令和3年9月7日に社内研修を行いましたので、前回同様、「障がい者支援について考える」シリーズとしてまとめておきます。過去の社内研修の内容を知りたい場合は下記からご覧ください。

今回の社内研修は「氷山モデルと視覚的構造化」

ツイッターの方に一応書いたのですが、今回の内容は当初8月に行う予定でした。しかし、コロナワクチン接種によって、8月の「障がい者支援について考える」シリーズの社内研修は9月に延期となった次第です。
ということで、1ヶ月遅れで行った研修内容をご紹介していきます。
今回行った研修内容は「氷山モデルと視覚的構造化」です。



氷山モデルってなに…?

氷山モデルとは、情報処理に障害のある人の課題となっている行動を氷山の一角として捉えて、氷山の一角に注目するのではなく、その水面下の要因に着目することで、支援の方法を考えることを意味します。
つまり、かんしゃく、奇声、他害、自傷、パニック、不適切な行動、強いこだわりなどのような表出しているこれらの行動(結果)に注目するのではなく(水面から出ている氷山に注目するのではなく)、本人の特性と環境や状況の影響からなる相互作用(原因)に注目する(水面下の要因に着目する=原因を探る)ことが氷山モデルです。
氷山モデルは自閉症や強度行動障害の障がい特性を理解し、支援に活かしていく際に紹介される事が多いです。また、精神障害者等の支援にも使える場合があります。



本人の特性7つ

困っている行動の原因を探る際の本人のチェックすべき特性は大きく7つあります。

  1. アテンション:注意の持続力や向けたい方向に向ける力、同時に注意を向ける力、視野の狭さ、独特な注意の視点など
  2. 認知・記憶:IQ、記憶力、ワーキングメモリ(短期記憶)反芻思考、学習障害(LD)、強迫性障害(OCD)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など
  3. コミュニケーション:言語・非言語コミュニケーションの理解、苦手さなど
  4. 社会性: 協調性(調和性)、集団生活スキル、対人関係など
  5. 想像力:予測力、柔軟さ、計画、優先順位、予定変更、臨機応変さなど
  6. 運動・姿勢:手先の器用さ、身体の使い方、身体のアンバランスさなど
  7. 感覚:五感の過敏さなど(聴覚過敏など)

これらの特性はやめさせるのではなく、どうしてこの行動をとったのかを考える、聞いてみるのが重要となります。



氷山モデルシートの記入例

それでは氷山モデルシートと記入例の見本をご紹介していきます。
画像をクリック又はタップすると大きく表示されますのでご覧ください。


  • 氷山モデルシート



  • 氷山モデルシート【記入例1】



  • 氷山モデルシート【記入例2】



  • 氷山モデルシート【記入例3】



  • 氷山モデルシート【記入例4】




まとめ:氷山モデルのポイント

最後に氷山モデルのポイントをまとめておきます。

  1. 実際の支援では成功体験を積んでもらう。
  2. そのために視覚的構造化(見える化)を目指す(目で見ただけで何をしたらいいのか分かるようにする)
  3. 更に報酬(リワード)を用意する。
  4. 頑張ったら良い事があると理解してもらい、良い行動を増やし、困る行動を減らしてもらう(詳しくは、オペラント学習の正の強化、正の弱化行動活性化療法を参照)
  5. 視覚的構造化の為には下記方法が有効な場合が多い。
    1. スケジュールの作成
    2. 作業手順書の作成
    3. 画像や動画等の活用
    4. 集中できるよう環境整備(パーテーションで集中しやすい視界、耳栓やイヤホンで雑音遮断、作業台に余計な物を置かないなど)象を刺激しない
  6. 何度も行い、最終的には習慣化(ルーティン)を目指す。
  7. 汎化(般化)が起きるようになると尚良し(汎化とは、似たような事柄や性質から共通して適用できる法則を見つける事)



個人的考察

以上、氷山モデルと視覚的構造化でした。
明日からでもすぐに支援に活かせる方法なんで是非、行ってみてください。
もし、氷山モデルシートが必要でしたら下記からPDFでダウンロード可能です。ご自由にどうぞ~。


最後に、この「障がい者支援について考える」シリーズの社内研修は、来月からブログの記事の復習をメインに行っていきます。そのため、今後は新たな内容を行ったときのみ更新していきます。ご了承ください。



参考文献