令和3年3月5日に社内研修を行いましたので、前回同様、「障がい者支援について考える」シリーズとしてまとめておきます。過去の社内研修の内容を知りたい場合は下記からご覧ください。




引き続き「少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ」シリーズを行っております。

3月の社内研修でも引き続き「少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ」シリーズを行っております。そちらの内容は以前に書いておりますので、気になる方は下記からご覧下さい。



ブログ限定社内研修

前々回書いた通り、これだけだと物足りない方もいるかと思いますんで、ここからはブログ限定社内研修を行います。時間の都合上、社内研修に導入できずにいた内容で、体験型の物となっております。是非、各自で行っていただければよろしいかと…。



マインドフル・イーティングってなに…?

今回、ブログ限定社内研修でご紹介する内容は、レーズン・エクササイズという方法です。
…っとその前にまずは、マインドフル・イーティングの説明から。
マインドフル・イーティングとは、食べることにただひたすら集中するってこと。食べるという今この瞬間に目を向けるって感じのマインドフルネスの一種であり、食べる瞑想なんて言われることもあったりします。
このマインドフル・イーティングを体験・トレーニングする為に第三世代の認知行動療法では、よくレーズン・エクササイズが使われるんですよね。



レーズン・エクササイズ(Raisin Exercise)のやり方

それでは本題に入りまして、レーズン・エクササイズ(Raisin Exercise)のやり方をご紹介していきたいと思います。
やり方は以下の通り。

  1. レーズンを一粒用意する(市販の物でOK)
  2. なるべく部屋を静かにする(テレビやラジオ、BGMなどを全て切る)
  3. ストップウォッチを用意する(スマホのストップウォッチでOK。なければ時計でもOK)
  4. ストップウォッチをスタート…!
  5. まずはレーズンを手に取って触り心地を確かめる
  6. じっくりと観察し形を確かめる
  7. 香りもじっくりと嗅ぐ
  8. ここまでで最低5分は行う
  9. 次にレーズンによって唾液が出たり、空腹感が増したり、レーズンの味を思い出したり、早く食べたいと思ったりなど(私的出来事)、色々な湧き出る感覚に気づき、傍観・観察する
  10. ここまでで最低5分は行う
  11. レーズンを口に入れる
  12. まずは舌の上で転がして表面のザラザラ感を確かめる
  13. 口に含んだことによる自分の感覚の変化を観察する(例:唾液が出てきたな~、食べたって快感が出たな~、そうそう…!これがレーズンの味だったな~、早く食べたいっていう焦りが消えたな~など)
  14. 目を閉じて口の中の感覚だけに意識を集中する(例:少しずつ唾液で柔らかくなってきたな~、ほのかにレーズンの香りを感じるな~、ちょっとこの辺の舌触りがまだ良くないな~など)
  15. レーズンを噛む。噛んだ感覚に意識を集中する(例:歯がレーズンを押しつぶしていく感覚があるな~、じわっと酸っぱい感じが出たな~、でも甘みも感じたな~、思った以上に柔らかいな~、でもここは歯ごたえがあるな~など)
  16. レーズンを飲み込む。飲み込んだ感覚に意識を集中する(喉が動いたな~、ゴクッと音がしたな~、舌からだんだんレーズンの味が消えてくな~、なんか時間をかけて口あったせいか寂しさを感じるな~など)
  17. ここまでで最低10分〜15分は行う
  18. 以上で終了となる

つまり、レーズン一粒を食すのに20分~25分近くかけるってことですね~。う~ん。長い…!そして実際レーズン・エクササイズを行うと分かるのですが、普段の食事がいかに作業や無意識になっているか、集中していないかが非常に感じます。特に早食いの人なんかは焦って食べているのが痛感できるかと…。



バイアスに強くなる可能性が…!

2017年のケント大学などの研究によるとレーズン・エクササイズを行ったらバイアスに強くなる可能性があるんだそうな。この研究ではマインドフルネストレーニングとして、レーズン・エクササイズを使ったみたいなんですが、対応バイアスの減少が確認できたとのこと。対応バイアスとはAさんがBさんの命令で悪事を働いた場合、Bさんの命令という原因を考えるよりもAさんは本当に悪い人だから悪事を働いたと考えてしまうバイアスのこと。つまり、人は人の行動を見る時、根本の原因を深く考えるよりも、手頃な表面上の部分のみにフォーカスして考えてしまうって感じですね。なんでこの人はこんなことをしたんだろう…?って真意を考えるよりも悪い人だからこういうことをしたんだ…!って考える方が楽なんで分からなくもないかと…。
んで、研究者曰く、レーズン・エクササイズのようなマインドフルネストレーニングを行うことで対応バイアスのような五感に関するバイアスに強くなる可能性があるよ…!ってことをおっしゃっております。これはうれしいですね~。



個人的考察

マインドフル・イーティングは食事だけに集中するってことなんで、別にレーズンにこだわらなくても上記方法で行えるかと思います。因みになぜレーズンなのかですが、固さや食感、大きさ、香りなどがちょうどいいかららしいです。
ぜひ、皆さんもレーズンで、なければグミやクルミなどで代用して行ってみてください。



参考文献