炭水化物は積極的に食べていきたいなって感じです。
因みにカロリーの質の高い炭水化物ってなに…?って方は「結局、炭水化物(糖質)は何を食べれば良いのか?」をご覧いただくとよろしいかと思います。



参考文献