私は専門外なんですが、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所で良く見かけるのが運動療法。例えば、お散歩(≒ウォーキング)やマット運動、跳び箱、サッカーをやる…!みたいな感じですな。
これが障がい児の発達教育において有効なのか、具体的にどのような効果があるのか…?ってことで、2025年に自閉スペクトラム症(ASD)の子どもを対象にした質の高い研究(RCTの系統的レビューとメタ分析)を見てみます。



自閉スペクトラム症(ASD)の子どもにおける運動の効果についてRCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみた(2025年の江蘇警官学院バージョン)

2025年の江蘇警官学院の研究によると、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもにおける運動の効果についてRCTの系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
支援者の方にとっては耳タコかもしれませんが、自閉スペクトラム症(ASD・自閉症スペクトラム障がい)は、一般的に3歳未満で発症し、成人まで続く可能性のある神経発達障害です。主な障がい特性としましては、社会的問題、感覚処理問題、反復行動パターン、運動機能問題、実行機能問題なんかですな。
因みにWHOによれば、3~16歳の子どもが最も自閉症の影響を受けやすいらしく、約100人に1人の子どもが診断されているみたい。また、有病率は上昇傾向にあるんだとか。
その原因は未だはっきりしていないものの、遺伝、親の年齢、妊娠中の母親のメンタル、食事などが危険因子として考えられております。
そしてASDの子どもの治療は主に薬物療法と非薬物療法からなるんですな。んで近年注目されつつあるのが運動介入です。児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所でもよく見かけますよね。先行研究によれば、運動によりASDの子どもの

  • 恥ずかしさが軽減する…!
  • 体力がアップする…!
  • 社会性がアップする…!
  • コミュニケーション能力がアップする…!
  • 運動機能がアップする…!
  • 物体制御機能がアップする…!
  • 身体移動機能がアップする…!

と出ているんですよ。
但し、RCTで見てみた場合、結果はマチマチなんだとか。
そこで今回、ASDの児童における、柔軟性、認知制御、社会的スキル、行動上の問題、運動スキル、協調性が運動によって改善するのかガッツリ深掘りしてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2024年2月15日までに発表された該当研究を、PubMed、EMBASE、コクラン、EBSCOhost、Web of Scienceという5つの電子データベースで検索してみたそうな。すると合計5,480件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究や質の低い研究を除いていったらしい。
最終的に選ばれたRCTは23件でして、年齢は未就学児から青年までと幅広い発達段階の子どもが対象となっていたんだとか。またサンプルサイズも13人~148人と幅広く、運動の介入方法も、自転車、体を使ったゲーム、運動技能訓練、空手やトランポリン、エアロバイクと多種多様だったみたい。それと介入期間は2週間から6ヶ月までとこちらも幅広く、そのほとんどの研究は8週間から12週間の間だったそうな。
それでは気になるメタ分析の結果を見てみましょう…!
まずは大きな結論なんですが、

  • 運動介入が様々な領域においてポジティブな効果をもたらしていた…!

とのこと。やっぱ運動は良いんですねー。
では、具体的にどの項目がどんな感じだったか見てみますか。
最初は柔軟性と認知制御についてです。

  • 運動は柔軟性と認知制御に有意な改善(SMD=-0.282)を示した…!
  • 特に小学校高学年の生徒に効果があった…!
  • 中学年の生徒と未就学児に統計的な有意差はなかった。
  • 身体トレーニングと運動ゲームに効果はなかったが、武道介入は有意な正の効果があった…!
  • 8〜12週間で効果が出た…!

全体的に見るとプラスの効果があり、細かく見ると、小学校高学年の生徒に良い感じだったみたいですね。また、2,3か月続けると効果が実感できるってのもポイントかと。
次に運動スキルと協調性を見てみます。

  • 運動は運動スキルと協調性に有意な改善(SMD=0.475)を示した…!
  • 特に小学校低学年の生徒に効果があった…!
  • 未就学児と小学校高学年、青年に統計的な有意差はなかった。
  • 球技の効果が高く(SMD=1.521)、身体トレーニングとリハビリテーショントレーニング、武道は有意差がなかった。
  • 8週間未満よりも8~12週間の方が効果があった…!但し12週間を超えても有意なレベルに達しなかった。

運動スキルと協調性は小学校低学年に効果的みたいですね。また、球技が良い感じで、これを2,3か月行うと良いみたい。放課後等デイサービスでサッカーをやったりするところがございますが、これを踏まえると納得できますな。
次は社会的スキルの結果を見てみましょう。

  • 運動は社会的スキルに有意な改善(SMD=0.312)を示した…!
  • 特に未就学児に効果があった…!
  • 小学校低学年、中学年の生徒に効果はなかった。但し、小学校低学年の生徒に対する効果は有意水準 (SMD=-0.484)に近かった…!
  • 球技の効果が高く(SMD=0.312)、身体トレーニングと武道は効果がなかった。
  • オススメな介入期間は良く分からなかった。

運動による社会的スキルのアップ効果は特に未就学児~小学校低学年までに良いみたいですね。そして球技がオススメだと…。
続いて行動上の問題の結果を見てみます。

  • 運動は行動上の問題に有意な改善(SMD=-0.674)を示した…!
  • 全年齢層に効果があった…!
  • その中でも未就学児への効果が顕著だった…!
  • 身体トレーニングと武道が特に効果的だった…!リハビリテーショントレーニングは効果が比較的弱かった。
  • 8〜12週間が最も効果的だった…!

ASDの特性の中で保護者も悩む、行動上の問題に運動は効果的で、年齢層は関係ない…!ってのは良いですな。そしてこれまたオススメ期間は2,3か月だと。



個人的考察

これらを見てみると、自閉スペクトラム症の児童に運動は効果的であり、柔軟性、認知制御、運動スキル、協調性、社会性スキル、行動上の問題を著しく改善するみたい。但し、細かく見てみると、年齢と運動方法によって違いはあるみたいですね。ざっくりいうなら、2,3か月球技や武道をやってみるのが良いのかも。
因みに知的障がいやダウン症の方も運動した方が良いのは間違いなさげ。詳しくは、


をご覧ください。



参考文献