毎月恒例の月1社内研修が令和3年3月15日にありましたので、内容を備忘録としてブログに残しておきます。過去の社内研修内容を確認したい場合は下記からご覧ください。




令和3年度障害福祉サービス等報酬改定

今回、当初の予定では、熊野先生の「認知行動療法の基礎と展開 第11回目 言語行動と関係フレーム理論」を皆で視聴するはずでした。しかし、令和3年度の報酬改定の内容について確認もしなければいけなかったため、結果、「認知行動療法の基礎と展開 第11回目 言語行動と関係フレーム理論」を4月に視聴することにしました。
その代わり、今回は「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定」の内容の確認を行った次第です。
社内研修の流れとしては、

  1. 最初に報酬改定の資料の見方のコツを皆で確認した。
  2. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令の公布について(通知)(障発0125第5号)」を確認した。特に「ハラスメント対策の強化について」は介護の方で先に導入していたハラスメント対策(いわゆる「クライアントハラスメント対策」)がやっぱり障害福祉にもコピペされたか~という印象。
  3. 法令の順位の説明(優先順位が強い順に並べると憲法→障害者総合支援法・障害者虐待防止法→厚生労働省令)と、ルール作りの基本・コツがここから学べるよ~って話しを行った。
  4. その後、上記の通知の「ハラスメント対策の強化について」の詳細を知るべく、令和3年1月25日掲載の官報(厚生労働省令第十号)で確認した。
  5. 令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」→「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」→「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」の順で自分たちに関係のあるところ(就労移行支援・就労継続支援B型)を中心にポイントを見て行った。

といった感じです。
詳しくはそれぞれのリンクにある書面をご覧いただくとよろしいかと思います。
また、令和3年度の報酬改定については以前まとめております。よろしければ下記からご覧ください。




個人的考察

少しだけクライアントハラスメント(ハラスメント対策)について補足をしておきます。
ざっくりいうとクライアントハラスメントとは虐待のついになるようなルールのこと
どういうことかと言うと、

  • 支援者が障がい者を殴った…!→虐待…!
  • 障がい者が支援者にしつこく性的な言動をした…!→クライアントハラスメント…!

みたいなイメージ。
つまり、支援者から障がい者に不利益を与えるような行為が虐待で、障がい者から支援者に不利益を与えるような行為がクライアントハラスメントってことになります。
昨今、福祉業界からの離職やバーンアウト問題、クライアントハラスメントを受けた仕返しで虐待をするなどパワーバランスの崩れによる問題がありますんで、介護福祉の世界で導入したものを障害福祉の世界にもコピペしたのは分かる話ですね~。まぁ、元々、折衷案(バランスを取る、真ん中をとる)が好きな国なんで(これは芦部先生の憲法や判例からもなんとなく分かる)、非常に納得できる話だと個人的には思っております。

んで、先程紹介した令和3年1月25日掲載の官報(厚生労働省令第十号)の145ページに、このハラスメント対策の根拠となる条文が載っております。

  • 第二十五条4項「療養介護事業者は、適切な療養介護の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。」

こちらの条文が就労移行支援・就労継続支援B型にも準用(コピペ)されております。
ポイントとなる部分を抜き出すと、

  • 性的な言動
  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

上記のようなハラスメント行為の具体例や対応方法のフローチャートなどをなるべく作ろうね~(努力義務)ってことですね。「性的」や「マウントをとってきた言動」ということで、「言葉によるハラスメント」を掲げているのがポイントの一つで、更に、障がい者本人と限定しておらず、家族などからのハラスメントも包括しているっぽい(反対解釈から)のもポイントな気がします。
いずれにしても支援者や管理者の方は押さえておいて損はない内容かと思います。



参考文献