【加筆内容】食事性炎症指数(DII)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた!(ディーキン大学バージョン)
「アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその49です。
食事性炎症指数(DII)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!(ディーキン大学バージョン)
2021年のディーキン大学などの研究によると、食事性炎症指数(DII)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも慢性炎症は、様々な健康リスクを上げる要因でして、特に炎症が全身にいっちゃうと、
などなど、慢性疾患リスクが上がっちゃうんですな。
- 全死亡率の上昇
 - ガンリスクの上昇
 - 2型糖尿病リスクの上昇
 - 神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)リスクの上昇
 - 心血管疾患(CVD)リスクの上昇
 
などなど、慢性疾患リスクが上がっちゃうんですな。
更に慢性炎症は、
- うつ病リスクの上昇
 - 統合失調症リスクの上昇
 - 双極性障害リスクの上昇
 
などの精神疾患にも関係ありそうとなっております。
そんな慢性炎症ですが、食事が重要なポイントの一つとのこと。具体的には、抗炎症性と炎症誘発性の食品の摂取量でして、例えば抗炎症性の多い食事の代表的な物としては地中海式ダイエットが挙げられるでしょう。逆に炎症誘発性の多い食事の代表的な物としては超加工食品の摂取量が多い西洋スタイルの食事となります。
そして、食事性炎症指数(DII)は、食事全体における抗炎症性と炎症誘発性を数値化したものなんで、これらを基にすることによって健康リスクをチェックすることが出来るんですな。
ただ、先行研究で食事性炎症指数(DII)と健康リスクの関係のメタ分析は行われてきたものの、それがどの程度信頼できるエビデンスレベルなのか、チェックしたアンブレラレビューは行われていなかったそうです。そこで今回調べてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2020年6月までに発表された該当する観察研究のメタ分析をMEDLINE(PubMed経由)、PsycINFO(Ovid経由)、EMBASE(Ovid経由)、コクラン(Ovid経由)で検索してみたそうな。すると合計333件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている物や質の低い研究を除いていったらしい。
最終的に残った観察研究のメタ分析は15件でして、各メタ分析の特徴は、
- 各メタ分析に含まれる研究数の中央値:6件(範囲2~44件)
 - サンプル数の中央値:36,592人(範囲1,966~1,299,621人)
 
って感じ。
因みに総サンプル数は4,360,111人ということでした。
それでは結果を見てみましょう。
【説得力のあるエビデンス】
【非常に可能性のあるエビデンス】
【説得力のあるエビデンス】
- 心筋梗塞リスク
 
【非常に可能性のあるエビデンス】
- 全死亡率
 - 全てのがんリスク
 - 大腸がんリスク
 - 膵臓がんリスク
 - 呼吸器がんリスク
 - 口腔がんリスク
 
【可能性のあるエビデンス】
- 食道がんリスク
 - 肺がんリスク
 - 乳がんリスク
 - 卵巣がんリスク
 - 咽頭がんリスク
 - 前立腺がんリスク
 - うつ病リスク
 - HbA1c(血糖値の高さ)
 - ウエストの長さ
 
上記以外は低いエビデンスやエビデンスなしだったそうです。
これらを見ると、炎症誘発性が高い食事は、心疾患、全死亡率、様々ながん、うつ病、糖尿病、肥満の健康リスクを上げるみたいですね。
個人的考察
因みに同時期に似たようなアンブレラレビューが2021年のテヘラン医科大学から発表されております。
こちらは2020年11月までに発表された該当する観察研究の系統的レビュー・メタ分析をPubMed、Scopus、ISI Web of Scienceで検索し、各研究を精査して11件の研究に絞り込んだんですが、結果、食事性炎症指数(DII)と心血管疾患リスク、全死亡率、大腸がんリスクには中程度のエビデンスレベルがあったそうです。但しがんについてはエビデンスレベルが低い物や非常に低い物だったそうな。
細かい違いはありますが、被っている部分もあり、少なくとも体内炎症が健康リスクを上げるのは間違いなさそうな感じです。
